転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2296話

 結局、ゴップは俺の頼みを聞いてくれる事になった。

 勿論、快く……という訳ではないのだが、ゴップにしてみれば、現在シャドウミラーに対しては借りが大きすぎる。

 そのような状況で、俺の頼みを断れる筈もない。

 いや、寧ろ俺の頼みは連邦軍にとって大きな利益をもたらすのだから、ゴップとしては断る理由はない。

 ……代わりに、俺がホワイトベースに乗るのはあくまでも自己責任で、もしホワイトベースが撃破されたり、あるいは何らかの理由で俺の乗っているMSが撃破されたりしても連邦軍に責任を求めないと映像に残し、おまけに書類にまで残す事になったが。

 実際には混沌精霊の俺に対してこの世界のMSの攻撃でどうにかするような事は出来ないし、生身で宇宙空間に出ても平気なのだから、この宣言や書類はあまり意味がないのだが。

 ともあれ、そこまで形式を整える事により、ようやく俺の頼みが聞き入れられる事になったのだ。

 

「で? 教育型コンピュータにあった俺の操縦データの方は?」

「はい、間違いなく全て消去しました。バックアップデータが残っていないのも、確認済みです」

 

 ディアナの技術者が、俺の言葉にそう断言する。

 ここまで完璧に言い切るという事は、間違いなくホワイトベースに俺の操縦データは残っていないのだろう。

 ちなみに操縦データの件もしっかりとゴップに話を通しており、データを残さないという事を向こうに約束させている。

 そうである以上、もし何らかの手段で俺の操縦データを保存している者がいて、それが後の連邦軍のMS開発に使われるような事になれば……色々と、本当に色々と面白い事になるだろう。

 

「分かった。それで、教育型コンピュータの方は?」

 

 俺がガンキャノンに乗る以上、現在ホワイトベースにある操縦データを消去したとしても、また操縦データが蓄積する事になる。

 その辺は対処する必要がある訳で、ディアナの技術者にはその辺についても頼んでおいた。

 そんな俺の問いに、技術者は問題ないと頷きを返す。

 

「こちらで弄って、操縦データを記録しないようにしておきました。本来なら教育型コンピュータその物を取り除きたかったんですが、MSのシステム的にそれは出来ず……ただ、結果として教育型コンピュータがアクセル代表の行動を予想して……ということも出来なくなっていますけど」

「そうか。まぁ、それはしょうがないだろ」

 

 そもそも、連邦軍のMSが戦闘機……コアファイターをコックピットとして使っているのは、戦闘を経験したパイロットを生還させる為というのもあるが、それと同時に教育型コンピュータが持っている操縦データの類を回収したいという面も強い。

 つまり、それだけMSの操縦システムに教育型コンピュータはがっつりと食い込んでいるのだ。

 それを考えれば、ディアナの技術者が教育型コンピュータを取り除く事が出来なかったのを悔しがる気持ちも分かる。

 ……というか、この教育型コンピュータはルナ・ジオン軍にとってこそ必要な物なんじゃないか?

 なんだかんだと、ルナ・ジオン軍には異名付きだったり、パーソナルカラー持ちだったり、そこまでいかなくてもエース級と呼ぶに相応しいMSパイロット達が大勢いる。

 そんなパイロット達の操縦データを普通のパイロット達も使えるようになれば……それは、ルナ・ジオン軍として大きな戦力となるのは間違いない。

 

「この教育型コンピュータと同じか、もしくはもっと発展した物……ディアナで作れるか?」

「どうでしょう。その辺は研究してみないと分かりませんが……なるほど」

 

 言葉の途中で、この技術者も俺が何を言いたいのか理解したのだろう。

 納得したように頷く。

 

「まぁ、そんな訳だから頑張ってくれ。それと……ガンキャノンの方だが、低反動キャノンを使う時に反動が酷くて狙いが逸れるのを何とか出来ないか?」

「うーん、そっちはちょっと難しいですね。勿論、やろうと思えば出来ます。ですが、その為には色々とデータを取ったり機体との整合性を考えたりといった事をしなければならないので。そうするには時間が……ホワイトベースがクレイドルにいるのは、そう長い間ではないのでしょう?」

「ああ。もう数日……といったところか」

 

