今回も今後の展開に関わるアンケをしますので、答えてもらえると嬉しいです。
その出会いは偶然か、必然か。はたまた運命と呼ぶべきか。
きっと幾重の時を繰り返そうと、二人は何度でも巡り会うのだろう。
――遠月学園 高等部 編入試験場
本日10ヶ所で行われる編入試験の内、この会場で試験官を務めるは薙切えりな。
その対面に、実家である定食屋――“ゆきひら”の正装に身を包み。たった今、一品作り終えた幸平創真の姿があった。
「おまちどぉ!」
食事処ゆきひら 裏メニューその8
『化けるふりかけご飯』
えりなが提示した試験のお題は「卵を使った料理」
そのお題に沿い、創真が出した白い器には もっそりと卵そぼろが盛られていた。
それを見た緋沙子は、本当にただのふりかけだと困惑し。えりなはこの神の舌である私を馬鹿にしているのかと怒鳴りたくなる気持ちを押し止め、席を立つ。
「話にならないわ。所詮 二流料理人の仕事ね……。全く食指が動かない。試験はこれで終了です。緋沙子、次の予定は?」
こんな料理、食べるまでもない。
会場を去ろうとするえりなを見た創真は、残念だと言わんばかりに呟いた。
「この品の本当の姿はこれからなのに……」
「……どういう意味かしら?」
立ち止まり、再度創真が作った卵そぼろをえりなは見る。
――あれは……?
よく見れば、卵の陰で金色に色付く 半透明の何かが敷き詰められていた。
「まぁ、見てなよ」
――ふりかけの真価は、白米の上でこそ発揮される。
創真は器を手に取り、卵そぼろの下に隠されたソレを見せ付ける様に、炊き立ての白米の上へとふりかけた。
姿を現し、光を浴びて金色に輝くゼリー状のソレは着地すると、白米の熱に耐えかね溶け始める。
すると どうだろうか。溶けたソレは次々と卵をコーティングすると同時に、じっくりと煮込まれた鶏肉のまろやかな香りを放つ。
これが、これこそが化けるふりかけご飯の真の姿。
想像とはまるで違う見映え。そして立ち上る香りに、えりなは思わず喉を鳴らす。
一体、どの様な味がするのだろうかと。
「……一口だけ、味見して差し上げます。し……審査してほしければ、さっさと器を寄越しなさい!」
好奇心には勝てず。しかし先程 試験はもう終わりだと伝えた手前、素直に審査したいとも言えず。誤魔化すように威勢よく言ったえりなに、創真は素直じゃないと思いながら 器を差し出した。
「おあがりよ!」
化けるふりかけご飯を前にし、えりなは金色にコーティングされた卵を箸で摘み、口へと運ぶ。
噛めば卵のふわふわ感と、プルンとした柔らかさ。その食感と味わいに思わず審査を忘れてしまったえりなは、はっと目を見開く。
今の食感は何なのか? それを探ろうと再び箸を伸ばすも、
「あれー? 二口目イッちゃうの? 一口だけって聞いた気がするけど?」
言わなくてもよいものを。創真に煽られたえりなは顔を真っ赤にし、何か文句があるのかと台を叩く。
そんなやり取りを経て、えりなはその食感の正体を言い当てた。
「……煮凝りね?」
「大正解!」
卵をコーティングし、独特な食感を生み出していた正体は手羽先の煮凝りだった。
ゼラチン質の多い肉や魚の煮汁が冷えてゼリー状に凝固したものを指し。それを熱々の白米にふりかける事で、溶けだした手羽先の煮汁が卵そぼろに絡みついた訳だ。
言うなればこの煮凝りは、鶏肉の旨味が溶け込んだ濃厚なスープ。それが卵の美味しさを格段に引き上げていた。
「こんなありふれたメニューでも、創意工夫で逸品に化けさせる! これが、ゆきひらの料理だ!」
今まで食べてきたどの料理にも当てはまらない、えりなの知らなかった味の世界。本来ならば迷わず合格にしてもいいレベルだ。
しかし、えりなのプライドが邪魔してしまう。
神の舌と呼ばれ、美食の天上界に生きるこの私が、こんな定食屋で育った庶民代表のような男が作った料理を認めるわけにはいかないと。
だが、えりなの舌は、躰は。どうしようもなく、正直に反応してしまう。
「確かにウチはちっこい定食屋だし、アンタが食の上流階級なのも本当なんだろうな。けどさ――上座にふんぞり返ってるだけじゃ、作れねぇ物もあるぜ。きっと」
……作れない、物?
