東方桃幻隊 ~Battle of Popstar – Word War vision~   作:小林ミメト

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 場面は少し変わって、ここは幻想郷にある守矢神社。
 その鳥居の上でカエルの目玉のようなものがくっついた帽子をかぶった少女が、山から下りてくるそよ風に鳥獣戯画のカエルの部分をプリントした紫色のスカートと黄色い髪をなびかせてカエルの歌を歌っていた。
 こう見えても彼女は、世界最古の国日本の初代天皇である神武天皇が日本列島を治める前に存在していた最古の神様である土着神の最高神なのである。
 


第三弾:元大王は消えず、ただ悪だくみするのみ

 「カーエールーのうーたーがー♪、きーこーえーてーくーるーよー♪、クワっ♪、クワっ♪、

クワっ♪、クワっ♪、ケロケロケロケロクワっ♪、クワっ♪、クワっ♪」

 土着神の最高神、今は洩矢諏訪子を名乗っている彼女は、気持ちよく体を左右に揺らしながら締めの『クワっ♪×4』で上下に揺らして決して豊かでは無い胸を揺らした次の瞬間、背後からこの神社に住まうもう一体の神様に胸をもまれながら先程の歌を激励された。

 「よくできましたぁ~すわこちゃ~ん」

 「クワアアアア!!」

 因みにもう一体の神様はお神酒を飲んで酔っ払っていた。

 だが、諏訪子は身の危険を感じた時は自分より強い神様であろうと容赦はしない。

 「土着神:手長足長様!」

 諏訪子はふわりと空中に浮き、希少価値がある胸をもんだ罰として険しい顔をしながら相手の神様にスペルカードでお仕置きを施行した。 

 「ちょっ!待ってよーすわこちゃ~ん。」

 「神奈子!、いくら何でも今回は許さないよっ・・・グワーッ!」

 諏訪子が神奈子と呼ばれる神様に口を大きく開けて威嚇すると同時に、神奈子の尻の真下からブラックホールのようなものが出現した。

 神奈子は、逃げようとしたが先程の威嚇のせいなのか全く動けなくなった。

 神奈子は蛇の神様なので、さしずめ『カエルに睨まれた蛇』といったところか。

 そうこうしているうちに、穴の中から手長足長がなぜかカンチョ―のポーズで勢いよく飛び出した。ちなみにカンチョ―のポーズをしているのは手長の方です。

 「手長足長秘伝体術奥義:三千年殺し―ッ!」

 『ブスリ♀』

 「羞恥神ぱ~らだ~いす!」

 『ずぎゃしゃ』という擬音が似合いそうな技を食らった加奈子は、案の定気絶して空中から地面へ真っ逆さまに落ちてそのまま地面にめり込んだ。

 諏訪子は「ハア~」とため息をつくと、腕を組みながらゆっくり地面に着地した。

 「神奈子ったらもーっ!また昼間から酒なんか飲んじゃって、あんたはこの神社の祭神なんでしょ?人間たちにそんなだらしない姿を見せて信仰失ったらどうするのさ。」

 地面にめり込んだまま洩矢神に説教を食らっているこの酔っ払いの神様は、幻想郷に来る前にこの洩矢神を力でねじ伏せたこの神社で一番偉い神様なのだが・・・。 

 「ふぇ?なにいってんの諏訪子?私はそんなえらい神様じゃああ~りませんよ~www」

 もう一度諏訪子が神奈子に説教をしようとしたところ、この神社の風祝の東風谷早苗が息を切らして走ってきた。

 「ハア、ハア、神奈子様ー!諏訪子様ー!大変ですよー・・・ってこれどういう状況?」

 早苗の目の前には、地面にめり込んでいる神奈子とそれににらみを利かせている諏訪子がいた。

 諏訪子が早苗に気づいてこちらを振り向いた。

 「なんだい早苗?こちとら神奈子に説教をするのに忙しいんだ。甘味処の限定スイーツ情報か、異変かどちらかじゃないと取り合わないよ。」

 「後者の方ですよ諏訪子様!」

 すると早苗の焦りようにただ事じゃないと思った神奈子は、地面から頭を引っこ抜くと顔を酒で赤らめたまま真剣なまなざしで早苗の話を聞くことにした。

 「何か起きたのかい?」

 「実は、魔理沙さんの家にゼロ戦が機種を玄関に突っ込んだ形で止まっていたんです。」 

 諏訪子は、地面に降りてきて小走りで早苗のもとへ向かってきながら疑問に思ったことを話した。

 「早苗、ゼロ戦ってなんだい?」

 「あ、はい。ゼロ戦は、解りやすく言うと私がこの幻想郷にやってくる数十年ほど前に外の世界で起きた戦で使われていたプロペラのついた空飛ぶ乗り物です。」

 「じゃあ、乗り物ということは少なくともそれを動かす人がいるだろ?そいつらはどうなった?」

 「いえ、それがゼロ戦のパイロットはどこにも見当たらなかったんです。」

 すると諏訪子は、先程の険しい顔から無邪気に喜ぶ子供の笑顔で早苗に、一緒に魔理沙の家に確かめに行くよう促した。

 「諏訪子の言う通りよ、そして持ち主が不在ならそのゼロ戦とやらを河童たちに分析したのちに改造をしてもらえば、異変が起きた時に幻想郷の妖怪たちを簡単に退治できるかもしれないよ。」

 ツッコミ不在とはまさにこのこと、早苗も目に星マークが浮かび上がり三人でスクラムを組んだのちにおおよそ神様や巫女様とは思えないゲス顔で、なんとしても誰よりも先にゼロ戦をわがものにしようと心を一つにしたのだった。

 意気揚々と自分たちの信仰の拠点を後にした二柱と一人の様子をカラス天狗の新聞記者が見ていた。

「あやや、これで飯のタネには困らなくなりましたね。しかし、妙ですね・・・魔理沙さんの家に突っ込んだゼロ戦とやらは80年ほど前に外の世界で活躍した空飛ぶ乗り物。本来であればこっちの世界に来るときに埃をかぶっているか、あるいはぼろぼろの状態で自然に還りかけているはず。」

