時は流れ、俺とアムロが模擬戦をしてから数日が経ち、いよいよホワイトベースが出発する日がやってきた。
……俺がまた暫くホワイトスターからいなくなるという事で昨夜はかなり凄い事になり、実は俺と一緒にホワイトベースに乗るミナトと綾子の2人は魔法球の中で休憩し、それでようやく疲れから復活した……と言えば、大体どれくらい凄い夜だったのかを表しているだろう。
ともあれ、そんな訳でレモン達から見送られた俺達は、ホワイトベースのブリッジにいた。
一応部外者という事で、乗艦許可は必要という事だが。
とはいえ、今回の一件はゴップから許可を貰っての事だ。
そうである以上、乗艦許可が下りないという事を考えなくてもいいのは、非常に助かる。
「そんな訳で、地球まで一緒に行動することになった、アクセル・アルマーだ」
俺に続き、ミナトと綾子もそれぞれ自己紹介をする。
既に以前一度三人でこのブリッジにやって来てはいるし、ミナトの方はそれ以後もミライとそれなりに仲良くしているのを何度か見てはいた。
ミナトはその派手な外見とは別に、かなり母性的だ。
そういう点で、ミライと仲良くなったのだろう。
綾子の方も、そのさっぱりとした性格からパイロットとそれなりに仲良くやっているらしいというのは聞いている。
だが……パイロットの方は、メカニック達も入れるとどうしても男の方が多くなる。
そんな中に、さっぱりとした性格ではあるが非常に女らしい起伏に富んだ身体付きの綾子がいれば、どうなるか。
当然のように、多くの者が綾子に好意を寄せるのは当然だった。
実際に言い寄った奴も何人かいたらしいが、それは全員綾子によってきっぱりと断られている。
この辺、綾子も慣れたものだ。
まぁ、男に言い寄られるというのであれば、それこそミナトの方も負けてはいないんだが。
ただ、ミナトの場合はミライと一緒にいる時が多いので、あまりそういう心配はいらないらしい。
ブリッジにいる人数は格納庫に比べると限られているし。
「よろしく頼みます。……特に、アクセル代表の戦闘力には期待してますので」
ブライトの言葉に、俺は頷く。
リードの方は、俺に向かって何か言おうとしてはいるのだが、結局何も言葉が出てこない。
リードにしてみれば、俺がホワイトベースに乗るのは、許容出来ないのだろう。
ルナツーの一件を考えれば無理もないが。
そう言えば、ルナツーはそろそろ連邦軍に返還されてもおかしくはないのだが、それは具体的にいつくらいになるんだろうな。
もっとも、ルナツーに存在した連邦軍のMSに関係するデータの類は、ルナ・ジオン軍が全て接収したのだが。
とはいえ、連邦軍の本部はあくまでもルナツーではなく、地球にあるジャブローだ。
そうである以上、ルナツーにあったデータが、連邦軍の持つ全てのMSのデータ……という訳ではないのだろう。
「さて、そろそろ出発だし、いつまでもこうしてはいられない。俺と綾子は、いつでも出撃可能なように格納庫に行ってるよ。……もっとも、月から出てすぐにシャアが襲ってくるとは思えないけど」
「でしょうね。月を出てすぐであれば、機動要塞でしたか。そこから援軍がやってくる可能性が高いでしょうし。そうなると……やはり月から十分に離れてから、という事になりそうですね」
「暗礁宙域が幾つかある。その辺が危ないだろう」
俺とブライトの会話に割り込んできたのは、リードだ。
正直なところ、まさかリードからそんな意見が出るとは思っていなかっただけに、素直に驚いた。
いや、勿論大尉という階級にある以上、相応の能力は必要となってもおかしくはない。
おかしくはないんだが……それでも、今まで俺が知ってる限りで、リードがここまで的確な事を口にしたのは……まぁ、なかった訳じゃないか。
だが、それでもリードが見せてきた態度を考えれば、どうしてもリードをブライトよりも下に見てしまうのはしょうがない事なのだろう。
それがまた、本人に理解出来るだけに面白くない……と、いったところか。
「そうですね。暗礁宙域は、こちらを待ち伏せするには良い場所でしょう」
俺と同様、少しだけ動きを止めたブライトだったが、それでも持ち前の生真面目さからか、すぐにそう言葉を返す。
「暗礁宙域か。……何気に、月の周辺には多いんだよな」
