ワールドトリガー 《蒼の騎士》、軌跡の果てに   作:クラウンドッグ

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この話ではエネドラが二体出現します!やったね!
話の都合上、夜凪隊のエネドラをグラン。太刀川隊のエネドラはそのままエネドラという名称でお届けします。
なお実況席ではグランを覆面隊員Y、エネドラを覆面隊員Tと呼称します(それぞれの隊長のイニシャルから)。


刃のぶつかり合う音は聞こえるか

転送完了。模擬戦、開始。

 

 

転送されてすぐにレーダーを確認する。バッグワームを使ったのだろう、光点が2つ消える所だった。

夜凪隊ではクロウ、太刀川隊でも1人隠れた計算だ。

 

それから一瞬の間を置いて陽子から指示が飛んだのはグランだった。

 

 

「グラン、西に300メートル。そこに唯我だ、マーカーつけとくよ!ただ近くに太刀川がいるはずだ、気ぃつけな!」

 

 

当初の作戦通り、最序盤では唯我を狙う。夜凪隊の数的不利を互角まで持ち込むためだ。

 

しかしここで不運と言うべきか、夜凪隊で最も機動力の低いグランが唯我を倒しに向かう事になった。

 

だがそれでも、唯我よりは断然速い。その姿を捕捉し、

 

 

「ハウンド」

 

 

トリオンキューブを生成する。分割してそれを射出しようとして、

 

 

「グラン!右だ!」

 

 

陽子からの警告。グランは視界の端に太刀川が浮上する。距離にしておよそ20m、踏み込み旋空孤月の届く範囲だ。

旋空使いの必殺の間合い。これで刀也に幾度やられた事か。嫌な記憶が走馬灯のようにフラッシュバックし、グランは眼前に迫る刃に敗北をイメージした。

 

 

 

 

「旋空残月」

 

斬り落とす。旋空孤月を、旋空孤月で。

 

「なにぃ!?」

 

完全にとった、と思っていた太刀川は思わぬ現実に声を漏らす。刹那の内に自分の旋空孤月を砕いた下手人を見て納得する。

 

夜凪刀也だった。旋空孤月を旋空孤月で叩き落とすという、とんでもない荒技を見せた刀也は「ぷうっ」と息を吐いた所だった。

 

 

刀也とグラン、太刀川と唯我が合流し、対峙する。

 

 

「唯我、おまえ逃げろ。足手まといだ」

 

が、太刀川は唯我を足手まといだと言って戦場から遠ざける。唯我はいなくて平気、いても邪魔だがここ一番で競り合った時の援護は冴えている。

太刀川とてそれを認めてはいるが、今はいても邪魔なだけ。足手まといになるなら躊躇いなく切り捨てるが、どうせならこの場は離脱させて活躍の場面を残しておくのが良手だと踏む。

 

太刀川隊にとって唯我の生存が良手ならば、夜凪隊にとって唯我を逃がすのは悪手だ。

 

「グラン、唯我を追えるか」

 

「あ?あのヒゲはどうすんだよ」

 

「何とかする」と答えた刀也を見て、グランは唯我を追うべく駆け出すが、

 

「行かせると思うか?」

 

阻むようにしてグランに肉薄する。グラスホッパーを踏んで加速した剣撃を、やはりグラスホッパーで加速した刀也が孤月で受け止める。

 

「行かせるんだよ」

 

鍔迫り合いは互角に終わり、太刀川は2本目の孤月を抜く。孤月二刀流こそ太刀川慶の本領だ。

二刀流で刀也を崩し、そのままグランを追撃しようとして、眼前に着弾した。地面を穿つ弾痕は狙撃銃ーーーイーグレットのものだ。

 

射線を辿ると、遠くのビルからクロウの影が消える所であった。

 

狙撃によって太刀川が鼻白んだ隙にグランは唯我を追って離脱し、刀也は体勢を立て直した。

 

 

☆★

 

 

「開始直後から熱戦が繰り広げられております!夜凪隊長とクロウ隊員による援護で覆面隊員Yは唯我隊員を追う!」

 

 

覆面隊員Yはグランの事だ。ちなみにYは夜凪隊の隊長夜凪のイニシャルである。太刀川隊の覆面隊員はTとされている。

 