 新聞記者はそんな独り言をブツブツつぶやいていると、もう一人似たようなカラス天狗が舞い降りてきた。

 「だけど、そのゼロ戦は操縦士が乗っていてとても忘れ去られたような状態じゃない。そういいたいの文?」

 文と呼ばれた新聞記者が振り向くと、そこには自分と違って黒のセミロングではなく栗色のツインテールの髪型をしたカラス天狗がいた。

 「なんだはたてか。私の取材の邪魔をしにきたのか?」

 「そんないやそうな顔しないでよ~。私も今回ばかりは取材に協力してあげるわよ♪」

 はたてと呼ばれる新聞記者は、マスコミ特有の胡散臭い笑顔をライバル相手に向けていた。

 文はいやそうな顔をしながらも協力するという言葉に乗っかった。

 「で、どんな有益な情報を提供してくれるのかな?」

 「実は、霊夢さんと魔理沙さんの居場所を念写したら薄暗い地下室みたいなところでエイリアンと思わしき二人組と会話してたのよね~。」

 文は、はたての言葉をメモっている手を止めて、驚いた顔ではたての顔を見た。

 「それは本当か?」

 普段は反目しあっている二人だが今回は、ゼロ戦とそのパイロットに詳しい話を聞くことで意見が一致した。

 さて、場所は変わってここはプププランドの中心地、プププシティのはずれにあるデデデヶ丘にそびえたつデデデ城の城内。

 霊夢と魔理沙は、気が付くと近未来的な機械の台座に重なるようにして横たわっていた。

 「う~ん・・・えっ!?ここはどこ?」

 霊夢は、上に重なっている魔理沙をどかしてあたりを見回した。

 勢いよくどかしたもんだから、魔理沙は台座から転げ落ちてその痛さで目が覚めた。

 「イチチ・・・あ、あれ?霊夢はどこだ?霊夢ー!」

 「ここよ、魔理沙。」

 見上げると、そこには奇妙な機械の上に立っている霊夢がいた。

 「お目覚めでゲスかな?魔獣たちよ。」

 二人が声のする方を向くと、カタツムリのお化けとふんぞり返っているペンギンなのかフォアグラなのかわからない生き物がいた。

 霊夢は、いきなり変なところで見ず知らずの連中に魔獣呼ばわりされてむっとした。

 「あなたたちはいったい何者なのよ!」

 「頭が高い!ひかえおろう!この方は栄えあるプププランドの大王デデデ陛下であらせられますぞ。」

 「お前たちはカービィという怪物を倒すためにわざわざ召喚したのだゾイ。光栄に思うがよいゾイ!デハハハハハハハ!!」 

 すると魔理沙は、首をかしげて独り言を言った。

 「不思議なこともあるもんだな。私は霊夢を助けたい一心で瞬間移動のスペルカードを発動したら、ここについたんだぜ。」

 デデデはその言葉が気に入ったのかにこやかな顔で両手を広げてこう言った。

 「ならばこれも何かの縁ゾイ。恐らくカービィを倒せば元の世界に帰れるかもしれないゾイ。」

 しばらく霊夢と魔理沙はどうしようか考えていると、龍がうなる音がどこからか聞こえてきた。

 霊夢と魔理沙がどこに龍がいるのか見渡してもどこにもいない、デデデの方に視線を戻すとデデデが腹を抱えて明らかに困った顔をしていた。

 「あ・・・そういえばワシ、朝から何も食ってなかったゾイ。」

