読者の皆さん
あけましておめでとうございます
今年も不定期投稿になりますが"世界の崩壊とリセット"をよろしくお願いします
最後に誤字報告して頂きありがとうございます!
俺は今屋上にいる
付近には副官のネイサン准将
それと周辺監視に置いた狙撃班の連中
明音とメアリーは孝達と生存者グループの方にいる
第1分隊には生存者グループの監視と抑止に努めてもらっている
他の分隊は指定された出入口を警備してもらっている
待機していたヘリ部隊には燃料補給のために退避させた
輸送ヘリはまだあったが護衛の戦闘ヘリの方がピンチだった
そして俺は持ち込んでいたスナイパーを持ちながら屋上に立っている
「対象はいたか?」
狙撃兵「はい、あちらにワゴンの上で立ち往生しています」
「部下2名の命の対価がアレか?」
学生「助けてぇ、助けてくださぁーい!ごめんなさいごめんなさい!」
「アレのせいで俺の部下は死んだと?アレのせいで!?ふざけるな!」
ネイサン「しかし、彼を殺せば彼らの犠牲が無駄に…「わかっている!」…ッ!?」
「わかっている!だがアレが今何をしている?後悔だ!後先考えず、自分の保身のために行動した結果があれだ!それで被害がないなら自業自得だとも、だがな出ているんだよ、部下2人の命がさ、今のアレを見ても彼らの犠牲は無駄ではなかったと証明できるか?どうだ?ネイサン准将」
ネイサン「ッ!…………し、証明、できません、ですがここで理由もなく彼を殺せば総隊長の立場が危険です!」
「その時は部隊の指揮権をネイサン准将に移譲するだけだ」
ネイサン「総隊長!?」
「だがここまで慕ってくれる部下や散っていった戦友に投げやりな行動をするのは示しがつかないな」
ネイサン「ではどうするのです?」
「せめて彼らが無駄死にではなかった事を証明しよう、総隊長より全狙撃要員へオーダー!」
全狙撃兵『ご命令を総隊長!!』
「アレを仮称”デコイ”と命名する、デコイの周辺のターゲットを処理せよ、うち2名はこちらの銃声で近づいてくるターゲットを処理せよ」
全狙撃兵『了解!!』
「総隊長より総員へ、これより狙撃班による掃討戦闘を行う、各班はターゲットの侵入に警戒せよ」
全兵士『了解!』
「ネイサン、これより戦闘に入る、大丈夫だと思うが非戦闘員が来たら抑えを頼む」
ネイサン「了解です」
部隊には全員伝えた
明音やメアリーも今の無線で状況は察する事はできるだろう
アレには囮になってもらう
今ここで殺してもそれは先に逝った彼らが無駄死になってしまう
だからアレの価値を最大限使ってやろう
俺は狙撃班に射撃を命じる
次々と銃声がなる
その度にデコイの周りの《奴ら》が死んでいく
流石に数人が銃声を鳴らすのでこちらにも来る
そいつらは他の2名が対応する
その間終始デコイはひたすら喚き散らしている
正直今すぐにあの口を塞いでやりたい
だがアレは国連非常時対策法の範囲外だ
殺してもいいがいずれ俺は裁かれるだろう
現状では得策とは言えないな
狙撃兵「総隊長、デコイに動きが」
「ん?チッ、ビビッて留まり続けると思ったが甘かったか」
狙撃兵「射撃しても?」
「ダメだ、俺が殺して責任は取れるが貴官らが取る必要はない」
狙撃兵「了解しまし…………ん?」
「どうした?」
狙撃兵「あれなら許されますか?」
「なに?」
彼に言われて銃のスコープを覗く
そこには逃げようとして足を《奴ら》に食われたデコイだった
どうやら車の影から出てきたようだ
俺はすぐに薬室に弾がある事を確認する
次に《奴ら》の頭に照準し
ネイサンや先ほどの狙撃兵が何か言う前に撃つ
弾頭は頭を貫通しそのままデコイの太ももにも貫通した
ネイサン「総隊長!」
「大丈夫だ、デコイに噛みついたターゲットだけを狙った」
ネイサン「しかし」
「撃った弾頭がターゲットの柔らかくなった頭を貫通し
ネイサン「…………そうですね、どちらにしろ彼は長生きはできません」
「だな、十分デコイとしても役割は果たしてくれた、楽にさせてやろう」
孝「拓真!」
俺は銃を構えてデコイの頭に照準を向けながら話していた
デコイは足を押さえ這いずりながら進んでいる
