転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2328話

 言うまでもないが、ミデアは輸送機だ。

 ホワイトベースのようなカタパルトデッキがある筈もなく、MSで出撃するとなるとミデアが抱えているコンテナを展開し、そこから地面に落下していくという形を取る事になる。

 本来ならこういう時はパラシュートの類が必須だと思うんだが、俺にピクシーの事を説明したメカニックは、ピクシーの推進力なら上手くやれば問題なく着地出来ると言っていた。

 いやまぁ、元々このピクシーは何らかの依頼の報酬として俺に渡されるという事になっていたMSらしいから、それを考えるとパラシュートの類がなくてもおかしくはないのだろうが。

 それに、まさかジオン軍に襲われている状況でミデアを着地させ、そこからピクシーを歩いて移動させる……なんて事をする訳にもいかない以上、自力でどうにかするしかないのは明らかだった。 

 ……そもそも上手くやれば問題ないという事は、下手をすればピクシーは着地の衝撃で脚部が破壊されるという事になるんだが……

 まぁ、今更なのでしょうがない。

 とはいえ、初めて乗るMSである以上は慎重に動かした方がいい。

 そんな訳で、ミデアの抱えているコンテナから射出された俺は……目の前に現れたドップに驚き、半ば反射的に頭部バルカンを発射する。

 MS相手には効果が薄い頭部バルカンだが、その相手がドップ程度であれば全く問題なく撃破する事が出来た。

 空中に爆発の華を咲かせたドップを横目に、空中に放り出された状況ですぐに周囲の様子を確認する。

 ミデアは既にホワイトベースとすれ違っており、敵の攻撃はその多くがホワイトベースに集中していた。

 とはいえ、ホワイトベースにはガンタンクが3機にガンキャノンが1機あり、万全の状況ではないとはいえ、ホワイトベースの攻撃力はかなり高い。

 また、ジオン軍の方でも獲物として誘き寄せたホワイトベースに攻撃をするのと同時に、用済みになったミデア隊の方も始末してしまおうと戦力を派遣していた事もあって、どうやらまだ無事だったらしい。

 ともあれ、今は少しでも補給物資を守るべくミデア隊に攻撃をしてくる敵を殲滅する必要があった。

 

「ミデア隊はこの空域から一旦離脱して、戦闘が終わった後で合流しろ。そっちを狙う敵は、俺が片付ける」

『りょ、了解しました。お気を付けて』

 

 マチルダの少し驚いたような声。

 まぁ、MS1機でミデアを襲っている敵を殲滅すると言ってるのだから、その反応も分からない訳ではないが。

 とはいえ、今回の一件はそこまで難しい話ではない。

 何故なら、ミデア隊を襲っていた戦力の中でもMSは全てホワイトベースの方で引き受けているし、こちらの戦力としてはドップが大半だ。

 ガウがいれば、メガ粒子砲やミサイルでミデアが撃墜される恐れがあるが、ジオン軍の方はミデアよりも本命のホワイトベースを危険視している為か、ガウはこちらに来ていない。

 そんな訳で、ミデアに来たのは取りあえずといった程度の戦力でしかなく……

 

「MSがなければ、どうにかなったかもしれないけどな」

 

 そう告げながら、90mmサブマシンガンを撃つ。

 ステータスの命中の効果もあり、放たれた弾丸は次々とドップを爆散、撃墜、不時着といった風にさせていく。

 数秒でドップの群れを片付け、ミデア隊の安全を確保する。

 そうして全てのミデアが無事――多少損傷を受けたミデアもいたが――この空域から離れたのを確認すると、俺はピクシーの操作を確認するようにしながら、ホワイトベースに向かう。

 スラスターを使いながら、地面を走る。

 アムロが使っているガンダムが宇宙でも地上でも使えるのに対して、このピクシーは地上専用機だ。

 宇宙で必要な装備を除去したからこそ、ピクシーは地上限定ではあっても、高い性能を発揮出来るのだろう。

 その機体の性能を確認しながら、ホワイトベースの方に進む。

 次第にホワイトベースの様子が理解出来るようになったのを確認してから、ホワイトベースに通信を送る。

 

「ホワイトベース、聞こえるか。こちらアクセル・アルマー。ミデアから無事MSを受け取って、現在そちらに向かっている。そっちの状況がどうなっているのか、どこにいる敵を優先的に倒せばいいのか、指示をくれ」

『アクセル代表!? ブライト、アクセル代表からの連絡です!』

『何っ! アクセル、来てくれたか! ガンダムの出撃は中止、中止だ! 今の状況でガンダムを出撃させれば、奴にアムロを殺されるぞ!』

 

 ミライとブライトの声。

 その2人の声は、酷く切羽詰まった状況だ。

 ……一体、何があった?