 避難民の下船と各種補給物資の積み込みといった事はもう終わっているが、MSの方で少し問題がある。

 それと、出来ればMSパイロットの操縦技術も高めておきたい。

 ……ちなみに、俺にとっても予想外だったのは、原作主人公のアムロはともかく、カイやハヤトといった面子までもがホワイトベースに残るという選択をした事だ。

 カイやハヤトはアムロへの対抗心からMSに乗ったようなものだったが、それでもまさかクレイドルで下りないという選択をするとは思わなかった。

 いや、恐らくはこれも原作通りの展開なんだろう。

 原作では当然のようにクレイドルなどという存在はなかっただろうから、ルナツー辺りでその辺を判断した……とかか?

 そんな風に思いながら、俺はディアナの技術者と話を続ける。

 

「そうなると、ガンキャノンの改修は難しいか」

「そうなりますね。それに……そもそも、ガンキャノンは連邦軍の秘密兵器と呼ぶべきMSです。それをこっちが勝手に改修したりすると、色々不味いのでは?」

「そうか? 改修して性能が下がるのなら問題かもしれないけど、性能が上がる以上は多少不満を言うかもしれないが、結果としてなあなあで済まされるような気がするぞ」

 

 というか、ガンキャノンを開発した連中は、試験操縦とかそういうのをやってみなかったのか?

 いや、やってないなんて事はないだろうけど……ただ、なら何故低反動キャノンをそのままの状況にしておくのか、といった疑問があった。

 少し試してみれば、その辺は分かりそうなものなんだが。

 もしくは、最初から低反動キャノンでの精密狙撃といった事は考えていなかったのか。

 

「ともあれ、改修はとてもじゃないですが数日単位で終わりませんので、諦めて下さい」

「……ちなみに、本当にちなみにの話だが、ガンキャノンにビームサーベルを振るわせるようにというのは……」

「それも無理です。というか、低反動キャノンの改修以上に無理です。プログラムの方を下手に弄ったりすれば、MSの操縦にも支障が出かねませんから」

「……そうか」

 

 シャドウミラーの技術班なら、それこそ数時間程度でやってくれそうな問題なのだが……だからといって、この件にシャドウミラーの技術班を使うのもちょっとな。

 いや、技術班の技術者達は喜んでやってくれるが、そうなればそうなったで、ガンキャノンが魔改造されてしまう。

 基本的にこの世界の兵器は、この世界の技術で発展していって欲しいというのが、シャドウミラーの要望だ。

 それは技術班も……いや、技術班だからこそ理解しているのだろうが、それでもやはり未知のMSとなると、それをしっかりと調べて、その上で自分達の技術で改修したいと、そう考えてもおかしくはなかった。

 いや、そう考えるのが技術班だろう。

 そういう訳で、とてもではないが技術班にガンキャノンを託すという選択肢は存在しない。

 ……いやまぁ、ガンタンク辺りを技術班に任せたらどうなるのかといった風に、興味はあるんだが。

 

「ガンキャノンの件はそれでいいとして、だ。……他に何か話しておく事はあるか?」

「そうですね。連邦軍のMSの特徴としては、教育型コンピュータが入って脱出装置としても使えるコアファイター、ルナ・チタニウムの装甲……といった具合に色々とあるんですが、個人的に……いえ、ディアナの技術者として大きな興味を持っているのが2つあります。その1つが……」

 

 そこで言葉を止めた技術者が、格納庫に置かれているビームライフル、ガンキャノンとガンダムのそれに視線を向ける。

 

「ビーム兵器、か」

「はい。一応ジオン軍でも水陸両用機やドムといった具合に全く研究していなかった訳ではないのですが……。連邦軍に1歩先を行かれた感じですね。それと、もう1つ。MSの関節に使われている駆動部分です」

「関節部分?」

「はい。これが連邦軍とジオン軍の間で大きく違うところですね。ジオン軍は、流体パルスシステムという……そうですね、言わば人間の心臓、血液、筋肉に似た動きのシステムを使用しています。それに比べると、連邦軍のMSは関節部分にミノフスキー物理学を使った小型で高出力のモーターを使っています」

