ワールドトリガー 《蒼の騎士》、軌跡の果てに   作:クラウンドッグ

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例えもう二度と、会えないとしても

 

………勝った。…勝ったぞ。やった、やってやった。

 

 

 

………え、マジで?

 

 

 

それは例えるなら自分より足の速いやつとかけっこして勝ってしまったような。勝つと意気込んで、そう信じていても、どこかで無理だと知っている。

刀也はそんな心持ちで、この争奪戦に臨んだ。

 

なのに、勝った。

ガイスト《リード》なんて隠し玉も、Ⅶ"sギア(リィン)には通用しないと思っていた。

まさかここで師匠越えを果たせるとは……いや、おそらくそうではない。

 

きっと……と、そこで刀也は考えるのをやめた。

 

 

「改めて、見事だった。夜凪、この争奪戦は君の勝ちだ」

 

 

換装が解けて生身でその場に放り出された忍田がそう言ったからだ。

 

 

「忍田さん……さっきのは」

 

 

「ああ……なんだろうな。夢見心地というか……まるでリィンくんがーーーー」

 

 

「ーーーやめときましょう。…あんまりはっきりさせ過ぎるとロマンがない」

 

 

刀也は忍田の言葉を遮った。忍田もおそらく刀也と同じ仮説に行きついていたからだ。

 

“きっとこうだった”という仮説はある。それは突き詰めればきっと真実に行き着くのだろう。

だけど、真相を隠す事で“こうだったらいいな”という夢を抱き続けられる事もあるはずだ。

 

そういったロマンで、刀也はこの争奪戦を締め括った。

 

 

「ふ……ロマンか、それもそうだな」

 

 

忍田も薄く笑んで刀也の決着に同意した。

 

 

「さて、今すぐにでもこれを渡したいところだが、手続きがある。少しだけ待っていてくれ」

 

 

忍田はⅦ"sギアを掌に乗せて刀也に見せた。

 

 

「ああ」と声が漏れる。ようやく取り戻せるのだ。自ら手放してしまったが、ようやくこの手に戻ってくるのだ。感慨深く、筆舌にし難い。

 

「それでは」と低頭してから刀也は忍田に背を向けて歩き出した。会場を出て控え室への廊下を歩いていく。

その前に、忍田が「夜凪」と呼び止めた。

 

 

「私が言うのもおかしいかもしれないが……おめでとう、本当に」

 

 

それを受けて刀也は微笑んだ。それは“ヨナさん”らしくない、きっと“夜凪刀也”としての本心からの笑顔だった。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

☆★

 

 

「やったじゃねえか」

 

 

控室に入って目が合うなり、クロウは刀也を労った。

 

 

「おう!」

 

 

刀也は笑って、クロウの突き出された拳に自分の拳をぶつける。争奪戦が始まる前にしたように、それはある種まじないのようになっていた。

 

 

「確かに見せてもらったぜ、おまえの…おまえ自身の八葉一刀流をな」

 

 

夜凪刀也の八葉一刀流。それはリィンの八葉一刀流とは似て非なるものだ。いや、誰しも行き着く先は違うのだから、きっとそれが夜凪刀也の正解なのだ。

剣の道はひとつではなく、剣士の数だけあるのだから。

 

 

「ああ……ああ……! おれは…俺の4年は、無駄だと思ってた。でも4年の積み重ねは、俺の中にちゃんと根付いてたんだな。……ありがとう。それに気づけたのはおまえのおかげだ、クロウ」

 

 

「はっ、よせよ。 でも、ま……おまえが自分の道を進めるようになったなら良かったぜ」

 

 

“ひたすらに、ひたむきに前へ”

クロウは死の間際、Ⅶ組にそう言葉を遺した。それはあいつらの行き先を決めてしまう呪いになったかもしれない。

 

だから今回は、そう言わない。

 

 

「迷っていい、回り道したっていい。何も最短で駆け抜ける必要はねぇさ。おまえの人生は長い。それに、そうやって壁にぶつかる事でーーー」

 

