ワールドトリガー 《蒼の騎士》、軌跡の果てに 作:クラウンドッグ
修業に際して、まずは師匠から教わった型を徹底的に「守る」ところから修業が始まる。師匠の教えに従って修業・鍛錬を積みその型を身につけた者は、師匠の型はもちろん他流派の型なども含めそれらと自分とを照らし合わせて研究することにより、自分に合ったより良いと思われる型を模索し試すことで既存の型を「破る」ことができるようになる。さらに鍛錬・修業を重ね、かつて教わった師匠の型と自分自身で見出した型の双方に精通しその上に立脚した個人は、自分自身とその技についてよく理解しているため既存の型に囚われることなく、言わば型から「離れ」て自在となることができる。このようにして新たな流派が生まれるのである。
wiikipediaより引用
北添尋。影浦隊の銃手。体格の良い彼はしかし、足が遅い、的が大きい、程度の弱点しかない。銃手としての能力は平均的に秀でていて、レーダーであたりをつけて撃つ“適当メテオラ”は「これはうざい」とやられた隊員らの評判だ。
そんな優秀な銃手の北添だが、今回ばかりはその弱点が致命的だ。
足が速い刀也と南沢はすでに北添の近くまで迫っていた。グラスホッパーを使い高速機動を行う刀也と南沢から少し遅れて三雲も追ってきている。
その時、再び轟音が響いた。雨取千佳のアイビスが東岸の防波堤を破壊したのだ。町に水を呼び込む浸水の計だろう。グラスホッパーを持つ空閑にはハンデにならない。なるほど良く考えていると刀也は三雲の評価を上げる。
やがて北添の背中に追いすがった刀也と南沢、一歩リードしているのは南沢だ。
「もらいっ!」
グラスホッパーを踏み込みさらに加速した南沢は孤月を構えて北添に斬りかかる。しかし逃げていたはずの北添はくるりと身を翻してアサルトライフルを連射した。
「わちゃちゃ!」と奇声をあげながら南沢はシールドを張り、撃ち出されたアステロイドを受け止める。その横をすり抜けるようにして刀也が前に出た。
刀也にとり北添の反撃は予想できた事柄であった。そのため南沢に先手を譲り北添の反撃の的としたのだ。
グラスホッパーを連続で使い、的を定めさせずに刀也は北添に迫る。しかしあと一歩という距離に入ると同時に超直感が危機を報せてきた。北添に突撃を仕掛けるはずだった足でそのまま後方に跳躍する。それとほぼ同時にイーグレットによる狙撃弾が刀也を掠める。絵馬の狙撃だ、あのまま突っ込んでいたら頭を撃ち抜かれていただろう。
絵馬の援護により得られた時間で北添は銃口を南沢から刀也に変える。ばら撒かれるアステロイドの弾丸をグラスホッパーで避けながら、南沢が孤月を構えているのを刀也は見ていた。
一瞬の後に抜き放たれる旋空孤月をやはりグラスホッパーで避けるも北添の銃口は変わらず刀也を狙い続けている。グラスホッパーの連続展開による動き方も読まれつつあり、避け切れないと判断した刀也はシールドを固定モードで起動する。耐久力が上がる代わりに動かす事ができないが、それによって刀也は北添のアステロイドをすべて防ぎ切った。
そこでようやく三雲が追いつき、アステロイドのキューブを展開する。狙いは刀也だ。刀也は北添、南沢、三雲の3人から囲まれていた。囲いの内側は圧倒的に不利であり、刀也のようなタイプは攻撃してこそであり、避けるのではなく防ぐ選択をした今ならばいずれシールドも砕かれて緊急脱出するのが落ち。
二宮さえも倒した今季ランク戦のダークホースの1人を撃破するために三雲ら3人は一時的に協力する姿勢であった。
3人の攻撃が重なり、刀也のシールドが砕かれる。次撃でとどめ、といった所で刀也の首がぐるりと何もない方に向いた。
3人の視線は刀也の視線の先に向き、攻撃もまた然り。何もない場所にアステロイドが、旋空が叩き込まれる…がそれもすべて空を切る。当然、そこにはないもないのだから。
