ムサイ級のメガ粒子砲は回避し、ミサイルはバルカンと低反動キャノン、ビームライフルで撃破する。
だが、シャアと戦いながらも他のザクにビームライフルを結構使っていた事もあり、ビームライフルのエネルギーは切れてしまった。
そうなるとビームライフルは邪魔でしかないのだが、ジオン軍に奪われる可能性がある以上、その辺に放り投げる訳にもいかない。
武器ラックとかがないので、ビームライフルは持ったまま行動するしかないか。
盾代わり……とかに出来ない訳でもないが、ホワイトベースに予備のビームライフルが数少ないので、出来ればそんなことはしたくない。
いっそホワイトベースに戻るか?
既に戦闘が始まってから数分は経過しており、限界の5分までは残り少ない筈だ。
最悪、カイのガンキャノンが持っているビームライフルとこのビームライフルを交換するという方法も……
「ちっ、考えさせる暇は与えないって事か!」
どうするべきか迷った数秒の間に、シャアのR-1A型はヒートホークを構えて真っ直ぐこっちに向かってくる。
そんなシャアにビームライフルの銃口を向けると、R-1A型はAMBACとスラスターを使いながら、ビームライフルの射線上から回避する。
そう、ビームライフルのエネルギーは全て使い切ったが、それを知ってるのはあくまでも俺だけだ。
シャアはまだその事を知らず、ガンキャノンが持つ最強の武器たるビームライフルの威力を警戒して回避したのだろう。
とはいえ、あのシャアの事だ。こんな牽制の効果があるのは、後1度か2度といったところか。
そのくらいで、シャアはすぐにビームライフルがエネルギー切れだと気が付く筈だ。
ともあれ、シャアが近づいてくるという事は、逆に言えば3隻のムサイ級からの攻撃を心配しなくてもいいという事でもある。
……3隻のムサイ級と、シャアの乗るR-1A型のザク。そのどちらが厄介なのかと言われれば、こちらとしても微妙に答えようがないのだが。
『アクセル、そちらはまだ無理か!』
と、シャアとの戦いをしているところに、ブライトからの通信が入る。
ヒートホークの一撃を回避しながら、頭部バルカンを撃ちつつ、口を開く。
「まだだ!」
シャアも頭部バルカンの一撃には慣れてきたのか、次第にその回避がスムーズになってくる。
こうなると、やっぱりガンキャノンに近距離用の武装……ビームサーベルがないのが痛いよな。
もっとも、ガンキャノンは中距離用MSとして開発された機体なのだから、こうして近距離での戦いをやるような事は想定されていないのだろうが。
『突破してきたMSの数が想定よりも多い。出来るだけ早くこちらに来てくれ。今はアムロとカイが頑張っているが、それもいつまで保つか分からん!』
そう言われてもな。
まさか、シャアをこのまま連れていく訳にはいかないし……というか、前回の戦いでカイはかなりの数のザクを相手にしていた筈だ。
今回は前回よりもザクの数が少ないし、アムロもいる。
それを考えれば、間違いなく前回よりも楽……そう考え、何故今回に限ってそんな状況になっているのかに気が付く。
アムロもカイも、MSの操縦技術は以前よりも高くなったのは間違いない。
だが、その精神はあくまでも一般人のままだ。
つまり、もう数分で大気圏に突入するという極限状態の中でジオン軍と戦うというのが、精神的に厳しいのだろう。
そうなると、ブライトが焦っている理由も分かる。分かるんだが……まさか、シャアを連れてホワイトベースの近くまで戻る訳にはいかない。
もしシャアを連れてホワイトベースに戻れば、先程まで俺がやっていたように、戦いの中でホワイトベースやガンタンク隊、ガンダムやカイのガンキャノンに攻撃をするという風にされる可能性もある。
今のR-1A型はヒートホークしか武器を持っていないが、基本的にザクの武器というのは共通だ。
いや、実際には微妙に違うのだろうが、F型の武器をR-1A型が使えないという事はない。
つまり、現在ホワイトベースの周辺にいるザクが持つザクマシンガンやザクバズーカといった武器を、シャアはいつでも補給出来るのだ。
