ヴィー、ヴィー、ヴィー。
そんな警報がパイロットの控え室に鳴り響いたのは、格納庫で柔道が終わってから数時間……ちょっと小腹も空いてきたという事で、食堂に行って何か軽く食べられる料理でも用意して貰おうかと、そう思っていた頃の事だった。
『暗礁宙域にジオン軍のものと思われる艦艇2隻を発見しました。恐らくサイド7から追跡してきた赤い彗星の部隊だと思われます。戦闘員は第一戦闘配備にて待機をして下さい。繰り返します……』
ミライの声が通信で響く。
もしかして、ホワイトベースの操艦をしながら、ミライが通信を送っているのか?
それとも、ミナトが操艦をしており、ミライはオペレーターをやってるのか。
まぁ、どっちでもいい。取りあえず敵を発見出来たというのは、嬉しい報告なのは間違いない。
話を聞く限り、まだ向こうは動いていない。
つまり、こちらの方が先に見つけたと、そういう事なんだろうし。
「やるぞ」
短く、それでいて決意を込めた声で呟いたのは、リュウだ。
相手がシャアである以上、当然のように気楽にという訳にはいかないのだろう。
いや、ホワイトベースでMSのパイロットをやってる面々は、その多くが決して技量が高い訳ではない。
……アムロのような例外はいるが。
それに比べると、ジオン軍のMSパイロットはその多くがきちんとMSの操縦を習い、実戦を経験している者も多い。
そう考えると、相手がシャアだ何だという以前に、ホワイトベースのパイロットが相手を警戒しないという選択肢は元から存在しないのだ。
ともあれ、リュウの声と共に全員がMSに向かう。
アムロがガンダム、俺とカイがガンキャノン、それ以外はガンタンク。
そうしてコックピットに乗り込むと、すぐにブライトから連絡が入った。
『アクセル代表。シャアが、こうも素直に見つかると思いますか?』
「……普通に考えて、罠だろうな」
とはいえ、それがどんな罠なのかというのは分からない。
無難に考えれば、暗礁宙域にシャアがいると見せ掛け、別の……それこそ、しっかりとした罠を用意している場所にホワイトベースを誘導する。
そのくらいの事はしても、おかしくはない。
こちらに発見されて何も対処してこないというのは、シャアの性格や能力を考えれば有り得ないと言ってもいいだろう。
『でしょうね。ブリッジでも同じ意見です。……それで、アクセル代表に敵艦が隠れていると思われる暗礁宙域を見に行って貰いたいのですが、構いませんか?』
「……いい度胸をしてるな」
それは別に責めているのでなく、純粋に褒める為の言葉だ。
イザークと名乗っていた頃の俺であれば、そのような……見方を変えれば、それこそ一種の捨て石に近いような真似をされてもおかしくはない。
だが、今の俺はイザークではなく、アクセルなのだ。
シャドウミラーの代表たる俺を、もしかしたら敵が待ち構えているだろう場所に偵察に向かわせるというのは、下手をすれば後で問題になりかねない。
もっとも、俺がホワイトベースに乗っている間はあくまでもパイロットとして扱うようにと、そうゴップと契約をしている。
それを考えれば、ホワイトベースのMSパイロットの中で最も腕利きの俺が偵察に出るというのは、決して間違ってはいないのだが。
『残念ですが、今のホワイトベースには腕の立つ人物を遊ばせておくような余裕はありませんので』
そう告げるブライトの後ろからは、リードの声が聞こえてくる。
責任がどうとか、そんな感じの声が。
そんなリードの声は聞き流しつつ、俺は頷く。
「分かった。幸い、ガンキャノンの調子はかなり良いからな。メカニックに感謝だ」
そう言うが、実際にガンキャノンがここまで調子が良いのは、ディアナの技術者達が、そのデータを取る為にオーバーホールしたから、というのが理由だったりする。
実戦そのものはシャアと戦った1回くらいしか経験していないが……ああ、いや。ルナツーで旧ザクを相手に戦ったのも、一応実戦に入るのか?
