ワールドトリガー 《蒼の騎士》、軌跡の果てに   作:クラウンドッグ

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ただ嬲と諍という漢字が変換できなかったためそのままにしてあります。
雰囲気台無し!って感じですけど、脳内補完でお楽しみ下さい。


覚醒の兆し

奪え。犯せ。殺せ。

 

 

れ。弄べ。骨の髄までしゃぶり尽くせ。

 

簒奪せよ。冒涜せよ。鏖殺せよ。

 

争え。争え。争え。

 

いなど無意味。なぜならすべて、すべて。すべてーーーー

 

 

吾ノモノダ、コノ世界の総テ

 

 

 

☆★

 

 

「ハウンド」

 

 

黒の声にクロウの意識が塗り潰された一瞬。

 

生じた隙を見逃す二宮ではなく。

 

放たれたハウンドはクロウを戦場から追い出す。

 

 

 

ROUND6夜の部、中盤での出来事だった。

 

 

☆★

 

 

ROUND6夜の部は1位夜凪隊、2位二宮隊、5位東隊、7位香取隊の四つ巴の試合である。

 

まずは試合開始直後、二宮隊の辻を刀也がテレポーターを活用し撃破する。香取隊は合流しつつあったが二宮の攻撃を受け、三浦が香取を庇う形で撃破される。ほぼ同時に二宮隊犬飼を東隊が強襲、小荒井と交換という形で撃破する。その後、二宮から逃れる香取隊を奇襲したクロウは若村を撃破、香取に手傷を負わせる。そこに二宮が追いつき、香取は逃亡。クロウと二宮の一対一の場面となるが、戦闘の途中で一瞬硬直したクロウを見逃さなかった二宮に軍配が上がった。

 

 

☆★

 

 

クロウ緊急脱出の報を受け「マジか」と刀也は声を漏らす。

 

確かに二宮と当たると言った時は不安が頭をよぎったが大丈夫だと根拠なく信じていた。クロウが中盤で敗退するイメージがなかったのだ。

しかし現実は違う。こうなったら自分がしっかりするしかない、と決意を固める。

 

状況を整理してみる。

香取隊は瀕死だ。三浦と若村が落とされ、香取は手負い。二宮隊は辻、犬飼がいないが二宮が健在。東隊は小荒井が緊急脱出しているが奥寺と東が生きている。夜凪隊はクロウが落ちて残りは刀也とグランの2人。

 

「うん、まだ勝てる」

 

 

しかし、そのためには二宮を何とかしないといけない。放っておけば2〜3点は取りそうだし、その分をかっさらって後はガン逃げでも良い。

 

 

と、そこまで考えて超直感が危険を告げる。

 

飛び退き、一瞬後にめくり上がるアスファルト。巻き上がった粉塵の向こう側から孤月。

 

それを避けて孤月を振るった人物を確認する。奥寺だ。ならばそれ以前にアスファルトを穿ったのは東の狙撃だろう。

 

数合打ち合って、できた隙に旋空を差し挟む。読んでいたかのように避けた奥寺だったが、劣勢なのは火を見るよりも明らかだ。

 

 

「1人でおれに勝てるつもりか?」

 

「まさか」

 

 

刀也の挑発。受け流した奥寺と挟撃するように現れたのは香取だった。

 

グラスホッパーを踏んで一息に加速した香取のスコーピオンを孤月で受け止め、続く奥寺の旋空孤月を刀也は屈んで、香取は跳んで回避する。

 

しかしこれで東隊と香取による刀也の挟み撃ちが終わったわけではない。東隊も香取も隙あらば互いに害する意思はあるが、それは刀也を倒す前提だ。

 

 

不意に刀也の視線が他所を向く。それはテレポーター起動の合図だ。しかし刀也に限って言えばそれをブラフに使う可能性もある。

しかし、この試合において刀也は辻を撃破するのにテレポーターを使っており、東らもそれは把握していた。

 

ゆえに慌てず、落ち着いて一瞬を伺う。

 

