元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:ムメイ

131 / 216
セリフはもう諦めてくれ…僕のキャパオーバーや…
圧縮運行してこれだからいつもの様に膨らませたら多分短編一本分になるぅ…


Day112 結婚式

「それじゃあ警備をお願いしますねー!あとコーラいります?」

「要請を受けてPMC武器庫から来たジャベリンだ、よろしく。あとコーラは結構だ」

「右に同じく要請で来たデッドマンだ。報酬分は働く」

 

基地周辺警備の部隊が早朝から慌ただしく動いていた。

斥候役のSAAが代表して本日限りでD08基地の守りを固める二人の人間に挨拶をしていた。

本名は明かさずコードネームを名乗っている二人だが相応の報酬金を払っている。

その戦闘力は折り紙付きでよっぽどのことがない限り…それこそハイエンドモデルが大挙して押し寄せるようなことが無い限りは平気だろう。

もっともそんな非常時になることはありえないのがD08地区なのだが…

朝早くからヘリは飛び立ち、送迎用の車両が街へと繰り出す。

随伴護衛の人形もしっかりと警戒してから睨みを利かせるから良いだろう。

 

 

 

 

全ては整った。婚姻を告げる鐘も挙式をあげる式場も何もかも。

送迎は基地が判明している基地にはヘリを寄越してからピックアップしていくみたいだけど…

残念ながらそうでない組に関しては街間の交通費を出して各々来てもらい…それから街と基地の間を送迎する形になった。

フィッティングして出来上がったウェディングドレスはそれぞれを引き立たせつつ可憐に見せていた。

FAL、G36C、Mk23はそれぞれウェディングドレスがそもそも作られていたのでそれを着ている。

パーティードレスが用意されていたお姉ちゃん、スプリングフィールド、わーちゃんはそれをベースに白一色に染め上げて…

コサージュやヴェールを追加…細部に刺繍も加えていた。

問題だったのはUziとヴィオラだ…Uziにはそんなドレスやウェディングドレスもラインナップに上がっていなかった。

Uziはヴェクター用にラインナップされていたドレスを改修、ヴィオラはFive-seveN用の物をベースにしていた。

今日は朝からずっと忙しなく基地は動いていた。元々休みって言うこともあって前線警戒は隣のD07地区と現状D09に駐在する本部の部隊が担当する。

基地周辺の警戒が厳重に敷かれている、来客以外の招かざる客は警戒中のだーちゃんかSAAが発見。

狙撃態勢で待機しているM14かG28に足を撃たれるか頭に風穴が開くか。

門番付近でイサカと主任が各々の客人の顔写真とIDを参照してから通す。

データ共有用に受付におゆうぎしますちゃんが鎮座している。

受付済みなお客さんはその後は自由にD08基地内を散策できる。

基地内でのゴタゴタ対応や案内代わりにUMP姉妹とスオミが巡回している。

で、今私達花嫁組が待機しているのは出来上がったばかりの倉庫の一室。

なんというか…すごく異質な空間になってるなーって思うな。

一世一代の花嫁衣装を着た女の子が9人も並んでいるんだよ。

それも結婚する相手は一人の男性、みーんな揃って一人の男性が好きになっちゃってるのがなぁ。

ただの結婚と思ってたら普通に重婚でしたーなんてなったら客卒倒しないかな?

外の様子が全く見られないのはちょっと不安だけど…私達は私達の出番を待つばかりだ…

入場の際に手を引いてくれる人形とかは居ない。そりゃそうだ…

普通に考えてみたら人形にそんな相手は本来居ないし…そも人間の結婚式であっても両親が居ないって所が多い。

強く、一人で歩き伴侶と寄り添ってお互いを引っ張りあって行くのが今の結婚式じゃないかな。

 

「拝啓、名も顔も忘れてしまったお父様お母様…娘は幸せになってまいります」

 

私はぶっちゃけちゃうと兄さんに手を引いてもらうのもありかなーなんて思ったけど…

それは何か怪しまれるかもしれないから私は皆と同じでしっかりと一人で歩いてダーリンの元へと向う打ち合わせになっている。

それぞれお化粧も済んでお色直しのドレスも確認した所でヴィオラがお祈りしながら何か言ってる。

鉄血人形のパパママってなんだろうね?そもそもヴィオラってそういう概念があったのね。

 

