「本当に必要になったら、僕が乗りますよ!」
アムロがそう言い、苛立たしげに叫ぶ。
やっぱり、こうなったか。
現在、ホワイトベースは補給物資を運んでいるミデア隊と合流すべく……いや、正確にはジオン軍に襲われているミデア隊を救出すべく、移動していた。
とはいえ、ホワイトベースは機関部が30パーセント以下の出力しか出ておらず、かなりボロボロの状況だ。
せめてもの救いは、武器の類……メガ粒子砲や主砲、対空砲火の類は無事な場所が多いといったところか。
ミデア隊が具体的にどのような戦力に襲われているのかは分からないが、それでもホワイトベースの武装は一線級と言ってもいい。
その辺のドップやら何やらが相手の場合は、メガ粒子砲で一掃したりといった事は出来る。
もっとも、機関部が30パーセント以下の出力しか出ない今の状況では、メガ粒子砲を連射するといった訳にもいかないが。
それに、ダメージを受けてる場所に追加で攻撃をされると、色々と酷い事になるのは確実だろう。
そして、ホワイトベース以外の戦力としてはガンキャノンとガンタンク隊がいる。
ミデア隊と合流さえ出来れば、どうにか出来るのは間違いないのだが……さて、間に合うかどうか。
取りあえず、アムロは自分がガンダムに乗ると宣言したので、良しとしておこう。
実際には、ガンダムの出番は多分ないんだろうが。
ともあれ、ホワイトベース側の戦闘態勢は整ったが、肝心のホワイトベースの速度が上がらない。
機関の出力が30パーセント以下というのが、この場合は大きく響いているのだろう。
とはいえ、ミデア隊もこっちに向かっている筈であり……格納庫の中では、いつ出撃してもいいようにガンキャノンとガンタンク隊が出撃準備を終えていた。
もっとも、ガンキャノンもガンタンクも、ガンダムに比べればマシとはいえ、それでも補給物資が潤沢にある訳でもない。
そういう意味でも、このミデア救出戦は絶対に失敗出来ない代物なのだ。
それこそ、俺がブライトに言ったように、1か100か。オールオアナッシングって奴だな。
その辺の事情が分かっているからこそ、MS部隊を含めて格納庫でも皆、気合いが入っているのだろう。
そうして、緊張の時間がすぎていく。
特にホワイトベースで出撃するという決断をしたブライトにとって、この時間は非常にプレッシャーをもたらしたのだろう。
リードもブライトの意見には消極的な賛成だったとはいえ、それでもやはり胃が痛くなっていてもおかしくはない。……何気に、リードはそういうのに弱そうだしな。
格納庫にいるメカニック達も、今となってはしっかりと事情を理解している。
MSの部品、そしてホワイトベースの部品。
それ以外にも武器弾薬……様々な補給物資を持ってきているだろうミデア隊が襲撃されているのだから、それを救いに行くというブライトの判断に賛成する者はいても、反対する者はいなかった。
現状ではジリ貧になると、誰もが分かっていたからだろう。
そんな中、俺はここにいても特にやるべき事はないと判断し、ガンタンクを任されている綾子に軽く手を振り、格納庫を出る。
そしていざという時に少しでも早く情報を得る為、ブリッジに向かう。
何人かの軍人と通路ですれ違ったが、その全員が厳しい表情を浮かべていた。
このミデア隊を守る事が出来るかどうかで、これからの自分達がどうなるのかが決まると、そう理解しているのだろう。
そんな軍人達とすれ違うように、ブリッジに入る。
ブライトやリードが俺に視線を向けてきたが、それ以上は特に何かを口にするような事もない。
俺の視線の先では、ミナトがホワイトベースの舵を握っている。
高い技術を活かし、少しでも機関部に負担を掛けないような操縦をしているのだが、それはミナトだからこそ出来る事なのだろう。
……この状況でミナトがホワイトベースにいたというのは、ブライト達にとってはかなり運が良い出来事だったな。
もしここにミナトがいなければ、ミライがホワイトベースの操舵をしていた筈なのだから。
「で、どんな具合だ? 間に合いそうか?」
ブライトに尋ねるが、返ってきたのは厳しい表情。
「正直なところ、分からない。ホワイトベースが問題ないのであれば、間違いなく間に合うんだが」
「ミナトの技量でも、カバー出来るところは限界がある、か」
