【 三次創作 装填騎兵エミカス ダージリン・ファイルズ 】   作:米ビーバー

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~ 装填騎兵エミカスRS ~

己の血潮で濡れた肩。地獄の部隊と人の言う

大洗の街に、戦車道百合厨ガルおじの亡霊がよみがえる。

熊本の平野 有明の海に 無双と謳われた天翔エミ!

(セルフピロシキに)情け無用、(己の)命無用の装填騎兵!

この命、ただみほエリのためだけに―――

『レッドショルダー』 エミカス、(心停止の)危険に向かうが本能か?



【 装填騎兵エミカス IF:小梅ルート② 】

「ナニコレ」「ぼろぼろ~」「ありえなぁい……」

 

一年生が口々に呟く中、赤星さんが目の前の戦車に歩み寄る。錆だらけの車体を眺め、転輪の破損がないかを確認し、最後に放置されたままの履帯を見る。

 

「装甲も転輪も問題ありません。多少さび落としとグリスアップが必要ですけど―――行けます」

 

赤星さんの声に「わぁ」と声が上がる。

そんな様子を傍らに立って眺めながら俺はこう思っていた。

 

 

―――このあと徐々にズームアウトしてってOPだな―――と(第一話感)

 

 

 

 

  『#2 戦車、乗ります!乗ってみせます!』

 

 

 

 

 

「こんなボロボロで何とかなんの?」 「た、多分ですけど…」

「男と戦車は新しいものがいいと思うよ?」

 

「―――じゃあみんなで戦車探そっか?」

 

―――そういうことになった(夢枕獏感)

 

 

 

**********

 

 

 

「エミりん、ぐんぐん進んでるけどどこに戦車があるかわかるのー?」

 

 とりあえずTASる事に決めた俺についてくるだけだった武部殿が声を上げる。

とはいえ、説明するとなると難しい―――「どこにあるか知ってるんで」とは言いづらい。何で知ってるの?って話になる。

やや考えてから―――俺はとりあえず額に手を当てて軽く俯くようなポーズをとる

 

 

「―――こっちに何かがある。そう囁くんだ、私のゴーストが」

 

 

―――何故かかわいそうなものを見る目で見られた。げせぬ―――。

 

 

―――ところでさっきからチラチラこっち見てる秋山殿スルーなの?赤星さん気づいてるよね?絶対気づいてるよね!?

 

 

 

******

 

 

 

 斜面に引っかかるように転がってる38tを発見すると同時に――――

 

「38tキタァーーーーーーーー!!!」

 

樹の影でこっちをうかがってた秋山殿が暴走。アグレッシブビーストモード(フェチズム全開)で38tに取りつき頬ずりを始める。

 

「うぇへへへへ……――――――はっ!?」

 

完全にガンギマリの目をしていたような気もしたが……目をそらす武部殿と逆に興味津々な華さんと―――それに、

 

「えぇと―――顔、油と錆と泥塗れですよ?動かないで」

 

ポケットからハンカチを取り出して秋山殿の顔を拭う赤星さん。顔を真っ赤にして「すみません」とされるがままの秋山殿―――ナニコレ尊い。こうゆか?赤ゆか?クォレハ新しいカプの発生では―――?

 

「え、えぇと―――普通2科二年、秋山優花里と言います。……ふ、不束者ですが!よろしくお願い致します!」

 

少しタイミングが前後したが秋山殿がパーティーに加わり、あんこうチーム(仮)は3名となった―――。

 

「五十鈴華です」「武部沙織」

「―――あ、私は」

 

「存じ上げております。赤星小梅殿に―――

 

  ―――天翔エミ殿ですよね!」

 

 

 

―――何故だろうか?秋山殿に声をかけられた瞬間、心臓の鼓動が跳ね上がった感じがした―――。

 

 

 

 とりあえず、38t発見報告を生徒会に報告して、一度帰還することに―――

この間にも他のメンバーはそれぞれの車輛を発見してることだろう。

 

 

 赤星さんの事故の一件を考えると、八九式があった場所―――クリフハンガーも真っ青な切り立った崖の真ん中にある裂け目の中に戦車があったとか沼に水没したままの三突とか闇が深すぎる予想しかできないんだが―――一体大洗の戦車道が廃れた理由に何があったというのだろう―――?