「夜凪隊はまず唯我を落とそうとしているようだな。数的不利を覆そうというわけだ」

 

モニターに映される唯我を追う覆面Yを見て風間は言った。

 

「尤も、その考えは太刀川隊には読まれてたみたいだけど」と王子が続く。

 

 

「数的不利…確かに太刀川隊4人に対して夜凪隊は3人です。しかし、夜凪隊のこれまでのラウンドを見てるとそう言った作戦に出る事はあまりないようですが……」

 

 

武富は風間の説明を噛み砕きながら、しかしそれだとこれまでの夜凪隊の作戦方針とは異なると呟く。

 

これには観衆となっていたランク戦を争うライバルたちも同意見だ。

夜凪隊は取れる点を取りに行くのが通常のスタンス。今回のようにはじめから誰を狙う、というのはあまりなかったはずだ。

 

 

「……夜凪のスタイルはむしろ今の方が本来のものに近い。かつてA級ランク戦に単独で挑んだ時も最初から誰を狙うか決めてから戦いに臨んでいたはずだ」

 

 

だからこそ、刀也は強豪ひしめくA級ランク戦においてたった1人で2勝もあげる事ができたのだ。

 

しかし今はクロウがいるという安心感(油断)から作戦をがっちり固めていく事はなくなっていた。柔軟さは増したが、柔軟に過ぎて行動の意味が薄弱になる事もしばしばあった。

 

 

「おっと、ここで出水隊員がクロウ隊員を捉えた!」

 

太刀川に命令されてクロウを探していた出水はついにその姿を捕捉した。

「こっちには気づいてないなー」と言いながらバイパーを展開し、撃つ。

 

角度をつけて逃げ道を塞いだ射線を、クロウは押し通る。レイガストでバイパーを防ぎながら弾幕を突破した。

 

そしてクロウと出水が対峙する。

 

 

☆★

 

 

太刀川は唯我に「逃げろ」と言った。それを聞いた唯我は逃げる。どこに?仲間のいる方向に、だ。

 

 

「ハウンド」

 

 

グランは先程は撃ち損なったハウンドを再び展開し、唯我に差し向ける。

「ひいぃ!」と情けない声を出しながらも唯我は迫り来るハウンドに対処する。

 

分割されたハウンドが幾重にも叩きつけられ、しかしシールドは砕けない。

 

「固定シールドか……ってこたぁ」

 

固定シールド…動かせない代わりに防御力を上げたシールドだ。グランのトリオン能力が泥の王を使えていた頃なら固定シールドとて貫けただろうが、今はボーダーのトリガー使いの平均である5に設定されている。唯我も同じ5であり、固定シールドを砕けないのは道理であった。

 

しかし、唯我が固定シールドでハウンドを防御した事に違和感を覚えたグラン。

固定シールドは防御力を上げる代わりに動けなくなるデメリットがある。自分を追ってくる敵からの攻撃を凌ぐには少々悪い手だ。

 

だが、それが悪手でないから唯我は固定シールドを使ったのだ、と理解したのは陽子から近くに敵の反応が出現した事を告げられてからだ。

 

即座にその場を飛び退くグランであったが、一瞬遅い。地面から突き出してくる刃に左足を半分に切り裂かれてしまった。

 

スコーピオンによるもぐら爪(モールクロー)

 

「チッ」と舌打ちしつつ、陽子に言われた方向を見ると、自らと同じ覆面をした太刀川隊隊員を発見。あちらのグランーーーエネドラだろう。

 

 

「これはチャンスだね!」

 

と、唯我が二丁拳銃を構えて引き金を引く。その弾速や破壊力は同じ武装を扱うクロウより数段劣るがーーーー

 

「ハウンド」

 

 

それでも身動きのとれない空中であれば充分な脅威だ。加えてエネドラからも射手タイプのハウンドが射出される。

 

迫る弾幕にグランはーーーーー

 

 

 

☆★

 

 

バイパーを凌いだクロウは出水と対峙する。

出水公平。No.1射手二宮匡貴に比する射手であり、合成弾を考案した正真正銘の天才(弾バカ)

正面に見据える風格から、なるほど刀也の評価は大袈裟ではないと理解する。

 

