転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1541話

 トールギスから降りてきたゼクスは、幸いそこまで大きな怪我はしていなかった。

 原作と違い、このトールギスは俺の機体であり、無理は出来ないという事からだろう。

 それでもこの短時間でかなり消耗した様子を見せていた事から、普通の人間がトールギスを操縦すればどうなるのかというのを、これ以上ない形で現したと言える。

 

「失礼した。まさか、あれ程の加速力とは……」

 

 幾らか楽になったのか、そう言ってくるゼクス。

 俺の場合は色々と問題外だが、それでもゼクスはトールギスに乗ってすぐにこうして回復しているのだから、ゼクスも人間としては色々と頑丈だよな。

 これも身体を鍛えているから……か。

 

「今回はトールギスの最大加速までいかなかったみたいだが、元々のトールギスと比べてもスーパーバーニアを改修して、更に速度を出せるようになってるからな。初めて乗るには色々と厳しくてもしょうがない」

「……アクセル代表はそのトールギスを乗りこなしているのでは?」

「ああ。ライトニング・バロンの前でこう言うのもなんだが、一応俺は腕利きのパイロットだという認識はあるしな」

 

 その言葉にゼクスは少し黙り込み……やがて、口を開く。

 

「アクセル代表、シャドウミラーというのは傭兵団だとか?」

「ああ」

「ですが、私はシャドウミラーという傭兵団の名前を聞いた事がないのだが?」

 

 それは当然だろう。元々俺達が傭兵として活動していく上ででっち上げた名前なのだから。

 ……ただ、シャドウミラーというのは純粋にそれなりの名前だと思うので、もしかしたらシャドウミラーという名前を使っている集団は傭兵団以外にも何かでいるのかもしれないが。

 

「見ての通り人数も少ないしな。俺と綾子、それとここにはいないが凛という女の合計3人だ」

 

 考えてみれば、少数精鋭といったところで少し少人数過ぎる気がしないでもない。

 

「……幾ら少人数でも、アクセル代表やそちらの美綴のような腕利きがいるのなら、少しくらい名前が聞こえてきてもよさそうな……」

「ま、実績が殆どないってのもあるしな」

「実績が、ない?」

「ああ。俺達が傭兵になったのはつい最近だ。正直なところ、もし俺達の名前を知っているような奴がいたら、是非会ってみたいと思う」

 

 もしかしたらホワイトスターから来た連中かもしれないし。

 そんな風に考えながら言葉を返すと、ゼクスは驚きの声を上げる。

 いや、本当に驚いているのかどうかは、仮面を被っているので分からないが。

 

「では、傭兵をやるまでは一体何を?」

「それは……秘密だ。男は謎があった方が格好いいだろ? 謎の傭兵とか」

「……秘密、か。興味があるな」

「男に興味を持たれても、あまり嬉しくないんだけどな。どうせならそっちのノインに興味を持たれたい」

「アクセル」

 

 綾子が処置なしと言わんばかりに溜息を吐く。

 いや、別にこれはノインを口説こうとか、そういうつもりじゃないんだが。

 綾子も当然その辺は分かってるんだろうが……それでも、思わずそう呟きたくなる気持ちは分からないではない。

 恋人が10人を超えている時点でそんな風に思われても仕方がないし。

 ともあれ、綾子の呆れたような視線を受けながらも、ノインへと視線を向ける。

 副官として、友人としてノインを大事にしているゼクスだ。……女としてのノインをどう思っているのかは分からないが。

 ともあれ、俺が暗に言ったノインを差し出せば秘密を教えてやろうという言葉に、頷くとは思えない。

 そして事実、ノインが何か行動を起こす前にゼクスは口を開く。

 

「いや、人の秘密を探るというのはあまり良くない行為だったな。この辺で止めておこう」

 

 ゼクスを深く愛するノインは、それこそ自分が俺に抱かれる事でそれがゼクスの利益になるのであれば、そのくらいは平気でやってもおかしくはない。

 だが、生憎とゼクスにはそこまでする気はなかった、と。

 ……実はここでノインに抱かれてもいいと言われれば、恐らく困っていただろう。

 そう考えれば、寧ろ今回の件は助かったと言ってもいい。

 義務感や仕事としてそういう行為をするというのは、正直なところこっちとしても面白くはないし。

 

「そうか、そう言って貰えると助かる。……なら、トールギスの件はこれでいいな?」

「……いえ、それとこれとは話が別。ただし、ここで無理にトールギスを譲り受けようとは、こちらも思わない。だが上の方に話を通して貰うつもりだ」

 