 

 

 

いや、追及する必要はないだろうからきっと知ることはないだろうけど。

 

 

 

********

 

 

 

 全員で戦車を洗車する―――座布団一枚!(会長)

泥だの油だの錆だのでドロッドロの外装を塗装ごと剥がし、車内の水抜きと消臭。

結構な作業になるので全員肩で息をするレベルでクタクタになっている―――ただし俺と赤星さんを除く(素)

 黒森峰で積み重ねた戦車道の経験ってのは大幅な体力差になるし、俺に至っては試合終了までコンスタントにペースを落とさずに装填できる体力の鬼である。この程度、ウォーミングアップもいいところで、他の戦車の掃除の手伝いも一緒にやっていくくらいの勢いで―――実際一年生とかもう何て言うか『なっちゃいねぇな』というレベルだったので手伝いを強行した。

 

 ―――なお水着で掃除する柚子ちゃんとか全身濡れネズミの一年生ズとか武部殿とか華さんとか正直至近距離で見てはダメだろこれという感じで―――

 

 

―――その日俺は仮ピロシキとして左手の中指から小指までの亜脱臼を敢行した。

明日蝶野さんがやってきて試合だから本ピロシキは明日以降だ―――(決意)

 

 

 

******

 

 

 

―――翌朝、低血圧でフラフラしている冷泉麻子さんを発見。性質的にはみぽりんと似通った天使モードな赤星さんが放置しておくなどできなかったし、これは不可抗力。不可抗力だから(自己弁護)―――

 

―――Ⅱ号戦車に乗せて運んだ。スマートだろ?(台無し感)

 

「酸素が薄い」と文句を言われたが、最終的には「この借りは必ず返す」とあいさつをして別れる。

 