 

「どうやら危険があったらしいが、間に合ったようで何よりだ。それで、俺はどこに向かえばいい? そろそろそっちに追いつくけど」

『カイのガンキャノンを頼む! 敵の……イフリートだったか? そのMSを相手に苦戦している!』

 

 へぇ。カイが苦戦、ね。

 アムロに隠れてはいるが、カイの操縦センスは正直かなりのものだ。

 それこそ、ジオン軍の異名持ちと腕を並べられるくらいには。……今はまだその実力が完全には開花していないが。

 そのカイが苦戦するとなると、向こうのイフリートのパイロットは相当の凄腕なのだろう。

 そもそもイフリートそのものが高い操縦技術がなければ乗りこなせないようなMSである以上、そのパイロットが腕利きなのは当然なのだが。

 それでも、まさかカイが一方的にやられるとは……それも先程のブライトの言葉を聞く限りでは、無茶を承知でアムロのガンダムを出撃させようとしている程に不利な戦況だとは思わなかった。

 こうなると、少し急いだ方がいいか。

 現状のホワイトベース隊の中で、曲がりなりにも前線を受け持つことが出来るのは、ガンダムが出撃出来ない以上、ガンキャノンだけだ。

 そして、敵部隊はジオン軍である以上、当然のようにMS部隊を用意してきている筈であり……ザク、グフ、ドム。

 これらのどの機体であっても、前線で戦う事が出来る。

 ……まぁ、綾子の乗っているガンタンクのみなら、その能力である程度何とかなるかもしれないが。

 ともあれ、ブライトの焦った声を聞く限り、少しでも早く戦いに参加した方がいいらしい。

 

「分かった。これから最大速度でそちらに向かう。カイには、敵を撃破しなくてもいいから、何とか生き延びる事だけを考えるように言っておいてくれ。それと、そっちからも見えると思うけど、俺の機体はガンダムピクシー。通称ピクシーだ。ガンダムの派生機だから心配はいらないと思うけど、攻撃を当てないようにしてくれよ」

 

 それだけを告げ、通信を切る。

 通信でも言ったが、ピクシーは見るからにガンダム系の機体だ。

 ホワイトベースの対空銃座についている連中も、まさかこっちを撃ってきたりはしないだろう。

 

「加速」

 

 少しでも早く戦場に辿り着く為に、精神コマンドの加速を使う。

 ある意味、魔法以上に魔法らしいこの力により、ピクシーの速度は一気に上がる。

 このピクシーというMSは、このUC世界で俺が乗ってきた中ではトップクラスの機動性を持つ。

 それこそ、俺が今まで乗ってきた中で一番高い機動力を持っていたMSはイフリートだったが、そのイフリートに勝るとも劣らない、そんな性能だ。

 それでいながら、操作性はイフリート程に悪くない。……だからって、その辺の腕のパイロットが乗りこなすのは難しいだろうが。

 イフリートのショットガンよりも90mmマシンガンの射撃武器は上で、武器もヒートサーベルではなくビームダガーとなっている。

 あ、でもサーベルとダガーって事で、純粋な間合いという事になると、ヒートサーベルの方が上だな。

 頭部バルカンは両方持ってるので、互角という事で。

 そんな風に考えている間に、やがてホワイトベースを追い越して戦場となっている場所に到着する。

 真っ先に目に入ったのは、ガンキャノン。

 ただし、イフリートのヒートサーベルによって切断されたのか、右側の低反動キャノンは砲身を綺麗に切断されていた。

 また機体の各所にも同じくヒートサーベルによって受けたと思われる傷が幾つも存在している。

 ……まぁ、イフリートの持つ武器で通じる攻撃手段がヒートサーベルしか存在しない以上、それはある意味で当然なのだろうが。

 そしてガンキャノンの周囲には、イフリート以外にもザクの姿がある。

 グフやドムがないのは、正直なところせめてもの救いといったところか。

 もしこの状況でそのようなMSがいれば、恐らくカイであっても持ち堪える事は出来なかっただろう。

 ガンタンク隊やホワイトベースもそんなカイを援護しているが、敵もドップやガウもによって援護を受けている。

 かろうじて……本当にかろうじて、現在の状況が維持されていたのだ。

 とはいえ、そんな綱渡りもガンキャノンが中破に近い状況となってしまった今では、完全にジオン軍側に傾きつつあった。

 

