【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】   作:米ビーバー

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書いていいのは―――書かれていい奴だけだ!(R2)

いやまぁ今後四次創作とか多分書く機会全くないけども!



一応コレは奇人男氏の三次創作「パンツァークエストⅢ そしてみほエリへ」の
四次創作となっております。勝手に続き書いちゃいました!気になったからね!(
 ↓ 作品はこちら
https://syosetu.org/novel/179525/2.html


【 番外 みほエリは果てしなく素晴らしい・四次() 】

 

 

開会式の日。エリカが険しい瞳でずっと俺を見つめ続けていた。

戦車カフェに向かおうとするまほ隊長を止めて、別の場所へ向かう

 

―――あれだけ覚悟を決めて演じ切って、もう後戻りなどできない癖に、

 

   俺はまだ、みぽりんに憎しみをぶつけられるのを恐れている―――。

 

 取り返しのつかないことをしてしまった俺は、それでもみぽりんに敵意を向けられるのを怖がって、避けているんだ。

 

 度し難いなぁ俺よ―――許されたいと思うことすら分不相応だというのに―――

 

 

   『 ミヤマヨメナの花言葉 』

 

 

対サンダース戦。

フラッグ車を操るエリカが時間を稼いでいる間に稜線射撃で敵フラッグをみぽりんが仕留めた。

 

対アンツィオ戦。

マカロニ作戦をみぽりんが見切り、エリカがキルゾーンへの誘導を行い包囲殲滅。

 

対プラウダ戦。

ヘッツァーからカモさんチームに移ったエリカがそど子と怒鳴りあいながらも原作より長く逃げ回り続け、勝利を重ねた。

 

いよいよ明日は決勝戦。大洗女子と決戦を行う―――。

 ガタガタと震える身体が止まらない。眼を閉じて眠りにつくと夢の中でみぽりんやエリカが責め立てる声が響く。

 贖罪を求めているのだ。その声に安堵こそすれ、恐怖してしまってはいけないんだ。そうでなければいけないのに―――涙と嫌悪が止まらないんだ―――!!

 

どうしたらいいのかわからない。それでも、その苦悩こそが俺に与えられた贖罪の一部なんだ―――。

 

 

******

 

―――大洗

 

「―――う、そ……嘘だよね?エリカさん……そんなの嘘だよ……!!」

「アタシだって―――嘘だと思いたい。でもアイツが言ったの。全部、ぜんぶ自分のためだって―――!!」

 

吐き捨てるように叫ぶエリカの目にも、みほの目にも涙が浮かんでいた。

 

 『戦車道がどうしようもなく好きだから』

 

かつてあっけらかんとした顔でそう言っていた少女と―――

 

 『君たちに戻ってこられると迷惑なんだ』

 

せせら笑う様に告げる少女の声がシンクロする。だがそれはどう考えても噛み合わない癖に、噛み合わざるを得ない現実だった―――。

 

「―――なぁ、それ、何かがおかしくないか?」

 

二人の思考に一石を投じたのは、一人の少女の声だった。

挙手しているのは冷泉麻子。あんこうチーム操縦手の少女だ。

 

「―――アンタにアイツの何がわかるのよ」

「わからん。わからんが、今の論旨がおかしいのはわかる」

 

もぐもぐとオムライスをほおばり、咀嚼し、飲み込んで、一度一呼吸。

 

「―――お前らをスポイルしてた連中は全員排除されて、新人だらけになってるんだろう?そこでお山の大将やって何の意味があるんだ?西住まほの副官やってます。下は全員一年坊です。

 

 ―――それはどの程度の価値になり得るんだ?」

 

 エリカははっとして目を見開いた。麻子の言葉は続く―――

 

「実力主義で年功序列を無視してレギュラーを組んでいるんだろう?西住まほに気に入られているコネクションなぞ意味がないだろ。生き残ろうと思うのなら、お前やみほとチームを組んで事に当たる方が効率的だ。

 

 ―――そいつは何をしたいんだ?行動が支離滅裂でフラフラしている

 

  行動には理由があってそこから初めて行動が生まれるんだ。

  わたしにはそいつの「理由」というものが見えてこない」

 

それだけ告げると麻子は再びオムライスと格闘し始めた。

 エリカもみほも麻子の言ったことを反芻してみるが、エミが一体何を考えているのか、それが見えてこなかった。

 

