元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん   作:カカオの錬金術師
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あと指揮官の挙動はやりすぎましたね、反省します。
でも変態だから多少は許して。


Day7 ちゃんとした整備と波乱の予感

目が覚める…ここはD08基地、日夜鉄血人形とドンパチしている前線。

私はHK417、元人間元男…現在戦術人形のおバカ。

人形化の原因が自分だって思い出して呆れたけど…ある意味良かったのかな?

あのまま就職難でも自殺してたかも知れないし…第二の人生波乱の幕開けだけどいい感じ。

何だかんだ戦場が合ってるのかも。最前線は嫌だーって思ってたのに…

 

「ふぁぁぁぁ…あ、おはよー417」

「おはよう、スコーピオン…昨日はよくもやったわね」

「あっはははーつい♪指揮官と何かあったんでしょ?」

「教えないわよ、ふんっ…」

 

起き抜けのスコーピオンに早速誂われる。

どうやら私はカースト下位らしい、しばらくはこうしてオモチャにされるのね…ふふ…泣けるわ。

 

「…あら?早いのね417」

「おはよう、Mk23」

「わたくしより早いのは素晴らしいんじゃない?早くダーリンに挨拶に行かなくちゃ♪」

「あっそう…」

 

あんなセクハラ変態魔人が良いのかしら?

そう言えばMk23もセクハラされるのかしら…されそうね。

 

「勿論よ、それでも好きなの」

「え、あ…そう…」

 

恋する乙女はなんとやらって奴かしら。

というかナチュラルに心を読まないで。表情に出てる?

こんな心情をすぐに読む人形怖いわ…私も人形だけど。

そんなこんなでMk23は「待っててねダーリィィィン♪」なんてドップラー効果残して行った。

爛れてない?この基地…第三次大戦末期じゃないんだから…

 

あと起きてないのはM14とUziね。

確か第三小隊の作戦開始は…昼過ぎ。なら無理に起こすのも無いわね。

私は指揮官に挨拶してから…あとちょっと苦情入れてから工廠に行きましょう。

I.O.Pの職員が首を長くして待っていそうだから…

 

 

―――――――――――――D08基地司令室

 

 

「おはよう、指揮官…何やってるの?」

「おはよう417…見ての通り、朝の癒やしの時間」

「ダーリン、こっちを見てくれなきゃイヤよ?」

「はいはい、マイエンジェルソーコムちゃん」

 

…その尻尾の通りに発情した猫みたくなってるMk23が甘えていた。

…頭が痛くなる光景に頭を抑えた私は悪くない。

膝の上でゴロゴロと喉を鳴らすMk23とそんなMk23の胸元をガン見してる指揮官…

頭痛に悩まされながら意見具申に机をぶっ叩く。

指揮官の目とMk23の目がこっちに向いた。

 

「セクハラも大概にしていただきたいけど…それより、私から一つ提言です。

無線での交信ですが…コールネーム制止めません?はっきり言って指揮系統に混乱が出るかと。

ストライカーをコールネームにするなら小隊全員に配分するべきかと…

それ以前に鉄血のガラクタは傍受するなんてオツムがあるヤツ…見ました?見てませんよね。

はっきり言って無駄です。そもそもコードネームがあるんですからそれで呼びましょう?」

 

「お、おう…かっこいいと思ったんだけどなぁ…」

「かっこいいで混乱した私が居ます、これから配備される人形も同じだと思います。

ですので…危なっ!?」

「あいだぁっ!?」

 

この変態は…!ちょっとスキを見つけたと思ったら手が出るのか。

つい反撃でグーパンチしたのは悪くないわよ。むしろナイスな反応でしょ、私。

ふふん、やっぱり私は完璧ね。

 

「今日の予定の工廠での調整に行ってきます」

「ぉーぅ…いってらぁ…」

「大丈夫?ダーリン、おっぱい揉む?」

「前が見えねぇ」

 

吐き気を催しながら私は司令室を飛び出した。

甘ったるい空気にも、私の頭にも嫌気が刺す。

バカなんじゃないの?バカなんじゃないの?