 

刀也の姿が消える。テレポーターの移動先は視線の先数十メートル。香取が距離を詰めつつハンドガンを連射し、東がアイビスのスコープを覗き込む。移動先に現れるはずの刀也に向けて。

 

 

 

 

 

ーーーー奥寺常幸、緊急脱出。

 

 

現れない。代わりに奥寺が緊急脱出した。

 

やったのは当然、夜凪刀也。

 

オペレーター人見からの情報を受けて東はそのタネを見抜いた。

 

「カメレオンか!」

 

カメレオンは姿を消すトリガーだ。レーダーに反応は残る事に加え他のトリガーが使えなくなるというデメリットがある。

刀也がやった事は単純で、テレポーターを起動すると見せかけてカメレオンを起動しただけ。が、側から見れば、テレポーター使いが他所を向く→テレポーターを使う(姿が消える)or使わない(姿は消えない)→姿が消えた(テレポーターを使った)となる。テレポーターの転移先に皆の意識が行った所でカメレオンを解除、背後から奥寺を撃破したのだった。これも刀也お得意の初見殺しであった。

 

 

 

「撃て」と指示を出した。それに合わせて引き金を絞ったのは、試合開始からこれまで沈黙していたグランだ。

放たれたイーグレットからの狙撃をシールドで受け止めたのは東だった。意識が刀也に向いているかと思っていたが、さすがの注意力だった。

反撃しようと東がスコープを除いた時にはすでにグランは離脱した後。夜凪隊の最後の1人が狙撃手であるなど万一くらいに考えていたが、ここで狙撃を見せたとなると、それなりの意味があるはずだと東は考えを巡らせつつ自らも離脱するのだった。

 

 

それから刀也と香取はそれぞれの得物で戦うが決着はつかず、そのうち空から弾幕が降って来た。二宮のハウンドである。トリオンモンスター雨取千佳が現れる以前はボーダーでトップを張っていたトリオンの持ち主たる二宮の広範囲な射撃をしかし、エース級である2人は凌いでみせる。

 

香取は手負いである事を気にしてかそのまま西に逃亡する。対して刀也はその場に残り二宮と対峙する…前に香取に言い放つ。

 

「西から北に回り込め!東さんがいるはずだ!」

 

 

 

降ってくるハウンドをシールドやテレポーターを使って回避、二宮に接近を試みるが容易くはない。

二宮匡貴は射手の王、No.1射手だ。いくら狙撃を警戒して全攻撃しないとは言えその攻撃は苛烈、防御は堅固。つけ入る隙がまるでない。

 

だがその隙を生み出すのが刀也の戦闘スタイルだ。

 

 

 

勝負は拮抗する。シールドやグラスホッパー、テレポーターにカメレオンまで駆使して刀也は弾幕を躱し、受け流し、捌いていく。しかしそこまでだ。攻勢に転ずる事ができない。最長の間合いを持つ旋空残月は抜刀技。納刀という初期動作がある事から二宮には当たらない。

 

対する二宮も拮抗に焦りを感じていた。片手ではどれだけやっても刀也を撃破できない。全攻撃をすれば倒せるだろうという確信はある。しかし狙撃手がいる以上は危ない選択肢だ。勝負が拮抗しつつも刀也がニヤついた表情を消さないのは、二宮が焦れて全攻撃するのを待っているからだ。その隙を狙撃手に狙わせる腹なのだろう。

 

 

ーーーーいや待て。

そこで、二宮に閃きが舞い降りた。

 

違和感を覚える。不自然に感じる。この状況はおかしいと。

狙撃手が本命なら、なぜその存在を自分が知っている?夜凪隊の狙撃手…グランが二宮を撃破するための切札ならば、その存在は二宮を倒すその時まで温存しておくべきカードだ。

 

ならばそれを事前に二宮に見せた理由は?

