今回の話、展開が今までで一番雑かもしれません。
八幡side
慌ただしかった昨日とは違い、警護二日目である今日は非常にルーズな予定だ。なにせ、警護の仕事はサクラのライブのリハーサルが始まる午後六時からだからな。おかげで、俺も自由気ままに過ごしているわけだ。
只今の時刻は昼の一時。警護までの自由時間を俺はツヴァイ諸島で有名な喫茶店でまったりとしていた。ここのコーヒーゼリーのパフェ、すげぇ美味いんだよなぁ。甘さも俺好みぐらいだし。
たまにはこうして一人でゆっくりするのも良いものだな。サクラのワガママに付き合う必要もないし…
「ヤッホー、ハチマン♪」
「……………………………………」
前言撤回。俺だけの時間は終わってしまったようだ。目の前の空席に座った桜髪の少女によって。
「サクラ、何故ここに……?」
「それはハチマンが来そうな所だなぁって思ったからよ。ハチマンの行動パターンを推測するなんて私にとって簡単なものだわ」
いや、そういうこと聞いてんじゃねぇよ。
「…外出しているという事は作曲が終わったのか?」
作曲にはかなりの時間がいる筈だ。昨日の段階でも終わってはいなかったし、それにスフレさんも終わるまではサクラを外出させないと話していたが……
「いえ、全然よ。抜け出して来ちゃった」
「おおい!何やってんだよ!?」
お前の作曲を待っている人が居るんだぞ!?しかも一週間近く!!その人の気持ち考えてみろや!?
「だって、アイデアが浮かばないんだもん!ホテルにいて何か浮かぶと思う!?」
そう言ってほっぺをぷくーっと膨らませて可愛らしくサクラは抗議する。一週間近くも待たせている人が何を言っているんだか。
「はぁ……で、ここに俺がいることを分かった上で来ているという事は俺に何か用があるんだろ?」
「ええ、流石はハチマン。実は連れて行って貰いたい所があるの。ハヤト君と一緒にね」
「如月?……まさか、如月にもう話すのか?」
予想外の提案に俺は思わずサクラに訊ねてしまった。だって、あの件について如月に話すのはライブが終わってからの筈だぞ。
「……うん、なんだかハヤト君に早くあの件について私の事を知ってもらいたくなってね。そのせいか、作曲やライブにも集中できなくて……」
先程の明るい様子から一変して、真面目な様子で打ち明けたサクラの悩みを俺は家族として真摯に受け止めた。そうか、そういう事だったのか。
「……分かった。その提案、乗ってやるよ」
「……!!ハチマン!!」
「けど、ホテルから抜け出すのはこれで最後だからな。ライブ前はこれで勘弁してくれよ」
そう言うと、サクラはうんうんと頷いた。
「で、場所を聞いていなかったな。やはり、大事な話をすると言ったら、ツヴァイ大峡谷か?」
「ええ、そうよ。頼めるかしら?」
「分かった」
その後、俺はまず、心配しているだろうスフレさんに連絡をしたが、思いっきり怒られた。でしょうね。けど、サクラの悩みをスフレさんに話した所、リハーサルの午後六時までに帰って来れば大丈夫だと何とか許してくれた。
次に如月に連絡したのだが、どうやらエミールと町でデートの真っ最中だった。二人だけの時間に申し訳ないが、俺は如月に警護として招集した。いつか、あいつらには何か埋め合わせをしないとな。