コブラ『自衛隊機を目視で確認しました!』
「総員戦闘態勢のまま待機!指示あるまで撃つな!」
全員『了解!!』
「ネイサン、民間人は階段で待機しているか?」
ネイサン「はい、ブレンバ中佐と彼の部下達と共にいます」
「コブラ隊と防空小隊の状況はどうか?」
ネイサン「ハッ!コブラ隊は先ほど給油を終え弾薬も使用していないため双方満タンです、特技兵のみで臨時編成した防空小隊も予備弾含め問題ありません、我々第1小隊からも各狙撃兵に対物ライフルを持たせて配置しています」
「過剰な気がするがないよりはマシか」
孝やコータ達の決断を聞いてからは迅速だった
まず孝達は下のフロアで待ってもらう
自衛隊員達に余計な詮索をされないためと火種を作らないためだ
屋上手前階段にいる他の民間人達には彼らに乗せてもらいここを離れてもらう
モールの基地化の質問や抗議については国連軍としての非常時対策法の処置である事で解決させる
ついでに政府要人の死亡した証拠写真を預け、民間人と共に帰ってもらう
後の事は国連軍上層部が日本と交渉するだろう
事後承諾の形だがこんな状況だ、問題ないだろう
徐々に近づいてくる自衛隊機を見る
少し前に国連軍による介入は日本に通達はされているとの事だが完全に情報が行き渡っているかまではわからない
『こちらは国連軍日本本州派遣軍である!接近中の自衛隊機応答せよ!』
自衛隊機『こちらは日本国陸上自衛隊です、救難信号を確認したため救助に来ました!貴官の所属と姓名を伝えられたし』
『私は国連軍対バイオテロ対策部隊隊長の神崎拓真中将だ』
自衛隊機『ち、中将!?し、失礼しました!そちらに民間人がいますか?』
自衛隊機(なんで中将がこんな所に?しかも氏名は日本名だ、しかし眼下の軍人達や滞空中の攻撃ヘリは本物のようだ、一体何者なんだ?)
『こちらは民間人を保護している、引き渡したいのでこちらの用意したヘリポートに着陸してもらう』
自衛隊機『了解しました、随伴している輸送ヘリと部隊を向かわせます』
最初の接触はとりあえず問題ないか
しかしあの様子だと疑っているな?
まぁ日本人が国連軍を名乗っているのはおかしいだろうな
そもそも国連軍もとい対バイオテロ対策部隊は全員国籍はない
俺やメアリー達も成人したら日本国籍は抹消される
もっともこの地獄のおかげで既に抹消しているようなものか
輸送ヘリが徐々に降下しているの見つつ周りを見る
全員が俺を見ている
"命令はまだですか?"とこれほど信頼できる連中はいないだろうな
俺のそばにいるネイサンもいつでも銃を抜けるようにしている
まったく、信頼はできるのに血の気の多い連中だ
「お客様のお出ましだ、まだ粗相はするなよ?」
全員『サー!イエス!サー!』
ネイサン「コブラ隊と防空小隊はこのまま構えててもいいですね?」
「ああ、ただしレーダー照射をするなよ?構えるだけだ」
ネイサン「了解!」
「では第二ラウンドだな」
輸送ヘリが着陸しヘリから出る風圧を気にせずに降りてくる自衛隊員達
隊長は小銃を構えず持ったままこちらに振り向く
全員困惑した顔をしたままだ
まぁ学生服を着た男が彼らの前にいるんだ
しかも多数の武装した軍人達のド真ん中にだ
隊長は疑問を抑え込みつつこちらに近づいてきた
そして敬礼をしてきた………ネイサン准将に
隊長「自分が救助部隊の隊長です、中将閣下にお会いできて光栄です」
ネイサン「私は中将ではなく副官のネイサン・グレイ准将です」
隊長「?では隊長はどなたですか?」
ネイサン「貴官の目の前にいるではないか」
隊長「え?っ!?彼がですか!?」
「どうも国連軍中将、神崎拓真です」
隊長「まだ子供ではないか!?」
ネイサン「だったらなんだ?」
隊長「ッ!」
ネイサンが彼の失言を聞いた瞬間、秒で拳銃を彼に突きつける
もちろん安全装置は解除している
俺を見た自衛隊員達の顔の表情から察した周りの隊員達がネイサンが構えたのと同時に一斉に彼らに銃口を向ける
隊長は小銃を構えず慌て始める
他の連中は一斉に銃口を向けられた事で構えるが恐怖が見て取れる
隊長「な、何の真似だ!?」
ネイサン「それはこちらのセリフだ!総隊長を見た目だけで判断し礼を失しただけでなくその無礼な発言はなんだ!?ふざけているのはどちらだ?」
「ネイサン准将、銃を下ろせ、他の皆もだ」
ネイサン「しかし閣下!」
「実際に私は未成年なのは変わらないだろう?それに我々は争いに来たわけではない、違うか?」
ネイサン「…………そうですね、申し訳ありません」
「自衛隊の方も発言や行動は気を付けた方がいい、我々は国連軍人だ、日本の固定概念は我々には関係ない、次はない」
隊長「し、失礼しました、改めてこの救助部隊の隊長です」
「国連軍中将、神崎です、自衛隊の方々には民間人含めお渡ししたいものがあります」
隊長「わかりました、できればここを国連軍が基地化している件も話して頂けますか?」
「もちろんです、まず……………」
俺は現状の日本に対して行っている国連軍の動きについて
次に国連非常事態時対策法を含めた交戦規程や基地化の事後承諾関連
最後に日本国政府首脳陣の死亡証拠の提出
日本を含めた外国に対して事後承諾で行われる基地化については
政府による国家の秩序回復
自衛隊や警察組織を含めた組織機能の回復