見せ札……自分がこういうカードを持っていると示す事で相手の行動を誘導する刀也の常套手段だ。

 

つまり狙撃手がいるという事実は二宮の全攻撃を封じるためのもの。

 

 

片手の二宮なら刀也は何とか相手にできている。ひょっとしたら勝ちも拾えるかもしれないレベルで。それに賭けたのだろうと推察し、ならば全攻撃で仕留めようと左手を上げたところで、

 

 

「ーーーいや」

 

 

今度はその違和感を口に出した。

ならばなぜ、香取に東を抑えに行かせた?西から北に回り込め、と言った台詞に香取が従うかどうかも不明だがーーーー、いや待て。香取は刀也からその助言を聞く前にすでに西に向かっていなかったか?

ならばあの台詞は二宮に聞かせるためだけの釣りとも言えるかもしれない。

 

二宮の思考は巡る。全攻撃をすべきか否か。グランは狙撃以外もできるのか否か。香取は東を抑えに行ったのか否か。

自分は夜凪刀也に勝てるのか、否か。

 

 

 

A級2位、冬島隊隊長である冬島慎次は言った。

“罠があると思わせるだけで思考の何割かは奪える”と。

 

ならば多数の思考材料を与える事でそれに没頭させ判断力も奪えるはず……という仮定の下に実行した今回、急遽用意した対二宮の策。

 

刀也にとって二宮は別格の相手だ。10本やって1本取れれば良い方だろう。本来ならクロウと2人がかりで倒すつもりだった。

 

アテが外れた以上は自分がやるしかない。元より敗北など許されぬ身だが、このROUND6は二宮との賭けもある分、余計に負けられない。

 

 

二宮が迷った一瞬で刀也はアステロイドを地面に撃ち放ち粉塵を煙幕とする。

二宮はハウンドをトリオン追尾モードにしてあらゆる方向にばら撒く。逃げたかあるいは攻撃の布石か、煙幕の意図を測りかねたゆえの。

 

 

「旋空」

 

 

声は正面から。刀也は動いておらず。

ハウンドはそこに収束し、しかし固定シールドにひびを入れるのみに留まった。

 

「残月」

 

 

刹那、放たれる斬撃。0.2秒、40m。自らの固定シールドさえ切り裂いて振り切られたそれを、二宮は跳躍して避ける。

予想できていた。次の狙撃もシールドでガードする。

 

 

「ハウンド」と言うと無数の三角錐から放たれたそれが刀也の全身を射抜くーーー否、急所は守っている。それでもトリオンの漏出は甚大で。

 

「お、おおお!」

 

己を鼓舞するために叫び、グラスホッパーを踏んで二宮に肉薄する。二宮が「アステロイド」と紡ぐ前にその背後にテレポーターを使い瞬間移動する。

 

 

「旋空ーーー」

 

 

「悪足掻きだな」

 

 

ハウンドが、突き刺さる。先程刀也のトリオン体を穿ったハウンド、その後段。一段目はそのまま刀也に差し向けて二段目は上方に撃ち曲射としていた。

 

 

夜凪刀也ーーー緊急脱出。

 

 

 

しかし二宮に言われた通り刀也も悪足掻きはやめず、最後にアステロイドを撃っていく。

二宮はそれを難なくシールドで防ぎーーーートリオン体を両断された。

 

 

二宮匡貴ーーー緊急脱出。

 

 

やったのはグラン。一度狙撃を見せてからはバッグワームをつけたまま刀也と二宮の戦う場に移動していた。最後は泥の王を彷彿とさせるスコーピオンのもぐら爪にて二宮を撃破したのだ。

 

 

続いて、もう一つ空をかける緊急脱出の光。東春秋のものだ。刀也の旋空残月を避けて跳び上がった二宮を撃った東は香取に位置を捕捉され撃破されたのだった。

 

 

☆★

 

 

緊急脱出して隊室に戻った刀也はオペレーター用の席に着いて状況の遷移を把握する。

 

どうやらちゃんとグランは二宮を撃破してくれたようだ。最後のアステロイドで二宮の意識が少しでも自分に向けばラッキーと思っていたが、そのラッキーが発動したようだ。

 