勿論そうなれば、そのザクが持っていた武器はなくなるが……一般のMSパイロットが使うザクマシンガンやザクバズーカと、赤い彗星のシャアが使うザクマシンガンやザクバズーカ。
どちらちが怖いのかは、考えるまでもないだろう。
その辺の事情を考えると、まずやるべきなのはシャアを撤退に追い込む事か。
そうすれば、恐らく……本当に恐らくだが、他のザクも撤退する可能性がある。
また、現状でシャアを捕虜にするのが難しい以上、ここは一気にシャアを倒してしまった方がいいか。
ヒートホークを振るってきたR-1A型の一撃を、今度は受け止めるのではなく、強引に前に出る。
それは、本来ならザクがシールドスパイクを使って行う攻撃。
いわゆる、タックル。
ルナ・チタニウム製の装甲を持つガンキャノンであれば、当然のようにその一撃はザクよりも強力なものとなる。
……ただし、ガンキャノンの両肩には低反動キャノンが装備されている以上、当然のようにその部分も敵にぶつかる事になる。
そして、当然の話だがその部分は決して強固という訳ではなく……敵とぶつかれば、その部分が故障する可能性は十分にあった。
とはいえ、現在の状況を考えると、少しでも早くシャアを撤退させる必要がある以上、選べる手段はそう多くはない。
それこそゼロ距離射撃で低反動キャノンを撃つという選択肢も存在したが、そんな真似をすると、間違いなくシャアを殺してしまう。
セイラの為にも、それだけは避ける必要があった。
『何っ、正気か!?』
ガンキャノンの機体がR-1A型に激突した衝撃で、激しく揺れる。
同時に、シャアの焦った声が聞こえてくるが……タックルしたままR-1A型を押しつつ、口を開く。
「さて、どうだろうな。このまま俺と一緒に、大気圏突入と洒落込んでみるか?」
『ちぃっ! 貴様に付き合ってはいられん!』
俺の言葉に本気を感じたのか、それとも単純に機体のどこかが損傷したのか。
その辺りは分からないが、R-1A型はスラスターとAMBACを使ってガンキャノンから離れると、そのまま一気に後退していく。
シャアからの通信を受けたのか、ムサイ級が再度メガ粒子砲とミサイルをこちらに向けて撃ってくる。
別にシャアを追撃するつもりがなかった俺は、シャアが撤退したのを確認してから、すぐにホワイトベースの方に向かう。
だが……どうやらシャアとの戦いに時間を使いすぎたらしく、既にホワイトベースは大気圏に突入しようとしていた。
戦闘可能時間は5分だったが、シャアと戦っている間にとっくにその時間はすぎていたらしい。
厄介な真似をしてくれる。
とはいえ、今からでもホワイトベースに向かえば間に合うんだから、そう考えると寧ろこの状況は悪くはないのか?
だが……ホワイトベースの周辺では、未だに戦闘の光が幾つも発せられており、それが今も戦闘が行われているという事の証でもあった。
「ホワイトベース、まだ戦闘は続いているのか!?」
取りあえずシャアを撃退する事に成功したので、それを報告する意味でもホワイトベースに通信を送る。
もっとも、ホワイトベースからそう離れていない場所での戦いだった以上、当然のように向こうでもシャアが退避した事は分かっていたのだろうが。
『まだ続いています! 敵が、撤退しない敵が!』
ミライの、悲鳴のような声。
全速力でホワイトベースの方に向かっているだけに、やがて映像モニタでも大体の事情が理解出来る。
ザクの数が少ないのは、シャアが撤退した事で勝ち目がないと判断して撤退したのか、もしくはホワイトベースやMS隊に撃破されたのか。
その辺りがどうなってるのかまでは分からないが、それでもまだホワイトベースの周囲にザクが取り付き、撤退せず戦いを繰り広げているのは間違いなかった。
ホワイトベースの周囲にいるのは、3機のザク。
それぞれが少なくない損傷を負っているが、それでも……いや、だからこそなのか、戦場を離脱するような事はせず、ホワイトベースやMSとの戦いを続けていた。
「分かった、その連中はこっちで引き受ける」
そう答えたものの、現状で使える武器は頭部バルカンと左側の低反動キャノン、それと攻撃用の武器ではないがハンドグレネードくらいだ。
いや、寧ろこの状況ではハンドグレネードの方が使い勝手はいいのか?
