転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2305話

 パプア級で宇宙港に戻ってくると、当然のようにガンダムはホワイトベースに運ばれていく。

 ホワイトベースの中で分解したりして、パーツの状況を確認するのだろう。

 装甲に付着したペイントの類はパプア級の中で既に洗浄されていたが、やはり分解して中身を……という事になれば、連邦軍の軍人としてそれは許容出来なくてもおかしくはない。

 実際にはアムロが使っているガンダムのプロトタイプと思われる機体を入手し、ディアナの方で色々と調べているので、ここで隠してもあまり意味はないのだが。……その件を言う事は出来ないが。

 それに、ガンダムを修理する上で当然のようにディアナの者達はガンダムの中身を見ている筈だった。

 その辺りの事情を考えれば、そこまで気にする必要はないと思うんだが……まぁ、その辺はやっぱり連邦軍に所属する者の誇りといったところか。

 もうグダグダになってはいても、機密を守ろうとする辺りは、立派なのだろう。

 

「アクセル代表、ホワイトベースの機体の運搬と人員の退去、完了しました」

 

 そう言ってきたのは、このパプア級の副船長をしている人物だ。

 船長の方は色々と作業が忙しく、それでこの男が俺に直接言いに来たのだろう。

 

「分かった。今日は色々と助かったよ」

「いえ、こちらも連邦軍のMSを見る事が出来たのは大きいです」

 

 笑みを……満面の笑みではなく、ニヤリとした笑みを浮かべた副船長の様子から考えると、腹に一物ありそうな奴だな。

 もっとも、その一面を俺にこうして見せるという事は、ルナ・ジオンやシャドウミラーにとって何らかの危害を加えるつもりはない、と。そういう事なのだろうが。

 

「そうか。何を考えてるのかは分からないが、程々にしておけよ。妙な真似をした場合、量産型Wやコバッタ辺りがお前を捕まえにいくだろうし」

 

 パプア級とはいえ、軍艦の副船長という立場だ。

 当然のように平の軍人よりは得られる情報も多く、それだけにジオン公国や連邦政府、もしくはそれ以外の第3者に情報を流す……といった真似をした場合、相応の罪に問われる事になるのは明らかだった。

 副船長を出来るだけの能力を持っている軍人というのは、非常に貴重だ。

 それだけに、出来れば馬鹿な真似はして欲しくないところだ。

 向こうも当然のようにそれは分かっているのか、すぐに頷く。

 

「ええ。折角ルナ・ジオン軍で軍人になったんですし、その職を自分から捨てるような真似はしませんよ」

「そうしてくると、こっちも助かる」

 

 実際、助かるのは間違いない事実だ。

 ルナ・ジオン軍に所属している軍人は、ジオン軍から横滑りしてきた者も多いが、それ以外に月に来てから軍隊に入ったという者も多い。

 ……シーマの影響って、こういうところでも出てるんだよな。

 それだけにどうしても新兵が多くなり、俺の前にいるような副船長のようなベテランは数が少ない。

 

「そういえば、月面都市を回ってきたって言ってたな。雰囲気はどうだ? ルナツーからの演説が流れた時は、かなり激高していたって聞いたけど」

「今までの短い期間ですが、ルナ・ジオンは善政を敷いています。少なくても、月を占領した当初に比べると態度は軟化してますね。ルナツーの占拠も、多くの者が喜んでましたし」

 

 多くの者が喜んでいたという事は、喜んでいない者も少ないがいるという事か。

 まぁ、月を占拠した事によって、全員がこっちに味方をするとは思っていない。

 実際に今までの犯罪を公表されたり、今は公表されていなくても、いつ公表されるか、そして捕まるかといった事に怯えている者や、月が占拠された事が許せないと思う者は決して皆無ではないのだから。

 もっとも、ルナツーの演説が流れた時の事を考えれば、月の住民の大多数が受け入れているのは間違いないのだが。

 

「ルナツー攻略作戦にルナ・ジオン軍の多くが出撃したが、その影響は何かあるか?」

「いえ、その辺は特に何も、コバッタやバッタ、量産型Wのおかげで、治安維持にも問題はないですし」

「……メギロートも使えればいいんだけどな」

 