もう十分《奴ら》を掃討した
デコイにはこのままいたら助けてやろうとは思っていたが
残念ながらデコイ自身で逃げ出しあまつさえ噛まれてしまった
噛まれてしまってはどうする事もできない
楽にさせてやろうと引き金を引こうとした瞬間
屋上の扉を開けて孝が来た
他のメンバーも入口付近にいる
俺はスコープを覗いたまま孝に対応する
「どうした?孝」
孝「なんであんな事をした?」
「あんな事とは?」
孝「惚けるな!彼を囮にして《奴ら》を誘き寄せさせたじゃないか!」
「だが現状ではアレを助けるには《奴ら》の数が多すぎる、だからこうして狙撃で数を減らしてから助けようとしたんだ」
孝「でも今は彼の足を撃ったな?何故だ!?」
「アレの足には《奴ら》が嚙みついていた、だから《奴ら》の頭を撃っただけだ、その過程でアレの足に当たってしまった、事故だ」
孝「事故だと!?」
「アレには悪いけど噛まれてしまっている、だから今から介錯してやるんだ」
そうして意識を集中する
もう孝の声は聞こえていない
距離、風向き、デコイの動き
狙うは頭
準備は整った
そうして俺は引き金を引き
銃とは違う衝撃を受けた
「ぐっ!?」
ネイサン「総隊長!?」
狙撃兵「貴様!総隊長に何をする!?」
孝「離せよ!」
「…………また拘束されているな、孝、いいよ、解いて」
狙撃兵「はっ!」
明音「拓真!大丈夫?」
「ああ、メアリー今の弾はどうなった?」
メアリー「対象の肩に当たりました、それと《奴ら》も数体近づいています」
引き金を引いた瞬間、孝に妨害されたようだ
立ったまま集中して射撃してたからな
しゃがんだ方がよかったかな?
孝の行動にびっくりして皆入口から出てくる
明音とメアリーは俺の元に来て
明音は容体を確認してくれて
メアリーは弾丸の先を調べてくれた
「孝、満足か?」
孝「なんだと?」
「今アレは肩に風穴を開けられて痛みで苦しんでいる、おまけにその声で《奴ら》も押し寄せている」
孝「それは拓真が撃ったからだろ!」
「いいや、あそこで頭を撃ち抜いて楽にさせてやる所だったのにお前が邪魔したんだ、だからああして苦しんでいる」
孝「そんなわけ!」
「次は邪魔するなよ?弾も無限じゃないんだ」
孝「待てよ拓真!」
「しつこい!」
孝「ガハッ!?」
智江「孝!?」
「明音、ネイサン、あいつを見ていてくれ」
明音「わかったわ」
ネイサン「了解」
俺は孝の腹を銃底で殴り、蹴り飛ばす
智江が慌てて近寄り
明音とネイサンが俺と孝の間の壁になってもらう
メアリーにはそのままスポッターをしてもらう
俺はもう一度集中しスコープを覗く
デコイは近づいてくる《奴ら》に絶望し喚いている
もうすぐで楽になれるさ
安心しろ
そうして俺は引き金を引いた
今度は妨害も受けず弾頭はデコイの頭を捉えていた
直後には辺りが静かになった
スコープを覗いた先ではデコイが絶望の顔のまま死んでいた
メアリー「ヘッドショット、対象沈黙しました」
「ありがとう、メアリー」
メアリー「どういたしまして、先輩」
「さて、次の用事を済ませるとするか」
俺は腹を押さえて蹲ってる孝に近づく
狙撃班の連中とネイサン、明音、メアリーはそれぞれの銃を持ち出し俺の動向を見ている
智江は俺が来てるのに気づいて警戒する
他の奴らは無言でこちらを見ているだけ
すると孝が顔を上げた
孝「ゴホッ拓真、なんで?」
「なぁ孝、これで2度目だな」
孝「何?」
「1回目は高城邸で2回目は今だ」
孝「それは拓真が間違ってるからだ!」
「ふむ、確かに常識だった世界なら俺の行動は非常識だ、むしろこんな事をしたら軍法会議ものだろうな」
孝「だったら!」
「だがな孝、この世界はもう常識の世界じゃない
孝「なっ!?」
「非常識の世界で法もなければ治安維持組織も壊滅状態、そんな世界で力は正義だ、強者だ、俺の非常識はこの非常識になった世界には常識になるんだ」
まぁもっとも元から裏で非常識な事をしてきた人間が何を言ってるんだと思わなくもない
だが日本やアメリカなどのある程度法や秩序がある国はいい
ではそれ以外の国は?
国が管理できていない地域は?
今と大差ないのではないだろうか?