攻撃が別の方向を向いた刹那、刀也はグラスホッパーを展開し北添に肉薄。すれ違いざまに首を切り得点する。
刀也はそのまま駆けていく。狙いは絵馬であった。
☆★
「ここで夜凪隊長が得点を挙げました!3人に囲まれ窮地かと思われましたが、切り抜けるだけでなく北添隊員を撃破!というか何が起こった!?」
北添、南沢、三雲、おそらく絵馬も刀也が視線を向けた何もない場所に狙いを定めていた。
当然のように空振り…なぜそんな異常事態が起きたのか、武富にはわからない。観衆の大半もどうしてすぐにでも倒せそうだった刀也から狙いを外したのか理解できていない。
しかし解説の2人は何が起こったのか理解していた。加古はいつものように「ヨナさんらしいわね」と微笑むのみで、風間が解説の役割を果たすべく、何が起きたのか説明する。
「前回のROUND3で夜凪は二宮を倒して見せた…あまりにも鮮やかな手並でだ。テレポーターを使った技は目に焼き付いているだろう…特に今回、夜凪隊と戦っている連中はな」
「夜凪隊長を警戒し、対策を練ってきているわけですね」
「それを逆手に取った。夜凪はテレポーターが警戒されていると読んでいた。だからあらぬ方向を向いてテレポーターを使うと思わせた。テレポーターの出現先は視線の先数十メートル…北添たちは夜凪が出現するはずの場所に向けて攻撃したつもりだろう。だが実際には夜凪はテレポーターを使わず北添たちの攻撃が逸れた隙に囲いを抜けた」
「警戒されているからこその効果的なフェイント…!」
「だけど無傷とはいかなかったようね」
モニターを見ると刀也のトリオン体には削られた痕があった。三雲のアステロイドによる傷だ。三雲は刀也のテレポーター出現先にもアステロイドを向けていたが、それがフェイントである事も予想してアステロイドを分割し2ヶ所に攻撃していた。
片方が空振りでも、どちらか片方は当たるように。最新の“生徒”らしい刀也の底意地の悪さを理解したような三雲に観衆は少なからず評価を上げていた。
西岸の状況が移り変わるのと同じように東岸でもさらに戦闘は激化していた。
☆★
東岸の防波堤を破壊した閃光は空閑遊真の守るビルの屋上から放たれていた。序盤に橋を撃ち落とした狙撃位置から変わらず雨取千佳はずっとそこにいたわけだ。
なら今は?今もまだビルにいるのか?まだ移動していない事も考えられるし、今度こそ移動したとも考えられる。雨取は普通の狙撃手だ、狙撃する毎に位置を変えている。………と、悩ませる事すら玉狛第二の作戦の内なのだろう。
何も勝つために雨取を必ず倒さなければいけないというわけではないのだ。狙撃手という厄介な駒ではあるが人が撃てないのなら脅威度は低い。
それに今は雨取は浮いた駒でもある。クロウは追って点を獲りたい場面だからこそ戦っている遊真たちに奇襲を仕掛けるという選択肢もある…意識の隙を突くのだ。
戦場慣れしている遊真には効果が薄いかもしれないが、影浦や水上などには有効だろう。否、影浦には感情受信体質があるから実質的に狙い目になるのは水上のみだ。
クロウはバッグワームを起動すると素早く駆け出す。
奇襲を仕掛けたはずの水上はしかし、劣勢に追い込まれていた。
遊真にダメージを与えたまでは良かったが、問題はそこからだ。町が浸水し、動きが鈍くなってしまう。トリオン体ならば動ける範囲だが足場になりそうな建物は粗方雨取のアイビスにより吹き飛ばされてしまっている。
それでも死角というのはあるもので、グラスホッパーを持つ遊真は物陰に隠れては奇襲を仕掛け、再び姿を消すという一撃離脱の戦法を取るようになっていた。
遊真が姿を消したという事は水上は影浦と一対一の真似事をしなければならないのだ。遊真による奇襲は影浦に向いているとは言え、水上に影浦の相手は荷が重い。
やがて水上の目前に影浦のマンティスが迫った瞬間、
「スラスター」