 「恥ずかしながら私もでゲス。もうふらふらでゲスよ~。」

 デデデは、何かをひらめいたらしく八頭身の少女二人を見上げて、恐らく食いつくであろうある提案をした。

 「そうゾイ!お前たちにこの城で住まうこと、そして城の中の食べ物もダダで食べることを許可するゾイ。」

 すると常に貧乏で普段は、質素な料理しか食べれない霊夢はすぐさま食いついた。

 「ほんとに!それならば喜んでカービィ退治、承ったわ!」

 魔理沙はあまり乗り気ではなかったが、味方と呼べる人が霊夢しかいなかったのでしぶしぶ引き受けた。

 「よーしそうと決まれば、まずは城の中で昼食会と行くゾイ!デハハハハハ!」

 「ワドルドゥ隊長、すぐさま料理を作って食堂に持って来いと料理係のワドルディたちに伝えるでゲス。」

 「ハッ!かしこまりました。」

 赤いカーペットが敷かれた薄暗い長い廊下を4人は歩いていた。

 デデデはふと思い出したように異世界からやってきた二人の名前を聞いた。

 「そういえば貴様ら名前を聞いてなかったな。苦しゅうない、申してみるゾイ。」

 「そうだったわね。私は博麗霊夢、幻想郷と外の世界の結界を守る博麗の巫女よ。」

 「私はこのデデデ陛下の忠実なしもべ、エスカルゴンでゲス。エスカルゴン閣下でいいでゲスよ。」

 「私は、霧雨魔理沙だ。魔法を使える魔法使いってやつだぜ。よろしくな!」

 「ところで霊夢君、外の世界ってなんゾイ?」

 「そうね~・・・日本・・・って言ってもわからないわよね。」

 「馬鹿にするでないゾイ。あ、あれ、あれゾイ!お箸の本数ゾイ!」

 エスカルゴンはあきれ顔で大王の勘違いを指で大王の肩をつんつんしながら訂正した。

 「おい、おい、恐らく国のことでゲスよ陛下。」

 「わ、わざと間違えてやったのだゾイ。」

 デデデは、恥ずかしさで顔を真っ赤にしていると、魔理沙が先程の会話で気になっていたことを話した。

 「え、デデデ陛下ってお箸のことを知っているのか?」

 デデデは、自分が知っていたことを褒められたのでニヤつきながら踏ん反りかえった。

 「当然ゾイ!わしは全知全能の権化デデデ大王なのですゾイ!デュハハハハッ!」

 デデデ以外の三人は、さっき思いっきり聞き間違えたくせに・・・と思ったり思わなかったり。

 そうこうしているうちに食堂前のドアについた。

 そのドアがいかにも王宮にある広間の扉で、枠が金色で赤い布地の中央付近に左右に三つずつあり、これまた金色のデデデの顔を象った留め具のようなものでできた両開きのドアが異様な雰囲気を放っていた。

 少女二人は思った・・・「スッゲーきもいデザインだな。」と・・・。

「開門ゾーイ!」

 デデデがパンパンと手をたたくとゴゴゴゴゴゴゴという重低音とともにドアが開いた。

 目の前に広がっていたのは、上質な木でできた食器に盛り付けられたこれでもかというほど贅を尽くした料理だった。しかも驚くべきことに、その料理たちはどう見ても和食はもちろん中華、フランス、イタリア、アメリカ(主にジャンクフード)などの霊夢たちが言う外の世界の人間が食べているものと全く同じなのだ。

