八幡side
自分のハンドレッドを取りにシャロのラボに向かうと、そこには雪ノ下の姉である、陽乃さんがそこにいた。彼女は俺の姿を見て驚いていたが、驚きを隠せないのはこっちもだ。
「おや、二人とも知り合いなのかい?」
俺と陽乃さんの関係を知らないシャロが俺達に訊ねた。
「まぁ……そんな感じです。それより俺のハンドレッドの調整が終わったなら返してください」
「おお、そうだったね。メイメイ!」
「はいです!こちらが調整が終わったハチマン様のハンドレッドでございます」
シャロに呼ばれると、メイメイが奥から銃の形をした俺のハンドレッドを持って来た。
「ありがとな。それじゃあ失礼します」
そう言って俺はメイメイからハンドレッドを貰って、要件を済ませたからラボを出ようとすると………
「待って!比企谷君!」
陽乃さんが大きな声で俺を引き留める。
「比企谷君って……武芸者だったの?それに君は総武に通っていた筈でしょ。どうしてこんな所に?」
陽乃さんがラボのドアの前に立ち、俺の視界に入ってくる。その表情は俺が普段見ている仮面を被った表情ではなく、心から俺を心配するような表情だった。
「……陽乃さんには関係ないです。そこを退いてください」
今更、そんな表情をされても困る。何故なら文化祭の件に関しては根本的な問題として彼女が介入しなければ、文化祭で俺があんな事をしなくても良かったのではないかと思っている。俺はそう思いながら強引にでも出ようとする。
「ハチマン、少し待ちなよ」
だが、今度はシャロが俺を引き留める。メイメイはシャロの様子を見て少々困惑している様子だった。
「今の君の話し方と総武高校の話が有ったことからハチマンとハルノとの関係は良くないものだと推測されるよ。君が話したくないのも良く分かる。だけど、彼女が真剣な表情でハチマンの事を聞いているんだ。仮にも親として僕は君に真剣な人を無視するような教育を施した筈はないんだが?」
俺はシャロの考えを聞いて、俺はしばらくの間その場に立ち止まっていた。その間も陽乃さんは俺を心配そうに見続けていた。
「………分かりました。質問に答えますよ。少し長くなるかも知れませんが、良いですか?」
「……うん、何時間でも話して良いよ」
俺はシャロの立ち会いの下でラボの椅子を貸してもらい、陽乃さんに文化祭、修学旅行、そこからどうして俺がリトルガーデンに来たのかを話した。
…………………………
…………………………………………
…………………………………………………
「そっか……私が居なくなった後の文化祭でそんな事があったんだ。確かに君がさっきのような態度を取るのは良く分かるよ。元はと言えば私が文実であんな事を言わなかったらこんな事にはなってなかったからね。……本当にごめんね」
そう言って陽乃さんは俺に頭を下げる。
「別に良いですよ。理解してくれて謝ってくれただけで全然マシです。ところで、陽乃さんはどうしてリトルガーデンに居るんですか?大学部はリトルガーデンにはない筈ですが」
「それはワルスラーン社が彼女をスカウトしたからさ。彼女の才能とリトルガーデンに出資した雪ノ下建設の長女としてね」
「今はシャロの元で、事務関係の手伝いをしながらとリトルガーデンの解析官として働いているの」
成る程、そういうことだったのか。それにしても雪ノ下建設がリトルガーデンに出資していたのは初耳だったな。
「それにしても驚いちゃったよ。まさか比企谷君が武芸者、かの有名な『影の働き手』だったとはね。しかもシャロの家族だとは」
「血縁関係はないですけどね。本当の家族は俺を捨てて行ったんです。噂では家族全員総武にまだ住んでいると聞いていますが」
そう言えば、一度も会ったことがないな。まぁ、俺はわさわざ一時間かけて遠くから来ているから会うとしたら総武高校周辺ぐらいか。
「それじゃあ、あれから時間もかなり経っているので、俺は帰りますね」
俺は時計を見て椅子から立ち上がる。見ると、あれから一時間近く話していたようだ。
「そうか、もうそんな時間か。じゃあ、またリトルガーデンの何処かで会おうね」
「はい。そうだ、あと数日後に俺がリトルガーデンに居る事がバレてしまうんですが、くれぐれもその時まで自身から雪ノ下や由比ヶ浜とかには俺がリトルガーデンに居ることは話さないでください」
「当たり前じゃない。それじゃあね」
陽乃さんの言葉を聞いて俺はシャロのラボを後にする。あの人の事だから俺との約束はしっかり守るだろう。リトルガーデンの何処かで会おうとは言っていたが、解析官だからもしかしたらいつかサベージ討伐で一緒になるかもしれないな。