転生とらぶる   作:青竹(移住)

2384 / 4304
2300話

 ホワイトベースの中は、避難民がいなくなった事でかなり広くなった印象を受ける。

 この前に来た時もそんな風に思っていたんだが……何だか物足りないという訳じゃないが、やっぱりどこか違和感があるな。

 そんな風に考えながらホワイトべースの中を歩いていると、不意に前方から声が聞こえてくる。

 それも、俺にとっては聞き覚えのある声だ。

 

「レツ、ちょっと待ってよ! キッカも!」

「遅いぞ、カツ。早く掃除しないと、またフラウおばちゃんに怒られるんだからな!」

「ちょっと、レツ! おばちゃんなんて言っちゃ駄目でしょ!」

 

 そんな風に言いながら姿を現したのは、会話から予想出来ていたが、カツ、レツ、キッカという3人の子供だった。

 しかもフラウという名前が出てきたところを見ると……もしかして、あの3人、いやフラウも入れると4人だけど、クレイドルに行かないでホワイトベースに残る事にしたのか?

 いや、この子供3人はともかく、フラウは家族が無事だった筈だ。

 アムロがガンダムに乗った場所で、俺が助けたのだから間違いない。

 それに、ホワイトベースでも何度か見掛けていたし。

 

「お前達、確かフラウと一緒にいた子供達だったよな? こんなところで何をしてるんだ?」

「え? あ、えっと……イザーク!」

 

 3人の中で、少女……キッカが、俺を見ると大きな声を出して叫ぶ。

 

「あー、それは間違いだ。俺は正確にはアクセルって名前なんだ。そのつもりでいてくれ」

「アクセル? イザークじゃないの?」

「ああ。色々と事情があってそういう事になってたんだが……それはともかくとして、お前達は何でまだホワイトベースにいるんだ? クレイドルに行かなかったのか?」

「うん! あたし達、フラウお姉ちゃんと一緒にいるの!」

 

 元気よく告げるキッカだったが、それはやっぱりこの3人の子供達が……そしてフラウがホワイトベースに残るという事を意味していた。

 いやまぁ、言われてみれば納得出来ないでもない。

 アムロがホワイトベースに残る以上、当然アムロに好意を抱いているフラウが月で下りるといった真似をするとは思えない。

 だとすれば、これはある意味で必然とも言うべき内容だったという事になっても、おかしくはない。

 だが、フラウはともかくとして、この子供達までホワイトベースに残すのはどうなんだ?

 ここで降りられれば、普通にクレイドルで暮らしていく事も出来る筈だ。

 

「ここで降りれば、戦いの中で暮らすなんて真似をしなくてもよくなるんだぞ? 月に残らないのか?」

「残る訳ないだろ。フラウおばさんが心配だし」

 

 レツが、俺に睨みながらそう言ってくる。

 おばさんって……まだ10代半ばでそう呼ばれるってのは、かなり哀れな気がするんだが。

 そう思いつつも、レツの言葉の中にはフラウを嫌っている様子はなく、寧ろ好んでいるのは明らかだ。

 そうである以上、これは素直になれないとか、好きな相手程に苛めるとか、そういう感じなのだろう。

 そして、こういう相手には何を言っても聞かないだろうというのは、今までの経験から分かっていた。

 それに、もしかしたら……本当にもしかしたら、この子供達も原作では何らかの活躍をしていたという可能性もある。……ある、か?

 こうしてみれば、どこからどう見ても子供でしかない。

 そんな子供がホワイトベースでそんな活躍をするかと言われれば、首を傾げざるを得ないだろう。

 

「ホワイトベースに乗ってれば、怖い目に遭うかもしれない。それでも構わないんだな?」

 

 最後の質問といったように尋ねると、それを聞いたカツ、レツ、キッカの3人はそれぞれが決意を込めた表情で頷く。

 3人の中では一番気が弱いカツですらそうしているという事は、ここで俺が何を言っても話を聞くような事はないだろう。

 

「分かった。なら、俺からはこれ以上は何も言わない。……ただ、軍人達の邪魔をしないようにな」

「分かってるよ! 今だってこうして俺達は手伝ってるんだぞ!」

 

 叫ぶレツに、カツとキッカもそれぞれ頷く。

 そんな様子に、俺は悪いと謝り、ポケットから出したように見せ掛け、空間倉庫の中からチョコレートを取り出す。

 

「ほら、クレイドルに行かないなら、こういうのも食べる事は出来ないだろ」

「え? いいのか?」

 