「だが、させる訳がないだろ!」

 

 ピクシーの機動力を最大限に活かし、ガンキャノンに対して最後の一撃を加えようとしているイフリートとの間合いを急激に詰めていく。

 まずは不意打ちといきたかったのだが、向こうも当然のようにレーダーは使っている。ミノフスキー粒子によって遠距離での探索は無効化されているが、それでもここまで近づけば当然のように向こうもこちらの接近を感知する。

 一瞬機体が止まった瞬間を狙い、90mmサブマシンガンを撃つ。

 放たれた無数の弾丸は、その全てがイフリートに向かって飛ぶ。

 イフリートは即座にピクシーの存在に気が付いてその場を退避しようとしたが、それでもサブマシンガンの弾丸を回避出来る速度ではない。

 ……いや、あるいはピクシーに乗っているのが俺以外であれば、もしかしたら回避も成功したかもしれないが。

 だが、命中を含めて様々なステータスがもの凄い数値となっている今の俺にとって、この攻撃を外すということはなかった。

 そして、実際に俺が放った90mmサブマシンガンの弾丸は、次々とイフリートの装甲に命中する。

 ……とはいえ、この武器は一撃の威力が強力なライフルの類ではなく、あくまでも弾幕を張る為、そして牽制する事が目的のサブマシンガンでしかない。

 そうである以上、イフリートに対して多少の被害は与えられても、これだけで撃墜出来るという訳ではなかった。

 それでも、カイのガンキャノンの安全をどうにか出来たという事は非常に大きい。

 実際にイフリートは……そして他のジオン軍のMS達も、突然飛んできたピクシーの攻撃に警戒し、ガンキャノンを確実に倒すよりは自分が生き残る事を最優先にして、ガンキャノンから大きく距離を取ったのだから。

 

「カイ、生きてるな!」

『あ、ああ。……助かった……』

 

 いつもの皮肉げな口調ではなく、心の底から自分が助かったといったことを喜ぶかのような、そんな声。

 九死に一生ってところだったから、そんな態度でもおかしくはないのだが。

 月を出発した時の戦いといい、何気にカイは死線を潜る事が多いよな。

 

「取りあえず下がれ。この連中の相手は俺がする。お前はガンタンク隊の護衛をしててくれ!」

 

 今のガンキャノンの状態を見れば、かなり無理を言っているというのは分かる。

 だが、ホワイトベースがガウやドップといった敵と戦っている今の状況で、地面近くまで降下してガンキャノンを収容しろというのは、半ば自殺行為に近い。

 あるいはガンキャノンがここまで酷い損傷をしていなければ、どうにか空中に浮かんでいるホワイトベースの場所までジャンプ出来たかもしれないが、今のガンキャノンを見る限りではとてもではないがそんな事を出来るとは思えない。

 そうである以上、地上に降りているガンタンクの護衛……という名目で、その側にいるのが最善の選択だった。

 幸いという言い方はどうかと思うが、低反動キャノンは使い物にならないが、ビームライフルの方はまだ持っているようだし。

 あのビームライフルを持っているだけで、ガンキャノンは一線級の戦力として数える事が出来る。

 ……可能なら、そのビームライフルを寄越せと言いたいところだが、今の状況ではピクシー側のFCSでそちらに対応していない可能性もあるので、無理は言えない。

 

『わ、分かった』

 

 そう言い、後方に下がろうとするガンキャノンだったが、イフリートを始めとした敵が、みすみすそれを見逃すような真似をする筈もなく……

 

「けど、そんな真似をさせると思うのか?」

 

 呟き、90mmサブマシンガンでイフリート達を牽制するように掃射する。

 全く命中させるつもりではなく、敵の注意を自分に……ピクシーに引き付ける為の射撃なので、1発も命中しなくても特に問題はない。

 こうして、ガンキャノンと引き換えにピクシーが前に出て……その行動で、向こうも俺がどういう積もりなのかを理解したのだろう。

 周辺にいたMSの敵意や殺意といったものが、全て俺に向けられる事になるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:380
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1463

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