「イザーク……いや、貴方がアクセル代表だというのは、本当なんですか?」
俺はブリッジでブライトと向かい合い、そう尋ねられる。
何故先程までいたブリッジに戻ってきたのかと言えば、当然ながらブライトが言った事が理由だった。
格納庫での、ディアナの技術者による迂闊な発言。
それによって、俺がイザークではなくアクセル・アルマーだという事を知ったホワイトベースのメカニックが、ブリッジにいたブライトに知らせたのだろう。
いやまぁ、俺がアクセルだと知られた時点でこうなるというのは予想していたので、その辺は特に問題ないのだが。
格納庫でディアナの技術者達と話していた俺は、メカニック達から話を聞いたブライトによって、こうして再度ブリッジに呼び出された訳だ。
ブライトにしてみれば、俺がアクセル・アルマーかもしれないと聞けば、それを放っておく訳にはいかなかったといったところか。
「ああ、そうだ。イザークってのは偽名だな。……まさか、サイド7で実は俺がアクセルなんだって言えなかった理由は分かるだろう?」
「当然です」
俺の言葉に即座に頷くブライト。
……何気に、俺がアクセルだと知ったからか、言葉遣いが丁寧なものになってるな。
連邦軍の軍人というブライトの立場として考えれば、おかしな話ではないが。
「ですが、こうして見る限り、貴方は私の知っているアクセル・アルマーにはとても思えません。私が知ってる限り、アクセル・アルマーは20代でした。ですが、今は……」
「10代だって言うんだろ? まぁ、そう思っても仕方がない。なら……」
そこで一旦言葉を止め、視線を周囲に……ブライト以外の面々にも向ける。
そういう連中の俺を見る視線は、当然のように素直にその事を信じられるといったものではない。
UC世界において、見た目というのはかなり大きい要因だからな。
勿論変装とかそういうのはあるが、俺の場合は身長そのものが違う以上、変装云々ではどうしようもない。
「知っての通り、シャドウミラーには魔法がある。例えば……こんな風に」
そう告げ、軽く指を鳴らす。
瞬間、俺の姿は10代から20代のものに……ブライト達にとっても映像で見た覚えのある姿に変わっていた。
混沌精霊の能力ではなく魔法の効果という事にしたのは、単純にそっちの方が分かりやすかったから、というのもある。
というか、もし俺が人間ではなく混沌精霊だと知れば、恐らく多くの者が群がってくるだろう。
特に、元人間だった俺が混沌精霊という存在で、物理法則を無視出来て、しかも不老。
それは、金持ちや権力者の類が最終的に欲するものだ。
だが、混沌精霊というのは普通の人間がまずなれるものではない。
というか、スライムとかそういう能力が必須で、ステータスを使って強化していた俺ですら、暴走してしまった程だ。
その辺を考えれば、やはり混沌精霊というのは隠した方がいいだろう。
『……』
そんな風に考えている間にも、ブライトを含めた他の面々は、俺に向かって驚きの言葉すら出ないような驚愕の視線を向けることしか出来ない。
目の前にいた10代半ばだった俺がいきなり20代になったのだから、それも当然か。
「ちなみに、本当にちなみにだが、シャドウミラーが貿易をしている世界では年齢詐称薬というマジックアイテムを入手する事も可能で、これを使えば魔法とか関係なしに年齢を変えられるぞ」
「何だ、そのあからさまに犯罪に関係するような名前は」
呆れたようにブライトが言う。
まぁ、年齢詐称薬の名前を聞けば、大体が同じ反応をするから、これはもうお馴染みの光景と言ってもいい。
実際には時の指輪の受信機という、年齢詐称薬と違って本当の意味で不老になるマジックアイテムもあるのだが……それは今は言わない方がいいだろう。
「実際、犯罪に使われると色々と危険なマジックアイテムなのは間違いないな。……ともあれ、俺はこうして魔法の力によって外見を変えていた訳だ」
「うーん……確かに、変装とかなら見破れるかもしれないが、身長そのものが違えば、それはとても同一人物だとは思えないしな」
リュウの言葉に、周囲の者達がそれぞれ納得したように頷く。
とはいえ、それは今だからこそだ。
魔法とかが広まり、年齢詐称薬についても広まったりすれば、身長が違うからといって別人だと思わせるのは難しくなる可能性もある。
そうなったらそうなったで、俺は別に構わないけどな。
「では、アクセル代表。……アクセル代表として話しますが、ホワイトベースの搭乗についてはキャンセルするという事でいいですね?」
「いや、そのままにしてくれ。俺がホワイトベースに乗って地球に行くのは変わらないし、戦力としてガンキャノンに乗るのも変わらない」