 上、か。……ノベンタは俺を重要な戦力として考えているし、セプテムも俺を気にくわないと思っていても、それ以上にOZを気にくわないと思っている。

 気にくわない度合いで言えば俺達もスペシャルズもそう変わらないのだろうが、俺達は何だかんだとノベンタの直属の部隊だ。つまり、連合軍の指揮下にあると言ってもいい。

 だが、スペシャルズはOZやロームフェラ財団の力もあって、戦場での独自行動も許されている。

 そんな状況でどちらに味方するのかと言われれば、考えるまでもないだろう。

 ましてや、俺は今回トーラスを大量に入手するという手柄をセプテムに立てさせているのだから。

 ……綾子の分のトーラスを得ようとして考えた策だったが、予想外のところでこっちの利益になっているな。

 

「ま、頑張ってくれ。そっちも今は連合軍と敵対する訳にはいかないんだろ?」

 

 ピタリ、と。

 俺のその一言でゼクスとノインは一瞬だが動きを止める。

 だがそれでも見事なところは、内心の動揺を表に出していないという事か。

 その辺は見事……と言ってもいいだろう。

 まぁ、ゼクスの場合は動揺しても仮面を被っているので表には出ないのだが。

 

「それは、どういう意味かな? 我々スペシャルズは連合軍の下部組織に近い扱いだ。今は敵対しないといった言い方はあらぬ誤解を招くと思うのだが」

 

 そう尋ねてきたのはゼクス。

 この世界の人間では分からないだろうが、その身体には間違いなく緊張がある。

 どうやらこっちの言葉の裏を上手い具合に嗅ぎ取ってくれたらしい。

 俺と綾子の生身での身体能力、そしてトールギスという機体とその操縦に耐えられるだけの身体能力、最後にお前達のオペレーション・デイブレイクは既に掴んでいるというのを臭わせるような今の言動。

 この全ては、OZに対して俺という存在をしっかりと印象づける事に成功した。

 俺と敵対した場合、間違いなく厄介な相手になると。

 これでノベンタよりも俺の方を集中して狙ってくる……とは言えない。

 連合軍という全体で見た場合、間違いなく俺よりもノベンタの方が重要な要素なのだから。

 だがそれでも、ノベンタを護衛する俺という存在がいた場合、OZのメンバーは間違いなく躊躇するだろう。

 もしくは戦意を喪失するという可能性も皆無ではない。

 そうなってくれれば、こちらとしては非常に楽な訳で……それだけでも十分効果的なのは間違いない。

 つまり、今俺がやるべき事は、少しでもゼクスとノインの注意を俺に引き付ける事。

 レディ・アンはゼクスを嫌っているが、OZ全体で見ればライトニング・バロンの異名を持つエースパイロットのゼクスの影響力は決して低くはない。

 レディ・アンが嫉妬する程にトレーズもゼクスを信頼しているしな。

 

「うん? 何がだ? スペシャルズというのはOZの……PMCから派遣されている組織だろう? なら、当然お得意様の連合軍の機嫌を損ねる訳にはいかない。そんなつもりで言ったんだが?」

「……そうか」

 

 完全に納得しているようには見えなかったが、それでもゼクスが返す事の出来る言葉はそれしかない。

 

「とにかく、トールギスについてはもういいな? そろそろ格納庫に戻したいんだが」

「ああ、今回は色々と手間を掛けさせた」

 

 敬礼するゼクス。

 今更だが、ゼクスは現在上級特尉とかいう階級だった筈だ。

 ノベンタに雇われてから調べた限りだと、確か特尉というのは少佐相当の階級だった筈。

 連合軍元帥直属の傭兵団の隊長と少佐……階級としては微妙なところだな。

 ともあれ、敬礼をしているゼクスに頷き、俺と綾子はその場を歩き去る……前に、ゼクスの横を通る時、ゼクスだけに聞こえるような小声で呟く。

 

「オペレーション・デイブレイク」

 

 ビクリ、と。

 先程よりも間違いなく衝撃を受けたような様子で身体の動きを止めるゼクス。

 敬礼をしたままで何も行動に移さないのは、俺と綾子が生身でどれだけの能力を持っているのかを知ってしまった為だろう。

 まぁ、そうでなくても、ここは連合軍の基地だ。

 妙な真似をすれば、間違いなく捕らえられてしまうのだから。

 