クロウと出水の距離はおよそ40m。射手の間合いだ。クロウも二丁拳銃で勝負を仕掛けてもいいが、この距離であれば射手の有利感は否めない。

クロウも速射には自信がある方だが、射手トリガーはトリオンキューブを分割するだけで手数を自由に操れるのが強みだ。

 

つまり、撃ち合いをするのは不利。

 

なんて事は出水もクロウもわかっている。

 

 

だから出水はクロウの出方を見定めようとして、離脱を選択したクロウに遅れを取る。

 

 

「なっ…!逃げんのかよ!?」

 

 

路地を駆けていくクロウを追う出水。

 

「ハウンーーー」

 

そのままハウンドを撃とうとして、クロウの手からレイガストが消えている事に気づく。

 

空気を裂きながら横合いから飛来する双刃剣をシールドで防御ーーーできない。

スラスターで加速したレイガストの刃はシールドを砕き、出水の右腕を奪ってからクロウの元へ戻っていく。

 

 

「くあーっ!あっぶねえな。あれが太刀川さんの言ってたブレードスロー…だったか?」

 

 

展開していたハウンドを放ち、クロウの逃亡を見届けてから出水は呟く。

ログでも見ていたが、いつもは直線の往復だったはずだ。今のような円形一回転ではなく。

気づくのが一瞬でも遅れてたらやられていた、と出水は理解する。

 

油断していたつもりはないが、それでも確かに慢心はあったのかもしれない。

 

「太刀川さん、すみません…クロウ逃しました。そっちに向かうかも」

 

 

「おれも今からそっち行きます」と言って、太刀川の了解という返事を聞いて走り始める。

 

レーダーを見る限りクロウは刀也の加勢に行くつもりらしい。

ならば自分もクロウを追って太刀川に合流しようとする出水であった。

 

 

☆★

 

 

「今回は初見殺しはねーのか、ヨナさん」

 

 

孤月を何合と打ち付け合いながら刀也と太刀川は言葉を交わす。

 

 

「あるあ…ねーよ」

 

 

太刀川の問いに刀也は「ない」と回答する。無論、真偽の程は太刀川にはわからない。

が、今回は本当に初見殺しは用意していない。二宮を撃破した一件から“夜凪刀也と言えば初見殺し”というイメージが定着しつつある刀也だが、初見殺しには初見殺しのリスクが付く事も承知の上だ。

 

初見殺しとはその名の通り、初見で殺す技である。

その技を見せるのが2度目、3度目となればそれだけで相手を殺せる確率は加速度的に減じていく。加えて初見殺しは最低でも2つ以上、普段は使わないトリガーをセットする必要がある。

捌かれるかもしれない初見殺しのためにトリガーのスロットを2つ以上割くのは上策とは言えなかった。

二宮隊を相手にした時とは違い、太刀川隊は出水もマスタークラスが可愛く思える程の使い手だ。辻や犬飼がそうでないとは言わないが、太刀川や出水に比べると見劣りするのは確か。つまり、初見殺しが失敗して刀也がやられたとして、後はクロウがいるから安心だよね、とはならないのだ。

 

 

「だけど」

 

 

アステロイドを細かく分割。弾速にトリオンを割り振って高速散弾とする。

 

太刀川の選択肢はシールドで防ぐかグラスホッパーで逃げるかの二択。

 

しかし、シールドを広げて防げば次撃の旋空孤月で真っ二つ。

故に選択肢は実質一つ。太刀川はグラスホッパーを踏んで横に逃げる。

 

 

「もがっ!?」

 

 

壁にぶつかって頓珍漢な声が漏れた太刀川。いくら太刀川がダンガー野郎とは言え、戦場のオブジェクトの位置を見誤るなどはありえない。

つまり、この壁は太刀川の逃げ道を塞ぐようにして生えたのだ。

 

「エスクードーーー!」

 

ライバルが扱うトリガーのため、それをよく知る太刀川。しかし刀也が使うのを見るのは二宮戦以来。瞬時に誘導されたと理解するが、もう遅い。

 

 

太刀川を追い込むために放たれたはずのアステロイドは未だ弾数を半分ほど残している。時間差の二段撃ちだ。それに刀也も先程構えていた旋空を振り切ろうとしている。

 

 

「おまえを殺す技ならあるよ」

 

 

ーーー旋空孤月。

 

 

