東方桃幻隊 ~Battle of Popstar – Word War vision~   作:小林ミメト

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 紫は、蘭とともにソラチの道案内でカブーの谷へと赴き、そこで幻想郷や自分たちが今いるポップスターにナイトメアの魔の手が迫っていることを知ると、その対抗勢力である星の戦士カービィを探すために妖力を使ってカービィを幽霊列車に誘い込んだ。



第二十一弾:星の戦士の幻想入り

 

「なるほど、そんなことがあったのですね。」

 

ブンは今までの話を聞いて頷いた。そして、覚悟を決めたように紫にこう言った。

 

「俺も行きます。」

 

勿論、それを聞いた部下たちはなおのこと慌てた。

 

「待ってください!署長!あなたがいない間だれが署長をやるのですか?」

 

ブンの発言には紫も反対だった。

 

「確かに、あなたもカービィに付き添う権利はあります。ですが、それは絶対ではありません。それに、ポップスターの治安情勢は解りませんが、霊夢たちだけでは今後このポップスターで起きるナイトメアがらみの事件は対処しきれないと思います。」

 

「う、うーん。」

 

ブンは、署長という市民の安全を保障する組織で一番偉い立場にあるので、幻想郷へ赴くのであれば代理の人物を探さなければいけないのだが、それをすっかり忘れていたため困り果てた。

 

「では、私がブン殿のいない間私が署長の代理をやります。」

 

そう言って手を挙げたのは、髭が黒いボルン元署長といった具合の男性だった。

 

「君は・・・たしか・・・。」

 

「私は、ボルン元署長の息子。レーベンス警部です。」

 

ブンは、少し考えると彼の肩に手を置き。彼にこう語りかけた。

 

「では、レーベンス君。俺の身に何か起きたら君が署長となってこのプププランドを守ってくれ。」

 

レーベンスは、少し驚いた顔をしたがすぐに表情を戻してブンに向かって敬礼をした。

 

「ハイ!ブン署長や親父の顔に泥を塗らないよう精進いたします!」

 

「覚悟は決まったみたいね。」

 

「ああ!」

 

「ぽよ!」

 

紫は、それを聞くと同時にブンを除いた警官たち全員に向かって手をかざした。

 

すると、彼らは糸が切れたかのようにその場に倒れこんだ。

 

「どうなってんだ?」

 

「妖力で眠らせたのよ。彼らをこのまま、とあるホームまでスキマで送ります。」

 

「あれ?でもスキマってたしか偽物がいて使えないって君から聞いたのだ。」

 

「そうよ。そこで私は、試しにこのポップスター内をスキマで移動したんだけど難なく行けたのよ。」

 

「なぜなのだ?」

 

「こればかりは私の推測かもしれないけれど、私の偽物は私をここに閉じ込めて幻想郷には行かせないつもりなのかもしれないわ。」

 

カービィとブンはそれで納得がいった。

 

カービィ「じゃあ、紫さんが僕たちを幻想郷に送り込む理由って・・・。」

 

「完全に行き当たりばったりの案になってしまうのだけれど、力も見た目もまるで違うあなたたちなら突破できるんじゃないかと思ってね。」

 

その時、どこからともなく紫とはまた違った女性の声が聞こえてきた。

 

「紫さま。そろそろ妖力が枯渇しそうですので早くしてください!」

 

カービィとブンが周りを見渡してみると、おんぼろだがかろうじて動けそうな雰囲気だった電車が徐々に朽ち果て始め、周りの乗客たちも姿が消えかかっていた。どうやら、紫の部下が魔術か何かでこの電車を動かしていたようだ。

 

「ごめんね蘭。もうちょっと待ってて!もし幻想郷に戻れる時が来たらミスティアに頼んできつねうどんを食べさせてあげるから。」

 

「それっていつになるんですか~・・・。」

 

そういいつつも紫は、彼女をもっと元気づける案はないのかと冷や汗を流していた。

 

見かねたブンは、一つの提案を紫に出してきた。

 

「あのー。」

 

「なに?・・・いえ、なんでしょう?」

 

「この星では、宇宙中の様々な食べ物がたくさん輸入されてきています。ですので、蘭さんの所望されているきつねうどんも食べられますよ。」

 

「え?ほんとですか!!」

 

わかりやすいなとブンは思った。なぜなら、急激に電車の設備がきれいになっていき、乗客もはっきり見えるようになった。

 

「その、店の名前をできれば教えていただけないでしょうか?」

 

「店の名前は、確か・・・カワサキだったような気がします。」

 

「カワサキね。覚えておくわ。」

 

紫は、咳ばらいをすると真剣な面持ちで二人にもう一度確認をした。

 

「話を戻すけど、今から幻想郷に送り込みますが本当に後悔しませんね?」

 

二人は静かにうなずいた。それを見届けると、紫はブンにワープスターを渡して空間を切り裂いた。

 

ブンが恐る恐る中を見てみると、暗闇の中にあるすさまじい数の光る赤い目がこちらを凝視していた。

 

「この中に入るのかよ・・・。」

 

あまりのグロテスクな光景にブンは後ずさりした。

 

「でも、紫さんや霊夢さんの代わりに僕たちが幻想郷に行って、そこに巣食う魔獣を退治しないと、ナイトメアはいずれ霊夢さんのようなすさまじい力を持った魔獣をこっちに送り込んでくるかもしれないのだ。」

 

「それは、勘なのか?カービィ。」

 

「勘なのだ!」

 

そう言うと、カービィは我先にとその空間に入ってしまった。

 

ブンも意を決してそこに飛び込んだ。

 

