八幡side
エミールがそう言うと、視線は一気に俺の方へ向けられた。これって俺が勝手に話しても良い事なのか?これはまだ多くの人には知られてはいけない情報だと思うんだが。
俺は助け船を求めるが如くクレアの方を見るが、クレアは威圧するかのように俺を睨み付けていた。話すなよってことですね、了解しました。だから、もう睨み付けないでくれ。
だが、そんなクレアの期待を裏切り、エミールの質問に答える人物が現れる。
「それはサベージのコアはヴァリアブルストーンの分子構造と同じ形状だからだよ」
「っ!?待ちなさい、シャーロット!この話はまだ一般学生の彼にはまだ………」
「こうなった以上、この話は遅かれ早かれ回避は出来ないだろう。彼らはもう当事者みたいなもんなんだ。それとも、子供には関係ないと、君の父や兄みたいな事を君も言うのかい?」
「それは……」
シャロにそう言われ、クレアは言いづらそうな表情を俺達に見せる。まさか、シャロが自分から話すとはな。俺も予想外の助け船でびっくりしたわ。
シャロの言葉にクレアが観念すると、シャロはそのまま如月達に話を続ける。
「さて、話を戻そう。サベージのコアがヴァリアブルストーンと同じ構造だというのは何を示すか。ヴァリアブルストーンの代わりにサベージのコアを使ってハンドレッドを作る事が可能だということだよ。実際、その技術はすでにワルスラーン社では確立されている」
そう、シャロの言う通りサベージのコアをヴァリアブルストーンと同じように加工する技術は確立されている。実際、材木座とリトルガーデンで初めて会った時にあいつはサベージのコアを加工していたからな。シャロの助手をしている以上、あいつは知っていて当然か。
「でも、どうして密猟者達はサベージのコアだけを持っていったんだ?サベージのコアについては分かったが、目的が分からないぞ?」
「そりゃ、ヴァリアブルストーンに代わるかもしれない資源だからな。ヴァリアブルストーンは国々での資源配分の調整を取り決めた協約があるが、サベージのコアに関してはまだ一部の関係者ぐらいしか注目すらされていないためその資源配分の協約はまだ整備されていない」
「ああ、それにサベージのコアはハンドレッドやヴァリアブルスーツを使う為の資源じゃない。サクラのライブにだってそれが使われているよ。そんな万能な資源をこの秘密を知った国や組織が何もしないわけが無いだろう?」
そう言って俺とシャロはレイティアの質問に答えると、如月達はあーと言ったような表情をした。
「けど、サベージのコアを生活に使うって…考えてみると、かなり気持ち悪いな……」
レイティアはそう言いながら、複雑そうな顔をしているが、彼女の気持ちが分からないわけではない。だが、サベージのコアは確実に人間の生活の向上に必要なものだ。人類史でも、生活の向上のために他の生き物を素材にした例は幾らでもある。ただ、それとこれは同じ事だと説明しても簡単に気持ちは変わらないだろう。
「レイティア、安心しろ。別に今からそれを利用するわけじゃない。生活に普及するのはまだこれからだ。それに、俺達のハンドレッドやヴァリアブルスーツにはサベージのコアは含まれてないからな」
そう言って俺がレイティアに説明すると、レイティアは安堵の息を吐いた。こうやって説明しないと、ハンドレッドやヴァリアブルスーツが着れなくなって困るからな。
その後も報告会は続いた。結果だけ話すと、まず如月はサクラのボディガードを外れることになった。まぁ、俺はまだ自分や他人を守るほどのセンスエナジーが残っていたのと個人的な気持ちで任を外されなかったが、如月は戦闘経験が浅いのが原因なのか、センスエナジーの消耗が俺よりも酷かった。こればかりは仕方がないと思う。
フリッツとレイティアは今回の戦闘と学内成績を鑑みた結果、セレクションズの一員になることが決定した。どうやら、俺の助言を聞き入れた上でクレアも最初から彼らに目をつけて近い内にセレクションズに入れる予定だったそうだ。ヴァリアントの如月とエミールが居なかったら、二人は成績一位、二位だからな。
それにより、フリッツとレイティアの専用のハンドレッドは今回の戦闘前から製造が始まっていたらしく、近い内に完成するそうだ。これにはフリッツとレイティアも子供のように喜んでいた。
ただ、その裏でエミールはがっかりしていた。理由は緊急時とはいえ、実践経験が浅いフリッツとレイティアを戦闘に巻き込んでしまい、クレアから罰として減給を食らったからだ。
ただ、今回はエミールが二人を連れてきたお陰で、戦闘も楽になった所は俺としてはあったと思う。後でクレアにバレないようにエミールに減給された分の額を渡しておくか。