岩塊だったり、何らかの理由で捨てられた宇宙艦だったり……今となれば、ジオンの独立戦争で破壊された軍艦だったり、場合によってはMSだったり。
そういうのが自然と集まって出来る暗礁宙域は、隠れるという意味では最適の場所なのは間違いない。とはいえ……
「シャアがどれくらいの戦力を補充したのか分からないけど、そこまで大量には暗礁宙域の中に隠れているというのは、難しいんじゃないか?」
そう、告げる。
実際、暗礁宙域の中では岩塊だったり、それ以外だったりする物が動き回っている。
軍艦……ムサイ級やチベ級、パプア級が隠れるとなると、装甲に当たったりして被害が出るのは間違いない。
いや、装甲ならまだいい。
レーダーとか、そういう場所が破壊されたら、その被害は本当の意味で洒落にならないものになってもおかしくはない。
Eフィールドのようなバリアでもあれば話は別なのだが、幸か不幸か、現在このUC世界においてその手のバリアの類は存在しない。いや、この場合は幸か不幸かじゃなくて、幸いにもと言うべきか。
一応似たようなのにビーム攪乱膜という技術があるが、あれがどうにかするのはあくまでもビームだけで、岩塊のようなスペースデブリをどうにか出来る訳ではない。
「アクセル代表の言葉はもっともですが、それはつまり大量ではなく少数の精鋭であれば、問題はないという事でもあります」
リードの口調は丁寧なものだ。
……まぁ、俺の立場を考えれば、それもおかしくはないのかもしれないが。
それに、ゴップからの命令も出ているというのは、この場合かなり大きい。
「少数か。……ムサイ級が数隻ってところか。けど、それだけの戦力でこっちをどうにか出来ると思ってるのか?」
「シャアなら、あるいは……」
俺の言葉に、リードが短くそう告げる。
それは誤魔化しや何かで言ってるのではなく、純粋に恐怖から出たような言葉。
連邦軍にとって、赤い彗星のシャアというのはそれだけ恐怖の象徴であるということなのだろう。
この独立戦争の序盤で、それだけシャアに受けた被害が大きかったといった事か。
同時に、ジオンのプロパガンダも上手く機能しているという証なのだろう。
それに、実際シャアならそのくらいの事はやってもおかしくはないという思いが、俺の中にもそれなりにある。
「そうなると、暗礁宙域を避けて移動するか? ……普通に進むよりは時間が掛かるが、それでもシャアと直接戦うよりはマシだと思うが」
「ですが、相手はシャアです。その辺りも読んで、寧ろそれを狙ってこちらを待ち受けている……という可能性もありませんか?」
俺とリードの会話に、ブライトがそう割って入る。
普通なら考えすぎだと言われてもおかしくはないのだが、相手がシャアとなると、それは普通に有り得るのではないかとすら思ってしまう。
実際、シャアはそれだけの能力を持っているのだから。
「シャアと戦う事を前提として、アムロを鍛えたり俺もホワイトベースに戦力として乗ったんだから、それを思えばいっそ早いうちにシャアと戦った方がいいのかもしれないな」
シャアという存在が強いのは間違いない事実だ。
だが、同時にこれまでの実績やプロパガンダから、赤い彗星という存在を必要以上に驚異的な存在として見ているのも、また事実。
であれば、遭遇するまで怯えて精神的に消耗するよりも、さっさとシャアと戦って勝ってしまうという方法も、決して悪手という訳ではない。
幸いにして、ホワイトベースにはシャアとそこそこ互角に戦えるアムロがいるし、俺もいる。
地球に降下すれば俺はホワイトベースから下りる以上、今のうちにシャアをどうにかしておいた方がいい……というのは、連邦軍の本音だろう。
いやまぁ、その割にはリードはシャアと遭遇しない航路を希望しているが。
これは、恐らく自分に危険があるからこそ、そんな風に思ってるんだろうな。
もしこれで自分が安全な場所にいて戦わなくてもいいとなれば、恐らく嬉々としてシャアを倒すようにと命令しそうな気がする。
「まぁ、このホワイトベースはあくまでも連邦軍の軍艦だ。それをどう運用するのかは、俺からは何とも言えないな。一応送って貰う立場である以上は、何かあったら協力するつもりではある、とだけ言っておくよ。……綾子、俺達は格納庫に行くか。ミナト、こっちは任せていいんだよな?」