「……いいのか?」

 

 俺の隣を歩きながら告げる綾子。

 ゼクスだけに聞こえるような声で言ったのだが、半サーヴァントの綾子には当然聞こえていたのだろう。

 

「ああ、構わない。これで俺達を狙ってくるようなら、ノベンタが無事になる可能性も高くなるしな。それに、俺がオペレーション・デイブレイクという作戦名を知っていた以上、向こうはこっちに注意を向けざるを得ない。……本来なら万全の状態の中で、無理に戦力を抽出してでも、な」

 

 万全の状態だった筈が、強制的に俺に戦力を向けるという事は、どうしても無理が出る。

 その無理は本来なら吸収出来る程度の無理ではあっても……無理は無理だ。

 OZが対処すべきなのは、俺だけではなくガンダムもいる。いや、寧ろガンダムの方の比率が大きい。

 そう考えれば、シャドウミラーというたった3人の傭兵団がいるだけでオペレーション・デイブレイクの難易度は何段階か上がってしまう。

 

「ふーん。アクセルも色々と考えてるんだな」

「……残念ながらな」

 

 本来ならこういうのは俺じゃなくてエザリア辺りに考えて貰うのが手っ取り早い。

 いや、軍事に関係する事だしコーネリアか?

 ともあれ、ホワイトスターと連絡が取れない以上、俺がやるしかない訳だ。

 エザリアやコーネリアがいれば、俺が考えるよりもっと有効な作戦を考えてくると思うんだが……俺が思いつき、今の立場で出来るといえばこのくらいのものだ。

 背後のゼクスとノインが酷く緊張しているのを感じながらも、俺と綾子はその2人を置いて去って行く。

 格納庫の整備員にトールギスを収容して整備するように告げると、俺と綾子はそのまま格納庫を出る。

 さて、これでゼクスとノインが……いや、OZが俺に対してどういう風に動いてくるのか。

 少し楽しみではあるな。

 

「これからどうするか……やっぱり綾子の機体の方か」

「あたしの?」

「ああ。今のトーラスは宇宙用だ。それにトーラスカノンも地球で使うには色々と不具合も多い」

 

 原作でもビクトリア基地で五飛がトーラスカノンを使った時は、1発撃っただけで故障してたしな。

 地球で使うには、その辺を改修する必要がある。

 ……出来ればハワードに改修を頼みたいところなんだが……

 いや、ハワードの専門はあくまでも推進器だ。

 であれば、トーラスカノンの改修をするにしてもトールギスのスーパーバーニアのように短期間でとはいかないだろう。

 となると、やっぱり連合軍の技術者達に改修して貰う必要があるか。

 トーラス本体も地球で動けるように改修する必要があるしな。

 

「うーん……折角エアリーズに慣れてきたところなんだけどな」

「操縦システムそのものは、エアリーズとそう大差はないと思う。勿論細かい場所は色々と違うだろうけど」

 

 現在の綾子の操縦技術は、俺と模擬戦をした連合軍のエアリーズパイロット……つまり、連合軍のパイロットの精鋭には少し及ばない程度だ。

 この短時間で上がった操縦技術として考えれば非常に高い。

 やっぱりこの辺は高い身体能力が影響してるんだろう。

 多少無理をしても、全く問題はない身体なのだから。

 普通のパイロットなら身体を壊すだろう挙動をMSにとらせても、綾子の場合は特に問題なく操縦する事が可能だ。

 その辺を考えて、トーラスを改修して貰うのもいいだろうな。

 半サーヴァントの綾子は、俺程ではないにしろGに対して強い耐性があるのだから。

 

「……ま、時間はないようで結構あるんだ。しっかりとトーラスの操縦に慣れてくれよ」

「出来れば、もう少しゆっくりとした時間があれば嬉しいんだけど」

 

 若干不満そうに言う綾子。

 まぁ、この基地に来てからの綾子は色々と忙しい日々を送っているしな。

 マフィアの用意した元連合軍の基地にいる時の日々に比べると、どうしても忙しくなってくるのは仕方がない。

 

「もう少し……とは言わない。俺と一緒に来るという事は、シャドウミラーに所属するという事になる。そうすれば、当然のように様々な騒動に巻き込まれるからな」

「分かってるよ。アクセルがいなかった時の日々に比べれば、アクセルがいるというだけで十分に充実した毎日を過ごしているからね」

 

 綾子は満面の笑みと共にそう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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