 

 

「ーーー選択肢(未来)は広がる。八の字のように…か?」

 

 

刀也の見透かすようなセリフに、クロウは「はっ」と笑う。

 

 

「ったく……」

 

 

一皮剥けた、くらいではない。卵が孵って雛が産まれると思ったら成鳥が飛び出してきたくらいの成長だ。

 

きっと卵の中で頑張って来たんだろう。その殻を破る決め手となったのはおそらくーーーー

 

 

 

「や、お邪魔するよー」

 

 

開扉音がして現れたのは迅だった。いつもの軽薄な表情は薄められていて、真剣な眼差しがクロウと刀也に向けられている。

 

 

「迅か。どうした? 会場じゃ姿を見なかったが」

 

 

「ああ、実はこれを引っ張り出しててね」

 

 

と迅が懐から取り出したのは巻物だった。

 

 

「巻物…?」

 

 

それは近代的な三門市には似合わない、やや古ぼけた巻物のように見えた。

 

 

「ーーーまさか」

 

 

その正体を刀也は探り当てたらしく、目を剥いた。

迅は巻物の封を解いて開くと「読み上げるよ」と刀也に言った。

 

刀也は狼狽えつつも首肯して、迅は巻物に視線を落とした。

 

 

 

 

 

「夜凪刀也。ここに八葉一刀流、奥伝を授ける。これより先は我が《剣聖》の名を継ぐがよい。弟子を取ることも自由とする」

 

 

 

 

巻物が刀也に手渡される。その場面を見て、クロウは思い出した。争奪戦の最中にも感じていた既視感の正体。

カシウス・ブライトが贄としてのリィンになりきり、リィンがそれに打ち克った、あの出来事を。

 

 

「有り難く」

 

 

刀也は跪くようにしてそれを拝領し、改めて自ら読む。そこには刀也の八葉一刀流奥伝を認める事と、《剣聖》の異名をリィンから刀也へ受け継がせる旨などが書いてあった。

 

 

「《剣聖》はさすがにまだ荷が重いけどな」

 

 

刀也ははにかんで巻物を閉じた。

 

 

「まだ…か。いいんじゃねえか…時間はたっぷりあるんだろ」

 

 

“まだ”と刀也は言う。それは“いずれは”という決意でもあるだろう。

リィンも奥伝を授かった時は同じように、嬉しそうに困った顔をしていたものだ。

 

 

「それと、これはリィンさんからの手紙。巻物と一緒に渡せってさ」

 

 

続けて迅は便箋を取り出して刀也に手渡す。封を切ると一枚の手紙と共にディスクが出てきた。

 

 

「ビデオレター?」

 

 

「そうだね。ちなみに撮影したのはおれだよ」

 

 

しれっと言い切った迅に刀也は絶句してジト目を向けた。

 

 

「…………いや、別にいいんだけどね? おまえも大概人が悪いよな」

 

 

「言いつけだったからね」と迅は笑って流す。刀也はそれを見届けてため息をついてから、手紙を読み始めた。

 

 

 

『夜凪刀也へ。

君がこれを読んでいるという事は、君が自分を乗り越えたという事だ。おめでとう。これで君は晴れて八葉一刀流の奥伝を授かったわけだ。

君にはとても重い業を背負わせてしまう事になった。俺の黒トリガーをゼムリアに運ぶという依頼…それはきっとボーダーで君を孤独にさせるだろう。それに先の大規模侵攻で君を頼らなかった事もすまなく思う。

これから君にはいくつもの苦難が降りかかる事だろう。しかし君なら乗り越える事ができると信じている。なんと言っても俺の一番弟子だからな。

いかなる時も不撓不屈たれ。凪いだ夜の一刀たれ。

リィン・シュバルツァーより』

 

 

刀也は手紙を読み終えると瞑目し、長い沈黙の後に、師の名前を唱えた。

 

 

「我、()いだ(よる)一刀(いっとう)(なり)