「それはそうよ。幾ら何でも、現状のスペック以上の性能を発揮……出来ない訳じゃないけど、そうなると当然のように艦に負担が掛かるもの。今は、とにかくホワイトベースに出来るだけ負担を掛けないようにして、それでいながら少しでも早くミデア隊と合流する事が必要でしょうね」
ホワイトベースの舵を握りながら、ミナトがそう言ってくる。
軽い口調で言っているミナトだったが、その白魚のような指は、舵をそっと握り、ほんの数mm程度ではあるが絶え間なく舵を動かし、本人が言う通り艦体に可能な限り負担を掛けないようにしていた。
ある意味で神業的な技量と言ってもいい。
現に、ミライはそんなミナトの操舵を信じられないといった様子で見ていたのだから。
同じくホワイトベースの操舵士であるミライだからこそ、そんなミナトの技量を多少なりとも理解出来たのだろう。
……まぁ、ミナトの本職はシャドウミラーの旗艦たるシロガネの操舵士だ。
それを思えば、本人にとってはこのくらいの操舵はそこまで難しいものではないのだろう。そして……
「見つけました、映像、出ます!」
不意にブリッジにオペレーターの鋭い声が響き、ブリッジの映像モニタにミデア隊の姿が映る。
そこに映されたミデアの数、全10隻。
ミデアが1隻でかなりのペイロードを持っていた筈だ。
それが10隻ともなると、運んできた補給物資の量は予想していたよりもかなり多いだろう。
そして……そのミデアは、周囲から攻撃を受けている。
ドップがメインだったが、地上からも攻撃を受けている様子を見ると、恐らく追ってきている敵はMSも混ざっている筈だ。
「主砲、発射準備! メガ粒子砲はどうか!」
「駄目です、機関部の方の問題で、まだメガ粒子砲は使えません!」
「分かった。とにかく、敵にこちらの姿を確認させる必要がある。攻撃をして、こちらの存在を誇示しろ!」
叫ぶブライトの命令は、すぐ実行に移される。
ホワイトベースの主砲が発射され、ミデアに接近して攻撃しようとしていたドップ数機が纏めて撃破され、空中に爆発の華を咲かせた。
「MS隊、発進しろ! ガンダムは待機!」
続いて放たれるブライトの命令。
ガンダムを待機としたのは、いざという時の為だろう。
もっとも、今のガンダムでそのいざという時にどれだけの戦力となれるのかは分からないが。
ともあれ、ブライトの命令に従ってガンキャノン、ガンタンクが出撃する。
ガルマとの一戦で慣れたのか、それともその後のシミュレータでの訓練の成果かは分からないが、カタパルトデッキからガンキャノンとガンタンクが出撃した時は、以前と違って動揺した様子を見せる事はなかった。
そして、ガンキャノンもガンタンクも、地面に着地した瞬間には低反動キャノンを使って……ガンキャノンはビームライフルも同時に、発射する。
それらの攻撃は、ドップを何機か撃破する事に成功し、ジオン軍の注意をホワイトベースに向ける事に成功した。
そのようなやり取りをしている間も、ホワイトベースはその速度を緩めない。……まぁ、元々今の速度は遅いのだが。
そして、ミデア周辺の状況が露わになり……
「マジか」
映像モニタに表示されたMSを見て、思わずといった様子で呟く。
ザクがいるのはいい。グフがいるのも分かる。ドムがいないのは、ミデアにとって幸運だっただろう。だが……
「イフリート、だと?」
そう、地面を走っているMSの1機に、俺は見覚えがあった。
それどころか、俺が以前乗っていたMSだ。
グフとドムの中間に位置する強襲型のMSで、その性能は極めて高い。
それでもジオン軍で採用されなかったのは、生産性や操作性の問題からだと言われている。
実際、コストは高いし操縦がしにくいのは間違いのない事実だ。
だが、同時にその性能は乗りこなすことが出来ればという条件が必要だが、一級品だ。……宇宙で使えないのが惜しいくらいに。
俺が知ってる限り、イフリートというのは10機も作られていない筈。
その内の1機を俺が持っているのだが、ここでまた別のイフリートを見る事になるとは思わなかった。
とはいえ、ここが地球である以上はイフリートを使っていてもおかしくはない。
……が、イフリートはエース級のパイロットでもなければ使いこなすのは難しい。
つまり、あのイフリートを操縦しているパイロットは間違いなくエースなのだ。
そんなイフリートに襲われているにも関わらずミデアが無事だったのは、純粋にイフリートの機体性能のおかげだろう。
エース専用機と呼ぶに相応しい性能を持っているイフリートだが、その本領はあくまでも近接戦闘だ。
