転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2297話

 人、人、人。

 現在俺の視線の先には、ディアナに所属する技術者達が大勢集まっていた。

 ……もしルナ・ジオン軍が総力を挙げてルナツーの攻略などという真似をしていなければ、恐らくルナ・ジオン軍に所属している者達も大勢この場に集まってきていただろう。

 何故なら、これからここで行われるのは、それ程に大きな出来事……イベントなのだから。

 皆の視線が集まっている中、その中心部分で俺は口を開く。

 

「さて、ディアナの面々に集まって貰ったのは、言うまでもなく連邦軍の開発したMSをお前達に見せる為だ」

 

 そう、それこそがこの場に集まって貰った最大の理由。

 サイド7がジオン軍に強襲された際、そのどさくさに紛れて俺が入手したトレーラー。

 正確には、ここにいる者達が期待しているのは、そのトレーラーに搭載されているMS。

 ディアナにおいて、現在量産しているヅダ。

 そのヅダに対して、連邦軍のMSは幾つかの点で……いや、多くの点で優れていた。

 まぁ、ザクを研究して、その上でジオン公国の30倍以上と言われている国力を使って研究したのだから、それは当然の話だったが。

 そんな訳で、ディアナの研究者がホワイトベースでガンダム、ガンキャノン、ガンタンクといったMSを調べて色々とデータを取ったのはいいのだが、フィールドモーターだけは、すぐにどうこう出来ない。

 いやまぁ、基本的にフィールドモーターはそのまま交換出来るようになっていたりするんだから、ある程度はどうにかなる。特にその特性上、予備パーツとしてのフィールドモーターもある程度数があるだろうし。

 だが……連邦軍のMSの大きな特徴の1つである以上、当然のようにそれはもっとじっくりと調べたい。

 そんな訳で、元々連邦軍のMSを積んだトレーラーを奪っていた俺の出番になった訳だ。

 実際、どんなMSが乗っているのかは、俺にもよく分からないんだよな。シートが被っていたし。

 個人的には、出来ればガンダムであって欲しいという思いの方が強い。

 

「じゃあ……出すぞ」

 

 そう告げ、空間倉庫の中からトレーラーを取り出す。

 ここにいる面々は、俺がアクセル・アルマーで、こういう能力があるというのは当然のように知っている者が多い。多いのだが……同時に、俺の能力を直接見るのは初めてという者も当然のように多かった。

 そんな訳で、いきなり目の前に巨大なトレーラーが姿を現したのを見た瞬間、多くの技術者達が驚きの声を上げる。

 だが、それでもすぐに俺の能力よりもトレーラーに搭載されているMSの方に注意を惹かれたのは、技術者だからか。

 もっとも、MSにはシートが掛けられており、詳しくはどんなMSかは分からないのが。

 ……ただ、このトレーラーを空間倉庫に収納した時は急いでいて分からなかったが、こうして改めて確認すると、このMSの正体は何となく予想出来る。

 まず、シートの形からしてガンタンクではないのは、どう見ても確定だ。

 ガンタンクであれば、それこそシートを被っていても一目で分かるだろうし。

 そして、頭部のある部位が特に盛り上がっている様子がない。

 もしこれがガンキャノンであれば、両肩に装備されている低反動キャノンによって、シートが盛り上がっていなければおかしい。つまり……

 俺は無言で、MSに掛かっていたシートを外す。

 本来ならMSを守るという意味でかなりの重量を持つシートなのだろうが、混沌精霊たる俺に掛かれば、この程度は全く問題がない。

 そして姿を現したのは……俺にとって予想通りであり、同時に予想外のMSだった。

 姿形としては、間違いなくガンダム。

 それは、俺の希望通りだと言ってもいい。

 だが……そのガンダムは、俺が知っているガンダムとは色々と違う場所が多かった。

 まず最初に大きな違いと言えるのは、その色だ。

 白、青、赤というのがアムロの乗っているガンダムだったが、トレーラーに積載されていたガンダムは、白、黒、赤だった。

 違っているのは一色だけだったが、それは大きく……本当に大きく印象が変わる。

 そして、次に視線が向けられたのは、ガンダムの右手部分。

 本来なら……いや、俺が知っているガンダムであれば、そこには普通に手がある筈だった。

 だが、このガンダムは腕と一体型になっているビームライフルを装備してるのだ。

 わざわざ、ビームライフルを腕と一緒にする必要ってあるのか?