 「すっごーい!ナニコレナニコレ!」

 興奮しすぎた霊夢は、もはや人類がどこかへ消えた後の某動物園のネコ科動物と化していた。

 それとは対照的に魔理沙は、皿に盛りつけられたエスカルゴ料理と寿司を交互に指さして静かに驚いていた。

 「あの・・・陛下、これってお寿司じゃないのか?それにこれはカタツムリ料理・・・」

 「陛下!あれほどカタツムリ料理を出さないでって言ったのに・・・彼女たちにも陛下が私めの仲間が食べられるグロテスクなシーンを見せるつもりでゲスか?」

 だが魔理沙は、そうじゃないと首を振った。

 「なんであんたたちは・・・いや料理係のわどるでぃとやらはこの料理を知っているんだぜ?」

 エスカルゴンはそれは知らないと、やれやれのポーズをしながら知っていることを魔理沙に教えた。

 「なんせこの料理はコックカワサキが数十年前にコックオオサカに教わった料理たちでゲスから。」 

 「カワサキにオオサカ?どこかで聞いたような地名なのぜ・・・」

 「そんなことより早く飯を食うゾイ!」

 「そうよ早く来なさい魔理沙!エスカルゴン閣下!もう私たちお腹と背中がくっつきそうよ。」

 いつの間にかデデデと霊夢は、食堂の中心にある無駄に長いテーブルの奥の方にある席に座っていた。

 霊夢に至っては、八頭身のエイリアン用の椅子がないため、幼稚園生が座る椅子に仕方なく座る先生みたいになっていた。

 だが、魔理沙もその椅子に座るのであえて突っ込まないことにした。

 一通り食べ終えた後、霊夢は依頼内容について依頼主に質問した。

 「そういえば大王様、カービィとはどんな奴なのですか?引き受けるとは言いましたけど場合によっては退治不可能なんてこともありますし。」

 「そうだったゾイ、まだどんな奴か教えてなかったゾイ・・・え~と・・・。」

 そういいながらデデデはガウンのポケットをまさぐった。

 「あった!これがカービィの写真ゾイ!」

 写真を見てみると、蝶のような生き物と戯れているまるいピンクボールのような生き物が映っていた。

 「えっ!これがカービィ?写真間違えているんじゃないですか?」

 「いやいや、姿かたちはかわゆいピンクボールでもそいつがカービィという名の怪物でゲス。」

 エスカルゴンも食べ終えたのかナプキンで口を拭きながら会話に入ってきた。

 ちなみに魔理沙はまだ口をもぐもぐさせて会話に入りたそうにしていた。正直言って可愛い。

 「それと、そいつのしもべであるフームという女性がおる。そいつは目つきが悪いからすぐにわかるゾイ。」

 「そいつが、カービィがピンチに陥った時、ワープスターという星型の乗り物を呼び出す。それはカービィにとってパワーの源でゲスから、やってきたら速攻で撃ち落とすでゲス。」

 そういってエスカルゴンは、ジェスチャーを交えながら霊夢に説明した。

 「どうする霊夢、あんなこと言ってるけど?」

 ようやく食べ終えた魔理沙が霊夢に依頼を受けるかどうか聞いてきた。

 「決まってるじゃない魔理沙、その程度だったら簡単に倒せそうだからこの依頼、改めて引き受けることにしたわ。」「で、あと気を付けることってあるかしら?陛下。」

 デデデは、顎に手を当てて考えた。もうわかりきっているけど・・・。

 「そうだなー、まあ、あとは吸い込みという技とそれに伴うコピー能力があるくらいかゾイ。ま、詳しいことは後で話すゾイ!」

 「では、そろそろ出発といくでゲスよ・・・アウチ!」

 「それはわしのセリフゾイ!」

 再び意味のない暴力がエスカルゴンを襲う。

 さて、ここはプププシティのはずれの家。ここではカービィと三人の子供たちが一緒にVRゲーム(ジャンルはSFミリタリーでタイトルはワールドウッズ)をしていた。

 ちなみにこのゲームはププビレッジに似た世界に突如現れた空をも覆う巨大樹が現れ、森の動物たちや異形ともいえる森の精霊たちと人類が戦うというゲームで、何通りもある攻略方法でクリアを目指すオープンワールド型で

であり、プレイヤーは果てしない数のパーツを組み合わせてそれぞれのやり方で戦うのだ。

 三人の名前はそれぞれ、ヌルオ、ワカヨ、タレゾウ。彼らはかつての子供たち、イロー、ハニー、ホッヘとは違ってかなり個性的な三人組である。

 ヌルオは、三人組のリーダーでいたずら好きだが、他人に対してはめったに怒らない。

 だが、一度怒ると大人三人でも手が付けられなくなるらしいから自然とまとめ役になった。

 ワカヨは、三人組の中の紅一点で将来の夢は演歌歌手で、歌声もデデデでさえ一時的に今までの悪事を懺悔してしまうほど。

 タレゾウは、ツユダク道場で修業している剣士の卵だが、たびたび抜け出して今のように三人組で遊んでたりする。ちなみに服装は日本の着物に刀を差しておりエセ侍言葉を使う。