武装はヒートサーベルと頭部バルカン、ショットガン。
その中で射撃武器はショットガンとバルカンだが、バルカンは当然のように近接攻撃で使う武器だし、ショットガンも基本的に射程距離は短い。
ミデア隊がまだ無事だったのは、イフリートが有効な戦力となっていなかったというのもあるのだろう。
「アクセル、あのMSを知ってるのか?」
ブライトの言葉に、俺は頷いて短く端的にイフリートについて説明する。
「なるほど。少数生産の機体か。……近接戦闘向きの機体というのは、こちらとしても助かるな」
「そうだな。……イフリートの高い推進力を考えると、この前アムロがやったみたいにジャンプしてショットガンで攻撃って真似も出来る筈なんだが……その辺をやらないのは、味方の射線を遮らない為か?」
アムロがガルマ率いる部隊と戦った時とは違い、イフリートのパイロットはドップを含めて仲間がかなりの数いる。
ドップは色々な意味で欠陥兵器と呼ぶに相応しい戦闘機だが、運動性という一点に関しては、かなりの性能を持つ。
だからこそ、ドップが多数出撃している中でイフリートがスラスターを使って跳躍し、味方機の邪魔にならないように考えているというのはあってもおかしくない。
とはいえ、俺が知ってる限りのイフリートの性能なら、それこそ跳躍して直接ミデアの上に着地して……という事が出来るだけの性能を持っている筈だ。
それをやらないのは、パイロットの操縦技能がイフリートを完全に乗りこなしていないのか、それとも……
「ブライト、一応注意しておいた方がいい。もしかしたら、この作戦そのものが、ホワイトベースを誘き出す囮だった可能性がある」
「なっ!? いや、だが……」
『ホワイトベース、聞こえていますか? こちら、マチルダ・アジャン中尉です』
ブライトが何かを言うよりも前に、ミデア隊のマチルダからの通信が入る。
声は落ち着いているが、それでも緊張や焦りを押し殺しているというのは、見れば理解出来た。
「マチルダ中尉、どうしました?」
同じ階級のブライトが、そんなマチルダの様子に動揺しつつも、何かあったのかといったように尋ねる。
『端的に言います。現在、そちらにいるアクセル・アルマー代表を至急このミデアに寄越して欲しいのです』
そんな会話をしている間にも、ホワイトベースとミデア隊の距離は近づいてくる。
それは同様に、ミデア隊を襲っているジオン軍とホワイトベース隊の距離が近づいているという事を意味してもいた。
「アクセルを? それは一体……」
『詳しい事は今は説明している時間がありませんが、このミデアにはアクセル代表に譲渡される予定のMSが搭載されています。非常に高性能なので、アクセル代表がこのMSに乗れば、現状を打破出来るかと』
「……俺に?」
マチルダの言っている内容は、正直俺には理解出来ない。
いやまぁ、俺が凄腕のパイロットで、その俺が高性能のMSに搭乗すれば現状を打破出来るというのは分かる。
だが、それでもマチルダのその言葉は、色々な意味で……それこそ軍隊的に見ても常識外れであると言ってもよかった。
『やはりいましたか、アクセル代表。……ゴップ提督とレビル将軍から、手紙を預かっています。本来なら、それを読んだ後でこのMSを譲渡する予定だったのですが、現状を考えると……っ!? 迎撃、ドップを近寄らせるな! ごらんの通り、現状ではとてもではないがそのような事を言ってはいられません。どうにかしてミデアまで来て貰えないでしょうか?』
ゴップやレビルからの手紙、か。
本来ならそれを俺に渡した後の返事次第で、マチルダが言っているMSを俺に譲渡するつもりだったのだろう。
だが、生憎と今はそのよう事をしていられるような状況ではなく、このままだとそのMSもジオン軍に奪われてしまう可能性が高い、と。
だからこそ、命令無視ではあろうが、ジオン軍にMSを渡すよりはという事で、今回の提案をしてきたのだろう。
どうするかと考えたのは、一瞬。
だが、何らかの条件付きだろうが、俺に譲渡される予定のMSがジオン軍に奪われるのは面白くない以上、マチルダに対する俺の返事は決まっていた。
「分かった、すぐにそちらのミデアに行く」
アクセル・アルマー
LV:43
PP:345
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1456