「さぁ、どうだい? ゆきひら流 ふりかけご飯」
確かに、えりなにとってこのふりかけご飯は、知らなかった味の世界を見せてくれた。今までのえりなには、間違いなく作れなかった。
けれど――。
「美味いか? 不味いか? 言ってみな!」
けれど――彼ならば。
「まっ……」
「ま?」
彼ならば――もっと知らない味の世界を見せてくれる。もっと美味しい料理を――創ってくれる!
「不味いわよっ!!」
「アレェ――――――?!」
〆〆〆〆〆
すっかりと日の落ちた 夜の閑散とした商店街。
スーパーの袋を引っ提げ、ふらふらした足取りで漸く自宅に辿り着いた創真はその外観を見上げ、裏口ではなくシャッターの閉まった表口から態々入る。
そして中に入るや否や 電気も付けず、暗がりの店内で適当な席に突っ伏した。
――不味いわよっ!!
今日の編入試験でえりなに言われた言葉。それが頭の中で永遠にループし、消える気配がない。
ガサリと音を立てた袋には 自炊をする気力すらないのか、値引きシールの貼られた惣菜が入っていた。
「不合格……」
正確にはまだ合否の通知が届いていないため、不合格と決まったわけではない。
だが、面と向かってあんなにもはっきり不味いと言われれば、それはもう 不合格と同義であると誰もが思うだろう。
――その学園で生き残れないようじゃあ、俺を越えるなんて笑い話だな!
編入試験を受ける直前、親父である城一郎と交わした言葉。
蓋を開けてみれば 生き残るどころか、その土俵にすら立つことができなかった。寧ろ、笑い話で済めばどれだけ良かったことか。
「正直言って、笑えねぇ……」
笑えない。マジで笑えない。
炙りゲソのピーナッツバター和えを食べた時の方が、その不味さに余程笑えただろう。
創真は想像してみる。
城一郎に試験に落ちたと報告したら、何と返事が来るだろうかと……。
「親父。俺――試験落ちたわ!」
「は? 創真……お前、マジで言ってんのか? 試験で合格できないようなやつに、俺の店は継がせられねぇわ」
全くもって笑い話になる気がしない。
何が親父を越えるだ。何が美味いか、不味いか、言ってみな だ。ドヤ顔していた自分をぶん殴ってでも、もう一度やり直したい。
しかし仮にやり直したとして、どうするべきだろうか? 化けるふりかけご飯は創真の自信作だった。
何が不味かったのか。火入れか? それとも調味料の分量か?