カイからビームライフルを借りることも考えたが、映像モニタに表示されたカイのガンキャノンは、ビームライフルを持っていない。
エネルギー切れで格納庫に戻したのか、それともザクの攻撃で破壊されたのか。
その辺りは分からなかったが、現状でカイのガンキャノンが持っていない以上、使える筈もない。
ホワイトベースから予備のビームライフルを、と思わないでもなかったが、今は1分1秒を惜しむべき時だ。
今ある武器でどうにかするしかない。
「ガンタンク隊、ホワイトベース、俺に当てるなよっ!」
そう叫び、未だにホワイトベースに攻撃しているザクに向かって突っ込んでいく。
ゼロ距離からの低反動キャノン。
シャアは殺す訳にはいかなかったから出来なかったが、それ以外のMSパイロットであれば、こちらに躊躇う必要はない。
右側の低反動キャノンは、シャアにタックルをした時の影響で機構に若干の故障を抱えているが、撃てない程ではない。
ましてや、左の低反動キャノンは全く何の問題もなく撃つことが出来た。
どんっ、という激しい衝撃。
間近で低反動キャノンを食らったザクは、そのままコックピットを貫かれて大気圏に爆発の華を咲かせる。
地上からもこの華が見えるのか。
一瞬そんな疑問を抱くが、取りあえず残り2機のザクを何とかする方が先だと判断し……
『うっ、うわあああああああああああああっ! 離れろ、この! 離れろぉっ!』
不意に通信から聞こえてくる悲鳴。
そちらに視線を向けると、そこはザクの1機がガンダムに組み付き、ホワイトベースから離れていくところだった。
ちっ、マジかおい。
MSの性能のおかげとはいえ、曲がりなりにもあのシャアと互角に戦えるだけの実力を持ったアムロを相手に、組み付く? いや、この状況を考えれば、半ば捨て身でその行動を行い、だからこそ成功したのかもしれないが。
とはいえ、そのジオン軍のMSの動きを自由にさせる訳にはいかない。
そう思うも、ガンダムを道連れにする事を決めたザクは、既に死を覚悟しているのだろう。
ガンダムと共に、急速にホワイトベースから離れていく。
このままでは、間違いなくアムロは死ぬ。
幾らルナ・チタニウム製の装甲であっても、大気圏突入時の熱に耐えられる程ではない。
原作でもこの展開があったのかどうかは分からないが、とにかく今はアムロを助けるのが先だ。
「ホワイトベース、聞こえているな。俺は今からアムロを助ける。ホワイトベースは、少しでもアムロのいる方に向かって移動しろ!」
『無理だ、アクセル! 止めろ!』
ブライトの悲痛な声。
もしこれで俺が普通の軍人なら、ブライトも助けに行けと言ったかもしれないが、俺はシャドウミラーの代表だ。
だからこそ、今では何とか普通にMSパイロットとして扱うようになったブライトであっても、俺をここで行かせるという決断は出来なかったのだろう。
このままここでブライトを説得している時間的な余裕はないと知り、ホワイトベースの操舵をしているミナトに叫ぶ。
「ミナト!」
『分かったわ!』
俺の声に素早くミナトが返事をし、その瞬間ホワイトベースがアムロのいる方に向かって動き出す。
映像モニタの向こう側でブライトやリードが騒いでいる声が聞こえてきたが、今はそれに関わっている場合ではないと判断し、一旦通信を切る。
そうして大気圏に突入し……重力によって機体が下に引かれるのを感じながらも、アムロの方に向かってスラスターを全開にし……
「って、ここで来るのかよ!」
この状況だけに少し反応するが遅くなり、だがこちらに取り付いてきた……それこそガンダムを道連れにしようとしているザクと同様の考えを抱いたのだろうザクに対し、咄嗟に低反動キャノンを撃とうとし……それと同時に、ザクがヒートホークを振り下ろす。
回避している時間はないと知り、敢えて敵の攻撃を受け……ヒートホークが低反動キャノンの砲身に命中するのと、低反動キャノンが発射されるのはほぼ同時で、ガンキャノンの右の低反動キャノンの砲身が破壊されるのと同時に、発射するのに成功した砲弾はザクのコックピットを貫く。
そのままこちらに覆い被さってきたザクを放り投げ、足場として使い、スラスターを全開にし……これだと間に合わないか!?
「加速、覚醒、加速、覚醒、加速、覚醒」
精神コマンドを連続して使い、急速にガンダムとの間合いを詰めていく。
そうして、精神コマンドにより本来のスペック以上の性能を発揮しつつ、ガンキャノンはザクに纏わり付かれているガンダムのすぐ側に到着する。
「加速、覚醒」
再度精神コマンドを使い、ガンダムとザクの後ろ……正確にはホワイトベースの間にガンダムとザクがいる位置に回り込み……
「アムロ、踏ん張れよ!」
そう叫び、精神コマンドの加速を使い、タックルする。
その一撃は、ガンダムに纏わり付いていたザクを吹き飛ばし、ガンダムをホワイトベースの方に向けて吹き飛ばす。
『アクセルさん!?』
接触した一瞬、聞こえてきた接触回線。
アムロのガンダムが真っ直ぐホワイトベースの方に向かって吹っ飛んでいくのを見ながら……俺はガンキャノンと共に、大気圏に突入するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:345
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1456