 そんな疑問を抱くが、考えてみれば納得出来ない訳でもない。

 そもそもの話、ガンダムやガンキャノンが持つビームライフルは、まだジオン軍でも採用されていない、最新兵器だ。

 であれば、もし万が一にも敵に奪われたりしないように、腕と一体化するのは……まぁ、分からないでもない……のか?

 何だかかなり無理矢理ではあったが、それでも納得しようと思えば出来ない訳ではない。

 

「ガンダム、ですね。ホワイトベースにあったのに比べると、若干差異はありますが」

 

 俺の近くにやって来た技術者の1人が、そう呟く。

 その技術者の言葉を皮切りに、他の技術者達も同様にトレーラーのガンダムを見て、それぞれに自分の意見を述べていた。

 

「そうだな。……普通に考えれば、現在ホワイトベースで使われているガンダムの後継機か、それともプロトタイプとでも呼ぶべき機体か……どっちだと思う?」

「恐らく、プロトタイプかと。特にビームライフルです。折角のビームライフルなのに、ああやって一体化するというのは、手持ち武器という事の有用性を自ら捨てているように思えます。恐らく、この機体でそれを理解した結果、現在ホワイトベースにあるようなガンダムになったのでは?」

「……なるほど。その可能性は十分にあるか」

「はい。もしかしたら、シャドウミラーの影響でMSの開発を急いだ結果、こうなったという風にも考えられますが。とはいえ、この機体……ガンダムのプロトタイプとでも言うんですかね。これが手に入ったというのは、ディアナとしては非常に嬉しいです」

 

 満面の笑みを浮かべた技術者が、俺の方を見てそう言ってくる。

 嬉しそうにしているのは、その技術者だけではない。

 他の技術者達も、プロトタイプガンダムを見て興奮しているのが分かる。

 

「それに、ビームライフルについてもしっかりと調べる事が出来るのは嬉しいですね。プロトタイプであるという事は、言ってみればこのビームライフルは現在ホワイトベースにあるMSのビームライフルよりも古い物という事になります。戦闘に使うのであれば最新型の方がいいでしょうが、ビームライフルを研究するというのであれば、間違いなくこちらの方がいいかと」

 

 そういうものか? と思わないでもなかったのだが、他の技術者達もその言葉に頷いているのを考えれば、それはあながち嘘という訳でもないのだろう。

 であれば、俺からは他に特に何も言う事はない。

 一番の問題だった、フィールドモーターに関しても、プロトタイプガンダムならしっかりと調べる事が出来るだろうし。

 ルナ・チタニウムの装甲については……既にヅダでも関節部分に取り入れられている以上、そこまで気にする事はないだろう。

 

「テストパイロットの方はどうなんだ?」

 

 ヅダのテストパイロットをしていたジャンやクスコ、マリオンといった面々は、ルナ・ジオン軍に組み込まれてルナツー攻略に向かっている。

 そうである以上、折角のプロトタイプガンダムであっても、その性能をしっかりと確認出来るテストパイロットがいなければ、きちんとしたデータ取りは出来ないだろう。だが、そんな俺の疑問に、ディアナの技術者は問題ないといった風に頷く。

 

「トップクラスのパイロットはルナ・ジオン軍に合流しましたが、それでもディアナにはある程度のテストパイロットがいます。突出して腕が良い訳でもないでしょうが、平均以上の技量は持ってますので問題ないかと」

 

 そうか、そう言えばヅダのテストパイロットはジャン達だけではなかったな。

 一緒に訓練をしていた連中がいたのを思い出し、納得する。

 あの連中はこっちに残って、今もテストパイロットとして働いていた訳か。

 ……まぁ、ディアナでは今もヅダのバリエーションを色々と開発してるって話だしな。

 その辺を思えば、テストパイロットはどうしても必要になるのか。

 

「分かった。なら、このプロトタイプガンダムに関しては、ディアナに預ける」

「ええ、任せてください。……ただ、少し前にヅダが出来たばかりなのに、いきなり改修、もしくは後継機を作るとなると、何だか微妙な気分がしますね」

 