 「いけっ!そこだ『ウーロン茶ヌルヌル』!(ヌルオのハンドルネーム)」

 カービィは目に古傷が付いたいかつい米軍の司令官のアバターで三人にサポートをしていた。

 ちなみにカービィは、フームが二十年間言葉を学ばせたためある程度はしゃべれるようになっていた。

 「だめです司令官殿!もう『ウーロン茶ヌルヌル』の体力が持たないでござる。」

 確かに『たれっち』(タレゾウのハンドルネーム)の言う通り、もう『ウーロン茶ヌルヌル』の体力ゲージがもはやゼロに近いことを示す赤色になっていた。

 ちなみにタレゾウは、中世ヨーロッパ風の騎士(マント、靴、鎧の部分)と戦国時代の武士(兜、刀、火縄銃)をミックスしたような外見をしており仮面の部分は若干メタナイト要素が入っている。

 ヌルオは、大きな紫色のマントに身を包んだ骸骨の姿で頭には古代ローマの百人隊長がかぶる兜に牛の角をはやしたものをかぶっており、体はどういう理由なのかは不明だが憲兵隊が着用するような服と靴を履いている。

 「だが回復をしている時間がないし、しかも貴様まで疲弊しきっている。かくなる上はある国のことわざを実行するしかない・・・それは、打ちして止まむ・・・だ。」

 「あのー、もうしわけのうござるが司令官殿。それはことわざではないでござる。しかもその姿で言わないでほしいでござるよ。(汗)」

 「ん?ああ、すまんすまん。」

 カービィ、もとい司令官は仲間を鼓舞するつもりが余計に神経をすり減らしてしまったことを後悔した。

 「やばいのだ、なんとしても持ちこたえないとやられてしまった回復係の『ち〇ぽこたぬき』さん(ワカヨのハンドルネーム)が復活して戻ってくる前にパーティが全滅してしまうのだ。」

 司令官たちが自然軍に包囲され絶望感に打ちひしがれていたその時、チョーっと待った!というきれいな美声が聞こえた。

 振り向くとそこには、星のフームたんを彷彿とさせる姿にゴスロリの衣装を着せた魔法の杖を持ったアバターがすべてを見下ろせる崖の上に立っていた。『ち〇ぽこたぬき』だ。

 「おー、もどってきてくれたか!ち〇ぽおおおおおおおお!」

 ハンドルネームを言い終わる前に司令官は、回復魔術師によって回復が必要な状態になるほど思いっきり顔面に飛び蹴りされた。

 「ごぶちょべす」

 ずざざざーという音ともに司令官はかなり遠くまで吹っ飛ばされた。

 「カービィー!・・・いや、司令官殿オオオォォォ!」

 司令官を蹴っ飛ばした張本人は、誤りもせず腕を組んで自分の恥ずかしいハンドルネームを口に出した司令官をにらみつけた。

 「もうっハンドルネームで呼ぶのやめてくんない!?この名前けっこう恥ずかしいんだから。」

 司令官は、顔がめり込みながらも体を起き上がらせて、『ち〇ぽこたぬき』の前まで行き両手を前に突き出して抗議した。

 「しらにゃいのだ。そのハンドリュネームをふざけて決めたやちゅに抗議してほしいのだ。」

 あまりの出来ことで動揺して素が出てしまい、おまけに顔面がめり込んでいてうまくしゃべれないため、かなり面白いセリフになってしまっている。

 ワカヨのハンドルネームをふざけて書き換えた張本人である『ウーロン茶ヌルヌル』は、最悪のタイミングで地雷を踏んだ司令官をにらみつつも笑いを堪えていた。

 「なーにを笑っているのかしら?『ウーロン茶ヌルヌル』」

 ギロリとにらみつけたその眼光は、NPCである自然軍が攻撃されると勘違いして後ずさりするほどだった。

 「あ、いや、あの、その・・・(;^ω^)」

 「あなたあ~・・・あたしのハンドルネームを、リアルの方でお花摘みに行っている間にばれないように書き換えたお返しを今してやろうかしら~?」

 彼女のオーラは、もはや回復魔術師ではなく絶望のオーラを振りまく骸骨魔術師そのものだった。

「やめろ『タロリー』!落ち着けえええ!」

 『ウーロン茶ヌルヌル』は彼女の本当のハンドルネームを言ったが時すでに遅し。

 彼女は、高く上げた両手の中で黒くうごめく謎の球体を本来の敵である自然軍ではなく味方にぶつけようとしていた。その顔は目のあたりを陰で覆われ、そこから赤い眼光がまるで獲物を狩るライオンのごとく鋭く光っていた。