ともあれ、現在のガンキャノンは絶好調だというのは、メカニック達から聞いて知っている。
「もっとも、普通なら偵察はガンダムの仕事だったり、もしくは偵察機とかの仕事なんだけどな」
『……そうですね』
ふぅ、とブライトの口から大きく息が吐かれる。
MSはともかく、偵察機とかはあってもいいと思うんだが。
それこそ、ジオン軍で使っているルッグンとか、そんな感じの。
ホワイトベースがMS運用艦であっても、別に戦力の全てがMSでなければならないって訳でもない。
アークエンジェルでも、メビウス・ゼロとかスカイグラスパーとかあったし。
あ、でもスカイグラスパーはともかく、メビウス・ゼロはあくまでもムウがアークエンジェルに避難してきたからこそだったのか。
ガンペリーとかいう、大気圏内で使える航空機はあるが……宇宙でそれがあってもな。
「そこまで気にするな。ただの愚痴だよ愚痴。取りあえず話は分かった。すぐに偵察に出るけど、構わないな?」
『はい、お願いします』
「……一応、今の俺はアクセルはアクセルでも、MSパイロットとしてのアクセルなんだ。そうである以上、そこまで畏まった態度を取る必要はないんだぞ? それこそ、リュウみたいな感じで話し掛けても構わないんだし」
『それは……その、検討しておきます』
この辺りが、ブライトの生真面目さの欠点だよな。
まぁ、それがブライトの売りでもあるんだろうが。
「そうか。取りあえず話はこの辺で終わりにして、俺は暗礁宙域を調べに行ってくるよ。一応、何があってもすぐ対応出来るようにしておいてくれ。……暗礁宙域にいる軍艦が、まだこっちに気が付いてない場合、どうする? 撃破してもいいのか?」
MSを1機ずつ撃破するよりも、ムサイ級のようなMS運用艦に乗っているところを、その軍艦諸共に沈めてしまった方が楽なのは、間違いのない事実だ。
とはいえ、シャアがいる可能性が高い以上、実行するのはちょっと厳しいものがあるのだが。
『いえ。向こうがこちらに気が付いている様子がない場合は、速やかに戻ってきて下さい。すぐにこの宙域から離脱します』
「……いいのか? ここで見逃すような真似をすれば、それこそ後で厄介な事になりかねないぞ? サイド7から……いや、サイド7に行く途中でシャアに見つかって、その後は今まで延々と追いかけられてきたんだろ? なら、ここで敵を撃破……とまではいかなくても、ある程度のダメージを与えておけば、こっちを追ってくるような事も出来ないと思うんだが」
当然のように、俺にはシャアを殺すつもりなどは一切ない。
だが、このままずっとシャアに追ってこられるというのも、当然のように面白くないのは事実な訳で……その辺の事情を考えると、やはり一撃を与えておいた方がいいのは間違いなかった。
『構いません。ホワイトベースの速度はかなりのものです。それこそ、ムサイ級では追いつくのは難しいくらいに』
自慢げに告げるブライト。
曲がりなりにもホワイトベースの艦長という立場である以上、やはり自分の艦を自慢したいのだろう。
「……分かった。今の俺はさっきも言った通り、あくまでもシャドウミラーの代表じゃなくて、ホワイトベースのMSパイロットだ。艦長のブライトがそう言うのなら、こちらとしてもそれに従うのは構わない」
『ありがとうございます』
そう告げ、映像モニタの通信が切れる。
ブライトにしてみれば、これから戦闘が行われるかもしれない以上、今は他にもやるべき事は多くあるのだろう。
「さて……なら、行くか」
ガンキャノンがカタパルトデッキの上に移動したのを確認し、口を開く。
「アクセル・アルマー、ガンキャノン、出るぞ!」
その言葉と共にガンキャノンはカタパルトデッキによって出撃する。
暗礁宙域に隠れているという軍艦は、一体こっちをどのくらいの割合で把握しているのかは、分からない。
ただ、向こうも怪しまれない為にミノフスキー粒子は散布していない、という可能性が高い以上、こっちの行動を把握していてもおかしくはないんだが。
ミノフスキー粒子があれば、自分達が見つかりにくいのは事実だが、そこに散布されているというだけで、見つかりたくない誰かがそこに隠れているというのを教える事でもある。
条件にもよるが、一定時間経つとミノフスキー粒子が消える以上、この状況でそれを散布するというのは、何か特別な理由がない限りは有り得ない選択肢だ。