 コバッタはともかく、通常のバッタなら街中に入ってもある程度は普通に行動出来る。

 だが、メギロートの場合はその大きさから月面都市に入る事は出来ない。

 正確には出来るんだが、そこで下手に動いて周囲に被害を与えるような事になれば、ちょっと洒落にならない。

 クレイドルのような広さがあるのならまだいいけど、月面都市は基本的に地下に広がっている形だ。

 そのような場所でメギロートが戦うといった事になったらどうなるか……

 もっとも、メギロートを動かしているAIはかなり優秀な代物だ。

 その辺を考えれば、実はあまり心配しなくてもいいのかもしれないが……その辺の事情を知らない者にしてみれば、とてもではないがメギロートのような巨体が月面都市の中を自由に動き回るというのは、許容出来ないだろう。

 いっそ、メギロートの性能について詳しく知らせる……いや、駄目だな。

 月面都市の中には、間違いなくジオン軍、連邦軍に何らかの手段で情報を流している奴がいる筈なのだから。

 メギロートの性能は、はっきりいってこのUC世界のMSとは比べものにならない。

 それこそ、純粋な性能ではガンダムを相手にしても楽に勝てるだけのものがある。

 ……もっとも、それはあくまでも機体性能だけの話であって、そこにパイロットといったソフトウェアが入ってくれば、話は別だったが。

 特にルナ・ジオン軍に所属するエースパイロット達であれば、ヅダでメギロートと戦うのも不可能ではない。

 ましてや、これからはMSもビームライフルを装備するようになるのだ。

 攻撃が命中すれば、バリアの類が存在しないメギロートにダメージを与えるのは難しい事ではない。

 

「メギロートは過剰戦力かと。何か起きるにしても、その人数は恐らく少ないです。その辺の事情を考えると、やはりここはバッタが最適だと思います」

「……そうか?」

 

 副船長と暫くの間会話をし、やがて要件も終わったところで、パプア級から下りる。

 パプア級の方は、これからもまだ何らかの物資を月面都市に運ぶという仕事が待っているらしい。

 幸い、そこまで急ぐような仕事ではなかったので、俺達の模擬戦に協力するような真似が出来たのだろうが。

 パプア級から下りると、そのまま影のゲートを使って政庁に向かう。

 アムロとの模擬戦を終えたのだから、その一件を許可してくれたセイラに報告はしておくべきだ。

 また、同時にセイラもアムロがどれくらいの能力を持っているのか、詳細な報告を聞いておきたいと思っているだろうし。

 そんな訳で、政庁に入るといつものようにお茶会をする部屋に向かおうとしていたのだが……

 

「アクセル代表」

 

 ふと、そんな声を掛けられる。

 声のした方に視線を向けると、そこにいたのはルルーとメリルの姉妹。

 ルルーは相変わらず冷静な……クールと言ってもいい表情で俺の方に視線を向け、小さく頭を下げてくる。

 そんな姉とは裏腹に、メリルの方は人好きのする笑みを浮かべて俺の方に近寄ってくる。

 付き合いの長さという点で考えれば、ルルーの方と長く一緒にいたのだが、付き合いの深さという点で考えれば、やはりサイド7から一緒に行動していたメリルの方に軍配が上がる。

 いやまぁ、付き合いの長さや深さより、純粋にそれぞれの性格によるものなのだろうが。

 

「アクセル代表、一体どうしたんですか?」

「ちょっとセイラに用事があってな」

「なら、私達と一緒に行きますか? ちょうど今から書類を持って行こうと思ってましたし。……姉さん、構わないわよね?」

「構わんが、別にそう気を遣う必要もないと思うぞ? アクセル代表が政庁にいるのは、そう珍しいものでもないしな」

 

 姉の言葉に、メリルはそうなんですか? といった視線をこちらに向けてくる。

 

「そうだな。何だかんだとセイラと一緒にお茶をする時間は多いな。セイラにしてみれば、俺とのお茶会も娯楽や休憩じゃなくて、情報収集という一面も多いのかもしれないけど」

 

 何だかんだと、俺はセイラが普段行かないような場所に出入りする事も珍しくはない。

 だからこそ、そんな俺が持っている情報は、普段ならセイラが知る事がないようなものも多いのだ。

 ……それが実際に月を治める上で役に立っているのかどうかは、分からないが。

 それでも、知らない情報よりは多くの情報を知っていた方がいいのは間違いない。

 また、何だかんだとセイラも10代である以上、気分転換は必要となる。

 セイラから子供の頃の話を聞く限り、シャアはラルの父親に帝王学とでも呼ぶべきものを習っていたみたいだが、セイラはそういうのは習っておらず、普通に暮らしていたみたいだし。