 「悔い改めろ!!!!アンチヒーリングゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」

 彼女は、捨て身の覚悟で今にも爆発しそうなまがまがしい黒い塊を掲げながら味方に飛び込んだため、三人はそれぞれの断末魔を上げて見事爆死し、ゲームの世界から去っていった。

 「イキスギィ!! イクイクイク・・・あぁぁぁぁああ!!!!(大音量)」R.I.P.『ウーロン茶ヌルヌル』

 「ぽいうytれwqlkjhgfdさmんbvcxz!!!」R.I.P.『司令官』

 「大ロリコン帝国バンザーイ!」R.I.P.『たれっち』

 そしてHPがゼロに近い状態で一人残った『タロリー』はMPも底をつき絶望的な状況にもかかわらず、ニヤッと笑ってこぶしを高く上げて最後の雄たけび・・・いや雌(お)たけびを上げた。

 『我がハンドルネームに一片の悔いなし!!!」

 そして、何もしてこないのを見越した自然軍の触手攻撃で彼女もゲームの世界を去っていった。

R.I.P.『タロリー』

 思わぬ襲撃でゲームオーバーになってしまった三人は、カービィを除いてワカヨにそっぽを向けてふてくされていた。

 「ちぇっ!なんだよ、せっかく盛り上がってきたところなのに、サポート役が味方を攻撃するなんて雰囲気ぶち壊しじゃないか。」

 「あら~、その元凶を作ったのはどこのだれかしら~ん?」

 「そうでござるよヌルオ氏、おかげで小生まで巻き添えを食らったでござる。この落とし前きっちり払わせせてもらうでござるよ。」

 三人は今にも取っ組み合いのけんかをしそうだったがそこはリーダーのヌルオ、今回は自分が元凶だったこともあり、すぐに怒りの矛先を治めて二人をなだめた。

 「わーったわーった!!俺が悪かったよワカヨ。タレゾウも巻き込んですまないと思ってるから、その竹刀しまおうな、な?」

 カービィは、彼らより数倍も強い星の戦士で、その気になれば彼らのケンカを止められるのだが、いかんせん守るべき相手同士のケンカなので加減がわからずに、最悪の場合殺してしまいかねないので正直ヌルオがちゃんと誤って、仲間たちもそれを見て仕方ないという雰囲気になってホッとしている。