「皆~そろそろよ~」

 

待機室に45姉が顔を出す、おそらくだが各々基地からの客人達が来たんだろう。

式はもうすぐ始まる…打ち合わせどおり、皆が先に行く。

さきにチャペルと化した倉庫の一室…誓いの言葉を告げる場に待つのは私達の夫。

受付の次は司会か…イサカが進行の為にマイクを握っているんだろう。

薄壁一枚隔てた向こうから声がする…厳かな音楽も流れているし…今回だけって言うのに凝ったなぁ。

先にFALを先頭にして花嫁行列が行く…拍手の音が聞こえてくるが…

まだ開いたままの扉、じっとそんな扉を見ている新郎に会場内が怪訝な感じ。

挨拶回りした二箇所からは私の姿がないのが不思議でたまらないって感じだな…

一度仕切り直しの為に…と扉が閉められ…私が立つ…両耳に飛び込む蝶番が軋む音。

チャペルの扉が開かれる。赤い絨毯が敷かれたヴァージンロードとその両脇を固める大勢の人、人、人。

真っ白な内張りにステンドグラス風の天窓…十字架、立派なチャペルだ。

神父も壇上に待機していて後は私がこのヴァージンロードを歩んで新郎の元へと行けば良い。

 

カツ…カツ…とヒールの音を鳴らしながら一歩一歩しっかりと足を踏み出していく。

緊張が一周回って落ち着いてきている。婚約指輪代わりのネックレスもイヤリングも身に着けている。

厳かな雰囲気の中しっかりとしたタキシードに身を包んだ夫の元へ…

誓いの言葉は少し雰囲気が違う。元々は1対1の結婚で用いられるものだからだ。

夫は1人、妻が9人…しかしながら何時如何なる場合でも共に助け合い歩んでいくこと…

愛し、慰め、敬い…この生命がある限り捧げていく…それを誓う。

指輪の交換は代表して私が行い…そして誓いのキスにて式はおしまい…

皆しっかりと誓いのキスを貰って改めて私達はこの人の物になるんだ。

心は既に…あとは身を捧げていくだけ。

 

式の参列者にも並んでもらって記念撮影をする。9人も嫁が居るからポジション取りが大変だ。

結局私がダーリンの腕の中にすっぽり抱いてもらってその脇や斜め後ろ等を固めることになった。

呆れの表情も見えたりするけど…それでも皆それぞれ祝福してくれる雰囲気だ。

 

ブーケトスは誰の手に行ったかな?既婚者の元に行ったら大変な気がするけど。

 

 

さて、次は披露宴だ。警備してもらっていた人間二人にも参加してもらう手立てになってる。

G36が主にめちゃくちゃ張り切って頑張ってたから味とかは良さそうだな。

各々お色直しのドレスに着替えてから披露宴会場になっている一室の前に集合。

中で司会を担当しているのはG36みたいだ…アナウンスがあって扉が開かれる。

総勢10人用のテーブルを用意するのはあれだったけど…まぁ後は飲んで騒いでだね。

ケーキ入刀してから始まった披露宴。ケーキはまぁ大きく作ったけど…

やっぱりと言うか甘い物大好きで大食らいなユノちゃんが食べるし…

最近食欲旺盛な45姉が平らげるでしょ。

 

ヴィオラはまぁボロボロおんおん泣いちゃってから自分の席で動けずに居たし…

じゃあって事で夫婦での挨拶回りは代表して私とダーリンで行くことに。

と言うか各々勝手に騒ぎ始めた…真っ先に向かったのは以前結婚式にお邪魔したユノちゃん一家の所。

テーブルを囲って談話していたけど私達が近づくと祝福の言葉を投げかけてくれた。

まぁあの時の余興みたいなのは今回は無い。普通に飲んで騒いでで終わるつもりだ。

相変わらず仲良し夫婦みたいで見せつけられたけど負けじとこっちもイチャついてやった。

ユノちゃんの行動は天然みたいだったけど…なるほど、こういうのがこの夫婦なのか…

それにしても子供かぁ…擬似的なものだけど子持ち家族って羨ましいな。

 