「考えても、後の祭りだな……」
いくら考え 妄想しようと、結果が変わるわけではない。
取り敢えず城一郎に報告するのは後回しにして、もう一人の人物。既に遠月学園にいる幼馴染へと電話をかける。
『もしもし?』
「こんばんは、青葉さん。……創真です」
『えっ……。創真ってそんな口調だっけ? しかも さん付けって』
あまりのテンションの低さに、電話越しの青葉が戸惑っている様子が伝わってくる。
創真にとってそれ程までに、今回の出来事はショックだったのだ。
「今日の遠月学園の編入試験に関して何ですが……」
『あぁ。俺の所じゃなかったみたいだけど、手応えはどうなの?』
遠月学園の編入試験を受けるに当たり、創真は事前に青葉にもその旨を伝えていた。
その時に青葉が試験官を担当する立場であるという話も聞き。出来れば知り合いである青葉が試験官なら良いな~っという会話もしていた。
「……落ちました」
『……マジで?』
「はい。はっきりと……不味いと言われました」
『まさか新作料理とか言って、ゲゾピーみたいなゲテモノを――』
「いや、流石の俺でも試験の時は真面目に受けるからな!? それで不味いって言われたんだよ!」
心外だと叫ぶ創真だが、普段の彼の所業を知っている者ならば疑ってしまうのも無理もないことだ。
青葉としてはそんな事は分かっているし、冗談半分で言ったつもりだったが あまりにも本気で捉えられ、相当心に余裕がないのだろうと察した。
『冗談だって。因みに、誰が試験官だったか分かる?』
「誰だったかな……。女生徒で、何か試験の前に俺以外全員逃げ出して……そうだ。神の舌とか言われてた気がするな」
『ふむ。もう一つ聞くけど、不味いとは言われても不合格とは言われてないんだな?』
「確かに言われてはないけど、不味いってはっきり言われたし……」
『大体分かった。今日はもう遅いし、明日総帥の方に創真の結果を確認してみるよ』
「頼む……」
通話を止め、再びテーブルに突っ伏す創真。
本人の余裕の無さとは裏腹に、腹の虫の音が元気よく店内に響いた。
「……食べるか」
〆〆〆〆〆
時を同じくして、創真とのやり取りを終えた青葉はとある部屋へと向かう。
可愛らしくデザインされたドアプレートには「えりな」と名前が書かれており、青葉はそのドアを躊躇う事なく開けた。
「「おかえり」」
中に入れば、トランプを持ったえりなと緋沙子が迎えてくれる。
女の子の部屋。更には既に風呂は済ませ、パジャマ姿で女の子座りをしている美少女二人に歓迎されるという光景を他の者が見れば、さぞ羨ましがるだろう。
尤も青葉からすれば、この生活を中等部 一年生の頃から続けているのだ。最初こそ多少の遠慮や戸惑いはあったものの、日常となった今ではほとんど抵抗が無くなっていた。えりなや緋沙子も他の男なら断るが、青葉ならいつでも来てくれて構わないという姿勢だ。
「誰からだったの?」
「ちょっと知り合いからね。次は俺の番かな?」
「はい。青葉様が席を立っている間に、えりな様が私のカードを引いたので」
えりなの問いを適当に流しながら、持ち場に戻った青葉は床に伏せていたカードを手に取る。
三人が興じていたのはトランプの中で最もシンプルと言ってもいいゲーム。通称ババ抜きだ。
1枚のババと52枚の数字のカードを配り、同じ数字がペアになったら場に捨てる。手札が無くなれば勝ち抜け、最後までババを持っていたらその人が負けというもの。
順番的に、次は青葉がえりなの手札からカードを引く番だった。
青葉が思い出すのは、先程電話越しで創真と話した内容。
神の舌という大層な名で呼ばれているのは、この遠月学園を見渡してもえりなぐらいなものだ。つまり、創真の試験官を担当したのはえりなと見て間違いないだろう。
問題なのは、創真の料理が合格に値したかどうか。そしてえりなが、それを正当に評価したかということだ。
青葉と創真は幼馴染であり、一時は彼の父である城一郎の元で料理の修行をしていた。
今の創真の腕は分からないが、それでも連絡を取り合う仲で その間にどれだけ研鑽をしていたかというのは知っている。
別に幼馴染だからといって贔屓するわけではない。不味かったら不味かったで、不合格になって当然だ。
だが青葉の中ではどうしても、創真が不合格になるという姿が想像できなかった。
その事について、えりなに今から問いただすのもいいが……。実際に明日、合否を確認してからでも遅くはないだろう。えりなが照れ隠しで美味しいのに不味いと言った可能性もあるし、何なら創真が聞き間違えていたり、嘘を言っている可能性も無いとは言い切れない。
