「なあ恵」
「なに、倫也くん」
んー、どうせならポットパイとかにしたいよね。時間はあるしビーフシチューにするのもいいかな?
牛肉はブロックを買うとしても量はそんなにはいらないよねー、手ごろなパック売りしてるかな?
「それはそうとビーフシチュー食べられる?」
「食べれるけどそうじゃなくてだな」
「じゃあ夕飯はそれで決まりだね。冷蔵庫にじゃがいもは入ってたからあとは玉ねぎと人参に、マッシュルームでいいかな。チキンとかケーキはお店回れば買えるしいいよね」
「だからそうじゃなくてだな!」
「えー。ビーフシチュー他何かいれるの? それとも総菜コーナーでチキン買う?」
「だからどうしてそっちに行くんだよ! 朝からうちにきたと思えばスーパーにしょっぴかれて夕飯の買い出しって意味わかんねーよ」
「まあだいたいの流れは今倫也くんが言ってくれたよね、朝って言っても11時くらいだったから言うほどはやくもないけど。それに今日はちょうどクリスマスだしさ」
「俺はてっきり英梨々のところ行くと思ってたよ。あいつ、毎年パーティみたいなのやってるし」
「うん、一応聞いてみたんだけどお父さんの仕事関係のパーティでなきゃいけないとかで無理だったよ。霞ヶ丘先輩は出版社の忘年会的な集まりがあるとかだって」
まあ2人とも予定入ってるなら仕方ないよね。それにくらべたら家で暇してる倫也くんは予定つけやすいよね。
実際朝連絡したら暇してるし予定入ることもないって言ってたし。相変わらずご両親は不在だったけどさ。なんだっけ、夫婦みずいらずでおでかけとか言ってたかな?
「うちに来る前に家族の方はいいのかよ」
「うん、そこまできっちりイベントこなす家じゃないからね。それはそうと夕飯はポットパイとチキンじゃたりないよね、他何食べようか」
ペンネのソース和えとかやってみようかな? なんのソースにしようかな……ミート? チーズ? それとも両方にしてみようかな?
ひとまず乾麺コーナーに移動してペンネ捜索……ん、いい感じの量のがあった。
まあ、あとでチキン買いによるしそこでも何か見るだろうからこのくらいでいいかな。
ひとまずレジで精算を済ませてから考えよう。
あ、なんだかんだ言いながら半分は出してくれるんだ。
「あり合わせで作ったけだけど別にいいよね」
「ああ。というかうちのキッチン完全に使いこなしてるよな」
「借りてる以上は当然だよ」
スーパで買い出しをして、KF……K〇Cで手ごろな価格帯のものを買ってから近くのケーキ屋さんでピース売りタイプのケーキを見繕って倫也くんの家に戻ればちょうどお昼時。かった材料を冷蔵庫とかに入れて、冷蔵庫にあったものとかを使って簡単なお昼を作ったり。
ここまでしておいて言うのもあれなんだけど、まだお昼なんだよねー。ビーフシチュー仕込むにしても早すぎるし、何しようかな。
倫也くんはオムライスもどきを食べながらテレビ見てるけどさ。あ、ライン。
『加藤ちゃん! まさかまさかとは思うけど、倫と一緒にいるとか言わないよね』
『そういう氷堂さんは何してるの?』
『学校で補修受けてる……じゃなくて! やっぱりトモと一緒なんだぁぁッ、そういうところだよ加藤ちゃん!』
『そういうところといわれましても』
『あの2人は2人でいろいろあるけどさぁぁ』
スマホの向こう側で氷堂さんが100面相をしてるのが伝わってくるような、伝わらないような。
『え、なに? 今日に限って2人しかいないってことはまさかやっちゃったりしないよねッ!?』
『しないから』
『えー、トモのベッドですやすや寝ちゃう加藤ちゃんでしょー』
『そこは関係ないんじゃないかな』
倫也くんがベッド使っていいっていうからベッドで寝てる訳であって、別に倫也くんのベッドだからすやすや寝てるわけなじゃいからね。まったく氷堂さんはなにを言ってるのかなー。
その後もやりとりはあったけど、補講の続きがーとか言ってやり取り終了。そのころにはお昼も食べ終わってたからちょうどよかったけど。
「それでさ恵、あれこれ買い込んだのはいいにしても他なにかするのか?」
「あー、そこまでは考えてなかったかな。とりあえずここ来てクリスマス用品買うくらいしか考えてなかったかも」