「……なるほど。ザクを研究してMSを開発した連邦軍だったが、独自性もしっかりとあったらしいな」

「そうですね。ビームライフルやビームサーベル、ルナ・チタニウムの装甲……そして、フィールドモーター。連邦軍の技術も侮れないものがあるのは間違いありません」

 

 ディアナの技術者が、感心したように連邦軍のMSに視線を向ける。

 MSに関しては、ジオン軍は連邦軍よりも10年先をいっているというのが、ジオン軍の主張だ。

 だが、これを見ると、決してそこまでジオン軍が有利だとは思えないな。

 国力で圧倒的に勝っている連邦軍という事を考えれば、その辺も理解出来ない訳ではないのだが。

 

「それで、その連邦軍のフィールドモーターとジオン軍の流体パルスシステム、どっちの方が性能的には上なんだ?」

「それは……ちょっとどっちとも言えませんね。ただ、こうして見る限りでは、フィールドモーターの方は高い技術力が前提となっているパーツです。メリットとしては、もし関節や駆動部分が壊れた場合、その部位を交換するだけで済みますし、またザクと違って動力パイプやコンバーターの類がいらないので、MSの重量を軽くするという効果も期待出来ます。また、動力パイプがないという事は、ザクのようにそれを外部に露出したりといった事をしなくてもいいので、MS同士の格闘戦になった時に、その辺を気にしなくてもよくなります」

「……なるほど。それを聞く限り、良い事だらけのような気がするな。正直なところ、何でジオン軍がその形式を採用しなかったのかが分からないくらいに」

 

 特に、MSの重量を軽く出来るというのはMS戦においてかなり重要な意味を持つ。

 

「あー……それは、しょうがないですよ。今までメリットを並べてきましたが、そのメリットを享受する為にはフィールドモーターがかなり高価になってしまう、というのがあります。連邦の30分の1の国力しかないジオン軍が量産したMSにフィールドモーターを使うとなると、量産する時のコストがかなり上がります。また、同時に小さな故障であってもその部分のフィールドモーターを丸ごと交換しなくてはいけないので、ランニングコストは流体パルスシステムよりも数段上になります」

「……なるほど」

 

 話を聞く限り、ジオン軍としてはMSの量産性を少しでも上げる為に、フィールドモーターではなく流体パルスシステムを採用したといったところか。

 いや、もしかしたらフィールドモーターの技術が単純にない可能性もある、のか?

 ともあれ、そこまでコストに拘らないのであれば、フィールドモーターの方が高性能なのは理解した。

 特に先程も考えたが、やはり機体重量が軽くなるというのは非常に大きい。

 そう思い、ふと気が付く。

 現在ルナ・ジオン軍の主力MSたるヅダは、元々ツィマッド社で開発されていたMSだ。

 つまり、ジオン軍で使われている流体パルシステムが使われている訳だ。

 その辺の事情を考えると……

 

「ヅダを改修する必要があるかもしれないな」

「……そうですね」

 

 ディアナの技術者も、俺の言いたい事は理解したのだろう。

 嬉しさと悔しさ、残念さ……様々な感情が混ざった複雑な表情を浮かべながら、俺の言葉に頷きを返す。

 現在、ルナ・ジオン軍の主力量産型MSたるヅダは、非常に高い性能を持つ。

 普通なら、例えフィールドモーターという技術が有効だと知っても、それを取り入れるのは難しいだろう。

 それこそ、駆動システムをそのまま変えるとなると、どうしても生産ラインに大規模な改修をする必要があるからだ。

 だが……幸いな事に、ルナ・ジオンにおいてはバッタやコバッタ、量産型Wといったように、労働力として使える存在が多い。

 その辺の事情を考えれば、その辺りの改修にはそう時間が掛からない。

 寧ろ、フィールドモーターをヅダに組み込むとなると、ヅダの設計そのものを大きく見直す必要がある。

 だとすれば、生産ライン云々よりもディアナの技術者達の方が、忙しくなるだろう。

 にしても、ディアナの技術者の中には連邦軍の技術者もいる筈で……そうなると、フィールドモーターの技術についても知っていておかしくないような気がするんだが。

 その辺、一体どうなっているんだろうな。

 そう思いつつ、兵器メーカーとして立ち上がったばかりにも関わらず、忙しくなる事が決まったディアナの面々に差し入れでもするかと考えるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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