 あるいは、ジオン・ズム・ダイクンが死なないでサイド3にいたままであれば、セイラもシャアと同様の教育を受けていた可能性はあるが。

 それを考えると、帝王学を学んでいないセイラが月の女王となり、帝王学を学んだシャアがトップエースとはいえ一介のパイロットでしかないというのは、ちょっとした皮肉だな。

 そんな風に思いつつも、俺はルルーとメリルの2人と共に、セイラの執務室に向かう。

 途中で俺に話し掛けてくるのは、決まってメリルの方だ。

 ルルーの方は、性格的にそこまで活発に話し掛けてくるといった性格をしていないというのも、大きいのだろう。

 

「それで、アクセル隊長。ホワイトベースの方はどうなってますか?」

「補給作業とか部品の製造とかも大体終わったから、後数日程度でクレイドルを出発するだろうな。……メリルは結局乗らないんだよな?」

「はい。色々と仕事があるもので」

 

 そう言い、姉の方を見るメリル。

 その仕事というのは、ルルーから回されてきたものなのだろう。

 諜報部としての仕事か。……ある意味ではホワイトベースでガンタンクのパイロットをやっているよりも大変そうだな。

 

「頑張ってくれ。幸い、ホワイトベースには俺以外に2人乗る事になったから、人手不足という事にはならないと思う。避難民も下りたしな」

 

 何気に、避難民の世話でホワイトベースの人手が結構使われていたのは事実だ。

 勿論、フラウのように避難民でありながら、その手伝いをしているような者もいたので、全てを軍人達がやっていたって訳じゃないだろうが。

 

「そっちの方も重要な仕事だろうし、頑張ってくれ」

 

 そんな会話をしながら歩いていると、やがてセイラの執務室に到着する。

 

「失礼します」

 

 ノックの後、中からの声に返事をして、メリルが扉を開ける。

 そうして部屋の中に入ってきた俺達3人を見て……いや、正確にはルルーとメリルの2人と一緒にいた俺を見て、セイラが驚きの表情を浮かべる。

 ちなみに、部屋の中にいたのはセイラだけではなく、セイラの秘書官とかそういう者達や、メイドなんかの姿もある。

 

「アクセル? どうかして? ……いえ、模擬戦の件ね」

 

 俺が何を言わなくても、すぐに何の話かを理解してくれるのは、こちらとしても楽で助かる。

 

「ああ。それで、どうする? 俺の方は別に急ぎって訳じゃないから、ルルーとメリルの方の要件が済んでからでいいけど」

「なら、少し待っていて貰えるかしら」

 

 セイラの言葉に頷くと、メイドがソファに座るように言ってくる。

 どうやらそこで待っていて欲しいという事なのだろう。

 ソファに座ると、紅茶とクッキーが用意され、それを楽しんでいる間にルルーとメリルの用事は終わったらしい。

 少し聞こえてきた限りでは、やはり諜報部関係の用事で書類を持ってきていたらしく、フォン・ブラウンで独立派……正確には犯罪捜査の手が迫っている事に焦った連中がテロを起こしてそれを囮として、月から逃げ出す計画があるとか。

 ルナ・ジオンを相手にテロで戦うって感じじゃないのはいいけど、テロを起こされるのは困るよな。

 もっとも、こうして情報が漏れている時点で、そのテロの失敗は恐らく確実なのだろうが。

 そうして要件が終わるとルルーとメリルは部屋を出ていき、次に俺の話題となる。

 とはいえ、セイラも書類仕事をしながら俺の話を聞くつもりはないのか、俺が座っているソファの向かいに腰を下ろす。

 メイド達に部屋から出るように言い、俺と2人だけになったところで、口を開く。

 

「それで、アムロ・レイの様子は?」

「そうだな。順調に技量は上がってると思う。ただ、実戦の回数そのものは少ないから、過信は禁物だけど」

 

 原作でアムロが地球に行くまでにどれだけ実戦を重ねたのかは分からないが、それでもこの歴史では俺がシャアと戦った分、どうしても原作よりも実戦回数が減ってるのは間違いない。

 その代わりにシミュレータや今回の模擬戦のように俺が戦っているが、やはりそこには雲泥の差がある。

 

「そう。……少しでも腕を上げてくれるといいんだけど」

 

 そんな風に、俺はセイラにアムロの件を報告しながら、紅茶を楽しむのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1436

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