東方桃幻隊 ~Battle of Popstar – Word War vision~ 作:小林ミメト
「おかしいなー。旧市街はこっちの方角であっているはずなんだけどな。」
ブンは、しきりに地図やコンパスとにらめっこしながら旧市街につながる林道を探していた。
ここウィスピーの森は、不思議な力を持っている木々がたくさん生息している地であるため。電波は、わざと届かないようになっているので携帯電話は使えない。
「あ、あれじゃないのか?」
カービィが指さす先には、月明かりに照らされた林道があった。
隊員1「おー!やりましたね。カービィ殿!」
隊員2「やったぜ!これで家に帰れる!」
ブンたちは、しばらく林道を歩いていくと少し開けたところに古びた駅舎が立っていた。
駅名は文字がかすれていて判別しづらいが、行き先が表示される電光掲示板にはポポポリスと書かれている。
隊員3「ポポポリス!首都までいくやつだ!これで帰れるぞ!」
ブン「何時くるんだカービィ?」
「あと、五分で来るのだ。」
電車がやってくるまでベンチで待とうかと思ったが、座ったら物の数秒で壊れそうなほど朽ち果てていたのであきらめた。
隊員4「ねえ、隊長。この駅おかしくないですか?」
ブンは、駅を見渡してみると。たしかにすべて朽ち果てたベンチといい、廃墟によくありがちな奇妙な落書きといい、広告も十数年前の古いもので電光掲示板がついていること以外は、まるで使われなくなってからずいぶん経っているかのようだった。それに、ついている明かりもどことなく薄暗い。
「あ、だれか来るのだ。」
カービィの視線の先には、目がハートの髑髏の入れ墨を掘ったチャラめの若いキャピー族のカップルが歩いてきた。
しばらくすると、向こうもこちらに気づいたようで赤いリボンが付いたツインテールの女性がこちらを指さした。
「イロー、もしかしてあそこにいるのって・・・。」
「おー!ポリ公になったブン様じゃねーか!」
「イロー、ハニー。お前ら何しにここに来た?」
イローは、モヒカン頭をワシャワシャすると凄みのある声で言った。
「せっかく再会できたというのになんだその態度は?」
「質問を質問で返すな!こんな時間に何しに来たと言っているんだ!」
「イロー、やめて!警官にたてつくのは良くないわ。」
ハニーがなだめたおかげでイローは落ち着きを取り戻した。
「(・д・)チッ。悪かったよブン様。俺たちは夜のデートだ。なんも悪いことはしちゃいねーぜ。」
ブンは、子供時代にイローやハニーとよく遊ぶ仲だったが、いつの日か二人がある日を境にグレて疎遠になり、ブンがボルン署長の後を継いで以降二人との関係は最悪なものになった。
「あ、電車が来たのだ。」
さびたレールの向こうから、車体をきしませながら二十年物の古ぼけた電車がものすごいブレーキ音とともに駅に停車した。
車体は、ところどころ塗装が剥げて窓ガラスもひびが入っており何年も使われていないような感じだった。
「マジでこれに乗るのかよ。」
「オイオイ!ブン様よー。まさかビビってんじゃねーのか?」
「び、ビビってなんかねーし。」
そう言って、カービィとブンそしてブンの部下たち八人が先に乗り込み。イローは怖くて震えているハニーの手を握って後から乗り込んだ。
電車は、火葬場のようなドアの開閉音を鳴らした後、『プピー』という情けない汽笛の音を響かせて発車した。
車内は、どことなく薄暗い雰囲気を漂わせていて、乗客は見たこともない服装の八頭身エイリアンが半数。残りは薄暗い表情をしたキャピィ族だった。
その中には、見覚えのある人物もいた。
「あ、あれは村長夫妻じゃない?」
「村長さん。久しぶりなのだ。」
だが、近づいてカービィが呼び掛けても二人は全く反応しなかった。
「ぶっは!村長さんに無視されてヤンの!」
イローは、村長夫妻に無視されたカービィをあざ笑っていたが、同時に得も言われぬ恐怖感に襲われていた。
カービィは、今度は隣にちょこんと座っていたクーに話しかけたが、同じように反応はなかった。
気まずくなったカービィは、そのままブンのところへ戻っていった。
「おかしいのだ。クーも村長さんもそうだけど、この電車・・・何かがおかしいのだ。」
ブン「奇遇だな。俺もだよカービィ。いつも挨拶してくれている村長さん夫妻や、礼儀正しいクーがあろうことかカービィを無視するなんて・・・。」