 先程の決意の込めた表情から一変し、レツが俺に期待の込めた視線を向けてくる。

 3人の中でリーダー格のレツがそう言うのであれば、他の2人もそれに異を唱える事はない。

 

「ああ。ホワイトベースの中の雑用をやってれば、疲れるだろ。疲れた時にはチョコレートを食べるといい」

 

 このチョコレートは……ペルソナ世界で1人暮らしをしていた時に、スーパーで買った奴だな。

 ちなみにゆかりから聞いた話だったと思うが、日本におけるチョコレートの技術力というのは非常に高いらしい。

 100円前後で買えるチョコとしては、世界最高峰の味なんだとか。

 他にも10円チョコとか、駄菓子には5円チョコなんてのもあったが、それらの全てが、外国ではとてもではないがその値段で買うような事が出来ないクオリティらしい。

 勿論、本物の職人が作っているチョコレートとかになれば、話は別なのだが。

 

「ありがとー!」

「わーい!」

「チョコ……」

 

 それぞれが歓声を上げながら、俺が与えたチョコを手に、走り回る。

 1枚100円くらいのチョコでここまで喜ばれるというのも、何だか微妙な気がしないでもない。

 ともあれ、カツ、レツ、キッカの3人はチョコを持ってホワイトベースの通路を走っていった。

 それを見送り、俺は再びホワイトベースの見学に戻る。

 とはいえ、俺もホワイトベースで月までやって来たのだ。

 それなりに見て回ったりもした事があるので、特にどこか見て回る必要はないんだよな。

 勿論、避難民がいなくなった事で違う印象を受けたりとか、そういうのはあるんだろうけど。

 そんな風に考えていると、やがて視線の先に見覚えのある場所、食堂が見えてくる。

 ホワイトベースの食堂の料理長も、一応軍人ではある……のだろう。

 サイド7から月まで来る間に、一番頑張っていたのはブライトだというのが、俺の認識だった。

 当然だろう。まだ軍人ですらない士官候補生が、いきなり連邦軍の機密、それこそ秘密兵器と言ってもいいようなホワイトベースの艦長にされたのだ。

 その上、軍人ですらないアムロやカイ、ハヤトのような連中を率いる事になり、更にはルナツーでリードなんてお邪魔虫までやって来る有様。

 ブライトが真面目な性格でなければ、それこそ最悪の結果をホワイトベースにもたらした可能性がある。

 いや、それどころかホワイトベースがシャアの手に落ちていた可能性すらあっただろう。

 それを考えれば、やはりブライトは賞賛されてもおかしくはない。

 だが、食堂の料理長はあれだけ大量にいた避難民全員の食事を作り続けてきた。

 もし料理を避難民全員に行き渡らせる事が出来なければ、ホワイトベースの中で暴動が起きていてもおかしくはない。

 それを考えれば、料理長はブライトに並ぶだけの功労者だと言ってもいいだろう。

 勿論、料理長1人だけで全員の食事を作っていた訳ではなく、部下もいた。

 避難民の方でも食器を洗ったり、出来た食事を届けたりと、自分が出来る範囲で手伝ったりもしていたが……それでも、料理長の仕事がブライトとは違った意味で激務だったのは間違いない。

 もっとも、今では避難民達の多くがホワイトベースから下船したので、料理長の忙しさも大分マシになってはきただろうが。

 ともあれ、俺はそんな食堂にやって来た。

 やはりと言うべきか、食堂に人の姿は殆どない。

 何人かの軍人が食事をしているが、その数は避難民がいた頃に比べると恐ろしく少なかった。

 がらん、とした。そんな雰囲気すら感じるのは、決して気のせいという訳ではないだろう。

 とはいえ、これが正常の状況である以上、それに対して不満や寂寥感といったものを抱くのは、間違っているのだろうが。

 一瞬、ここで何か食べていくか? と思わないでもなかったが、ホワイトベースの食料も決して無限ではない。

 いや、もう数日後にはクレイドルを出発する事になっており、食料や水、推進剤といった補給物資はたっぷりと積み込まれる事になっている。……正確には、現在進行形でそれらの補給物資が積み込まれている筈だった。

 その辺の事情を考えれば、俺が少しくらいここで何か食べても問題はない。

 だが、今は何となくそういう気分ではないという事もあって、止めておく。

 そうしてその場を去ろうとしたのだが……

 