次に向かったのはF小隊の場所…どうやらF45の酒癖が悪いということで禁酒令が敷かれていた。

まぁ間違えないようにとG36がちゃんと気配りしてるから自ら無理矢理に飲もうと思わない限りは口にされないはず。

F9とF416、F11もユノちゃん所の結婚式で顔を合わせて以来だ。

軽く談笑していたけど…やっぱりかなりキャラが違って見慣れた顔だけど全然違うなって。

相変わらずF416の喋りが一枚ちょっとフィルター介してだから理解にワンテンポかかる。

 

「Hey,417 Your Big tits Got bigger...hah,Pregnant?」

 

かなり度のキツイセクハラがすっ飛んできたのはどうなんだこの野郎。

人形が基本的に妊娠なんぞ出来ないのを知ってのこの発言か?

なんかノリが普通にアメリカンって感じだなぁ…顔がお姉ちゃんだからまたなんとも…

 

で、次に向かったのは談笑中だったこれまた結婚式で顔合わせしていた人達だ。

まぁ話はしてなかったけど…ダーリンは挨拶に行ってたっけかな?

アレクサンドラ・プーシキナ指揮官とその誓約人形のG3。

あとS09地区のユノちゃん所とは別の基地に所属しているガンスミスさん。

私達戦術人形が握っている銃に関する解説を放送しているラジオパーソナリティ仲間らしい。

私が握っているHK417に関しては…残念ながら資料不足でボツになったらしい。

その代りにお姉ちゃんのHK416に関しては放送していたらしいから後で音声データを拾ってみようかなって思う。

ガンスミスさんはデリケートな銃器のメンテンスが主な仕事らしいから今度依頼してみようか?って話も持ち上がっている。

まぁウチの整備班が腕が悪いとは言わないけど専門家と比べたらね…

 

次は…とその隣で二人ラブコメ空気を漂わせていた未婚カップルに顔を向ける。

今回のこの会場になった倉庫やら食材等を工面してくれて当分頭が上がらない相手だ。

補給基地…通称HUBのハワード・エーカー指揮官とトンプソンのカップルだね。

もう声を掛けてから私達そろってぺこぺこ頭を下げちゃってから…

ありがとうございましたって言って手を握ったら隣のトンプソンから殺されそうな視線が来た。

ブーケトスのブーケはトンプソンが取ったでしょ、ほら次はお前たちの番やぞ。

結婚式挙げるんだったら喜んでお祝いに行くし余興は任せておけって感じ。

 

 

「貴方が結婚とはね…」

 

そう言ったのは私と同じ銃HK417を担いでいる別な人形。

S09地区の廃棄都市からの回収作戦で交流を持ったHK417…の16インチモデル。

区分はAR人形ってのが違うかな?でも戦闘スタイルは案外似通ってるかも。

お互い戦闘中の事と…例外的に会った一回限りのラジオで顔を合わせたくらいだったっけか。

今回結婚するってメッセージを送ると駆けつけてくれた。

ちゃんとおめかししてて凛々しい感じだけど可愛らしいなって思うな。

知らない人ばかりの場所に連れてきた感じだけど楽しんでくれてる様子だから良かった…

ちょっと目の前でイチャついたら見せつけは良いですと苦笑いされた…

 

次からは本当に初対面の人達ばっかりだ…どうやってこの結婚式の事を聞きつけたんだろうか?

502小隊…指揮系統に加わるのが致命的にダメな小隊らしい。

一匹狼が寝床を共にして戦場も共にしているけど…とにかく独断行動が多い連中らしい。

サベージ110BA、P90、FN MAG、ダネル MGL-140の4人から構成されている。

聞きつけたのは一番最後のMGLが取ってきたらしい…まぁ飲んで騒いでが出来れば良いみたいなノリかな?

マシンガントークが始まったけどコレはただ単なるMAGの信念というか…根底?からくるらしい。

マシンガンが正義っつー訳だ!とりあえず撃たせろみたいなノリ?

