どうも拓真です
先ほどでの騒動も終え
中佐に工事の具合を聞くと一心会の一部の人の手伝いによりヘリポートは完成していた
輸送部隊もそろそろこちらに来るとの事
俺は一度みんなと別れ
総帥達と行動を共にする
何かあるようだし
壮一郎「拓真、1つ頼みがある」
「何でしょう?」
壮一郎「いくつかの分家の者が集まりまだ生き残って籠城しているのだ」
「場所は?」
壮一郎「そこまで遠くないはずだ、それぞれ有力の分家の人間と護衛の者達とその家族だ」
俺は総帥の部下からもらった地図を見る
場所は三か所
どれもヘリならここから帰還途中に寄れるコースだが
輸送ヘリの数からして総帥達まで運べない
「距離は問題ありません、想定されている人数、物資もこれより来る輸送隊でも対応できますが………………」
壮一郎「が?何か問題があるか?」
「はい、輸送隊の数は確かに足ります、
壮一郎「つまり我々の輸送まで無理か?」
「ええ、追加の輸送隊は頼めますが時間を要します」
壮一郎「構わん、彼らは長く私に仕えてくれた家臣たちなのだ」
「あなたの大事な家臣なら私にとっても大事な同胞です、わかりました手を尽くしましょう」
壮一郎「感謝する」
「いえ、総帥の頼みなら当然です」
俺は総帥に頭を下げ部屋を後にする
廊下に出るとそこには明音、メアリー、ジョナサンが待っていた
明音とメアリーは先ほどの出来事を心配していたのだろう
ジョナサンは先ほどの後の学生の事だろう
俺は総帥との会話内容を伝える
「俺からは以上だ、そっちはどうだ?」
ジョナサン「はっ!、例のスパイは捕らえました、藤見学園の学生と言っています」
「だろうな、今はどうしている?」
ジョナサン「部下達に見張らせています」
「そうか、俺が行くまでそのままだ」
ジョナサン「はっ!」
「それと中佐、これより15分後に正面玄関に各中隊長と無選手を集めろ、後先ほど伝えた事を輸送隊と基地に伝えろ」
ジョナサン「はっ!直ちに!」
彼が去るのを見送り俺は明音とメアリーの方に向く
彼女達はコータ達の対応にあたらせていた
「コータ達は大丈夫だったか?」
明音「ええ、今はみんなは部屋にいるわ」
「そうか」
メアリー「先輩、何故あのような事を?」
「それが家臣としての義務だからだよ」
明音「私達の事より家臣の義務の方が大事だったわけ?」
メアリー「明音さん!?」
明音「メアリーは黙ってて!で?どうなの?」
「確かに家臣の義務を優先した、それがあの場での収める方法だと思ったからだ」
明音「もしそれで切られてたらどうするつもりだったのよ!」
「それも考えたが………………」
明音「もう二度とそんなこと言わないで!」
「………………明音」
明音「私達がどんな気持ちで見てたと思う?想い人が死ぬかもしれないのに黙って見るしかできない気持ち、あなたにわかる!?」
「そ、それは………………」
メアリー(明音さん、サラッと告白してるわかってます?)
明音「私だけじゃなくてメアリーや高城さんに宮本さん、毒島先輩も同じ気持ちだったのよ!?」
メアリー「明音さん!?」
明音「少しはその頭で考えてよ!」
最後にそう言って明音は走り去っていた
俺はそれをただ見るしかなかった
メアリーも一瞬呆然としながら
「私も明音さんと同じ気持ちです」
っと言い残して明音を追いかけていった
俺は何も言えなかった
それどころか俺はあの子達の気持ちにも気づけていなかった
いや気づきたくなかっただけかもしれない
俺は呆然と廊下で立っていると後ろから誰かが声をかけてきた
百合子「いくら戦術の知識はあっても人の恋心まではまだわからないわね」
「………………奥様」
百合子「こんな世界になったんです、悔いのないようにしなさい」
「わかりました」
百合子「法もないのだから1人じゃなくてもいいと思いますよ?」
「奥様!?」
百合子「フフッそれでは、またね」
子供の成長を喜ぶ母親のような笑みを浮かべ去って行った
俺は一瞬考えその場を離れる
今は現状を打開しないと
後回しはよくないが先に出来ることからしよう
すぐに部屋で軍服に着替え
各士官が待つ正面玄関に向かう
既にそこには各中隊長と副隊長、無線士官がいた
ジョナサン「各員揃いました」
「うむ、これよりこれからの行動について話をする、まず再確認だ、貴官らの命令権は誰がある?」
ジョナサン「総隊長であります」
「わかった、第1中隊はこのままここで防衛待機だ、第2,第3,第4中隊はこれより合流する輸送隊と共に三か所の目標に向かえ、輸送隊には先ほど大隊長に伝えているので問題ない」
第3中隊長「目標の内容は?」
「民間人の救助だ、今は一部の武装で防衛している、第2中隊がA、第3中隊がB、第4中隊がCポイントに迎え」
第2,第3,第4中隊長『了解!!』
「補足だが民間人は一心会の関係者が仕切っているためこちらからそれぞれ代表者が同乗する、失礼がないようにな」
第2,第3,第4中隊長『はっ!』
「第1中隊はこれより屋敷の防衛体制の見直しだ、何せ3個中隊も抜けるからな」