 

 

―――――――――――――D08基地工廠

 

 

「待っていたよ、417君…さぁそのベッドに寝たまえ。義体の調整を開始する」

「お願いします…終わるのはどれくらいになりそうです?」

「予測では昼には終わるが…キミは特別だからな、夕暮れになるかも知らん。正直に言ってしまえば分からん。」

 

身も蓋もない、職員をしても分からないとは。

私のAIのコピーも取ってダミーの作成を完了するらしい…

運び込まれている義体は…見知った私の身体がずらり3体…

ぁ…作業が始まる…意識が遠のいていく…

 

 

「どうだ?AIのコピーは」

「…ダメです、芳しくないですね…このAIなんでこんなに複雑化してるんだか…しょうが無いから動くようにだけします…」

「となるとバックアップが効かない人形になってしまうな…AR小隊の人形と同じく…」

「えぇ、ほぼワンオフの人形になりますね」

 

カタカタと端末に対して顔突き合わせて唸る職員。

職務と私情は別なのだろう複雑な顔をしながらも417の身体を仕上げていく。

元々AR用の身体のセッティング。エッチングのみではカバーしきれていなかった。

その無理を矯正し各部パーツの再設定、組み換え。

未熟なエッチングも職員の手で正されていった。

ちゃんとした施設ではなく破棄された施設で行ったエッチングは未完成な物だったのだ。

正規のAIではマトモに当たったものでは無いだろう。

 

「なんだこのエッチング…たまげたなぁ」

「うわ…これは素人がマニュアル片手にしてますね…」

「人形自らが応急でしたんだ、そうなるだろうさ」

「それが不可解なんですよね…本来ならば起動すらしない筈」

「分からん…本社に送れば分かるかも知らんが…とにかく今は作業だ、イイナ?」

「アッハイ」

 

こうして作業は粛々と進められていく。

人形は眠る、すやすやと安らかに…忙しなく動く工廠に反して。

 

 

「おー、次の配属の人形のマニュアルか?」

「はい、新設の第四部隊に配備予定の人形たちですね。」

 

メカマン達がざわめく、配布される資料に目を通す。

新規に発注した人形の整備マニュアルである。

 

UMP45

UMP9

HK416

G11

 

以上四体の整備マニュアルだ。

メカマンは揃って調整中の417に目を向ける。

聞き及ぶ416の性格上問題が出る未来がみえたのだ。

 

「アフターケアはしっかりやろうな。なっ。」

「そうすりゃ俺らがあの子達のハートをつかめるチャンスも」

「いやねーよ、俺らなんて」

「そんな事よりオナニーだ!!」

「おいコイツをつまみ出せ」

 

「「うす」」

「ナニスルダー!」

 

工廠は眠らない。人間の賑わいで何時も溢れている。

喧騒に包まれる417の寝顔がうっすらと微笑んでいた…

 

 

―――――――――――――夕暮れのD08基地工廠

 

「ん…んん……終わった?」

「うむ、ばっちりな。ダミーリンクも終わっている。」

「……そのようね。」

「「「バッチリ、完璧よ。」」」

 

異口同音、整然と並んだ私のダミーは私の命令通りに動く。

そうでない時は各々のAIで動くみたいだ…常に肩肘張る必要は無いのね。

ただ…所作にぎこちなさが残るわね…

 

「実はキミのAIはバックアップ出来なかった

ダミーのAIも似せたが…オリジナルと一緒ではないな。」

 

まぁそうよね…とは言えないけど。

すんなり胸に落ちた。人形として生きるにも一度っきりの人生ってことでしょ。

ダミーなら死んでも直したり出来るけど…

うん、そこのAI見せブラがあるからって上着をはだけさせなーい。

FALのマネ?よーし本体の言うこと聞きなさーい?

楽だって?…あら本当…でもこれだと痴女よ?

 

「ヒューヒュー、見ろよあのおっぱい」

「打つわよ?」

「ヒエッおっかねー」

 

メカマン達が野次ってきた。

男の目があるのを自覚しなさい、私…どうであれ私は女として見られる。

それは否応無しの事。認めなければならないこと。

吐き気を催していたら壊れるわ。

順応しなければ死ぬのは…()ね…

 

調整の終わった身体での射撃をしたかったけど許可は降りなかった。

的は無いし訓練場も無いから認可できないとのこと。

あら?あの説明書は……あ。

吐き気してきた…ナンデヨリニヨッテ…

 

 

―――――――――――――D08基地司令室

 

 

「失礼します、417です」

「ん、入れ」

 

吐き気をひた隠しにしながら工廠を後にした私は指揮官に報告に来た。

まぁ報告は工廠から直接上がってるでしょうけど…

指揮官もホクホク顔だ…私の仕上がりがそんなに嬉しいのかしら?