高速散弾のアステロイドに旋空孤月、エスクードで逃げ道は塞がれていて。唯一可能性のある上は、いやらしいほどアステロイドでカバーされている。

こんな場面をノーダメージで切り抜けるのは不可能だ。

 

 

 

 

 

 

 

それが総合ランキングNo.1、太刀川慶でなければ。

 

 

 

 

「マジっすか」

 

 

「悪ぃなヨナさん、殺されてやれなくて」

 

 

無傷。ノーダメージ。たったの一撃すらももらわずに太刀川は窮地を脱していた。

 

 

太刀川はまずサブのシールドでアステロイドを防いだ。そして必中の軌道で振られた旋空孤月に対しては、旋空孤月で弾いた。

 

 

「この……天才め……ッ!」

 

 

旋空孤月で旋空孤月を弾くという荒技。刀也も序盤にやれた時は「やれた!?やれたよね!おれスゲェ!」と内心大はしゃぎだったのだが、太刀川は当然のようにやってのけた。悪態も吐きたくなるものである。

 

 

☆★

 

 

固定シールド。それがグランの出した答えだ。敵側のエネドラと唯我の射撃を同時に対処するにはそれしかないとすら思えた。

 

一斉射撃を防ぎ切ったグランはシールドを固定から通常モードに切り替え、変形させて生じた穴からハウンドを唯我に向けて撃つ。

 

追尾能力の強弱により全方位射撃となったハウンドを唯我はシールドを球状に張って防ぐがーーー

 

 

「猿が!下だ!」

 

 

エネドラの忠告も遅く、地面から突き出たスコーピオンに右脚を切断されてしまう。

 

「なああ」とわざとらしく驚愕する唯我は隙だらけだ。グランは追撃しようとして、エネドラとの距離が近くなっている事に気づく。

ハウンドとスコーピオンの併用ですでにシールドによる防御は不可能。グランはエネドラから距離を取った。

 

グランと唯我の間に滑り込んだエネドラはグランの挙動に注意しつつ「邪魔だ、失せろ」と唯我を離脱させる。

 

 

グランとエネドラが睨み合う。

 

 

「良かったのか?味方を減らして…そんなんで勝てるつもりか?」

 

挑発するように、グランは言う。言った相手は自分でもあるが、正確に言うのなら大元のエネドラッドから分かれたアルターエゴ。

今の自分が発生したのはたった一週間前だが、それでも大元や太刀川隊のエネドラとは違う存在なのだという自覚はあった。

 

つまり、挑発しても自分に言ってるわけではないのでOK。

 

 

「ああ?そりゃおれに言ってんのか?てめえこそ手負いのくせに虚勢張ってんじゃねぇぞ……さ…雑魚が」

 

 

それでも、猿と言うのは避けたいエネドラである。

 

「手負い?」とわざとらしく首を捻るグランは足を上げて見せる。

 

 

「これか?これならいいハンデになるだろ?」

 

 

もぐら爪。エネドラによる一刺しを読んでいたグランは飛び退いて地面からの攻撃を躱す。

 

ハウンドを起動したエネドラに向けてグランは腕を振るう。しなる蛇のように。

伸びた刃がエネドラの左腕を根こそぎ食いちぎっていった。

 

 

☆★

 

 

「激戦、激戦!激戦です!!太刀川隊VS夜凪隊の戦いは序盤から熱戦を繰り広げています!」

 

 

大興奮、と言った様子で実況しているのは武富。普段のランク戦でも興奮しているのはそうなのだが、今回の模擬戦は言わばボーダー本部最強部隊決定戦のような雰囲気がある。それは実況にも熱が入ろうと言うもの。

 

それにB級ランク戦とは違い、この模擬戦は部隊同士のタイマン。横槍が入り難い以上、普段のランク戦より戦闘に思考のリソースを割くことができる分、見逃し厳禁な場面が続いている。

 

 

「太刀川隊長と夜凪隊長が、出水隊員とクロウ隊員が、そして覆面隊員同士がぶつかりあっています!」

 

 

大型モニターに変わる変わる映し出される戦闘シーンに観衆も騒ぐのを忘れて見入っている。ここで武富は一旦整理しようと模擬戦を最初から振り返った。

 

 