「待ってください! 幾ら何でも、他国の指導者を戦場に出すなどという真似は……」
ブライトの気持ちも分からないではない。
もし俺がホワイトベースに乗っている状況で死んだりしたら、かなりの騒動になるだろう。……いや、かなりどころではないくらいの騒動になるのは確実だ。
だからこそ、ブライトとしても俺の言葉に素直に頷く事は出来ないのだろう。
「けど、俺の力は惜しいんだろう?」
「それはそうですが、それでも……それでも他国の指導者を戦闘に出すなどという事は出来ません!」
俺にとっては新鮮な反応ではあるが、寧ろブライトの反応の方が一般的なものなのだろう。
シャドウミラーの面々にしてみれば、今更といった話だし。
そもそも、俺は元々特殊部隊の実働班を率いていた身だ。
混沌精霊になる前から、戦いの中では最前線で戦ってきた。
……純粋に一国の指導者として考えれば、明らかに間違っているのだろうが。
「その辺は気にするな。俺は元々戦場を生き抜いてきた男だし、今でも戦いの中では真っ先に敵陣に向かって突っ込んでいくような戦い方をしている。……それに、ブライトも士官候補生だったって事は、俺が1人でグラナダを攻略する映像を見ただろ?」
「それは……」
ブライトが反論出来ずに黙り込む。
実際、俺が1人で戦い抜いたあの映像は、ブライトを黙り込ませるという点では大きな説得力を持っていた。
……もっとも、だからといってブライトが俺の言葉に納得するかどうかと言われれば、話はまた別なのだが。
「で、ですが……あれは、その、アクセル代表の専用機があってのものでしょう? ニーズヘッグとか言いましたか」
「そうだな。それも否定は出来ない。けど、幾らハードが良くてもソフトが使えなければ意味はない。……軍人なら、それくらいは分かってる筈だと思うが?」
「ぐっ……とにかく、アクセル代表を乗せる訳にはいきません!」
頑なだな。
いやまぁ、ブライトの立場としてはこれが当然の態度なのだが。
こうなると、直接ブライトを攻めても埒が明かない。
だとすれば、それ以外の方法で……そうだな。
「なら、こうしよう。ブライトの判断で許可出来なくても、上からの指示があれば問題はないな?」
「上から?」
俺の言葉に、疑問の表情を浮かべるブライト。
実際に上から指示をさせれば俺がホワイトベースに乗る事に問題はないだろう。
連邦軍に対しては、貸しが多く……それこそ、向こうが返すのが大変になるくらい大量に貸しがある。
そんな中で、俺がホワイトベースに乗るという無理を言うくらいの事は、容易に聞いて貰える筈だ。
「ああ。……ブライトの立場では知らないかもしれないが、シャドウミラーやルナ・ジオンは連邦軍の上層部にそれなりに親しい相手がいる。例えば……ゴップとかな」
「ゴップ大将!?」
ブライトの口から出たのは、驚愕の声。
まさか、俺の口からゴップの名前が出てくるとは思わなかったのだろう。
いやまぁ、ブライトにしてみれば、当然だろうが。
ある程度の立場の上層部であれば、連邦軍の上層部とルナ・ジオンやシャドウミラーがそれなりに友好的な関係だというのは分かるかもしれないが、ブライトは士官候補生で、正式には連邦軍の軍人ですらなかった。
それを考えれば、ブライトがその辺を知らなくてもおかしくはない。
「お前は知らないだろうが、ルナ・ジオンやシャドウミラーとゴップはそれなりに親しい付き合いをしている。そのくらい上からの命令であれば、俺がホワイトベースに乗って、それに戦力として一緒に行動しても問題はないだろう?」
本来なら乗るというのはともかく、別に戦力になる必要はないのだが……綾子やミナトが一緒に行動する以上、ホワイトベースを撃破されるといった真似をする訳にはいかない。
月に来る途中の戦闘で、アムロをシャアと戦わせたのは……ぶっちゃけ、あまり意味がなかったことになるかもしれないな。
そんな風に思いつつ、俺は通信機を取り出す。
勿論その通信機は、ホワイトベースの通信機……という訳ではなく、俺が空間倉庫の中から取り出したシャドウミラー用の通信機だ。
どこからともなくいきなり姿を現した通信機にブライト達が驚いている間に、俺はその通信機を起動させて、登録されている連絡先……ゴップのプライベートな通信機に通信を入れる。
『何だね? ……おや、アクセル代表』
空中に浮かび上がった映像スクリーンに表示されたのは、ゴップの顔。
ブライトを含めてブリッジにいる面々は、まず最初に空中の映像スクリーンに驚き、次にそこに本当にゴップが映し出されたのに驚く。
まぁ、ここにいるのは殆どが下士官で、一番階級が高いのはブライト……あれ?