いや、違うわね…()()()の事が大きいと思う。

 

「細かな修正だが…ふーむ、おっぱい…」

「ブラは仕方ないでしょ…事故が起こったら…だ、大体これだって恥ずかしいのよ!?ジロジロ見ないでっ!」

「へぶっ!」

 

あぁもうこの男は!おっぱいを見て少し落胆したぁ!?

ブラで隠されたのがそんなに不服!?上着がはだけて露出はしちゃってるのに!?

頭掴んで机に叩きつけてやったけど…あぁもう、調子狂うわ…

 

「だが…良いな、綺麗になったな417」

「っ…そ、そう?まぁ…私、完璧ですし?」

 

なにこれ…嬉しい…?綺麗って言われて嬉しい?

いや、違う…違う違う!

ぶんぶんと頭を振って復活した指揮官に対して踵を返す。

そのまま飛び出していく。

あんな男最低なのに…!

綺麗なんて言われただけで…ばーかばーか私のばーか。

 

「あ、アンタは…」

「…WA2000、ふぅん…この基地に居たのね。」

「フン、どんな新人かと思ったら失礼ね。まぁ私の事は知ってる様なら良いわ!

同じライフル同士仲良くしてあげても…良いのよ?」

「うん………じゃあね、指揮官によろしく。」

 

WA2000、高性能のRF人形。私と領域は同じ。

ただ私と違って銃自体のマルチロール性は無いから狙撃一辺倒ね。

手に持ってるのは作戦報告書…今日の副官はWAだったのね。

正直、この基地の人形は把握していない…一応周知されてるから私の存在は知られてるみたいだけど。

困るのよね…こういうエンカウントが…それにしても自尊心が高いこと。

…おっぱいもあるからアイツにセクハラされるわね。

 

「何よ文句あるわけ!?」

「見てるだけじゃないか…それより書類はもっと丁寧に主観は省いて…」

 

背後から聞こえてくるのは…あれ?仕事してる?

ふぅん…一応スイッチのON/OFFはできるのね。見直した。

早く食堂で遅いディナー楽しんで…後、スコーピオンから明日の指示を聞いて休もう。

今日のディナーメニューは…やった、カレーだ♪

山盛りは…食べなくても良いか、普通によそってもらお。

 

―――――――――――――D08基地食堂

 

 

食堂につくとそこには第三小隊のメンバーが揃って居た。

食事を受け取ってから食事する職員の合間を縫って合流する。

 

「やー417、今日はおつかれー」

「お疲れ様…私は調整で眠ってばっかりだったからそうでもないわ」

「あ、そうそう私は後で同じRFとしてデータのフィードバックがあるみたい。本気出したら引けを取らなくなるかも知れないぞ~」

「あら、可愛いブラじゃない…ダーリンに褒められた?」

「ブラじゃないよ!ちゃんとした衣装だってば!!…私じゃない?」

「「「「違う」」」」

 

ふふ、おかしい…スコーピオンはゲラゲラと笑いだして。

M14は不敵に笑って私に対抗心向けて。Mk23はからかいに来て…Uziはポカンとしてる。

私は私でおかしくてクスクス笑っちゃっていて。

あのバカの事なんて忘れてすんなり食事にありつけた。

ムードメーカーって大事ね。

 

だからこそ、この中から死者は出させないわ。

私の人形としての新たな一歩を胸に誓っていた。

 

「417どうでもいいけどおっぱいは机に載せない、行儀悪いよー」

「え、載っちゃうものじゃない?」

「載らないかなぁ…うん、うん」

「載らないわよ、載せようと思ったら載せれるけど♪」

「そういう事言わないで…ほらぁ…変な注目されるじゃないのぉ……」

 

スコーピオンが発端、Uziの天然からの飛び火で私が集中砲火。

私の扱いはもうこうなのね…いじられ役かぁ…

Uziが仲間の眼をしてこっち見てる

 

「大丈夫?まぁそのうち慣れるわよ」

「平気よっ…ふんっ」

「なら良いけど、カレーうまー♪」

 

Uziは周りの目を気にせずのんきにカレーを食べ始めた。

私も食べよ…ん、美味しい。

けど何でかしらね、しょっぱいわ…(涙目)




ちょっと役のわーちゃん、ポジは417ちゃんとほぼ同じ。
同部隊内での弄られキャラであり言わずと知れたツンデレちゃん。
いや、ツンに見せかけたデレデレキャラだ。

あとHK416満を持して次話登場。
やったね417お姉ちゃんだよ。


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