 

 

夜凪刀也。凪いだ夜の一刀。すなわち明鏡止水。

 

声に出してしっくり来た。八の字と八葉一刀流だったり、今回の事も。こんな言葉遊びは大好きだ。

 

 

満足気に微笑む刀也に、迅もまた微笑んで「じゃあおれはこれで」と踵を返す。

その背に礼を告げて、今度はディスクに視線を向けた。

 

 

「ビデオレター…だったか。俺も同席させてもらっていいか?」

 

 

「…まあ、いいでしょ」

 

 

クロウの提案に、若干詰まりながらも否やとは言わない。

そうして隊室に戻り映像を再生しようとしたら、忍田がⅦ"sギアを携えてやって来た。

手続きとやらを手早く済ませてきたらしい。

 

 

「名目は“貸与”だが、実際には君への“返還”と思ってくれていい。……その黒トリガーはもう、ボーダーにとって戦力ではなくなってしまったからな」

 

 

Ⅶ"sギアを手渡す際に忍田はそんな事を言った。後半の部分に疑問を覚えた刀也は「それはどういう意味ですか?」と訊ねた。

 

 

「争奪戦が終わってから、私にⅦ"sギアは起動できなくなった。……まるで、あの一本勝負のために起動を許されていたみたいだ」

 

 

「おいおい…んな事があんのかよ」

 

 

今まで使えていた黒トリガーが起動できなくなった。

クロウや刀也にとってそれは初めて聞く事象だった。そもそも黒トリガーそのものに接する機会が少ないため比較対象の数が云々という話もあるのだが。

 

 

「私も初めて聞く。……まぁ、Ⅶ"sギアはリィンくんの特徴を色濃く受け継いだ黒トリガーだ。あるいはそういった例外が起きても不思議ではないかもしれない」

 

 

3人の中で色々な事が繋がった気がした。

刀也曰く、明確にするとロマンがないそうなので経緯の輪郭を捉えるくらいで把握を終えるが。きっとそれは、とても尊いものなのだろう。

 

 

「それに元々、私にはⅦ"sギアが十全に扱えていなかった。……ARCUS、と言ったか。リィンくんの奥義を解禁するためのシステム。私にはアレを発動する事ができなかった」

 

 

それは尚の事、忍田の中で“争奪戦のためにⅦ"sギアを起動できた”という推測を固めていく。

争奪戦の直前で、それが意図せず発動してからと言うもの、夢見心地になってしまった。……リィンが乗り移って来たかと思ったものだ。

 

 

そんな話を聞いて刀也は喜色を浮かべる。満面の笑みをするのも申し訳ないため抑えてはいるが、そのせいで気味の悪いにやにやとした表情になっていた。

 

刀也の心境を見破ったらしい忍田は「ふふ」と微笑ましげに目を細めると、「さて」と言って立ち上がった。

 

 

「すまないが、私はこれで」

 

 

「はい、ありがとうございました」

 

 

「君たちは遠征部隊内定を取り戻した。あとは第二試験を受けるだけだが……がんばってくれ」

 

 

「おうよ、誰にも文句を言わせねえ成績で突破してやるぜ」

 

 

忍田の激励にクロウが軽口で答え、刀也も同意するように口角をあげてみせる。

 

 

「ああ、頼んだ………!」

 

 

忍田の姿がドアの向こうに消える。

 

 

 

 

 

「うし、じゃあ見るか」

 

 

そうして一段落したところで刀也はPCにディスクを読み込ませると動画を再生した。

 

ウィンドウが拡大し、画面の中にリィンの姿が映り込む。

白銀の頭髪は白髪と見紛うほど艶を失い、力強さの象徴だった灼眼は濁って見える。首元には隠しきれない赤黒いアザがあった。全部《黒》の呪いによるものだ。

 

しかし、それは、確かに。リィン・シュバルツァーだった。

 

 

『おっけー。もう撮ってるよ』という迅の声が聞こえて、画面の中のリィンはおもむろに口を開いた。

 