 カービィがため息をついたその時、玄関のチャイムが鳴った。

 「誰なのだ?」

 何事かと思いドアを開けるとそこには、かつてププビレッジだったころに郵便局長兼配達員をやっていたモソじいさんの帽子と鞄をかけた一人のキャピイ族のおじさんがいた。

 「誰かと思ったらモソ郵便局員のガスさんじゃないですか。」

 「やあヌルオ!ひさしぶりだね、カービィも。」

 「ハイ!」

 「あ、そうそう・・・カービィに重要な手紙を渡すようにナシ局長に言われているんだった。」

 ガスはそういうと鞄から一枚の封をされた手紙を出した。

 「なんなのだいったい?」

 カービィが封を開けると、果たし状と書かれた手紙が入っていた。

 「果たし状だって!?カービィ!お前誰かに恨まれることをしたのか?」

 「心あたりはデデデしかないし、そもそも霊夢や魔理沙とやらの面識はないのだ。」

 カービィは、最近見ず知らずの自分の後輩たちによく戦いの練習を申し込まれるので、こういった類のものは慣れている。

 だが、今回のこの果たし状の内容にはカービィという未知の生物をやっつけたいという願望が見て取れる。

 「必要とあらば我らの力も貸す所存。」

 だがカービィは、タレゾウやほかの子供たちを未知の敵との戦闘に巻き込みたくないという思いから、それを断った。

 「心配ないのだタレゾウ。何、この僕を倒したいという命知らずに目にものを見せてやるのだ。」

 そういうとカービィは、颯爽とガスの乗る郵便バイクの籠にすっぽりと収まって、ガスに待ち合わせ場所である旧市街のカワサキの店まで連れていくよう指示した。

 「ガス!早く連れていくのだ!」

 本人はカッコつけたつもりだったが、あまりにも滑稽な絵面なのでガスは笑いを堪えながらカービィの要望に応えた。

 「フフッ・・・ハイハイ戦士様。」

 「お前、バカにしてないか?」

 「滅相もないブフッ・・・ではしっかりつかまってくださいね。」

 納得のいってないカービィをよそにガスは郵便バイクにまたがり、エンジンをふかして会社支給のゴーグル付きヘルメットをかぶり勢いよく大地をけって家を後にした。

 「行ってらっしゃーい!」

 「また遊ぼうなー!」

 「気を付けて戦うでござるよー!」

 三人は元気よく星の戦士の出征を見送った。

 そんな三人の後ろから、白衣を着た大きな黒縁眼鏡の長身のやせた大人のキャピイ族が現れた。

 「カービィ、言っちゃったか。」

 「アッ!ホッヘおじさん!」

 そう、ここはホッヘの自宅兼会社だったのだ。

 すっかり大人になったホッヘは、五年前に隠れた趣味であるものづくりを生かして、カービィのナイトメアでの活躍をもとに創った3DCGの自作ゲーム『星の戦士』が大ヒット。

 大統領になっていたパームからの感謝と期待を込めて贈られた支援金で株式会社星天堂を設立、今はこの銀河周辺でも名高いゲームプログラマーとなっている。

 「おじさんはよしてくれよヌルオ君。俺はまだまだ若いぜ。」

 彼は、八頭身エイリアン(人間)でいうところの28歳前後の大人でちょうど若者とおじさんの狭間ぐらいの年齢なので、おじさんと呼ばれるのは抵抗感があるのか困り果てた顔でヌルオを見ていた。

 「ホッヘお・・・じゃなくてホッヘさん。カービィの活躍は見たり聞いたりしたんですよね?」

 「ハハハ、やっぱおじさんでいいよ。呼びやすいだろ?」

 女の子に困った顔をさせては、大人として子供を喜ばせる職業をしている人として申し訳ないと思ったのか、ホッヘはすぐに自分の発言を訂正した。

 「い、いいえそんなことはありませんわ!」

 「いやいや、もう年齢的におじさんに近いしね・・・ヌルオ君、話を戻すけど確かにカービィの活躍を見たり聞いたりしたよ。」

 「どんな風にして魔獣やそれを使役していたホーリーナイトメア社を退治したんでござるか?」

 「それはね」

 ホッヘは知ってる限りのことを子供たちに話していった。

 場所は変わってここは、首都高速道路旧市街線。

 電気自動車がひっきりなしに走るその中をエンジン音を響かせながら走る一台のバイクがあった。

 ガスのバイクだ。ガスは言いたいことがあるのか、高速道路を静かに滑るように走る電気自動車たちを不満げに見ていた。

 「どうしたのだガス?電気自動車に親でも殺されたような人の顔をして。」

 「いやあ、このプププランドもカービィたちが銀河の支配者であるホーリーナイトメア社を倒してから見違えるほど発展したじゃん。」

 カービィは、ちょっとどや顔をしつつもうんうんと頷きガスの愚痴に耳を傾けた。

 「ププビレッジだったころよりも人口が一億倍まで増えて、居住エリアも飛躍的に増加したから自然と俺の仕事も増えるかなと思ったら、ガソリンで動く自動車は販売されずに電気自動車の普及が始まりやがった。」

 確かにカービィが改めて高速道路を走る乗り物を見ても、トラック、高速バス、自家用車、タクシー、パトカー

、救急車etc、ありとあらゆる乗り物はみな電気で走っていた。

 「おかげで商売あがったりだ。おまけに二人しかいないお客様の一人だった元村長のレンさんも、脳に血栓ができちまったせいで車を運転できなくなっちまったしなー。」

 「あれ、そういえばデデデは?あいつもガソリン車を持ってるのだ。」

 「それが・・・元でもわしは大王ゾイ!だからせめてつけを利かせるゾイとかなんとか言って、俺のガソリンスタンドがつぶれるまで代金を踏み倒したんだ。」

 カービィはやっぱりねという顔をした後、ガスに屈託のない笑顔を見せてこう言った。

 「心配ないのだガス。どうせ今回の果たし状も黒幕はデデデだと思うのだ。だから、その霊夢や魔理沙とやらを倒した後、デデデがガスに踏み倒した分の代金を奪い返してくるのだ。」

 「そいつは助かるよ!ありがとなカービィ!」

 「ぽよ!・・・ところでガス、そのバイクはガソリンで動いているんだろ?」

 「ああ、そうだが?」

 「モソ郵便局のバイクは、みんなこのバイクだからそこと契約すればいいと思うのだ。」

 ガスは首を振って、このバイクだけは自分の恩人であり郵便局の初代局長であるモソが持っていたバイクをガスのために郵便配達用に改造したものだから、今ではガソリンで走る乗り物はこのバイクだけであることをカービィに伝えた。