 技術者のその言葉は、俺にも何となくだが理解出来る。

 本来なら、MSの開発というのは立て続けに行われるものではない。

 ……いやまぁ、ジオン軍のMS開発はかなり立て続けに行われているような気もするが。

 ともあれ、ヅダは月で改修作業を行われた結果、かなり完成度の高いMSとして生まれ変わったのは間違いない。

 だというのに、すぐにまた……となれば、ヅダの改修をした面々や、それに協力した他の技術者達にとっても、本当に色々と思うところがあるのは間違いない。

 だが、流体パルスからフィールドモーターに変える事により、受けるメリットは非常に高い。

 整備コストやランニングコストの類が上がるのは若干考えものだったが、シャドウミラーのバックアップがある状況であれば、そのくらいのコスト増よりもMSの性能を上げる方が優先されるのは当然だった。

 ましてや、ヅダは高機動型のMSである以上、MSの重量が軽くなるというのは、非常に大きなメリットとなる。

 重量が軽くなるというのは、MSと正面からぶつかったりした時には不利になるのだが……それでも総合的に見れば、明らかに軽い方がいいのは間違いない。

 

「色々と大変だろうが、頼む。ビームライフルの件もあるしな」

「分かっています。MSの性能で連邦軍に負けるというのは、面白くないですしね。すぐにでもその技術を吸収し、私達の技術でより発展性の高い技術にしてみせます」

 

 しっかりと、決意を込めた口調で言ってくる技術者。

 こうして見てみれば、他の技術者達も同様の表情を浮かべており、不満を抱いている者がいないのは非常に助かる。

 それにしても、ここで連邦軍のMS技術を奪う事に成功した場合、ルナ・ジオン軍におけるMSはジオン軍と連邦軍の技術が融合したハイブリッド的なものになるのか。

 こういうのって、下手をすればどっちつかずといった感じになって、中途半端な代物になったりもするんだが……出来れば、そういう風にはなって欲しくないものだ。

 

「本職のお前達に俺が言うべき事じゃないと思うけど、拙速に連邦軍の技術だけを求めるんじゃなくて、ジオン軍と連邦軍の技術を融合して、基本をしっかりとする事によって発展性のある技術にしてくれ」

「勿論です。折角入手した連邦軍の新型MSなのですから、隅から隅まで、しっかりと調べさせて貰って、その技術を十分に理解出来るようにしますよ」

 

 ここまで言うのであればもう完全に任せても構わないと思う。

 そう判断し……一応、といった様子で言葉を続ける。

 

「このプロトタイプガンダムは、ディアナの方でしっかりと調べ終わったら、シャドウミラーの技術班が貰う事になると思うから、その辺はよろしく頼む」

「……あー、やっぱりそうなりますよね。分かりました」

 

 若干不満そうな様子を見せる技術者達だったが、今後の事も考えるとその辺はしっかりとしておいた方がいいのは間違いない。

 あくまでも、現在のルナ・ジオンはシャドウミラーの保護国という扱いなのだ。

 それを脱したければ、相応の成果を上げる必要がある。

 問題なのは、セイラ本人は保護国という扱いに不満を持っていないという事だろう。

 元々セイラがルナ・ジオンを建国しようと考えたのは、俺と接触した時に見た光景……シャアが小惑星を地球に落とそうとしていたというのが原因だ。

 アムロがそれを止めようとしていたのもあったが、セイラにとっては見知らぬ――サイド7で会った事はあったが――相手と、自分の血を分けた兄では、どちらを重要視するのかは、考えるまでもなく明らかだろう。

 そして、セイラとしてはシャアに小惑星を地球に落とすなどという真似は絶対にして欲しくはなく、それを防ぐ為にルナ・ジオンの建国をしたのだ。

 言ってみれば、シャアの行動を止める事が出来るのなら、シャドウミラーの保護国であろうがなかろうがどうでもいい。

 ……いや、寧ろ保護国であれば色々と便宜を図って貰えるという点もあるので、保護国の方がいいと思っている節すらあるように、俺には思えた。

 セイラがそのように思っているのは、シャドウミラーがルナ・ジオンから搾取するといった真似をせず、寧ろ積極的に投資しているから、というのもあるんだと思う。

 そんな風に思いつつ、俺は技術者との話を続けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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