もっとも、だからこそ暗礁宙域という見つかりにくい場所に隠れているのだろうが。
そんな風に考えながら、ガンキャノンは暗礁宙域に近づいていく。
ルナ・チタニウムの装甲である以上、普通に移動する限りは暗礁宙域の岩塊とかにぶつかっても、損傷を受ける事がないというのは、助かるな。
……擦り傷とか、そういうのはあるかもしれないけど。
「あれだな」
暗礁宙域と呼ばれていても、明確にどこからどこまでと決まっている訳ではない。
いや、ある程度スペースデブリの類が纏まっている場所は暗礁宙域と呼ばれてはいるのだが、具体的にどこからがその場所なのかというのは、はっきりとはしていないのだ。
大体ここからがそんな感じかなと、そんな風に思う場所が暗礁宙域の入り口だと思ってもいい。
そんな訳で、軍艦……恐らくムサイ級だろうが、そんなムサイ級が隠れられるような場所となると、暗礁宙域の中でもすぐ外に出られるような場所という風にはならない。
……とはいえ、もしホワイトベースに奇襲を仕掛けるというのであれば、ある程度すぐ外に出られるような場所でないと不便なのも事実だ。
また、幾らホワイトベースが連邦軍の新型艦とはいえ、暗礁宙域の奥に隠れている相手を見つけられるとは……アムロのニュータイプ能力とかがあれば、何とか出来そうな気がするけど、取りあえず今回はその辺を気にしなくてもいいのは間違いない。
その辺りの事情を考えると、やはり結構近い場所にいると見るべきか。
「っと」
こちらに移動してきた岩塊から回避するように機体を動かす。
こういう暗礁宙域を偵察するとなると、ガンキャノンはちょっと使いにくいな。
何より、両肩から伸びている低反動キャノンが非常に邪魔だ。
面積的な関係で、ガンダムの方がこういう場所を探索するのは向いてるんじゃないだろうか。
いや、それよりは寧ろヅダの強行偵察型とかの方が向いてる。
もっとも、それらがない以上は、ここで俺が何を言っても意味はないのだが。
ああ、でも空間倉庫の中にサラマンダーとかミロンガ改とかあるから、そっちで……ホワイトベースの面々に、わざわざこっちの戦力を見せる必要はないか。
そんな風に暗礁宙域の中を進んでいると、やがて目当ての物を見つける。
予想した通り、暗礁宙域の中でも外側に近い部分に待機していたらしい。
数は2隻。
両方ともムサイ級だ。
まぁ、現在のジオン軍で一番使い勝手がいいし、量産されているのがムサイ級だからな。
もっとも、ムサイ級はムサイ級でも、建造された時期によって微妙に違いがあったりするのだが。
こうして見る限りでも、2隻のムサイ級には違う場所がそれなりにある。
そんな2隻のムサイ級をじっくりと観察する。
もしホワイトベースに奇襲攻撃を仕掛けるつもりでここにいたのであれば、あるいはホワイトベースからガンキャノンが出撃したのを掴んでいるのであれば、何らかの動きを見せてもいい筈だ。
だが、現在暗礁宙域の中にいる2隻のムサイ級は、全く浮く様子を見せない。
もしかして、動力炉そのものも起動してないんじゃないか?
一瞬だけそんな風に思うが、ブリッジに明かりが灯っているのを見ればそういう訳でもないらしい。
まぁ、ここは宇宙だ。
混沌精霊の俺や半サーヴァントの綾子ならともかく、普通の人間が動力炉を止める……生命維持装置の類を止めるというのは、色々な意味で厳しいのは間違いない。
だとすれば、やはりあの2隻のムサイ級は、何らかの理由ですぐにでも動けるようにしながらここに隠れているという事になる。
その理由として、真っ先に思いつくのは……当然のように、ホワイトベースだろう。
あるいは、月の近くにある暗礁宙域という事も考えると、月の動きを見張っている部隊という可能性も捨て切れない。
ともあれ、向こうがまだホワイトベースを見つけていないのか、それとも見つけていて動かないのか。
その辺りの理由は俺にも分からなかったが、敵が動かないというのであれば、ホワイトベースに戻って、さっさと先を……そう思った瞬間だった。
ホワイトベースのいる方から放たれた、眩い光が……信号弾が、ガンキャノンの映像モニタに表示されたのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:240
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1436