「青葉くんの番よ?」
「ごめんごめん」
一先ずはババ抜きに集中しようと、青葉はえりなの手札を見る。
すると一枚だけ、手札から飛び出しているカードがあった。ババ抜きの際にある心理戦のようなものだ。
露骨なカードを取るか、それとも敢えて避けるか。
だが青葉はあることに気付き、それが可笑しくて思わず笑ってしまう。咄嗟に手札で口元を隠した為、えりなからその笑みは見えなかっただろうが、緋沙子には丸見えだったようで苦笑いをしている。
青葉が席を立つ少し前。その時はババを青葉が持っていた。
それを緋沙子が引き入れ、丁度そのタイミングで電話がかかってきたのだ。つまり青葉としては、席を立っている間にえりなの手にババが渡ったかどうかは知りえない。可能性としてはあるが、手札の枚数からしても緋沙子の手にあると思うのが普通だろう。
それなのにえりなが心理戦を仕掛けてくるということは、自分はババを持っていますと宣言しているようなものだ。
勿論それがブラフで実はババを持っていないかもしれないが、態々三人のババ抜きでそんな事をする意味はない。
試しにどのカードを取ろうかと迷うように指を動かせば、飛び出したカードの右隣を触れると「それよそれっ」と聞こえてきそうな、期待するような顔をする。
実に分かりやすく 少し抜けているが、それがえりなの可愛い所だ。普段の学園生活で見せるキリッとした表情でやれば良いものを、ポーカーフェイスも知らないのだろう。それとも慣れ親しんだ仲だからこそ、思わずそういった表情を見せてしまうのか。
青葉は敢えて、飛び出したカードを引く。
結果は当然のように数字。それも手札でペアとなったため、場に捨てる。
チラリとえりなを見れば自身の失敗に気付いた様子もなく、そっちにすればよかったかと小さく頬を膨らませ、次は引かせると意気込んでいた。
そんな様子を見て、流石にずっとババを引いてあげないのは可哀想だから、どこかタイミングを見て引いてあげようと青葉は思うのであった。
まずは前回のアンケに参加してくれた読者様、ありがとうございます。
青ひゃんはまだしも、青みゃんはもっと伸びるかと思っていただけにちょっと驚いています。今後、もも先輩が青葉を呼ぶ展開がある時は青にゃんです。
さて、いよいよ本作も原作スタートという事で……。勝手が分からない状況にあります……。
今までは原作の設定を活かしたオリジナル話だったので、特に気にすることなく書いていましたが、いざ原作がスタートすると どう書いていいのかが分からない……。
例えば次にありそうな創真 VS 水戸郁魅とか、まだ先の話ですが十傑である青葉は参加できない秋の選抜とか。青葉がいるので少しはオリジナル要素もあるかもですが、正直原作と料理も展開も何ら変わりなく進む予定なんですよね。けど、主要キャラはそこで出てくる。
勿論漫画と小説だと同じモノでも表現や印象は変わってきますが、だからといって全く同じ展開を書くのもどうなんだろうと私は思ってしまいます。
今回の前半の創真の編入試験なんか原作そのままですしね。どうやって書き出してまとめようか本当に悩みました。
そこで今回のアンケートとして、読者様に秋の選抜などで原作と同じ展開になっても、私が文字に起こした文として読みたいかどうかを聞きたいです。
まぁ秋の選抜はまだ先の話ですし、私が突然物凄い閃きをする可能性もありますが、ほぼ絶望的ですので……。勿論展開はそのままでも、青葉を絡めて多少のオリジナル要素も書けたらいいな~とは思っています。
仮にアンケート結果が偏っても、最終的に私が無理だと思ったら勝手に判断してしまうのでご了承ください。
下にアンケートがあるので、率直な思いで気軽に押してもらえると嬉しいです。
お気に入り、評価、感想なども。お気軽に。
青葉は出場しないが主要キャラの出る秋の選抜など、原作と同じ展開(多少のオリジナル要素は作る予定)でも、私が文字として起こした文を読みたいかどうか。
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原作と同じような展開でも読みたい
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原作と同じような展開なら読みたくない
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作者におまかせ、面白いならどっちでもOK