「あ、おい。イザークだったよな。ちょっといいか? 少し聞きたい事があるんだけどよ」

 

 と、不意にそんな風に声を掛けられる。

 声のした方に視線を向けると、そこにいるのは軍人らしい人物。

 ただし、いわゆる士官の類ではなく下士官と呼ばれる人種だ。

 情報とかには詳しくないのか、未だに俺の事をイザークと呼んでいる。

 いや、本当に何だって俺を呼んだのかは分からないが……まぁ、俺もホワイトベースの探索をしていただけで、特に何かこれをやらなければならないという事があった訳ではない。

 そうである以上、ここでちょっと時間を潰してもいいだろうと判断し、そのまま食堂で紅茶を貰って、その軍人の向かいに座る。

 

「それで? 俺に用事って事だったけど、一体どんな用事なんだ?」

 

 一瞬、イザークではなくアクセルだと言おうかとも思ったが、何となくそうする気分にならない事もあり、話を促す。

 そんな俺の態度には全く気が付かなかったのか、その男は笑みを浮かべて口を開く。

 

「クレイドルって、一体どんな街なんだ? イザークは月の人間なんだから、当然その辺は知ってるんだろ?」

「は? いや、まぁ……勿論ホワイトベースから出られないお前達よりは知ってるけど、一体どういうのが知りたいんだ?」

「だから、クレイドルってのが、どんな街なのかをだよ。あるだろ、ほら? クレイドルだからこその何かとか」

 

 意味ありげに俺に視線を向けてくる男だったが、クレイドル特有の何か?

 正直、そんなのはあったか?

 そう思い……ああ、と納得する。

 

「そうだな。クレイドルでは、飲食店が非常に多い。これには理由があって、その理由ってのが、クレイドルでは自分で金を稼ぐ事が出来ない奴には食料が配給されるんだが、その食料がもの凄く不味いんだ。だからこそ、その食料を食った奴は少しでも早く仕事を見つけようとし、その味が半ばトラウマになるのか、飲食店を開く事が多い」

「なるほど、それはちょっと興味深いな。……じゃなくて! そうじゃねえよ、そうじゃ! 言わなくても分かるだろ? 綺麗なお姉ちゃんと一緒に酒を飲んだり、あわよくばその先まで……そういう店だ!」

「あー……なるほど。そういう店か」

 

 つまり、この男が知りたいのは飲み屋、それも居酒屋とかそういうのではなく、ホステスがいるような飲み屋だったり、もしくは娼館の類といったところなんだろう。

 そう言われると、俺も納得出来る事がある。

 軍人にとって……いや、男にとって、そういう店が大事なのは俺も理解出来た。

 酒の類はともかくとして、ホワイトベースは軍艦である以上、どうしても男の方が多い。

 今までは避難民が乗っており、その中には女も結構いたが、その避難民も殆どが下りてしまっている。

 そう考えれば、この下士官が女とか酒とか、そういうのを求めるのが理解出来ない訳でもない。

 ……とはいえ、避難民が下船してからまだ数日といったところだ。

 そんな状況でこのような事を聞いてくるというのは、ちょっとどうかと思うが。

 

「一応居酒屋とかそういう感じの店もあるし、聞いた話だとクラブとかそういうのもあるらしい。けど、ホステスとかがいるような店があるのかとなると、俺は知らないな。そういう店には行かないから。けど、娼館の類はあるって話を聞いたな」

 

 女が何の元手もなく簡単に金を稼ぐ方法が何かと言われれば、若くてある程度顔が整っているのであれば、身体を売るというのが一番手っ取り早く儲かるだろう。

 どの世界で聞いた話かは忘れたが、娼婦の中でもトップクラスになると、1日で数百万……あるいは数千万も稼ぐ事は珍しくないって事らしいし。

 そこまでいかなくても、生活していくだけの金額は娼婦として働けば十分手に入る。

 クレイドルにやって来た中でも、そっち方面で仕事に就く者がいるのは当然だろう。

 そして、軍人が主となって建国されたルナ・ジオンでは、当然のようにその辺りも考えられており……クレイドルの中には、そういう風俗の店が固まっている場所があるという話を、以前誰かから聞いた覚えがあった。

 そう告げると、その下士官は非常に羨ましそうにこっちを見るが……言っておくけど、俺はそういう店に行った事はないぞ?

 ましてや、ホワイトベースの人間も宇宙ドックから出る事は出来ないしな。

 そう思いながら、俺は下士官の話に付き合うのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。