それに東も香取がやってくれたようで、そのまま香取はグランのいる方向に一直線だ。刀也の助言に従ってくれたはいいものの、最後まで大人しくしておくつもりはないらしい。

 

 

「どうするね?」

 

という問いを下したのは陽子。今回もランク戦を十全にサポートしてくれていた。

 

 

「今、ウチが勝ってるよな?」

 

「ああ、4対3対1対1だ」と刀也の確認に答えたのはクロウ。ランク戦で二宮にやられた時とは違い大丈夫な様子で、さっき硬直したのはたまに出る発作のようなものらしい。“七の騎神の呪い”らしいが、あれを起動しない限りはこれ以上進行しないとクロウは言っていた。

 

 

「なら緊急脱出でいい。手負いでも香取相手は分が悪い。香取隊に生存点取られても痛いわけじゃないし」

 

 

刀也の決断は早い。二宮との賭けがなかったら戦わせても良かったが、負けるリスクがある以上は危ない橋は渡りたくない。

仮にグランが香取に撃破されたとして、スコアは4対4対3対1で夜凪隊と香取隊の引き分けとなり、二宮との賭けの条件は“夜凪隊が勝ったら”だったため破却される。

しかしグランを緊急脱出させれば香取隊に入る点は一点減り、4対3対3対1が最終スコアとなり夜凪隊の勝利が確定する。

 

グランは隊長の指示に従い即座に緊急脱出を行う。戦場には香取が残され、試合終了。生存点は香取隊が獲得したが、結果は夜凪隊が4点(辻、若村、奥寺、二宮を撃破)、二宮隊が3点(三浦、小荒井、クロウを撃破)、香取が3点(東を撃破、生存点獲得)、東隊が一点(犬飼を撃破)で夜凪隊の勝利となった。

 

 

☆★

 

 

ROUND6が終わり、落ち着いた所でクロウはおもむろに頭を下げた。

 

 

「今回はすまなかった。情けねぇところを見せちまったな」

 

 

単独で二宮と当たり、撃破された事を言っていた。

それについては過ぎた事だし言及しても大した意味はない。むしろクロウが二宮を引きつけている間に刀也とグランがその他を撃破していく作戦もあったため、行動そのものに否やを唱える事はない。撃破されたのはご愛嬌…というには些か以上に計算外だったが。

 

しかし、終わり良ければ全て良し。結果的に勝ったのだから不問とする。加えて刀也はこの前のVS太刀川隊の時から良い意味で緊張感を保てている。今まで目を背けていた責任というものが成長を加速させていた。今回のランク戦でも早期にクロウがやられた事で“自分がしっかりしなければ”という責任感が発動したのだ。

 

 

「別にいいさ、勝ったんだし。それより本当に大丈夫か?」

 

 

陽子やグランと目配せしながらクロウに問いかける。ROUND6中も聞いたが、改めての質問だった。

 

 

「ああ……呪いは進行してはいねえ。前にたまに声が聞こえるって言ったが、そいつだ」

 

 

「あんな不自然に硬直したんだ。ただ声が聞こえただけっだけで納得はできないね」

 

 

ガロプラ戦後のクロウの容体は陽子も知っている。それは“たまに幻聴がある”程度の認識。しかしそれだけでは今回の醜態と結びつかないだろう。

 

「この世すべての悪」と唐突に刀也が語る。

 

 

「その声は、あらゆる悪感情を煮詰めたような怨嗟を伴って聞こえるんじゃないかな。それに呑まれないために…それを振り払うために一瞬の時を要するーーーーそれがランク戦で見せた一瞬の硬直の正体なんじゃないか?」

 

 

刀也の推測にクロウは舌を巻く思いだ。リィンから話を聞いていたとしても、ここまで正確にクロウの身に起こった事を把握しているとは。

化け始めている、と思わせるだけの凄みを感じた。

 

 