そこに化け物が加わっただけ
真の脅威は化け物じゃない、人間だ
知性を失った者と知性がある者
どちらが脅威か
…………話がそれたな
だが何度も邪魔されるのは迷惑だ
そろそろけじめをつけよう
彼女の様子だとおそらくそうだろうしな
「なぁ孝」
孝「なんだ?」
「智江と付き合いだしたのか?」
孝「ッ!?あ、あぁ」
「それはめでたいな、コータも男を見せたしな」
コータ「えへへ(〃´∪`〃)ゞ」
(おいそこ照れるな、いや間違いではないけど)
「さて孝、お前はここでお別れだ」
孝「はぁ!?何を言ってるんだ!?」
「ついてくるなら今後は邪魔はするなよ?」
孝「間違ってる事を指摘し止めるのが悪いのか!」
「ああ悪い、間違ってないからな」
孝「なんだと!?」
「さっきも言っただろ?この世界は非常識で俺の行動は常識になった世界」
孝「だけど!」
「なら孝、智江を守ってみろ」
俺は右手を上げるとネイサンと明音、メアリー、狙撃班
全員が一斉に孝と智江に銃を構えた
冴子達は身構えるが何もしない
コータには目線で手を出さないように伝える
智江は恐怖で染まり
孝は俺を睨んでいる
孝「何をするんだよ!」
「言ったろ?智江を守れと」
孝「こんなの無理だろ!」
「ああ無理だ、ならどうする?ここで他の生存者グループと共に洋上空港に向かうかそれとも恋人と共に撃ち殺されるか」
孝「本気で言ってるのか!?」
「本気だ、また邪魔される可能性がある障害を残したまま進める訳ないだろう?次は俺が死ぬかもしれない、そう思える状況でお前を連れていけると思うか?」
孝「それは拓真がしなければいい話だろ!?」
「…………いつまでも常識の世界の常識で会話するのやめてくれないか?」
・・・・・・・
ここまで平行線とはな
非常識な世界と理解し非常識を常識として行動する俺
非常識な世界を理解できず非常識を非難する孝
ほんとは殺す気はなかったが
これ以上は法による射殺も視野に入れなければならない
そうなったら冴子達と行動を共にする事はできない
俺は手元にある拳銃を孝に向ける
「最後の警告だ、智江と共に空港に行け!」
孝「断る!俺は俺の親と智江の親を助けに行くんだ!」
「・・・・・」
孝「・・・・・」
ネイサン「総隊長!」
「………ネイサン准将、どうした?」
俺は一旦孝から目を離しネイサンの話を聞く
この状況で声をかけてくるという事は重要な話だろう
さっきの無人機関連かもしれないしな
ネイサン「この辺りを飛行中の空中警戒管制機より報告、こちらに我々の輸送隊とは別のヘリコプターの編隊を確認」
「おそらく自衛隊だろう、どこに向かってるかわかるか?」
ネイサン「予想進路はここです」
「予想到着時間は?」
ネイサン「3時間後です」
「輸送隊の到着は?」
ネイサン「1時間後です、交代要員の部隊も随伴しています」
「部隊の規模は?」
ネイサン「大隊クラスです」
「多いな、だかここの拠点化を考えれば妥当か」
やはり自衛隊か
おそらく生存者の救助だろう
まずいな、ここには孝や冴子達がいる
彼らは立派な日本国国民だ
連れていかれる可能性がある
幸いこちらの援軍の方が早く着きそうだ
「わかった、輸送隊の受け入れ準備をしろ」
ネイサン「了解しました、それで彼らはどうしますか?殺りますか?今ならまだ間に合いますが」
「ネイサン准将、俺が頼んだの受け入れ準備だけだ、こちらは自分で処理する第1分隊と共に対応しろ」
ネイサン「ハッ!失礼しました!」
「いやいい、配慮してくれてありがとう」
ネイサン「いえ、では自分は失礼します、光城大佐、ドレイク大佐、後は頼む」
明音・メアリー『了解』
ネイサンを俺に敬礼した後、その場を離れていった
狙撃班の連中には屋上の周辺警戒に戻ってもらった
明音とメアリーはそれぞれ孝と智江に銃口を向けている
俺も孝に拳銃を構える
孝「・・・・・」
「…………次で最後だ」
孝「なに?」
「次俺の邪魔をしたら容赦しない、別に俺の感性を理解しろとは言わないし強要もしない、だが俺の行動はもう邪魔するな」
孝「ああ、気を付けるよ」
「明音、メアリー銃を下ろせ、一旦中に戻るぞ」
明音「わかったわ」
メアリー「わかりました」
俺は2人を伴ってモールの中に戻る
冴子達には孝達の事を頼んだ
しかし"気を付けるよ"か
つまり邪魔はする可能性があるということ
それなのに銃を下げた
俺は甘かったかもしれない
だがどうしても友人を撃てなかった
ある意味でその常識は必要だから
未来の落ち着いてきた頃の世界には彼のような人が必要と思ったから
その結果がひどいものだとしても受け入れよう
俺はそう思いながらネイサンの元に向かった
次回『第二の選択肢』