「お前な……いきあたりばったりにもほどがあるだろ」
「それが専売特許の倫也くんにいわれるとなんだかなー、だよね」
「痛いところをさらっと言うなよ! じゃあゲームでもやるか?」
「そうだね、それにしよう」
「その投げやりな感じどうなんだよ……」
*** *** ***
「こうして改めて見ても手際いいよな」
「そうやって作ってる所まじまじ見られるのってなんかやりづらいよね」
うん、ゲームはやったよ。夕飯の支度もあるからギャルゲーをしようとする倫也くんを静止させて違うゲーム。まあそれも倫也くんのうんちくとか豆知識みたいなのを聞かされながらだったから、いつも通りといえばいつも通りなんだけど。
今はキッチンに降りてきて夕飯の支度中。牛肉は一口大、人参は乱切りでじゃがいもは一口大、玉ねぎは薄切り、マッシュルームも同じく薄切りとそのままの2種類を用意。あとはこれを鍋に入れて煮立てて灰汁とか取りつつ、火が通ったら市販のルーを入れてひと煮立ち。
「ん」
「……うまいな」
味調整は特にいらないみたいだから材料の様子をみながらじっくりと煮込んでいく。その間に空いてるコンロに鍋をセットしてお湯を沸かす。うん、ペンネのソース和え作る前にペンネ湯がかないとね。
ペンネ湯がいてる間にソース作り。とはいってもクリームチーズに何種類かチーズを混ぜて作るものと、それに合わせるデミソースだけだからそう手間でもないよね。
「あんだけ女子がいて女子力とか縁があるのって恵くらいだよな。英梨々は当然というか詩羽先輩もからっきしだろうし。美智留は論外だし」
「どこまでのくくりで言ってるのかわかんないけど、出海ちゃんはあるんじゃないかな」
「あー、出海ちゃんか」
「だとしても料理だけで女子力判定するあたりがさすが倫也くんだよねー」
「恵、さらっと俺の事バカにしただろ」
「さあ、どうだろうねー」
なんだかんだ言ってくる倫也くんをスルーしつつ、ソースを仕上げたころには茹で上がってたペンネをザルにあげて湯を切ってお皿に盛ったところに作ったデミソースとチーズソーズをかけて一品完成。
煮込み中のビーフシチューの牛肉の具合をチェック……うんいい感じ。火を止めて食器棚から耐熱皿を用意してよそう。そこに買っておいたパイシートをかぶせてオーブンで焼いていく。K〇Cでかったチキンとかはこれが焼きあがった後にオーブンで加熱しちゃえばいいや。
カウンター越しに目で追ってくる倫也くんの目を無視しつつ、焼きあがったポットパイを取り出してチキンとかを入れて焼く。焼くとはいっても加熱だけどね。
うん、倫也くんには配膳頼んでるよ? なんか暇そうだし。
「まあ、クリスマスにしては地味目なご飯だけどこのくらいがちょうどいいよね」
「だな。今頃英梨々たちは立食だのフルコースだの豪勢にやってるだろうけど」
「あんなんでも一応はお嬢様だもんね、英梨々」
「恵、一応聞くが英梨々とは親友だったよな? あんなんとか言わなかったか?」
「えー、気のせいだよ」
さくさくとパイを崩しながらビーフシチューを食べる。うん、いい感じ。倫也くんの方にちょっと目を向ければいい塩梅の味付けで仕上がってるみたい。うんうん。
ペンネの方はどうかな……うん、こっちもいい感じだね。
「うまいな、これ。ていうか恵、こんな洒落たの作るんだな」
「このくらいありふれてるんじゃないかな、この時期だと特に珍しくないし」
「そうか? 俺見ないぞこんなの……」
「そこはほら、あれだよ。活動範囲の不一致というか、なんというか」
「ヲタクの行動範囲に合致してなかったということだな!」
この開き直り方は面倒だからかほってくとして。
さすがというか、やっぱ専門店なだけあっておいしいよねーK〇C。骨なしチキンにナゲット、ポテトにビスケットのセットで買ったけどだいたいがあたりだよね。
やっぱ男の子だねー、チキンの食べ方。こういうところで地味に男の子見せてくるよね、倫也くん。
「どうかしたか恵? 冷めるぞ?」
「うん」
「なあ、恵」
「んー、なに?」
「もうこの光景に疑問すらいだかなくなったんだけどさ、ちょっと無防備すぎない!?」
「あーうん、そうだねー」
「だからその投げやりなところをだな」
「はいはい、ケーキだよ」