 

『やあ、刀也。まずは、おめでとう。君がこれを見ているという事は、君が《剣聖》に相応しい男になったと言う事だ。……なんて、手紙でも同じように切り出したから、あまり格好はつかないな』

 

 

声が。

 

「リィン……」

 

「リィンさん……」

 

 

久しく聞いていなかった声が、聞こえるだけで。

 

 

なんだか、泣きそうになる。

 

 

 

『八葉一刀流の奥伝を授かるには、己から一本を取らなければならない。……他の師兄たちは知らないが、少なくとも俺はそうだった。だから君にも同じ課題を乗り越えてもらう事で、奥伝授与という形にさせてもらう。……判定は迅に頼んだが、未来視を持つ彼だ。いい時期を見計らってくれるものと思っている』

 

 

『プレッシャーですね』とまた迅の声が入る。画面の中でリィンが微笑んで『頼むぞ迅』と念を押していた。

 

 

『本来なら俺がそこまで導いてやるべきだったが……すまない。この体たらくで、無理そうだ。……こうなる選択をした事に後悔はないが、君には申し訳なく思う』

 

 

第一次近界民侵攻で、多くを救うために刀也を頼らず“七の騎神”を起動し《黒》に蝕まれた経緯。

 

刀也が歪む一因となった出来事だ。

 

 

『だから、俺のようにはならないでくれ。……こうして死の際に立ってみてわかったんだ。……きっと俺は、幸せにならなくちゃいけなかった。俺のために泣いてくれる人たち…君や、ゼムリアに遺してきた仲間たちのためにも………』

 

 

リィン・シュバルツァーは幸せになるべきだった。

リィンが幸せじゃないと、幸せになれない人がいるから。

 

そんな心境にリィンは至っていた。

自己犠牲を安易な道とは言わない。しかし、自他ともに活かす道を、もっと探るべきだったと。

 

 

『そんな後悔を抱かないためにも、君は俺のようにならず、自分の道を行ってほしい。……そのために俺は君に“活人剣”を教えてきたつもりだ。君は少し、俺に憧れ過ぎているきらいがあるからな……少しだけ心配だが、君だけの八葉を見出せると信じている』

 

 

「はは、どこからか見てたみてぇだな」

 

 

刀也がここに至るまでの経緯を見てきたかのように映像で語るリィン。刀也はどこか誇らしげに「さすが」と呟いている。

 

 

「まさに天の眼……天元眼か」

 

 

『《剣聖》の名を授ける……と言いたいところだが、俺はユン老師じゃないから勝手に与える事はできない。代わりと言っては何だが、俺の《剣聖》を継いで欲しい。……自分には過ぎたものと思うかもしれないが…なに、いずれ慣れるさ。君は俺よりずっとすごい剣士になるはずだからな』

 

 

 

 

「ーーはい」

 

 

刀也が返事をすると画面のリィンは、にこりと屈託なく笑んだ。

 

 

『そしてクロウ。もしおまえがいるとしたら、刀也が此処に至る一助になってくれた事は間違いないと思う』

 

 

そしてリィンは会話の矛先をクロウに向けた。

まさに見てきたような口ぶりに「は」と笑みが溢れた。

「クロウが言った通りだな」と刀也も笑んでいる。

 

 

『ひとまずこれで、あの50ミラの利子は返済って事にする』

 

 

「ったく、がめつくなりやがって。ようやくかよ」

 

 

画面のリィンに、軽口のように、寂しげに、クロウは言う。

 

 

『ありがとう、クロウ。そして、すまなかった。ゼムリアから飛び立って、こちらの世界に来る時におまえの手を掴めていれば……』

 

 

“未来は変わったのかもしれない”とでもリィンは言いたげで、でも言わなくて。

 

 

「そりゃ、甘ったれた意見だぜ。リィン」

 

 

『そうだな。これは甘ったれた意見だ、クロウ』

 

 