「さすが、鋭いな刀也は。……その通り、幻聴が起きるタイミングでおれの時間は一瞬だけ奪われる。今回はそれが二宮を前にしたタイミングで起こったってわけだ」

 

 

クロウの説明を聞いて一同は「なるほど」と納得する。

 

「そのタイミングってのは事前にわからねぇもんなのか?」とグランが尋ねる。クロウはまた「ああ、不定期的だ」と淀みなく答える。その答えにどことなく違和感を感じた刀也は顔をしかめるが、いまいち言語化できないため黙したままだ。

 

 

「幻聴の予兆がなく、唐突に発生する空白なら対応のしようがないね。今後の作戦を見直した方がいいんじゃないかい?」

 

暗くなりつつある雰囲気を払拭するように陽子が話題を変える。

幸い、クロウが強敵を相手にする事ができなくなっても刀也の強化やグランの加入など、隊としての戦力は整いつつある。戦術を変えてもいい頃合いだと話は落ち着いた。

 

 

☆★

 

 

ヨコセ……ヨコセ……吾ノモノダ……総テ……

 

 

「うるせえよ」

 

 

夜、1人で星を見上げながらぼやく。

 

 

声が、聞こえている。

 

黒の声。イシュメルガの呪い。

 

 

それは、常に。

 

 

 

刀也らに説明した事は半分嘘であった。

 

ガロプラ戦以降、クロウの耳からイシュメルガの声が途絶えた事はない。日常生活に支障はなく、およそ3日に一度だけ声に呪詛が乗り、意識を揺さぶってくる。

 

ROUND6中のやつを除けば最後に呪詛が発動したのは昨日。今日は大丈夫だと思っていたが、どうやらそのように甘いものでもないらしい。

 

《剣聖》に至ったリィンの精神を瞬く間に蝕んでいった呪いだ。分体だろうが、自分のような常人を弱らせるのは楽勝らしい。

というか、これの本体を受け入れて何年も平然としていた《鉄血》の精神力を讃えたい気分にすらなってくる。

 

どんな形であれ、自分が《鉄血》に敬意を抱くなど、なんて冗談だとクロウは自嘲した。

 

 

しかし今日の呪詛のタイミングは、明らかに狙ったものだった。

思えばギリアス・オズボーンを嵌めた際にもイシュメルガは悪辣なるマッチポンプをやったのだ。今回はそれのダウングレード版、クロウの意識がイシュメルガから離れる瞬間を見計らって呪詛を投げかけた。

結果はクロウはイシュメルガの呪いを抑え込む事に注力し、二宮に討たれる事を受容した。

 

もしクロウがあの場で逆の判断をしていたら、精神が黒の呪いに侵されていた可能性もあった。

 

 

「つくづく油断ならねえやつだ…」

 

 

言って、クロウはポケットの中をまさぐる。

取り出したのは黒トリガー『七の騎神』。

 

 

おそらくヴァリマールは呪いを分離しつつ、しかし力は残したいと願ったのだろう。

それがこれだ。七の騎神……七の相克が始まる以前の形に力を戻してそれぞれ別のものとして、同じ器にそれらを投じた。

 

言ってしまえば、七つの人形を格納した壺だ。人形で遊ぶには許可がなければならず、人形で遊ぼうと壺に手を突っ込んだら人形の一体から毒を注入される。

 

クロウはこの黒トリガーをアフトクラトル戦後にボーダー本部に返却したが、ガロプラ戦時に持たされて以来、ずっと返却を拒否されていた。

万が一の事態に備えて、という事らしい。実際ガロプラ戦では最後はコレに頼ってしまったため反論もできなかった。

 

 

できればもう使いたくない。使うべきじゃない。

 

 

「悪いな、オルディーネ」

 

相棒に謝意を告げて『七の騎神』をポケットに突っ込む。空を見上げてもう一度大きく息を吐くと、クロウは隊室に戻って行く。

 

 

 

『七の騎神』を使う運命が迫っている事など知る由もなく。

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