その刃を横から割り込んだクロウのレイガストが叩き割る。
すでに満身創痍の水上は動けず、追撃しようとした影浦にはハンドガン型のハウンドで牽制し、横からかっさらおうとする遊真はスラスターで突っ込む前に撃っておいたハウンドで足止めする。
続くレイガストの一振りで水上を緊急脱出させる。
「2点目」
☆★
刀也に狙われた絵馬ユズルの判断は早かった。かつてA級ランク戦でやり合った時もそうだったが、刀也に狙われて逃げ切れる狙撃手は稀だ。それに狙撃も効かないとなれば、ひたすらガン逃げして時間を稼ぐか落とされる事を前提で何か仕事をするかという話になる。いつもなら前者を選ぶ絵馬であったが、今回のROUND4、北添が点を獲れずに緊急脱出させられた事に加え影浦も十全に動けない状況にあると言う。ならば、とスコープを覗く。丸いレンズの先に捉えられたのは南沢であった。
刀也が逃げたその場に残ったのは三雲と南沢。本来なら歯牙にもかけられず敗北するはずの三雲は遮蔽物などを使いながら巧みに南沢の攻勢をいなしていた。
それに南沢は忘れているかもしれないが、刀也には超直感のサイドエフェクトがある。ならば影浦隊劣勢の今、狙撃手である絵馬が選択するのは三雲か南沢の狙撃。
そのため三雲は壁抜きの狙撃なども警戒しながら遮蔽物に身を隠して南沢が絵馬に狙撃されるのを待っているのだ。南沢が撃破されればバッグワームで身を隠して刀也と生駒を潰し合いをさせ、横から点を獲れるかもしれない。
三雲の読み通りほどなくして南沢の頭が撃ち抜かれる。それとほぼ同時に刀也が向かった方からも緊急脱出の光が空を駆けるのが見えた、おそらく絵馬だろう。
十中八九、刀也はすぐにでも戻ってきて三雲を撃破するつもりだろう。その前にこの場から姿を隠してここに向かってきているであろう生駒と潰し合ってもらう。
しかし、すべてがそう上手く運ぶわけがなく。
オペレーターである宇佐美がレーダー上に現れた光点がすぐ近くにいる事を報せる前にーーー
「旋空孤月」
生駒旋空により三雲は両断されていた。壁抜き狙撃ならぬ壁越し旋空……二宮さえもを撃破せしめる生駒の旋空孤月による攻撃だった。
南沢、絵馬、三雲と続いた緊急脱出に刀也は何が起きたのか正確に把握する。
「三雲は今回いいとこなしか……これがなきゃ」
と自らのトリオン体から煙のように漏れ出るトリオンを見る。テレポーターを使うと見せかけて囲いを脱出する時に三雲につけられた傷は刀也の腹部を深く抉っていた。
「まったく…大した生徒だ」
騙されたのだとしてもただでは済まさないという意思を感じる刀也。B級上位の洗礼を与えてやるつもりが、まさか先生を撃破するという快挙を与えてしまうかもしれないという危機だ。
すでに傷を負ってから2分は経過している。トリオンの漏出は止まらず、おそらく5分後には緊急脱出してしまうだろう。
その前に西岸を決着させなければいけない。生駒達人ーーー勝負だ。
それはまるで、武道家同士の決闘のようであった。
ランク戦は言ってしまえば近界民との戦闘を模する隊の合同訓練。小さな戦争と言っても良い。
だがそこには静謐があった。木の葉の1枚さえ音をたてる事を遠慮するかのような。
互いを視認できる距離。
夜凪刀也と生駒達人。
構えは、同時。
☆★
水上を撃破したクロウに迫る遊真と影浦。クロウは今やレイガストを振り切った体勢ーーー打てる手はないという判断なのだろう。
「甘いぜ!」
そのままスラスターを起動し、勢いのままに回転切りを放つ。かつて使っていた戦技クリミナルエッジを模した技に、クロウに襲いかかっていた2人は弾き飛ばされる。
しかしいち早く体勢を立て直した遊真はグラスホッパーを使い影浦に肉薄する。クロウのハウンドから致命となるものだけをシールドで受けーーー派手に着水した影浦にスコーピオンを突き立てる。
影浦雅人、緊急脱出。