それを聞いてハニーは恐怖に震えた。
ハニー「イロー・・・なんか変じゃない?マジやばいってこの電車・・・。」
イロー「うるせー!これに乗らねーと帰れねーぜ。」
二人はしばらく言い合っていたが、疲れていたのか急に眠ってしまった。
その時、乗務員室の扉が開いて中から女性の車掌さんが現れた。名札には八雲紫と書かれており、背丈は八頭身のエイリアンと同じくらい高く、その顔には妖艶な笑みが浮かび上がっていた。
「切符はありますか?」
「あ、すいません。慌てて無人駅から乗ってしまったもので・・・。」
ブンがそう言って財布を出すと、それを女性の車掌さんは手で制止した。
「運賃はタダです。その代わりにあなた方にはこの電車で幻想郷に来てもらいます。」
「幻想郷?それはどこですか?」
紫という車掌さんは、妖艶な笑みを崩さずに答えた。
「行けばわかります。」
その不気味さと不安に耐えかねたのか、ブンの部下たちが騒ぎ始めた。
「でも、その間俺たちの家族はどうなるんですか!?」
「大丈夫です。あくまでも義務としていくのはカービィさんだけですから。」
「どうする?カービィ?」
カービィは、まっすぐな目をして紫を見つめた後、覚悟を決めたように一回頷いてブンの方に向き直った。
「僕は行くのだ。これは勘かもしれないけど、僕がそっちに行かなきゃいずれ幻想郷で起こる異変は、このプププランドにも降りかかってくる気がするのだ。」
その言葉に、紫は優しいお姉さんのような笑みでクスッと笑った。
「まるで、霊夢みたいね。」
紫は、制服のポケットから光り輝く星型の物体を取り出した。
「それはワープスター!なぜ、あなた様が持っているのだ?!」
「拾ったのよ。ウィスピーの森の中でね。」
紫は話を続けた。
「私は、自分と瓜二つの偽物に住処である隙間から追いやられて、気が付いたら見慣れない森の中で倒れていたの。そこで見つけたのがこの半分焼け焦げていたワープスターだったの。」
ブン「スキマっていうのは何ですか?」
紫「簡単に言えば、幻想郷と外の世界の狭間にある普通の人には見ることも行くこともできない空間よ。私はそこを行ったり来たり出来るの。」
ブン「なるほど・・・でも、よくウィスピーの森だってわかりましたね。」
紫「出会ったのよ。その森の主ウィスピーウッズにね。」
~少女回想中~
紫は、今にも消えそうな星の形をした何かを直す手段を探して森の中をさまよっていた。
「急がないと、この星の光が消えたらまずい気がするわ!」
彼女が大きな樹の下まで駆け込んで一休みしていると、上から間延びした男性の声がした。
「誰さんかな?」
「え?い、今の声は?」
「私だ。」
そう言うと、その木に見る見るうちに穴が開いて目と口を作り上げ、鼻の部分から木の枝が盛り上がって顔ができた。
紫は、あまりの出来事に腰を抜かしそうになったが、そこは妖怪の大賢者。何とか気合で踏みとどまった。
「あなたはいったい何者ですか?」
「俺は、この森の主。ウィスピーウッズだ。君は、だれかな?」
「わたしは、幻想郷を作った妖怪の大賢者。八雲紫です。私を知らないということは最近幻想入りした妖怪ですね。」
妖怪といわれてムッとしたウィスピーは、頭を揺らして紫の頭の上にリンゴを落とした。
「あだっ!ちょっ!何するのよこの愚か者!」
「愚か者は貴様だ!幻想郷がどこだか知らぬが、ここは我々の森!そしてこの俺が主だ。むしろ新参者は貴様の方だ!」
すると、周りの木々が風も吹いていないのにざわざわと動き始めた。
「そうだ!見かけないエイリアンめ!」
「ウィスピー様に対して無礼であるぞ!」
「そうだ!出ていけこのクソBBA!」
どの木か知らないが、一番踏んではいけない地雷を踏んでしまったようだ。
紫は、見る見るうちに黄色の髪が逆立ち、紫色のスカートが周りに現れた弾幕と一緒にゆらゆら揺れていた。
その顔はもはやBBAというよりも般若に近いものであった。
「クソBBA~~?もう許せない!あなたたち全員私の弾幕で根元から焼き尽くしてやるわ!!」
「やる気だな・・・ならば私も本気で行かせてもらう。」
ウィスピーも地面から自由自在に動かせる根っこを出して戦闘態勢に入った。
お互いの勘違いと、ある一本の木が爆弾発言をしたことにより勃発した弾幕勝負。
勝つのはどっちだ!?次回をお楽しみに!
追記:あとがきと前書きが雑になってきた希ガス・・・。(;^ω^)