東方桃幻隊 ~Battle of Popstar – Word War vision~ 作:小林ミメト
デデデ城の朝は早い、昼番のワドルディたちはワドルドゥ隊長の起床ラッパで飛び起き、すぐさま夜番のワドルディたちと交代の儀式を行った後、掃除、洗濯、自分たちの分を含む朝飯を用意した後、ワドルドゥ隊長のいただきますの号令で全員の食事が開始される。
そして食べ終わった後は、後片付けの係、昼の分の買い出し、見張りの係にそれぞれ動いていく。
「んあー眠いゾイ。」
そして、日が若干高くなるころにようやく主の起床である。
「よし、今日も一日頑張るゾイ!!」
とは言ったものの、本当はかつて大王だったころと同じく何もすることはなく、ただドライブを楽しんだり、村人の様子を双眼鏡でうかがうだけだったのだが、今日は何か大事なことがあった気がするとデデデは思った。
「・・・確か、わしは昨日地下牢の前で気絶して・・・。」
それ以上の記憶はもちろんない。
「よく眠れたかゾイ陛下?」
デデデは自分の目と耳を疑った。
なぜなら、自分と全く同じ姿の人物がそこに居たからだ。
「うわー!き、貴様はだれゾイ!」
デデデは、ハンマーを片手に持ちいつでも戦えるように構えた。
「わしは、わし、デデデ大王ゾイ。」
「わ、わしわし詐欺か?わしは金を持っておらんゾイ!!」
「・・・といいたいところだが、わしはホーリーナイトメア社の魔獣ネーマーと申すものゾイ。」
「ネーマー?!」
聞いたこともない魔獣の名前にデデデは首をかしげたが、即座にそれよりも大事な単語があったことを思い出した。
「ん?しかも貴様、今、ホーリーナイトメア社と言ったかゾイ?」
「いかにも、我が偉大なるナイトメアウィザード様は、あのピンクボールにやられたりはせんゾイ。」
すると、いきなりデデデの部屋のドアが勢いよく開いた。
「へ、陛下!!一大事でゲス!私とそっくりなお方が・・・あらー!?」
「なんゾイ!?」×2
「へ、陛下がふ、ふたり!?おえっ・・・朝からイヤーなものを見てしまったでゲス。」
「それはどういう意味ゾイ!!」×2
二人のデデデに頭をハンマーで同時に殴られたものだから、エスカルゴンはばったりと倒れて気絶してしまった。
その少し後に、偽エスカルゴンがやってきた。
「え?こ、これはどういう状況でゲスか?」
「話はあとゾイ。エスカルゴン!そこに転がってる本物を連れて今すぐ、転送装置の前に行かないと怒られるゾイ!そこで、ぼーっとしているわしも早くいくゾイ!」
「わ、わしに命令するでないゾイ!」
本物のデデデは、いずれこの偽物に城を乗っ取られるのではないかと思った。
そうこうしているうちに四人は、転送装置がある玉座の間までやってきた。
そして偽物のデデデは、何のためらいもなくデデデの玉座に座った。
「こらー!わしの椅子に勝手に座るでないゾイ!!」
「まあ見てるがよいゾイ。」
そういうと、偽デデデは慣れた手つきで作動しないはずのカスタマーサービスを呼び出すボタンを押した。
「ハン!何をやるかと思えば・・・カスタマーもナイトメアもとっくにいないというのに・・・。」
ふと、エスカルゴンがモニターがあった方を見上げると、なんとそこにはモニターに映るホーリーナイトメアのスペルがあるではありませんか
「う、うそ!?」
そしてそこには、あのオレンジ色に光るサングラスをかけた胡散臭い灰色の肌をしたヒューマノイドではなく、日本人特有のAIロボット顔負けの笑顔で迎えるいかにもビジネスマン然とした男が映っていた。
「ようこそニューホーリーナイトメア社のカスタマーサービスへ・・・。」
「き、貴様が新しいカスタマーかゾイ?」
「いかにも、そしてそこに居るネーマーたちを送ったのも我々です。」
「では、聞きたいことがあるゾイ。」
「ハイ。何なりと。」
「ナイトメア社は、一度カービィたち星の戦士にやられたはずゾイ。」
「ちりも残さず爆破されたはずでゲスよ?」
すると、ニューカスタマーサービスはニヤッと笑った。
「正確には、我々はホーリーナイトメア社の意思を継いだ新しい企業とでも言っておきましょうか。」
「なるほど、だからニューホーリーナイトメア社というのかゾイ。」
デデデがうんうんと頷いたとき、バン!と、玉座の間の扉が開いて中からあのおぞましい姿をした偽カービィと偽フームがやってきた。