遊真に影浦をかっさらわれた形になったクロウだが、焦りはなかった。東岸に残るのはあと遊真と雨取のみで、すでに四肢の節々に穴が空いている遊真を倒せば後は雨取を探して撃破すれば良いだけ。
そんな勝利への確信を曇らせるように、遊真が叫ぶ。
「今だチカ!」
合図と同時にアイビスを撃つ雨取。狙いは遊真とクロウの中間。地面を穿ち、粉塵という名の煙幕が2人を包む。
「ここで大砲かよ…!」
驚くクロウだったが、その行動は早かった。再びクリミナルエッジの要領でレイガストを振り抜き、その剣風で粉塵を吹き飛ばす。
するとすぐ近くにあったのは瓦礫に突き刺さった遊真の右腕ーーーああ、煙幕が晴れていなかったらこれを遊真と勘違いして攻撃していたかもしれない。
「惜しかったな」
背後に回り込んでいた遊真にスラスターを起動させたままのレイガストを投げつけ胴体を2つに分かつ。
刹那、遊真の残った左腕が蛇のように動き、スコーピオンの刃がクロウに迫ったが、わずかに距離が足りずそのまま砕け散る。
「マンティス…!この土壇場でまた成長しやがるか」
遊真が緊急脱出するのと同時に遠くのビルからもう一つ同じものが空に登っていく。雨取千佳のものだろう、防波堤と周辺の建物を破壊した後は移動していたわけだ。確かにさっきの煙幕の時も大砲は遠くからだった。
通常、緊急脱出は本人の意思でいつでもできるようになっているがランク戦の時は60メートル圏内に敵がいない事という条件が追加される。玉狛はいつでも雨取が緊急脱出できるように距離を取らせたのだった。
「さて、こっちは終わったぜ刀也。見せてみろよ…おまえの意地ってやつをな」
☆★
構えは、同時。
「「旋空ーーーー」」
決着は、一瞬。
「ーーーー孤月」
先に剣を振るったのは生駒だった。0.2秒の凄技、拡張された斬撃を刀也は半身になって避ける。
避けられたが生駒にはまだ余裕があった。まだ距離は40メートルある。つまりまだ刀也の旋空は届かず、自分だけが攻撃できる距離……のはずだった。
「ーーーーー残月」
視界がずり落ちていく。刀也は剣を振り切った体勢で、そのまま緊急脱出していった。
自分が斬ったのか、と思いもしたが違う。生駒の旋空孤月は見事に避けられていた。
自分の視点が地面まで転がって、ようやく生駒は理解する。
ああ、斬られたのは自分の方だーーーと。
生駒達人、緊急脱出。
B級ランク戦ROUND4、閉幕。
☆★
「生駒隊長が緊急脱出!試合終了です!最終スコアは8対2対1対1…夜凪隊の勝利です!」
実況の武富はクロウと刀也で3点ずつに加えて生存点で8点である事を補足する。
「B級上位でここまで点差が開くのは珍しいですね…夜凪隊、圧倒的です!」
「では解説のお二人には総評をお願いします」と武富は風間と加古に話を振る。
「今回は玉狛の土木作業が派手だったな。あれで東岸は空閑とクロウ以外は機動力を奪われた。事実、その2人以外は点を取れていない」
「そうね。生駒隊の2人もなかなかいい動きだったけど、防波堤が壊されたから逃げる事もできずにやられちゃったし、影浦くんも動きが鈍って空閑くんに遅れをとった…と言ってもクロウくんが崩した所を突かれた感じだけど」
「東岸に集ったエース級の中ではクロウが頭一つ抜けていた印象だな。町への浸水も上手く利用していた。西岸についても同じだな、このラウンドで唯一夜凪に対抗できる影浦が東岸にいた事で、夜凪に対抗できる隊員はいなくなった」
遊真や影浦といった猛者、玉狛第二の戦術、生駒隊の連携……そのどれもがクロウを崩す事は敵わなかった事を風間は指摘し、加古も支持する。そして話は東岸から西岸へと移り変わる。
「その夜凪隊長も中盤に緊急脱出の危機に陥りました。しかしそれも機転を働かせて脱出、逆に得点の機会を掴みました」
「ただ別の方向を向くだけ……テレポーター使いがやるとあれだけ騙されるのね…前回二宮くんがやられた印象が強かったっていうのが1番の理由になるだろうけど」