「ええ、任せておいて。それこそ、シャアとかいう敵が来ても、ホワイトベースを撃沈させるような真似はさせないわよ」
自信を感じさせる笑みを浮かべてそう告げるミナト。
どことなくリードが怪しむような視線を向けているが……うん、この件に関してはリードを責める訳にはいかない。
いかにも遊んでいるような色っぽい女といった様子のミナトの外見からは、どうしても操縦のスペシャリストという風には見えないのだから。
だが、そんなミナトが、実際にその技術は凄いものがあるというのは、シャドウミラーの人間なら全員が知っていた。
この辺は実際にホワイトベースを動かしてみて、それによってミナトの実力を直接体験して貰う必要があるだろう。
そもそも、ミナトはナデシコ世界において性格に問題はあっても、腕は一流というコンセプトで集められたナデシコの乗員で操舵手としてスカウトされた人物だ。
そんな状態で木星蜥蜴……いや、木連との戦争をくぐり抜け、おまけにシャドウミラーに所属してからはシロガネの操舵手としても活躍しており、それに相応しい訓練を続けている。
その辺の事情を考えれば、当然のようにその技量が卓越したものになるのは当然だった。
ミライも素人――軍艦の操縦という意味で――としては結構な腕利きらしいが、それでもやはり経験からミナトに劣ってしまうのはしょうがない。
「任せた」
そう短く告げ、俺と綾子はブリッジを出て行く。
……リードが微妙にほっとした表情を浮かべているのは、やはり俺がブリッジにいると緊張するからだろう。
あるいは、単純にシャドウミラー代表の俺がいるという事で、自分が一番威張れないというのもあるのかもしれないが。
ブライトも、その生真面目さからか、切羽詰まった状態の時ならともかく、普通の場合は階級が上のリードに従うんだよな。
いや、中尉が大尉に従うというのは、ある意味で当然の事なのだが。
その辺の事情を無視しても構わないくらい、リードは大尉という階級的に問題があるのも、事実だ。
そんな風に考えつつ、俺は綾子と一緒に格納庫に向かうのだった。
「……何だこれ」
格納庫に入った瞬間、俺の口から出たのはそんな言葉。
当然だろう。何故なら、格納庫の中に畳が敷かれていたのだから。
勿論、格納庫全面に畳が敷かれているという訳ではなく、空いている場所にだ。
もっとも、ホワイトベースの格納庫には合計6機ものMSがある為、空いている場所は殆どないのだが。
「アクセル代表! 勝負して下さい!」
そんな畳の上で俺を見ているのは、ハヤト。
連邦軍の軍服でもなく、ましてやパイロットスーツでもなく、真っ白い柔道着を着て、黒帯を身につけている。
完全な戦闘態勢といった感じだが……何でまた、こんな事になってるんだ?
まぁ、月から出てすぐにシャアが襲ってくる可能性は、機動要塞群がある以上まずないと思ってもいい。
いいんだが……それは絶対ではない。
こっちの油断を突き、もしかしたら一気に攻撃をしてくるという可能性も、皆無ではないのだ。
「あー、リュウ。何がどうなってこうなった?」
「すまんな。アムロとアクセルが戦った事で、ハヤトも戦いたいと思ったんだろう」
ちなみに、リュウの話し方はいつも通り……俺がイザークだった時と同じものだ。
最初はブライトのような丁寧な言葉遣いをしていたのだが、それがリュウにあまり似合わなかったというのもあるし、俺の方も正直微妙な感じがした。
その為、今まで通りで構わないと、そうリュウに命じたのだ。
……実際、シャドウミラーでも殆どの者は普段から俺に敬語を使うといった真似をしていないので、堅苦しくなくていい。
いざって時……それこそ、公の場で俺と話す時にもそんな真似をされると困るが。
「いや、でも……戦うって、柔道でか? よりにもよって今?」
士官学校だったり、それ以外の場所だったりで、柔道は俺も知っている。
だが、別に柔道専門でやってきた訳ではなく、あくまでも俺の場合は軍隊の格闘技……それも人を鎮圧するのではなく、シャドウミラーらしく、敵を殺すのを目的としている格闘技だ。
ましてや、俺は人間ですらなく、混沌精霊でもある。
そんな状況で俺と柔道をやるのは……色々と危険な気がするんだが。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1436