感染者の完全撲滅による地域の安全確保
他にもいくつかあるが概ね上記が完遂されれば基地を解体し土地の返却を行う
現状は各自治体で現状維持状態の日本ではこの基地化の解除は当分先になるだろう
幸い自衛隊の被害はこちらが想定しているより少なかったようだ
どちらかというと在日米軍の方が被害が大きいようだ
こちらにも報告が上がっていたが日本海に展開していた米ミサイル駆逐艦"カーティス・ウィルバー"の乗員が《奴ら》になり艦としての機能を停止していたようだ
その際に中国の弾道ミサイルが1発迎撃できずに起爆
少し前で高城邸で起きたEMP攻撃に繋がる訳だ
「さて我々がここにいる理由と基地化について納得して頂けましたか?」
隊長「はい、確認ですがこの基地は自衛隊も使用できるのですか?」
「現状では無理でしょう、こちらもまだ基地化は完全ではありませんし、そちらも余裕はないのでは?」
隊長「確かにそうですが将来的にはどうでしょう?こちらは本州の民間人の救出作戦を優先していますが同時に本州開放も視野に入れています、中継基地としての運用の可能性もあります」
「そこまで自衛隊が動けるのであれば後は国連軍上層部と日本国政府による交渉次第です、上層部がこの基地の使用権を自衛隊に移譲、もしくは共有するように命令がくれば我々は従います、私が返答できるにはここまでです」
隊長「わかりました、本部には以上の事を報告します」
「こちらも上層部には上げておきます、さて民間人の受け渡しを行いたいのですが問題ありませんか?」
隊長「問題ありません、我々の輸送ヘリで一度母艦まで運びます」
「そうですか、おい!彼らを連れてこい!」
国連軍兵士「はっ!」
ジョナサンの案内で彼らは出てきた
1人負傷者がいるが歩けはするらしい
衛生兵が負傷者の状態がかかれたカルテを渡している
今の所、射殺したあの
もちろん、孝達についてもだ
そう、その一瞬の安堵か命取りになった
避難民の男性「そういえばあの子達はどこだ?」
隊長「あの子達?」
避難民の男性「ああ、あの子といた高校生の若者たちだよ」
隊長「なんだって?」
(チッ)
ネイサン(マズイですね)
(余計なお荷物を処分できると思って安心したのが裏目に出たな)
隊長「神崎中将、彼の言っている事は本当ですか?」
「……ええ、本当ですよ、しかし彼らは日本国国民ではありません」
隊長「何!?」
「彼らは我々国連軍の人間です、よってあなた方自衛隊の救助対象になりません」
隊長「そんな詭弁が通じると!?それに聞いた所によると未成年のしかも学生ではないか!」
「もう一度言います、彼らは我々国連軍の人間です、これ以上の抗議については国連軍上層部にお願いします」
隊長「こちらこそもう一度聞く!すみやかに我が国の国民を引き渡してもらう!」
………………はぁ
なんでこんな面倒事作ってくれるかねぇ?
物事はそう簡単にはうまくいかないってよく言うけど
これは流石にないなぁ
俺は頭痛を感じながら拳銃の安全装置を外す
──パァン!──
そして躊躇いなく自衛隊の隊長の足元に銃弾を叩き込む
彼は慌てて下がる
周りの武装している全ての人間が銃を構える
隊長「な、何をする!?」
「それはこちらのセリフだ、最終警告だ、彼が言った者達はこの基地に着く前から国連軍職員だ、よって貴官らの救出対象である日本国国民ではない、これ以上不毛な抗議を続ける場合実力行使をする」
隊長「このような状況下で戦争をするというのか!?しかも国連の下部組織である国連軍が国家に対して攻撃を行うと!?」
「この非常時だからこそ我々は国連内で定められた法の下、貴官らに対して攻撃ができるのだ、たとえこの状況が落ち着いて私が軍法会議にかけられても法による執行で正当防衛が成立する」
隊長「なっ!?」
「もう一度告げる、今いる民間人と先ほど渡した書類を持って帰還しろ、基地の処遇については後日復旧した日本国政府と国連軍上層部が決める」
隊長「・・・・・・」ギリッ
元国民としてはここまで祖国に忠誠を誓い、国民を絶対助ける意志を持つこの人には好感は持てるが軍人である俺には危険である
上のヘリ部隊はいつでも自衛隊のヘリ部隊と屋上の隊員を撃てる状態になっている
狙撃兵もこの隊長の頭に銃口を合わせている事だろう
ネイサン含む周りの連中も俺が射撃命令を出せばすぐにでも行動を起こせるだろう
だができれば殺したくはない
のちに起きるかもしれない日本との面倒事は避けたい
表面に出てはいないが冷や汗を感じる
長い時を感じながら彼の返答を待つ
隊長「…………私はこれ以上は追及しません、この件は書類を含め上に報告します」
「結構、貴官に対して発砲した事は謝罪する、すまなかった」
隊長「謝罪を受け入れます、最後の確認ですが民間人は彼らで最後ですね?」
「ああ、彼らで全員だ、もうこの基地に保護した日本人はいない」
隊長「わかりました、我々はこれで失礼します、あなた方の今後の武運を祈ります」
「ありがとう、そちらも道中気を付けて」
全員が武器を下ろし警戒したまま自衛隊員達はヘリに乗り始め
ネイサン達はそれを見送っていた
隊長である彼とは最後に双方で敬礼をしヘリに乗った
自衛隊機がモールから離れるの見つつ安堵する
とりあえず山場は越えた、と
後は俺達がここを離れ、本来のなすべき事するだけだ
次回『警察署へ』