 「それにお客さんが自分自身じゃただの自己満足だろ?」

 「それもそうなのだ。ハハッ」

 カービィとガスは変わり果ててしまった自分たちの第二の故郷の変りように寂しげに笑った。

 「おっと、出口だ!」

 どうやら世間話をしているうちに旧市街の入口まで来たようだ。

 高速道路に掲げられている緑色の看板には、白い文字で旧市街ic出口と書かれていた。左側通行なのでガスは左レーンに進み、そのままインターチェンジを降りていった。

その頃カワサキの店の前では、デデデとカワサキがもめていた。

 「なにい?貴様このわしにどけと申すかゾイ!?」

 「ああ、この際だからはっきり言わせてもらうけど、あんたはもうこの国では好き勝手出来ない身分になってるのは承知の上だろ?」

 「だから、なんだというのでゲスか!?」

 三人が言い合っている間は、霊夢と魔理沙は退屈で空に浮かんであくびをしたり、集まったギャラリーと話していた。

 「だからここで決闘なんかせずに人気のないところでカービィとの戦いをすればいいでしょうが。」

 「貴様ー!ナゴヤのところで修業して味がよくなったからって調子に乗るでないゾイ!」

 一触即発の状態が続いていると、不意に魔理沙がデデデのほうに近づいてきた。

 「なあ、デデデ陛下。」

 陛下と呼ばれたデデデは、明らかに不機嫌そうな顔を魔理沙の方に向けた。

 「なんゾイ!?今、この裸エプロンにわしの権威を示しているところゾイ!」

 「今さっき、旧市街の人たちから聞いたんだが、デデデってもう大王じゃないのか?」

 すると、デデデは民衆の方を振り向きこぶしを振り上げて今まで以上に癇癪を起した。

 「だーれゾイ!!!!!この子にわしが大王の身分じゃないなんて嘘をついた愚か者はー!」

 「誰でもいいじゃない?事実なんだから。」

 デデデが恐ろしい形相のままカワサキの店の方を振り向くと、店から肩までのショートカットで裾の部分が緑のギザギザ模様でできたピンクのワンピースを着た、カワサキと同じくらいの背丈をした目つきの悪いキャピイ族の女性が出てきた。

 「フーム、貴様は今や博識高い考古学者ゾイ。なのにこんな愚かな人民どもの見方をするのかゾイ?」

 ハア―とため息をつくと、フームはワンピースにはとても似合わない履きつぶしたスニーカーを片方ずつつま先で地面をトントンと叩くこういった。

 「お褒めいただきありがとお。でもデデデ、二十年間も城にこもっていたあなたと違ってみんなこの国を思って必死で働いたのよ。カワサキだって、有名になったプププランドに泥を塗りたくない一心で修業しなおして、今やこの国で一番繁盛しているレストランなのよ。」

 デデデはもう我慢の限界だった・・・まあ、旧市街にもともと住んでいた人にとっては久しぶりにデデデのわがままを聞いたと懐かしむ人がいたりいなかったり。

 「うぬぬーどいつもこいつもわしをバカにしおってからにー!!!」

 「大王様、このものらを名誉棄損で訴えるでゲスよ!!」

 だが元大王の怒りはそんなもんでは収まるはずはなかった。

 「ぬるいぬるいゾイ!わしにあだなす人民どもはわしの城で裁判抜きで極刑ゾイ!!」

 「いや、その必要はなくなったみたいですよデデデ陛下、本命が来ましたわ。」

 どうやら霊夢が何かがこちらに来るのを見つけたようだ。

 「何?どこゾイ?」

 そういうとデデデは車から双眼鏡を出して霊夢が指さす方向を覗いた。

 確かに霊夢の言う通り、もうもうと土煙を上げながらこちらに向かって走ってくる一台のバイクだった。

 「んあ?あれは、カービィゾイ!ブハハハハ!星の戦士が郵便バイクの籠に乗ってやってきたゾイ。」

 カービィは、自分にやってくる最大のピンチがせまってきているにもかかわらずのんきにグースカ寝ていた。

 

 

 

 

 

   

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 




 次回予告

デ〇エルモンスタ〇ズの次回予告のテーマっぽい音楽♪

 やめて!得体のしれない彼女たちの魔法で、ワープスターを焼き払われたら、ワープスターと繋がってるカービィのライフまで燃え尽きちゃう!

 お願い、死なないでカービィ!あんたが今ここで倒れたら、このプププランドの平和はどうなっちゃうの? 時間はまだ残ってる。話し合えば、彼女たちもわかってもらえるから!

次回、「カービィ死す!?カービィvs幻想少女」。戦闘開始! byフーム




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