ブンが中に入った後、スキマはビヨォンという奇妙な音ともに閉じた。

 

「カービィ、ブン。幻想郷を頼みましたよ。」

 

そして、だれもいなくなったポポポリス駅の13番線のベンチには、ブンの部下たちがいびきをかきながら寝ていた。

 

一方、こちらはイローとハニー。イローは、ガタンゴトンと揺れ動く車内で目が覚めた。

 

「うーん。」

 

そして、起きてすぐ彼は大変なことに気が付いた。なんと、先程までいたカービィとブン、ブンの部下たちの姿がどこにもないのだ。

 

「嘘だろ!あいつらどこに行きやがった!?」

 

「なにー?イロー。うるさいんだけれど・・・。」

 

「んなこと言ってる場合か?あいつら俺たちを置いてどこかへ行きやがった!!」

 

ハニーは未だ寝ぼけているのか、口をもごもご言わせながら何気なく車窓を見た。

 

車内が薄暗いせいか車窓がよく見えるらしく、しばらく崖ギリギリを走る列車から見える景色をぼーっと眺めていたのだが、徐々に顔を青ざめて女子特有の黄色い悲鳴を上げた。

 

「おめーの方がうるせーわ!!」

 

「だってこの電車おかしいのよ!大きながけ崩れで廃止されたはずの線路を走っているんだもん!」

 

「なんだって!?」

 

それを聞いてイローは、はっと思いだした。カービィがナイトメアを倒してすぐの頃、今走っているような崖に沿う形でポポポリスとプププシティを結ぶプププランド初の鉄道路線が開通して、自分もその路線に乗車したことがある。

 

その五年後にちょうどこのあたりで、大規模ながけ崩れが発生してそれに二両編成の車両が巻き込まれて乗客乗員全員死亡した。ちょうど今、自分が乗っている車両がそれなのだ。

 

乗客の方を見ると、なるほど確かに薄暗い表情をしたキャピィ族の中には、泥をかぶっているものも見受けられた。

 

「ようやく、気づいてくれましたか・・・。」

 

その中の一人が、イローとハニーが自分の無念に気づいてくれたのがよっぽどうれしかったのか、不気味な笑顔で近づいてきた。

 

その時、彼の口からミミズや蛆虫が泥と一緒に滝のようにあふれ出てきた。それと同時に、彼の顔は痩せこけて目が腐り落ち、そこからまた虫が泥と一緒にあふれ出てきた。

 

「ギイャアアアア!!!!!」

 

ハニーは、たまらず悲鳴を上げた。ただ、先に逃げたしたのは彼氏であるイローだったが。

 

「ちょっとイロー!またおいていく気!?」

 

ハニーは、子供の頃に行われた肝試し大会から全く変わらない彼氏を見て、呆れつつも置いて行かれないように必死で走った。

 

イローは、そんなハニーに構うことなく一目散に二両目に向かって走り出した。

 

その時、下を向きながら走っていたためか誰かにぶつかってしまった。ごとっと音がしたので、倒れてしまったのかと思い慌てて謝罪した。

 

「わ、わりい!だが、急いでいるんだ!そこをどいてくれねえか?」

 

だが、その人物はただ無言で突っ立っているだけだった。

 

 「おい!聞いてるのか?」

 

 「あーあ・・・。あんたのせいで落としちゃったじゃないの・・・。」

 

 その八頭身のエイリアンは、赤いマントに黒い上着、赤いミニスカートに黒いブーツといったいでたちの女性だった。彼女は、気怠そうな声でイローの方を向いた。

 

 その瞬間、イローは体が凍り付く感覚を覚えた。なんと彼女が羽織るマントの上には、本来あるはずの頭がなかったのだ。

 

 彼女は、転がっていた頭を拾い上げると拾われた顔は苦悶の表情を浮かべていた。

 

 「あなたのせいで、私の頭が汚れちゃったじゃない・・・だから・・・。」

 

 そう言うと、彼女は懐から出刃包丁を取り出してイローに襲い掛かってきた。

 

 「ひいっ!」

 

 「あなたの首をお詫びのしるしとして持っていくわ・・・。」

 

 女は、ケタケタと笑いながらイローの首筋めがけて刃をふるった。

 

 イローは、間一髪でよけると今度はハニーがいる一両目に向かって走り出した。

 

 「出たアアアア!!首なし女(エイリアン)だアアア!!」

 

 ハニーもイローに追いつき、二人で抱き合っていると横から聞き覚えのある声がした。

 

 「君たち、騒がしいぞ。」

 

 声のする方を見ると、そこにはボルン署長が立っていた。

 

 「ボ、ボルン!!おい!助けてくれ!首のないエイリアンが俺たちに襲い掛かってくるんだ!頼む!助けてくれ!」

 

 「であるならば、私に誤ってほしいことがある。」

 

 ハニーは、必死に可愛い顔をしてどんなことに対して謝ってほしいのかを聞いた。

 

 「君たちが、私を焼き殺したことをなぁ・・・。」

 

 その瞬間、ボルンの顔が見る見るうちに焼けただれ、服もほとんどがやけこげたゾンビのような姿に変貌した。

 

 「うわあああ!!」

 

 「ごめんなさあああい!!」

 

 「今更、誤っても遅い!!二人とも放火の実行犯として逮捕する!!」

 

 しばらく恐怖で震えた後、二人はあまりの怖さに耐えかねて失禁したまま気絶した。

 




 次回から、もしかしたら一か月に一話の投稿になるかもしれませんのでご了承ください。

 そして、次回はポップスターの日常回で、今話題の環境保全を訴えるとある少女をモチーフにした物語ですので楽しみにしてください。('◇')ゞ
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