「だとしても、あまり褒められた回避方法ではないがな。夜凪の事だ、おそらくすべて計算ずくだろうが、何か一つでも欠ければあの場で撃破されて1点も挙げられないといった事にもなりかねなかった」
「確かに…実際あの時三雲くんに付けられた傷で緊急脱出しちゃったし。生駒くんと戦うのに間に合ってよかったわね」
「夜凪隊長はトリオン漏出過多で緊急脱出しました。生駒隊長と戦った直後ですね……と、そういえば最後の夜凪隊長の旋空孤月…生駒旋空と同じくらい伸びませんでした?」
「伸びたな」「伸びたわね」と風間と加古は何気なく肯定する。
「驚く事でもない。夜凪は剣術バカだ……いずれ生駒と同等の旋空を使えるようになるであろう事はわかっていた」
「それに最後のアレは……“残月”ね」
加古の聞き慣れぬ言葉に「残月?」と武富は聞き返す。
「ヨナさんがこのB級ランク戦前まで使っていたトリガーで再現したある剣術の型の一つよ。今回見せたアレはその応用って所かしらね」
「……脱線し過ぎたな」
風間はそう言うと、話を夜凪隊のものからランク戦の総評へと戻す。そこで三雲に厳しい言葉が投げかけられ、三雲はそれである決意をするのだが、それはまた別の話。
☆★
ROUND4を大勝利で終わらせた夜凪隊の面々は嬉しげにハイタッチをしていた。
「やるじゃないかあんたたち!大勝利だよ!」
「陽子のオペレートがあったおかげだ。それにクロウも、東岸は激戦だったろ?」
「それほどじゃねえよ。玉狛の作戦についちゃ想定内だったしな」
ひとしきりお互いを称え合ってからクロウはいつか悪友に向けた顔を刀也に向ける。
「やったじゃねえか、刀也……どうやら1つ、壁を乗り越えられたようだな」
「ああ……何も、難しい事じゃなかったんだ。それがわかったのはクロウ、おまえのおかげだよ。だから、ありがとな」
ランク戦前と同じように穏やかな表情で刀也はクロウに礼を言う。その表情はまるで、初めて鬼の力を制御できたリィンと瓜二つでクロウは思わず笑ってしまう。
「なんだぁ?おれが礼を言うのはそんなに変かよ?」
「いや、そうじゃねえよ。……ただ少しリィンに似てきたなと思っただけだ。それで刀也、ランク戦前に何か言いかけたよな?陽子が時間だからって簡単に言い換えただろ?ちゃんとあの時の言葉を聞かせてくれよ」
刀也は“リィンに似てきた”と言われて少し驚きつつも嬉しそうだ。クロウはそのままのノリでランク戦前に刀也が言いかけた事を聞いてみる。今ならこっ恥ずかしい事でも気兼ねなく言ってくれる気がしたからだ。
「あー、あれね……おれの起源は八葉一刀流なんだよ。おれがここにいる最初の理由は、リィンさんの八葉一刀流に魅せられたからなんだ。だからボーダーに所属する夜凪刀也は八葉一刀流を骨子としているもので、それが欠けたらおれはおれでなくなってしまうんだよ……とこんな感じ」
それを陽子は興味深そうに「へえ」と息を漏らすがクロウは「ほうほう」とニヤつく。ここで刀也が自分が誘導された事に気付いて赤面するも、余計な言葉は発しなかった。
こんなセリフを恥ずかしがらずに言えたら本当にリィンに似てきたと言えるだろうが、その点刀也はまだまだのようだった。
☆★
ROUND4夜の部も終わり、暫定順位が更新される。
8点という高得点を叩き出した夜凪隊はB級ランク1位に輝くのだった。
夜凪刀也くん、ちょっぴり覚醒!
そしてクロウは相変わらず強いようです。本来影浦のような猛者が相手なら苦戦や敗北もありえるのですが、今回は玉狛の浸水の計により勝利しました。
玉狛第二については原作よりROUND4は活躍できた感じですね。三雲きゅんの幸運値をだいぶ上げてました。
『旋空残月』
五の型『残月』を旋空で再現した技。
抜刀からの旋空弧月は生駒旋空と同等の速度と射程を兼ね備えている。