第1中隊長「了解しました」
「この後第2,第3,第4各中隊長は代表の者と合流、状況把握と作戦を合わせろ、第1中隊長及び各所属小隊長、大隊長は防衛計画の見直しだ、質問はあるか?」
ジョナサン「部下達にそれまで何か仕事をください、待ってる間暇なので」
「わかった、第3,第4中隊は俺の家の地下室の兵器及び機器の対EMP処置を頼む」
ジョナサン「総隊長!それは………………」
「アメリカはさっき核攻撃命令を出した、おそらく目標は朝鮮半島および中国や中東の国々だろう、もしかしたらロシアも含まれているかも」
ジョナサン「それでは各支部が危険では?」
「一応、
ジョナサン「そのための対策を?」
「ああ、できるだけ生き残るためにな」
ジョナサン「了解しました」
「よし、第2中隊は屋敷の各門に対EMP仕様になったセントリーガンと機銃付きジープを置いていてくれ、それと地下にある全ての弾薬及び補給物資もだ、それではかかってくれ」
全員『はっ!』
離れていくのを見届けると
今度は第1中隊所属の各小隊長との作戦会議だが
その前にやることを済ます
俺はジョナサンと少数の部下を連れて
俺達が使っているテントに向かう
その中には先ほど捕まえた学生がいた
彼は確か紫藤と一緒にいたやつだったはず
それにさっき盗聴器のスイッチをつけたが
つまりは、そういう事なのだろう
「おい」
学生「な、なんだよ?こんな事して紫藤先生が許さないぞ!」
「たかが教師風情が軍人に勝てるかは知らんがな」
ジョナサン「勝てないでしょうな」
「特に紫藤なら罪悪感すら湧かず消せるだろうな」
学生「ぼ、僕に何の用だ?」
「何、1つ聞きたいのだよ?紫藤はどこだ?」
学生「そんなの教える気はない!特に人殺しを当たり前にする化け物になんか!」
「ではやり方を変えよう、死にたくなかったらさっさと話せ?」
学生「ヒッ!?」
「吐け、紫藤は今はどこだ?何を企んでいる?」
学生「い、移動中だからどこかはわからない、せ、先生はここに助けを求めるつもりだと思う」
「そうか、ありがとう、おかげで助かったよ」
学生「そ、そう?」
「ああ、だから死ね」
学生「………………え?」
俺はサイレンサーを付けた拳銃でこいつの頭を撃ち抜く
正直今の世界においてこいつや紫藤達は害悪でしかない
だから消す
この後面倒事を起こさないためにも
彼は何が起こったかわからない顔で死んでいた
頭を吹き飛ばしたからゾンビになる事もないはずだ
俺は部下に彼を死体袋に入れるよう指示を出す
ジョナサン「よろしかったので?」
「彼はどっちにしろ死んでいたさ、中佐これを聞いてみろ」
俺は紫藤達と別れてから今までの音声記録の一部
特に酷い部分を聞かす
それは紫藤の狂った洗脳による痴態行為の音声だった
紫藤の性格を知ってる俺は顔を顰めるだけですんだが
ジョナサンは怒り心頭だった
まぁ普通はこうなるはずだ
俺だってあのままいたら沙耶や明音達がコレらに混ざると思うと虫唾が走る
ジョナサン「こ、こんな事が!?こんな事が人がすることですか!しかも教師が!」
「
ジョナサン「総隊長はよく耐えられましたね」
「まぁ紫藤とはそれなりの付き合いさ、裏でな」
ジョナサン「………………失礼しました、つい我を忘れてしまいました」
「気にするな、それが常識ある者の反応だ」
ジョナサン「先ほどこいつらはここに来ると言っていましたが?」
「受け入れは一心会がするだろう、だがその後は我々の管理下だ」
ジョナサン「よろしいので?」
「【国連非常事態時対策法第1条、要救助者及び集団がいた場合保護を行う】これは守らなければならない」
ジョナサン「そうですが………………突然何を?」
「まぁ聞け、問題は続きだ」
ジョナサン「続き?」
「そう【第2条、任務活動及び救出活動において妨害並びに悪意ある者又は組織は排除せよ】」
ジョナサン「しかし彼らはその対象かどうかはわからないのでは?」
「確かにそうだ、だがそれを判断するのは誰だ?」
ジョナサン「現地指揮官かその場で階級が上の者ですが………………あっ!」
「そう、この場でここにいる人達の生死は俺が握っている、そこに彼らは来れば………………」
ジョナサン「排除対象になりうると?」
「それを決めるは俺だ、やろうと思えば一心会の人達のみ助けるという選択肢もある」
ジョナサン「しかしそれは!」
「わかっている、だから中佐は俺が指示を出したら………………処理を頼む」
ジョナサン「了解しました、お任せください」
「じゃあ、第1中隊の作戦会議をしに行くか」
ジョナサン「はっ!」
俺は中佐を引き連れその場を離れる
今でも思う
これが正しいのか?
確かに法的には問題ないが
相手は元一般市民
いくら現敵対集団としても
相手の生命に終止符を絶つ命令をするのは気が重い
多分俺はこれからもこの事で一生考えるし
背負っていくだろう
ふと空を見る
こんな地獄じゃなければいい空だな
そう思えた
次回『散る命と選択肢』