綺麗に完食したお皿たちを洗っているうちに倫也くんには湯はりを頼んで、そのあとはのんびりテレビを見ながら他愛もない、いつもの感じで過ごしてた。
その間にひっきりなしに届く英梨々や霞ヶ丘先輩のラインをさばいてたりはしてたけども。あと霞ヶ丘先輩、英梨々の描いてる本みたいな事やるんでしょ的なこといわれてもやってないしやらないですからね。
いったい私をなんだと思ってるのかなー。
それはさておき、沸いたお風呂を止めに行って先に頂いた。泊まるときとかはだいたい先に入ってるかな。
お風呂から出て倫也くんをお風呂に送り出してる間に2階の倫也くんの部屋とリビングを飲み物やケーキをもって数往復。その後は部屋にこもってテレビ見ながらぼんやりと。うん、この時間帯になってからスマホの通知音がひっきりなしなんだよね。
電波と一緒に怨念というかなんというか、そんな感じのものが飛んできてるきがするから送信者は何となくわかる。あとパニックを起こしてるような気配も感じるような……。
スマホがいじれないぶんテレビを見てるんだけど、特番ばっかりだねー。テレビ欄どこみても2,3時間のばっかり。
んー。
『あーはいはい、なんですか霞ヶ丘先輩』
『なんだとは随分ないいようね、加藤さん。それともあれかしら、今頃ベッドの上で倫理君の上にまたがって――』
『あー、そういうのいいですから』
ほんと、そっちに話もっていきたがるよね霞ヶ丘先輩。ついにしびれを切らして通話に切り替えてきたと思ったらこれだもの。
『それで、倫理君とはどこまでやったの? この時間まで家にいるってことはそれはもうあれこれやってるんでしょ。これがあれかしら正妻の余裕とかいう奴かしらそうなのかしらぁぁぁッ』
『ですから何もしてないですから。しいていうならクリスマス料理作って食べて今からケーキ食べようかなってところです』
『なにそれ、クリスマスなのに出版社の忘年会なんていう名ばかりの集まりにきている私への当てつけかしら加藤さん』
『あー、もうじゃあそれでいいです』
うん、とりあえず霞ヶ丘先輩がめんどくさい状態になってるのはわかったかな。
『え? あいさつ回り? そんなものさっき適当に済ませたばっかりじゃないですか。は? 町田さん、私は小説を書くのが仕事であってこんな場に出てきてあいさつ回りなんて、あちょっと!』
『あー、ごめんね? しーちゃんったら大好きなTAKI君とクリスマスを過ごせなくってヤンデレ全開になってるだけだから。ま、そういうことでこのまましーちゃん連れて行くわねー』
『はい、お気になさらず』
途中から担当さんにスマホを奪われたっぽい霞ヶ丘先輩の声がしてその町田さんにかわった途端さらわれていった。まあの状態になった長いからね、霞ヶ丘先輩。
「下にいないとおもったらこっちにいたのか。ケーキ、先に食っててもよかったのに」
「それはそれでまた面倒になりそうだからねー」
「恵、俺の事面倒の塊的に思ってないか?」
「そこまでは思ってないよ」
「そこまでってことはそこそこには思ってんじゃん!」
「あー、はいはい。とりあえずケーキ食べようよ」
あ、そういえば英梨々からは電話かかってこなかったよね。まあいいけど。
保冷剤のはいった箱からケーキをお皿に取り分けて飲み物もコップに注ぐ。流れでここまでやってるけどさー、女の子のパジャマ姿見てなんの感想もなしってどういうことなのかなー。かといって過剰に反応されても困るんだけど。
まあ、倫也くんだししかたないよね。
「このケーキうまいな」
「一応おすすめ聞いて買ったからね」
倫也くんはミルクレープ、わたしは生チョコケーキ。舌触りもチョコの甘さもいい感じ。
「ミルクレープ買えばよかったかな」
「食うか?」
「……そういうとこだよねー」
「人がせっかくだな」
「くれるったいうならもらうけど」
わたしの方に少し差し出されたお皿からミルクレープを一口。うん、チョコのパリパリ感も生地に歯を通した時の触感も楽しい。
「あ、倫也くんもわたしの食べていいよ」
「え、あ、お、おう」
そこでなんでどもるかな。
きょどりながらフォークでチョコケーキを取って食べる倫也くん……、あのね? そこまで反応されるとさすがのわたしも無反応はしづらいというか、ね?