―――なおまこりんは戦車に乗って来る許可を持ってないからと厳重注意と「次からは規則違反と見做すから」という通達をそど子から受けていた。

 

~~~~~

 

「―――教官もー遅ぉぃ……焦らすなんて大人のテクニックだよねぇ」

 

―――さおりんの絶望まで、あと30秒。

 

 

 

******

 

 

 

Ⅳ号戦車Aチームに配属され、蝶野教官に急かされてⅣ号に乗り込む。

原作と違い、5人チームになっているので、俺が装填手。砲手に秋山殿。通信手に赤星さん。車長が武部殿、操縦手は華さんで疑似あんこうチームが完成。

 

ハッチを閉じて数秒―――

 

「―――はぁ、はぁ、はぁ―――は―――は―――、は、―――ぁ……」

 

赤星さんの呼吸がおかしくなったことに周囲が気づく。顔は青ざめ、呼吸は整わないまま荒い息使いでヒュウヒュウと喉を鳴らしている。

 

「コウメちゃん!?大丈夫なの!?」

「赤星殿!?大丈夫ですか赤星殿!!」

 

赤星さんを心配そうに見るさおゆかコンビを一顧だにせず、赤星さんが俺に視線を向ける。縋るようなその目に―――

 

―――手を取り、ぎゅっと掴んだ。

 

“大丈夫、ここにいるよ”という意思を込めて目と目を合わせる。ゆっくりと、徐々にだが呼吸が落ち着いていく―――。

 

 

「―――ごめんなさい。もう、大丈夫です」

 

呼吸が落ち着いて喋る余裕ができたのか、そう言って手を放す赤星さんに、自然と笑顔が浮かんだ。

 

 

―――赤星さんの経過が良好ならば、それだけ黒森峰に戻れる可能性が高まるし―――高校生大会に出ればみほエリの現状を目視で確認が可能になる。

 

 

―――赤星さんの回復からスタートした模擬戦は、横部分のハッチを解放させた状態で走ることで状況を緩和させ―――

 

 

 

―――まぁあとは変わらない。原作通り華さんが気絶し、まこりんが参戦。操縦手に収まった。

 

 

―――Ⅳ号大勝利の直後、みぽりんに抱き着く秋山殿が抱き着いてくる相手が、何故か俺だった。

 

 

 

     ―――よし、人差し指もピロシキに加えよう(決定)

 

 

 

 

試合後に全員で入浴―――俺は全力で逃げた――――――そして逃げ切った(やり遂げた感)

 

 

 

―――帰宅したらすごい不機嫌な赤星さんが居た。勘弁してください(震え声)

 

 

 

 

******Emi→Koume

 

 

 

 息が詰まる―――苦しい―――出たい。ここから、今すぐ―――!!

 

ひゅうひゅうと呼吸がままならない。心配するみんなの顔が見える―――私を心配そうにのぞき込む武部さん、おろおろしている秋山さんを、だけど私は返事を返さず―――

 

 

―――天翔さんに、手を伸ばした。あの日私を助けてくれた、小さな手、力強い手―――

 

 

 

―――ぎゅっと、しっかりと握り返してくれた手から、温かさが伝わる。

 

 

―――ごめんなさい。天翔さん―――ありがとう、天翔さん―――

 

 

 

 

―――

 

 

 

――――大丈夫。もう一度、もう一度頑張れる――――

 

 

 

 

 

 

    ―――ありがとう。『エミさん』――――

 

 

 

 

 

 

「―――ごめんなさい。もう、大丈夫です」

 

呼吸を落ち着かせた私に武部さん、秋山さんの二人に、操縦席の五十鈴さんも安堵の息を漏らした。

「でも一応、こっちを開けて置こう」とエミさんが横のハッチを開いて、そのままの状態で発進する。

 

 

―――中戦車の振動は、軽戦車のそれとは違う。こうして振動を感じるほどに、思う。

 

 

 

 

―――ああ、わたし、帰ってきたんだ――――此処に。

 

 

 

胸に溢れる嬉しさと、「まだ早い」と叫ぶ脳内(あたま)と、ないまぜで、涙が出てきそうだ―――。

 

 

―――ここが私のスタートライン―――ここから、また歩き出せる。きっと―――

 

 

―――途中で橋を渡ったり、被弾の衝撃で五十鈴さんが気絶してしまったり―――朝にエミさんが助けた女の子―――冷泉さんが操縦手として優秀も優秀過ぎる腕前だったり―――色々と立て続けに起きすぎて思い起こすのも一苦労だった―――。

 

 

―――試合後にみんなでお風呂に行くことになったけれど、エミさんは行く場所があると言って一人で帰ってしまった。黒森峰時代からいつもこうだったから気にしたことはなかったけれど―――何か寂しい―――。

 

 Aチームの操縦手に冷泉さん、車長は武部さん、砲手に五十鈴さん、装填手に秋山さんという役割分棚が決まった。

 

でもそうなると―――私かエミさんのどちらかが戦車を下りることになる―――?

 

 

 あの―――クッションを車内に置くとか、操縦レバーにハンドカバー付けるとか、カーテンとか色々黒森峰ではありえなさ過ぎて未経験です―――

迷彩塗装を塗り替えるのは勘弁してください!エミさん!お願い私だけじゃ止めきれないんです帰ってきて!!

 

 

 

*******

 

 

 

 翌日。真っ赤な塗装と旗印を掲げたⅢ号突撃砲や、『バレー部復活!』とでかでかと書かれた八九式中戦車とか、金色に塗りたくられて光沢を放つ38tとか、ピンク色一色になったM3リーの姿に、思わずその場に膝をついてしまった―――。

 

 

 

―――ありえないです。色々と、ありえないですこれ―――。

 

 

 

「―――あ、天翔ちゃんと赤星ちゃん。人数あぶれたの?だったら自前のⅡ号戦車があるんだし、二人はそっちに乗ったら?」

 

―――会長の言葉を鶴の一声に、そういうことになりました。

 

 

軽戦車に乗り込み、練習に参加する私をみんなが迎えてくれます。

 

 

黒森峰とは全然違う―――

 

 

―――でも、この雰囲気はとても暖かくて―――なんだか好きだな。

 

 

 

「軽戦車だと火力が足りないと思うけど、大丈夫かい?」

「大丈夫です!戦車の性能が戦車道の全てではありませんから!!」

 

 

―――私の返事に、何故かエミさんは不思議な表情をしていた。

 

 




とりあえず続けてみる()


能内で展開した結果原作6話くらいまで脳内で出力できたが―――


やはりガンダム名場面集がちらつく不具合―――。


あとエミカスの存在意義が序盤薄めだとは思う(後から濃くなるかは脳内出力次第なので小ネタ方面に置いておく)

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