「遅れてすみません!上司ィ!」
「ギャアアアアア!」
デデデはウーンとうめき声をあげながらエスカルゴンの方へ倒れた。
「お、重い。」
「遅い!遅すぎます!お客様が暇すぎて寝ちゃいましたよ!」
カービィとフーム以外の偽物たちはみんな一斉にケタケタ笑った。
「待たせて申し訳ありませんデデデ陛下!・・・あれ?どうして泡吹いているのだ?」
「あんたがそんな恐ろしい姿をしているからでゲしょうが!陛下!しっかり!」
エスカルゴンは、心配している人がやらなさそうな素早さの高速ビンタをビビビビン!と喰らわした。
「イッテーナ!!何するゾイ!?ん?」
デデデがエスカルゴンの目元をつかんで講義を行っていると、心配して寄ってきた偽カービィが近づいて、とても友好的には見えない顔であいさつをしてきた。
「ハアイ☆彡」
「シーアーイ!!!」
デデデは耐性が付いたのか今度は気絶をせずに奇妙な叫び声をあげるだけで済んだ。
「そもそも、なんでこいつだけカービィの真似が不完全なんでゲスか?」
するとニューカスタマーサービスはなぜ偽カービィだけこんな姿になっているのかを説明した。
それによると、コピー元となるカービィが何者かの攻撃をすでに受けており体調が不完全な状態だったため、コピーもまた不完全な状態で行われてしまったとのこと。
「それに、カービィ自体が不明確なところが多数存在します。ですので、あのような化け物じみた姿になってしまったというわけなのです。このままでは彼は吸い込みもできませんし・・・早い話お払い箱でしょうね。」
「そ、そんなー!お慈悲~。」
デデデとエスカルゴンは、何者かの攻撃に心当たりがありすぎて若干目が泳いだ。
「・・・そろそろお前たちの要件とやらも聞きたくなってきたゾイ。」
話の切り替え方が下手糞だなとエスカルゴンは思ったが、このまま話が進むとこっちが偽カービィに恨まれそうな気がするし、何よりネーマー一体の被害損額を払わされそうな気がしたのでデデデに乗った。
「そうでゲスな。カスタマー!私たちを呼んだのは何か理由があったからじゃないでゲスか?」
「そうですね。では、本題に入りましょうか。」
ニューカスタマーも自分から部下のクビ宣告をして気まずくなったのか、二人の発言を渡りに船とばかりに本題に入った。
「早い話、彼ら最古参にして最強魔獣『ネーマー』さえいれば、歴戦の星の戦士でさえ赤子の手をひねるようなもの、比較的新参者であるカービィなど放っておいても構わないと思っています・・・ですので、」
「ちょっと待つゾイ!」
「今最古参といったでゲスよね?そんな奴アニメには全く出ていなかったでゲスよ!」
「あっ、すいません説明不足でした。実は彼らは前身企業であるホーリーナイトメア社が唯一量産に失敗した魔獣なのです。」
アニメに出ていないというメタい疑問は解決したが、エスカルゴンは同時にもう一つ疑問点が浮かんだ。
「それは・・・なぜでゲスか?」
「何分、先の大戦で当時の資料まで焼け落ちてしまっていて詳しくまでは私もわからないのですが、ある噂によるとそれを生み出す装置があまりにも不安定でその結果、超強力な星の戦士が誕生してしまったと言われています。」
「なるほど、それで量産が止まって・・・。」
「アニメには出てこなかったというわけかゾイ。」
「ハイ・・・。」
ニューカスタマーは暗い顔から一転明るい笑顔に戻った。
「ですが!今回、ある極秘技術を用いて無事に量産に成功したというわけです!」
「でも、カービィを倒すために送ったわけじゃないんならこいつらは全員返品ゾイ!」
デデデは、とんだ骨折り損だと言わんばかりに腕を組んで、そっぽを向いてしまった。
だが、そこはカスタマーサービス。顧客の心をわしづかみにするような提案をしてきた。
「しかし、陛下・・・よろしいのですか?」
「何がゾイ!?」
デデデは、興味がありそうな顔で腕組みしたままこちらを向いた。
あと一息と思い、ニューカスタマーサービスは畳みかけた。
「このまま、民衆から元大王呼ばわりされていても・・・。」
「グオッ!・・・うーむ。」
デデデが思い浮かべたのは、ゲス顔で自分のことを元大王だと嘲笑する村人たちの顔だった。
「うーぬ。許せんゾイ!」
「そこで、彼らに陛下に対する圧倒的な崇敬と恐怖を得るために、『ネーマー』にこのプププシティのほとんどの連中と幻想郷と呼ばれる場所に住んでいる連中の姿と能力をコピーさせて、一時的にあなたの部下として差し上げます。」