「その反応はさ、女の子のパジャマ姿見た時とかにする反応じゃないかな」
「それとこれとはいろいろと別物だろッ」
「そのへんな線引きはなんだかなーだよ、倫也くん」
「……」
「……」
「……」
「なあ恵」
「なにかな倫也くん」
「近くないか?」
「そうかなー」
ノートパソコンを開いてなにやら打ち込んでる倫也くん。その倫也くんの隣に座ってスマホをいじってる私。
うん、いまごろになって英梨々からの猛攻が着てるから返信してる。あれでもお嬢様だからね、パーティがさっき終わったとかで。
『め、めめめ、めぐみッ、あ、ああんたと、倫也とッッッ』
『霞ヶ丘先輩もそうだけど、英梨々も大概だよね。皆してさ、私をなんだと思ってるのかな?』
『クリスマスなんていかにもなイベントルートに入っておいて何言ってるのよ! ヲタク拗らせてる倫也に合わせておうちデートとかやっちゃって2人の時間とか過ごしちゃってるんでしょ! それでもってクリスマス料理やらケーキとか食べていい雰囲気になってそのまま~ッ』
『ああ、うん。拗らせてるのは英梨々の方だと思うよ。路線がいつもと違うだけで平常運転にも思えるけど』
『そのあきらかな正妻的余裕、なんか腹立つわね』
『はいはい、そうだねー』
『……実際どうなのよ、この時間までいるってことは泊るんでしょ』
『うん』
『……今日、クリスマスよね』
『そうだねー、英梨々はサンタとか信じてる?』
『サンタコスしたパパがゲーム置いてったの見て以来信じてな……そうじゃなくて! …………………………………………………するの?』
―――『それ、仮に肯定とかしちゃったりしたら英梨々はどうするの?』
『まさか。倫也くんだよ?』
『だ、だよね! と、倫也だもね!』
その安堵の仕方はどっちの意味でなのかな?
その後はなんやかんや、英梨々が敗走兵のようにやり取りから消えるまで続いた。隣では倫也くんがこっちをちらちら気にしながら字を打ち込んでた。
倫也くんには寄り掛からないただ近い距離で座ってる今、このまま寄り掛かってしまえばどうなるんだろう?
さっきみたいに挙動不審になっちゃうかな? それともおかしなテンションでいつもみたいな持論展開かな?