ウチのスペクトラとは良いお酒が飲めそうだね、アンタ…

 

さらに賑やかし要員が居た…出番はまだか?まだか?とでっかい銃構えてる人形が居た。

名前はバルカンと言う。特定地区に居るわけでなく派遣で訪れることが多い。

所謂本部所属のハイエンドモデルだね。今回なんで呼ばれたか?

いい加減弾をばらまかせろと本部のヘリアンにねだったらしい。

そこで今回の唯一の余興になるかもしれない花火を盛大に…分発6600のレートで空に打ち上げてもらうんだ。

特別にベルトリンク式の花火玉を用意してもらって遠慮なくぶっ放してもらう。

食事やお酒よりも早く撃ちたいって感じだ…まぁ待っててよね?

 

「お、このジャックダニエルうめぇな…おかわり!」

 

訂正、普通に酒飲んでるわ。まぁ愉しんでないよりは全然マシだからOKか。

 

 

で、最後にお話をしたのはこの基地の警護で呼んでから披露宴に無理やり引きずり込んだ傭兵さんお二人。

死に場所を求めているような…なんというか雰囲気もそうだけどコードネームが不吉なデッドマン。

人間らしいけどそのほとんどが義肢らしい…食事は私達と同じ技術が使われてるか食べれるみたいだ。

ただ触覚などは死滅していて私達よりも…これは失礼かな。ともかく警備に来てくれたことを感謝しつつ楽しんでいってもらえたら幸いだと告げた。

もう一人の傭兵は…G&Kと提携しているPMC武器庫のジャベリンって人だ。

鉄血ハイエンドモデルにトラウマ持ってるらしくヴィオラを見て怖がっていた。

雰囲気で全然違うってのを理解してもらってなんとか落ち着いてもらったけど…

まぁその後は普通に披露宴を楽しんでもらえてるかな?

だーちゃんに関して何か慣れてるみたく普通に扱っていて慣れを感じさせていた…

 

 

「さて、ご歓談中の皆様…もうそろそろ閉宴のお時間が迫って参りました、ここで新郎よりお言葉をどうぞ」

「あー…コホン、本日は突然の式に駆けつけてくださりありがとうございます!また重婚とは出た真似をしましたがこんな俺を慕ってくれている嫁達共々幸せになっていきますのでよろしくおねがいします。」

「では最後に余興といたしまして…バルカン様による打ち上げ花火が催されます…そちらをご覧になられてからお帰りの案内とさせていただきます」

 

G36の司会進行と共にバルカンが「よっしゃぁ待ってたぜぇこの瞬間をよぉ!!」と飛び出していった。

いや、撃つのは皆が出揃ってからでお願いするよ?

 

夕焼け空、いくつも打ち上げられては消えていく大輪の華。

私達を照らしてその儚くも華やかな一瞬のようにこれからを歩んでいけたら良いなと思う。

 

引き出物、どうしよう…




描写が薄い?申し訳ねぇ…
もうさ、各々にぶん投げスタイルです…サーセン…

コラボ元

「それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!」よりユノ一家 作者:焔薙
「傭兵日記」よりジャベリン 作者:サマシュ
「ドールズディフェンスライン」より502小隊 作者:Rione
「G&K補給基地の日常」よりハワード・エーカー指揮官・トンプソン 作者:ソルジャーODST
「指揮官とG3がお送りするドルフロ銃解説」よりアレクサンドラ・プーシキナ指揮官とG3 作者:スツーカ
「404小隊(大嘘)」よりF小隊 作者:Big Versa
「IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN」よりデッドマン 作者:HIKUUU!!! 
「妄想フロントライン」よりHK417-16 作者:杭打折
「ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー」よりガンスミス 作者:通りすがる傭兵
「破壊の嵐を巻き起こせ!」よりバルカン 作者:oldsnake

総勢10作品とのコラボって…頭おかしいにょ…
お祝いに来てくれてありがとうございますにょ
これだけ来てくれて417ちゃん愛されてるなって…思って嬉しく思っております。
こんな僕のですけど続けられる限りは続けていきますから…どうぞこれからもよろしくおねがいしますね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。