時空を超えて、あの病室とこの隊室が繋がっているのではないかと思うほどのシンクロ。

リィンとクロウがそれほどの相棒(悪友)という証左だった。

 

 

『だけど、クロウは来てくれた。俺に果たせなかった事を繋いでくれた。……ありがとう』

 

 

夜凪刀也を導くという命題。本来師匠(リィン)がやるべきだった事を、クロウが果たした。

とは言っても、クロウは教えてやっただけだ。夜凪刀也はもっと自分を信じていいと。

しかも最後にはとんだサプライズがあった。

 

 

『……黒のイシュメルガの呪いで、俺はこうなった。黒トリガー“七の騎神”は騎神を相克以前に戻したものだ。だからイシュメルガも未だ健在……黒トリガーを使えば呪いに蝕まれてしまう。この問題を解決せずに逝く事になってしまうが…』

 

 

そう言うリィンだが、無抵抗ではなかった。“七の騎神”に自分のトリオンを注ぎ込んで、黒トリガーに己の意識を潜ませていた。

それがクロウのイシュメルガ打倒の大きな要因になったのは間違いない。

 

 

『…いや、クロウならもうイシュメルガを倒しているかもしれないな。………刀也やイシュメルガの事も含めて、色々な課題を残してしまうが……クロウならなんとかしてくれると思っている。なんて希望的観測か? まあそれくらいクロウを信じてるって事で勘弁してくれ』

 

 

リィンの申し訳なさそうな顔にクロウは嘆息し、

 

「……ったくよ、無責任なヤローだぜ。とは言っても今のところオールオーケーだ。勘弁してやるとするぜ」

 

やはり楽しげに、悲しげに会話をする。

 

 

 

『少し喋り過ぎたな。……刀也、がんばってくれ。クロウ、元気でな。ーーーありがとう。楽しかった』

 

 

リィンが言って、頷くと。ぶつりと音を出して映像は終わりを迎えた。

 

 

 

沈黙が木霊する。余韻に浸る。クロウと刀也はしばらく呆然と画面を見つめて、

 

 

「……………は、はは…」

 

 

 

どちらともなく声を出して笑った。

 

 

 

 

「なんつーか、実感したぜ………」

 

 

クロウは立ち上がって、部屋をうろつきながら伸びをする。深呼吸には嗚咽が混じっているように聞こえた。

 

 

「……リィンは、もういねえんだってな………」

 

 

わかっていたことだ。

 

はじめから、わかっていたことだった。

 

 

だけど今、初めてそれが胸に落ちた。

リィンの死に納得が追いついた。

 

ボーダーに来て最初に聞かされた事だった。

その弟子の刀也からも同じ事を聞いた。

 

“リィンは死んだ”

 

その事実は頭でわかっていても、心じゃ受け入れられていなかったのだと気づいた。

 

“七の騎神”があった。オルディーネと再び共に戦った。

もしかしたら、リィンともそうなる可能性があるんじゃないかと心のどこかで期待していた。

 

イシュメルガに呑まれて、精神の戦いでもリィンは助っ人として現れてくれた。

もしかしたら、現実でもそうなるんじゃないかと信じていた。

 

“Ⅶ"sギア”があった。リィンの黒トリガー。いつかそこから甦るんじゃないかと思っていた。

“Ⅶ"sギア争奪戦”の忍田にリィンの姿を思い描いた。そのうち本物が現れるかもと思っていた。

 

 

振り返ればそこにおまえの背中があるんじゃないかと思っていた。

 

 

背中を預けて、また一緒に戦いたかった。

 

 

 

 

「……あばよ、リィン」

 

 

 

50ミラの軌跡も終焉を迎えた。利息分もきっちり耳を揃えて完済という所だろう。

 

だからこれは決別だった。

 

 

相克は終わり、不死者としての復活もあり得ず。

至宝の奇蹟も今や“七の騎神”という型に嵌められて行使できない。

 

 

だが。それでも。

 

 

I'll remember you(俺はおまえを忘れない)

 

 

 

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