それとも……ッ。
「恵? 百面相してるけどどうした?」
「なんでもない」
「いや、なんでもないって顔じゃないだろ」
「そういう倫也くんはその打ち込んでる文がいつになったら4行目に行くのかな?」
「展開に悩んで筆が止まってる時にかける言葉じゃないだろそれ! ていうか恵、ここはメインヒロインらしくだな」
「あーはいはい。いつものあれだよね」
「いつものあれで済ませるなよ!」
結局、そのあと進んだのは3行で今日はそこで終了。テレビも時間帯的になにもないし、そろそろ寝ようかってなったころ、
「あ、そうだ。とりあえず、はい」
「なんだ、これ?」
「一応クリスマスだからね」
「風情もへったくれもない渡し方だな。まあ、恵らしいけど」
寝ちゃう前に用意しておいたものを倫也くんに渡す。まあ、倫也くんは準備とかしてないだろうから――
「ほい、これ」
「……?」
「いや、そんな意味不明な物を見る目でみるなよ」
「だって倫也くんだよ?」
「俺がいかように思われてるかなんとなくわかったよ」
これは、意外。まさか倫也くんがプレゼントなんて用意してるとは思わなかった。にしてもいつ用意したんだろ。
「あんま期待するなよ」
「そういう前振りしちゃうあたり、なんだかなーだよね」
「そういうの選ぶの初めてなんだからしょうがないだろ! たく、電気消すぞ」
うっすら赤くなった顔を隠すように部屋の電気を消した倫也くん。うん、いつものようにというか私がベッドで倫也くんが敷いた布団。
……。
あー、もう! みんながさんざん変なこと言うから妙に意識しちゃってるじゃん。もう、もうもうっ、これじゃ寝られないよ……。
「……霞ヶ丘先輩や英梨々がさ、しめしあわせたかのように同じようなことばっかり聞いてくるんだけど」
「あの2人、仲悪いようでめっちゃ良いからな。なにせ、天下の霞詩子と柏木エリだからな」
「その2人の事なら誰よりも知ってる感ははいはい信者乙ってやつだよね」
「そうやって改めて聞くとイラっとするな。それで? あの2人が一体何言ったんだよ、どうせろくでもないことなんだろ?」
「……倫也くん風にいえばR18指定」
「……あの2人、どうやってもそっちに流れるよな」
「だってあの2人だよ? まあそれはそうとさ」
「……倫也くんはさ、興味ないの?」
「……恵?」
「やっぱなんでもない、おやすみ」
「え、ちょ、恵!?」
「しーらない」
*** *** ***
「とーもーやー!」
「いらっしゃい、英梨々。今から朝ごはん作るからリビングで待ってて。なんなら倫也くん起こしてきてもいいよ」
「な、なな、なあぁぁぁぁぁッ、あんた、やったのやっちゃったの!?」
「英梨々、朝から近所迷惑だよ。それと英梨々が想像してるようなことはなにもしてないから」
「あら、彼氏の家に泊まってそのあげく身の回りの世話は完璧にこなしてますな正妻アピールからしら加藤さん。ほら、ヘタレな倫理君との熱い夜について詳しく話してもらうわよ」
「2人とも朝から元気ですね。それはそうと、正妻アピールはともかく彼氏彼女な関係なのは事実ですし仮に何があったとしてもそれはそれで問題なくないですか?」
「澤村さん、これが世間でいうところの彼氏がいる余裕をかましてる惚気女ってやつよ」
「恵、あんた、あんたってやつわぁぁぁぁッ」
「だからさ、近所迷惑だって2人とも」
うん、何もなかったよ。何も。
朝起きたのが倫也くんの布団だったとか、手をつないでた寝てたとかは別に言うことでもないし。
にしてもさ、倫也くん。プレゼントがかぶるって早々ないと思うよ?ブランドは違ってたけどさ、マフラー。
「なんだよ朝からいったい……」
「倫也! あんた恵に変なことしてないでしょうね!」
「おい英梨々、人をなんだと思ってるんだ」
「ヘタレでいくじのない甲斐無し。クリスマスなんておあつらえなイベントで加藤さんと一夜を共にしておきながら何もなかったんでしょそうなんでしょ! さあ、昨日の加藤さんの言動を包み隠さず全て話しなさい!」
「とりあえず朝ごはん作ってくるから後は任せるよ、倫也くん」
「え、待って! なんかすごい面倒なこと押し付けないでよ!」
「それはどういうことかしら倫理くん!?」
「と、ともやぁあんた昨日恵になんしたのよぉ」
朝からなんか賑やかだなぁ。
ひとまず2人の相手は倫也くんに任せて朝ごはん作ろう。
……ぽろっと言っちゃわないよね? 信じていいよね?
pixivにもあげたやつをこっちにもあげました