PSO2勝手にハロウィン外伝   作:通りすがりの語り部


原作:pso2
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勝手に妄想して書きました。

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PSO2勝手にハロウィン外伝

『幻想種反応が徐々に弱まってきているようですね』

 

おそらくですが、このまま加速度的に反応は低下していき、そのまま彼女は消滅すると思われます。少し、寂しくなりますね。

 

色んな数値が表示された半透明のモニターを指先で素早く動かしながら、彼女は少しずつ声量を落としながら呟いた。

 

 

わたしはシエラちゃんからその話を聞いて、気づけば彼女の元へと足を運んでいた。

 

(会わないってきめてたのになぁ)

 

見慣れた無機質な通路を通ってキャンプシップへつながるゲートへと向かう。

 

『消える』という言葉に、あの時の自分と重ねたから。だから、どうしても居てもたっても居られなかった。

 

「ありがとうも言えなかった」

 

さよならだって、言えなかった。あの時みたいに悔しくて、悲しくて……それでも

 

「立ち止まらないって決めたから」

 

だからきっと、わたしにはこのまま何もしないで、会わないまま後悔するなんてこと絶対に選べないんだろう。

 

 

 

 

「Trick or Treat、こんばんわ、わたし」

 

少しきょとんとした顔が見える。全く同じ顔なのに、少し弱気なそのわたし。

 

こんな所に居たんだ……

 

キラキラと照らされる採掘場跡地。ハロウィン最後の30分。彼女は会場が見渡せる高台で足をぷらぷらとさせ、腰かけていた。

 

「こんばんわ、わたし」

 

あの人の為なら消えるのなんて、怖くない。わたしもそう思ってた。でも、そうじゃなかった。

 

「なんて言おう……」

 

声をかけてから気づく。そっか、会いに来たはいいけど、何を言えばいんだろう?消えないでって言うのも違うし、それはきっと彼女が望むことじゃない。

 

ふと、隣からくすくすと笑い声が聞こえた。

 

「……そっか、やっぱりそうなんだね?」

 

そして、彼女は少しまゆを下げてわたしへと笑いながら問いかける。

 

『……そっか、やっぱり気づいてたんだ』

 

 

自分が消えちゃうってこと。

 

 

「そうだね、わたし」

 

 

幻想種……それは人の夢、妄想、恐怖が形をなした存在。でも、エーテルとフォトンが似たような存在であるならば、彼女とわたしはどう違うのだろう?消える必要なんてことも本当はないのじゃないのだろうか?

 

「……怖くないの?」

 

「怖いよ、すごく怖い」

 

彼女は立ち上がって満天の星空を見上げる。

 

「でも、まぁ仕方がないのかなぁ~って」

 

「っ!そんな簡単に!」

 

消えたくないなら、そう願ってよ!……そう叫ぼうとしたわたしの口を彼女がそっと抑える。

 

「見て?すごく綺麗……」

 

わたしの口を押さえた手を離し、両手を広げくるりと廻る彼女。瞬く様な光が昇ってそっと夜空に溶けていく。

 

綺麗……、気づけば周囲の景色も目に入っていなかった。これじゃあ、またあの人に怒られちゃうな。

 

「ねぇ、わたしハロウィンってなんだとおもう?」

 

彼女が首を右肩へと傾げながら問いかける。地球のことに詳しくないわたしはハロウィンお祭りの様なものという認識でしかない。

 

「ハロウィンってさ、死んじゃった家族が会いに来る日なんだって」

 

もう会えない人に会える日。

 

「それはきっと幻想、それはきっと夢」

 

 

『本当なら不可能だったことを許してくれる神様のご褒美』

 

 

「だからって消えていい理由には、ならないよ……」

 

「すこし、勘違いしてるよ、わたし」

 

わたしは、あの時消えちゃったかもしれない、わたし。

 

そして、皆がこうだったらいいなぁ~って思って、望んだわたし。

 

最後に貴女《わたし》が望んだわたし。

 

「全部が重なり合って生まれたのが、わたし。みんなの想いが偶然生んだ、この時この世界だけが見た奇跡《ゆめ》」

 

……夢って、悲しいことでも楽しいことでも、怖いことでも起きちゃえばほとんど忘れちゃうでしょ?だからわたしが消えるのは、当たり前、必然なんだ。

 

「でも、消えない夢だってあるよ。忘れない夢だってあるよ」

 

それはきっとより良い明日を望むこと。そういう夢は消えないし、消えちゃいけないんだ。

 

「わたしは貴女《わたし》の未来の可能性だから」

 

貴女だけずっと未来をカンニングしてるってズルいと思わない?それに、見えなくなって目の前から消えちゃっても、『誰かが願った』わたしがいるなら、記憶に残っているなら、きっとまた逢えるから。

 

「ねぇ、わたし。わたしはあの人にいっぱい思い出をもらったよ。ちょっと色々あったけど、いっぱいあの人と思い出作っちゃった」

 

ハロウィンの当日には少しだけ地球に行って、一緒にデートだってしたし、おしゃれなカフェに行って美味しいパイも食べたよ。

 

「優しく頭だって撫でてもらっちゃった」

 

「……ズルいよ、わたしだってまだなのに」

 

くすくすと笑う彼女。本当にズルい。わたしが文句言えないこと知ってるクセに。

 

「わたしからお願いしたんだ、色々とハロウィンの会場を準備してるときに、気づいちゃったからね。少しでも思い出は欲しいから……それに、ズルくなんてないよ?きっとわたしがあの人にお願いしても、あの人は笑って受けてくれるだろうし」

 

「わたしが、そんな勇気ないって知ってる癖にぃ」

 

いじけるのは子供みたいだって、知ってるけどやっぱり悔しい。

 

「もうちょっと勇気があればって、願って生まれたのがわたしだから。わたしはわたしより先に進んでる、ちょこっと賢いわたしなんだ」

 

ただ、少し嫌だったのがわたしを撫でてくれた時、困った顔してたことかな?あの人もやっぱり知ってたんだね、わたしが貴女じゃないこと。

 

彼女はそう呟いた。

 

「だからわたし言ったんだ。」

 

『あなたは、優しすぎるよ』

 

「あ……」

 

『そんな顔あなたには似合わないかな?』

 

『だからわたしから一つお願いがあるの』

 

『……そんな寂しい顔して、泣かないで、笑ってて』

 

神様がいるのなら、奇跡っていうなら、みんなが笑える世界になってもいいのに、いつも世界は優しくない。

 

『今度はさよならじゃないから……』

 

『またね?』

 

きらきらと輝いて、彼女は消えていった。


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