「―――確かめなきゃ」

 

ぽつりと、みほが呟く。

 

「―――明日の試合で、勝って、確かめなきゃ。もう一度―――」

「―――そっか……そうね。問い詰めるにもまずは勝たなきゃ―――!」

 

意気込み気炎を上げる二人の様子を尻目に、麻子はオムライスを咀嚼しながら何か思案をしていた―――。

 

 

****

 

 

試合前の挨拶ではエミは整列の列にのみ並んでいて、代表者には現れなかった。代表としてやってきたまほに、みほが立ち会う。

 

「―――よくここまで来たな。みほ」

「……うん、負けないよ。エミさんに、勝って聞きたいことがあるから」

 

みほの宣言にまほは呆気にとられたような表情を見せ、次に微笑みを見せる。

 

「そう簡単には勝たせてやれんな―――私は次期家元の座を母と争うつもりでいるからな」

「――――えっ?」

 

まほの言葉にみほが聞き返すが、その時にはもう、まほは踵を返し自分の戦車へと向かっていた。

 

 

―――

 

 

「―――逸見、さん」

 

 カモさんチームのそど子と結局反りが合わず、ルノーからヘッツァーに移動になったエリカが機体の調子を確かめていると、背後から声を掛けられた。

声に振り向くと、そこに麻子が立っていた。

 

「どうしたの?Ⅳ号の方に行かないとみほが困るわよ?」

 

エリカの言葉にも無反応で、神妙な顔つきをしている麻子に、エリカも雰囲気を感じ取ったか真面目な表情を見せる。

 

「―――やはり、言っておくことにした。最初はみほにも伝えようと思ったが、みほの場合この後の試合に差し支える可能性がある。その点。逸見さんならヘッツァーだから作戦内容的にあまり問題にはならない」

「どういう理屈かは置いておくとして……何が言いたいの?」

 

エリカの問いに一呼吸して、麻子は口を開く。

 

「―――天翔エミとやらの行動で、思いつくものが一つだけあった。

 

  ―――泣いた赤鬼という昔話だ。 

 

 人間と仲良くなりたいが怖がられてしまう赤鬼のために、赤鬼の親友の青鬼は人間を襲い、人間を守ろうとする赤鬼に倒されどこかへ逃げてしまう。その行動が認められ、赤鬼は人間と仲良くなれました、めでたしめでたし―――だ」

 

「―――なによ、それ―――」

 

「この場合天翔エミの行動は青鬼に値する。青鬼は自分が悪役になることで赤鬼の―――みほとお前、二人と大洗の結びつきをより強め、倒された後、黒森峰内部での重要なポストに無理に入れられても贔屓目とは取られないであろう実績になることができる」

 

麻子は最後に「推測だけどな」と添えて締めくくった。

 

「―――かにしてくれるじゃないの……」

 

俯いて震えていたエリカがぼそりと呟く

 

「―――馬鹿にしてくれるじゃないの!!なに!?私はそこまでしなきゃ周囲を黙らせられない未熟者に見えるのか!!

 

 ―――いつまで保護者みたいに私たちを守ってるつもりだッッ!!あのバカは!!」

 

怒りに地面を何度も踏み鳴らし地団太にも似た動きを始めたエリカを尻目に、麻子はⅣ号戦車の方に戻っていく。

 

 

麻子は去り際に、エリカには聞こえない声で―――ぽつりとつぶやいた。

 

 

 

 

「―――泣いた赤鬼の青鬼は、最後は自分が消えることで赤鬼の幸せを願った

 

 ―――天翔エミは、どこまで青鬼の立場を全うする気でいるのかな……?」

 

 

 

その呟きは誰にも聞こえることなく消え失せて―――

 

 

 

      ―――そして、戦車道大会決勝戦は始まりを告げた―――!!

 




赤鬼は泣きました。泣いて泣いて泣き尽くしました。

青鬼は今もこの空のどこかにいるのでしょうか?赤鬼は空を見上げて青鬼を想います。


赤鬼は幸せです。 たくさんの人間と仲良くなれて幸せです。



だけど不意に―――寂しくなります。隣にいた青鬼がいなくて、寂しくなります。

青鬼の代わりは誰にもできません。だから赤鬼は、いつでもちょっとだけ寂しいのです―――。
 

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