「それはほんとうか?」
声の主は魔理沙だった。本来言うはずだったセリフをとられて、デデデはご機嫌斜めになってしまった。
「だれゾイ!?」
「(・д・)チッ・・・邪魔が入ったか。」
ニューカスタマーサービスは、誰にも気づかれないように悪態をついた。
だが、一度不機嫌スイッチが入ったデデデを、冷や汗をかきながら後ずさりさせるほどのオーラを巫女服の人間(彼らから見たらエイリアン)と八頭身の魔法使い(彼らから…以下略)が立っていた。
「ゲッ!霊夢君に魔理沙君!!」
「あんた・・・。ニューカスタマーだっけ?今、幻想郷って言ってたわよね。」
ニューカスタマーサービスも敵対勢力とみなせば容赦はしない。今までに聞いたことの無いドスの利いた声で霊夢に言った。
「いかにも、そなたの国には垂涎するほどのネーマーのコピー元がたくさんある。したがって、幻想郷の住人たちをコピーした勢力をデデデ陛下の近衛部隊として、このプププランド、いや、あなた方のいる幻想郷、宇宙のかなたをすべてデデデ陛下の手中に収めさせます。」
「それは、すごいゾイ!デハハハハ!!」
「後から、高い金を払わされるのが落ちでゲスよ。」
「もしそうなったとしても、住民どもから巻き上げた金でのしをつけて返してやるゾイ。ガハハハッ!!!」
突然、ビュッという音ともに陰陽玉がデデデの頬を掠めとんだ。
当てるために投げてないとはいえ、その勢いはすさまじく、コンマ一秒後には後ろの壁にめり込んでいた。
「は?」
「そんなこと・・・ゼーーーーッタイに許しませんからねー!!!」
金を巻き上げるという、霊夢に放ってはいけない一言ワースト一位を言ってしまったデデデは、霊夢の集中砲火を浴びせられることになった。
「ギャアアアアア!助けてくれゾーイ!」
デデデはたまらず、玉座の間を弾幕をよけながら後にした。
「コラマテ―!!」
霊夢は、バーサークも小便を漏らすほどの恐ろしい形相でデデデを追いかけた。
取り残されたほかのメンバーは、しばらく顔を見合わせていた。
先に口を開いたのはエスカルゴンだった。
「魔理沙さん。一つ聞いていいでゲスか?」
「ん?なんだ?」
「霊夢さんって良くああいった感じで、感情で動くタイプでゲスか?」
魔理沙は頬をポリポリ掻いて目をそらした。
「まあそうだな・・・なんだ。あいつは優秀な幻想郷の番人なんだが、いかんせん子供っぽいところもあるからな。」
「それじゃあ、陛下と同じでゲスね。」
「そうなのかー。」
魔理沙は、剣呑な雰囲気があまり好きじゃないのか両腕を広げてルーミアポーズをとったが、もちろん魔理沙以外元ネタは誰も知らないのでスルーされた。
「あのバカ親父は、いっつも私めに意味のない暴力をふるったり、恐竜は絶滅しているのにも関わらず、駄々っ子のように否定した後、あほみたいに探し回った挙句、しまいには本物の恐竜を使ったテーマパークを作る始末でゲスよ。」
「・・・なんか、お互い苦労しているんだな。」
二人は見合ってアハハと笑った。そして、意を決したように同時に立ち上がり魔理沙は八卦路を構え、エスカルゴンはファイティングポーズをとった。
「だが、くず野郎の相手をせにゃならん似た者同士でも・・・。」
「敵対せねばいかん時もあるでゲス!」
「よろしいのですか?エスカルゴン閣下。武器も持たずに。」
するとエスカルゴンはゲス顔でニヤッと笑った。
「武器?そんなものなくてもネーマーがいるじゃないでゲスか。」
「エスカルゴン殿。おぬしも悪よのー。」
「いえいえ・・・カスタマー様にはとても・・・。」
ニューカスタマーサービスとエスカルゴンは、不気味にケタケタと笑った。
それを、待ってましたと言わんばかりにデデデ、エスカルゴン、カービィ、フームの偽物たちがそれぞれ臨戦態勢に入った。
「・・・訂正する。お前もやっぱりくず野郎だっ!」
一気に五人も相手をしなければいけなくなった魔理沙は、悪態をつきながらも八卦路を構えなおした。
次回は、いよいよ戦闘回・・・なのですが、デデデ城の戦いではなく諸事情により先に紅魔館道中での戦いとなります。
楽しみにしている方ほんとーに申し訳ありません(;^ω^)
デデデ城の戦いは第十一回で行われます。しばしお待ちを<(_ _)>