ブリッジにいる面々を見回して、気が付く。
本来ならホワイトベースの中で一番階級が高いのは、中尉のブライトではなく大尉のリードだ。
だが、そのリードの姿がこの中にはない。
本来なら、俺の正体を知らせるという点で、絶対にこの場にいなくてはならない筈の奴だというのに。
『アクセル代表? 周囲を見回してどうしたのかね?』
「ああ、いや。何でもない」
リードがいない事がちょっと気になるが、その辺は通信が終わった後でブライトにでも聞けばいいだけだろう。
今の俺がやるべき事は……
「それで、ゴップ。こうして連絡したのは、1つ頼みがあっての事だ」
『頼み……かね? 君達に頼みと言われると、色々と怖いのだが……それでも、今の連邦軍の状況を考えれば、それを断るといった真似は出来ないだろうな。それで、具体的には?』
「まず、その前にだ。俺が今いるのはどこだと思う?」
そう言い、映像スクリーンを動かす。
すると、当然のようにゴップが見ている光景も動き……そこにいるのが、連邦軍の軍服を着ている軍人達だと、そう判明する。
『これは……ホワイトベースか?』
少し考えたものの、すぐにその答えを出した辺り、やはりゴップが有能である証だろう。
まぁ、レビル派閥として活動しているゴップだ。
そのレビルが強力に推し進めているV作戦についての情報は詳しく知っているだろうし、それ以外にもルナツーの占拠やサイド7での騒動。その他諸々の情報を考えれば、その答えに行き着くのは必然だったのかもしれないが。
「正解だ。多分もう知ってると思うが、現在ホワイトベースはクレイドルで避難民を降ろしたり、補給物資を積んだり、損傷したMSを修理をしたりといった事をしている」
MSの修理が出来るというのは、ホワイトベース……そして連邦軍にとっては非常にありがたい事だろう。
まだMSという存在が過渡期と呼ぶべき時である以上、どうしてもその手の技術を持っている者は多くはない。
何しろ、連邦軍の中にすらまだMSの有用性に気が付かず、マゼラン級、もしくはそれ以上の性能を持った宇宙戦艦を開発しようと考えている者もいるらしいし。
いやまぁ、MSの有用性には気が付いてても、立場上それを言えないというだけかもしれないが。
何しろ、ジオンがMSという兵器を持っていたのは連邦軍も独立戦争前から知っていた。
にも関わらず、取るに足らない兵器だという風に認識し、結果として連邦軍は大きな被害を受けたのだ。
あるいは、軍艦を製造している兵器メーカーとの利害関係とかもあるかもしれないな。
ともあれ、様々な理由によって連邦軍の上層部も完璧に一枚岩にはなっていない。
『話は聞いている。それで、そちらの頼みというのは、ホワイトベースに関する事と思っても?』
「ある意味正解だ。……実は、ちょっとハワイに下りる用事が出来てな。で、ホワイトベースは地球に向かう」
『……まさか』
そこまで言えば、俺の言いたい事が分かったのだろう。
ゴップはその顔を引き攣らせた様子を見せる。
軍政家としては一流のゴップだけに、そのような真似をするのは非常に珍しい事ではある。
出来れば違って欲しい。
そんな視線を向けてくるゴップに、俺は頷いてから口を開く。
「そうだ。地球に向かうホワイトベースに、俺も乗せて欲しいと思ってな。ああ、安心しろ。MSパイロットとして、しっかりと協力するから」
そう、告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1436