「まずは序盤、動いたのは夜凪隊の覆面隊員Y、狙ったのは唯我隊員でした。しかしそれを読んでいた太刀川隊長による旋空孤月!覆面隊員Yはやられたかと思われましたが、なんとここで夜凪隊長による旋空孤月の切り返しで自部隊の覆面隊員を救いました」

 

 

「旋空孤月返し…これから流行りそうだね」

 

 

と気軽に解説の王子は言う。これまで旋空孤月に対しては“避ける”しか対処法がなかった。それが“防げる”となれば選択肢は広がり、戦術の幅も拡大するというもの。

流行りそう、というのは的を射た意見であった。

 

 

「だが、見た目ほど簡単なわけではなさそうだ。旋空孤月は効果時間と射程が反比例し、拡張された刃は先端に行くほど破壊力が増す……つまり、相手の旋空より自身の旋空が上回っていないと出来ない芸当という事だ」

 

 

普段は旋空どころか孤月すら使わない風間はしかし、鋭い意見を放つ。

風間の言う通り、旋空孤月を旋空孤月で弾くには旋空の技術で相手を上回っていなければ不可能な技。現状で言えば生駒旋空が最強という事は揺らがない。

 

太刀川があっさり旋空孤月返しをした際には刀也の旋空よりちょっぴり効果時間を短く、威力を高めに咄嗟に調整していたが、刀也が「天才め…ッ!」と吐き捨てたのはそんな理由があったからである。

 

 

「太刀川隊長は唯我隊員を逃し、覆面隊員Yはそれを追う構え。太刀川隊長は逃すまいとしますが…夜凪隊長の援護とクロウ隊員の狙撃により覆面隊員Yは太刀川隊長を抜いて唯我隊員を追います。一方、狙撃した事で位置がバレたクロウ隊員と出水隊員が会敵、出水隊員がバイパーで先制しますがクロウ隊員はレイガストで窮地を逃れます。その後対決するかに思えた両者でしたが、クロウ隊員は夜凪隊長との合流を優先、出水隊員は追おうとした矢先にブーメランレイガストによって右腕を奪われてしまいました」

 

武富がブーメランレイガストと言ったのはクロウのブレードスローだ。

「何度も見てるんですけど、何ですかねあれ?」と技のタネを聞く武富だが風間は「知らん」、王子は「わかんない」と肩を竦める。

一瞬だけ言葉に詰まった武富だったが、気を取り直して模擬戦の振り返りを続けた。

 

 

「そして両隊の覆面隊員同士の戦い!こちらは覆面隊員Tがもぐら爪で覆面隊員Yの足を奪いますが、唯我隊員離脱の後に覆面隊員Yのマンティスが炸裂、覆面隊員Tの左腕を切り落としました」

 

マンティス…スコーピオン2本を繋げる荒技は影浦考案のものだ。扱える者はそう多くないため、覆面隊員Yのマンティスはある種奇襲のようなものであった。実は3回に1回の成功率のため内心冷や汗もののグランだったのは内緒の話である。

 

 

「おっと、ここでクロウ隊員が夜凪隊長と合流!出水隊員ももうすぐ太刀川隊長と合流できそうだが果たして間に合うのか!?」

 

 

そこで画面中央の大型モニターがクロウと刀也の合流を映し出す。

 

 

「初めて見れそうだな…夜凪隊の連携を」

 

それを見て風間は薄く笑んだままそう呟く。王子も同じく笑んだまま解説する。

 

「この前のROUND5でも夜凪隊の2人はオビ=ニャンを取り囲んだけど、あれは狙撃手を釣り出すための罠だからノーカンだね。僕としても夜凪隊の連携は興味深い所だよ」

 

 

序盤、中盤を経て戦闘は激化の一途を辿る。観衆の誰もが感じていた。この後は一気に展開が変わっていく。一瞬でも目を離せばそれで模擬戦が終わりそうだとすら思える緊張感の中で。

 

模擬戦は終盤に差しかかる。

 




けっこう前の話ですが、創の軌跡で新生帝国ピクニック隊が帝都地下から脱出する際にクロウが待ち構えてたシーンあって燃えました。
《C》が出した犯行予告だけで何が狙いかを把握し、リィンらがあそこまで追い詰めるのを見越して、ピクニック隊があの場所から脱出する事まで見通してたとすると…やっぱやべえくらいキレるんだなと。
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