最初に攻撃をしたのは、イフリート……ではなく、俺だった。
こっちは1機、敵のMSは10機以上。
であれば、向こうの動きを待つよりも前に機先を制し、こちらから先に攻撃をした方がいいのは間違いない。
そんな訳で、敵からの殺意や敵意の類を受けつつも、向こうが行動するより前に、俺が先手を打つ。
ガンキャノン以上、そしてガンダム以上の機動力を活かし、スラスターを全開にしながら、飛ぶような速度で地面を走りつつ、敵との間合いを詰めていく。
まさか、ここで俺が自分から行動に出るとは思ってもいなかったのか、敵MS隊の動きは一瞬遅れる。
それでもイフリートを使っているパイロットが最初に反応するが……残念ながら、俺の狙いはイフリートではなく、ドムだ。
ザク、グフ、ドム、イフリート。
この中で一番機動力が高いのは、ドムなのだ。
いや実際にはイフリートも負けてはいないのだが、ドムの場合はホバー移動という移動手段がある。
現状では、これが不味い。
ホワイトベースやガンタンク隊に、一気に接近される可能性があった。
ましてや、ドムの持つバズーカはザクバズーカよりも威力が高い。
つまり、敵のMSの中にいる2機のドムは、真っ先に撃墜すべき相手なのだ。
……いや、ドムが2機だったのはラッキーと言うべきか?
地上用MSとしては一番新しいMSなので、まだそこまで数が出揃っていないというのが大きいのだろうが。
ともあれ、そんなドムとの間合いを瞬く間に詰めた俺は、その短い間に90mmサブマシンガンを左手に持ち替え、右手でビームダガーを握る。
本来なら、90mmサブマシンガンは敵を牽制する為の武器であり、敵に接近したらビームダガーをそれぞれ両手に装備するというのが、ピクシーとしては正解なのかもしれないが……俺は、威力はともかく牽制という意味では何気に使い勝手のいいこの武器を捨てるつもりはなかった。
ともあれ、ピクシーの機動力に反応出来ずにいたドムは、そのコックピットがある場所をビームダガーで貫かれる。
ビームダガーというのは、当然のようにビームサーベルよりもビームの刀身が短い。だからこそ、ビームダガーという名称だ。
だが、逆に言えばビームサーベルでコックピットを貫いた時のように、動力炉までをも同時に破壊する可能性が少なくなり、思い切って攻撃が出来るという事でもある。
そして実際、ピクシーが放った一撃はドムの装甲を貫通し、コックピットにいるパイロットを一撃で仕留める。
ドムは装甲が厚く防御力が高いMSではあるが、それはあくまでも実弾兵器に関してだ。
ルナ・チタニウムの装甲を持ち、ガンダムよりも厚い装甲を持つガンキャノンであっても、ビーム兵器を相手にしてはその防御力は役に立たない。
であれば、ジオン軍のMSの中では突出した防御力を持ち、重MSと言われるドムが持つ超硬スチール合金製の装甲でビームダガーを防げる筈もない。
「まず1機」
呟いたその言葉が聞こえた訳でもないだろうが、イフリートを始めとする他のMSが、一斉に俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。
仲間の敵討ちといったところなのだろうが、その攻撃も当たらなければ意味はない。
ピクシーの高い機動性と運動性を最大限に活かし、マシンガンやショットガンといった攻撃を回避しつつ、もう1機のドムとの間合いを詰めていく。
そのドムは、持っていたバズーカを捨てて背中のヒートサーベルを引き抜き、こちらに向かって振るう。
その判断力は素早い。
ホワイトベースを罠に掛けるなどといった真似をした部隊だけあって、かなりの精鋭なのは間違いない。
だが……振るわれたその一撃はピクシーが屈む事によってあっさりと回避し、次の瞬間には最初のドムと同じようにコックピットにビームダガーを突き刺し、パイロットを殺す。
仲間の危機を救おうと、もしくは仇を討とうと、こちらに向かって迫ってきたグフに対し、ピクシーの左手に持っていた90mmサブマシンガンの銃口を向け、トリガーを引く。
激しい連射。
とはいえ、一ヶ所に集中して射撃をした訳ではなく、あくまでも牽制の為に放った広く浅くの射撃だ。
至近距離からの射撃だった以上、ある程度のダメージは与えただろうが、撃破する程ではない。
スラスターを使い、コックピットを貫かれたドムの背後に回り込む。
当然そうなれば、俺に攻撃をしようとしていた者達は怯んでしまう。
コックピットを貫かれ、パイロットは既に死んでいる。
それは分かっていても、やはり仲間の機体に攻撃をするのを躊躇するのは当然だった。
あるいは、ドムの大半の部分が破壊されているのであれば、いっそ攻撃も出来たかもしれない。
だが、俺が攻撃したのはコックピットだけであって、MSそのものはかなり綺麗なままだ。
それが敵にとっては一瞬の、そして戦場においては致命的なまでのミスとなる。
ドムの背後に回り込んだ俺は、そのままピクシーのスラスターと足を動かしてドムの背後から半周するかのような動きで飛び出す。
まぁ、ピクシーの装甲もルナ・チタニウムである以上、ザクマシンガンやグフのフィンガーバルカンとかが命中しても意味はないのだが。
ただ、ヒートホークやヒートサーベルの類は、命中すればガンダニュウム合金すら切り裂く威力がある。
その上、ピクシーは機動力を極限まで高める為に、ルナ・チタニウムの装甲ではあっても、装甲そのものはかなり薄い。
ガンキャノンが約50t、全ての装備をした状態で約70t。
ガンダムが約43t、全ての装備をした状態で約60t。
それに比べると、ピクシーは約40t。
装備の方は殆どないので、全てを装備した状態でもそこから大して変わらない。
勿論、その重量の全てが装甲を削ったせいではない。
宇宙空間で必要な装備とか、そういうのも取り外されているし。
その辺の理由もあっての、ピクシーの機動力だった。
こちらに攻撃を仕掛けようとして、ドムの姿に動きを止めたグフのコックピットを、ビームダガーで貫く。
コックピット諸共、一瞬にしてパイロットが消滅する。
それを確認するまでもなく、すぐにビームダガーを引き抜き、再度90mmサブマシンガンの弾丸を周囲に放つが……
「ちっ!」
イフリートがその弾丸を可能な限り回避し、それでいて回避が無理な攻撃は命中しても構わずにピクシーの方に突っ込んでくるのを見て、舌打ちする。
そのイフリートがショットガンを構えたのを見て、すぐに俺はその場を退避する。
当然のようにイフリートはこちらを追ってくるが、それでも構えていたショットガンを捨てたのは、俺がザクの方に向かっていたからだろう。
ショットガンは射程こそ短いが、弾丸が拡散する為にその効果範囲は驚く程に広い。
だからこそ、ピクシーがザクの側にいるところでショットガンを撃てば、ピクシーに命中するかもしれないが、同時に仲間にも当たる事になるかもしれないと判断してショットガンを投げ捨てたのだろう。
とはいえ、だからといってこれでイフリートの脅威が薄れた訳ではない。
イフリートが持つヒートサーベルは、名前こそドムのヒートサーベルと同じだが、その外見は……そして威力も、大きく違う。
そのヒートサーベルこそが、イフリートのメインウェポンであると言い切ってもいいくらいに。
それくらいは、俺もイフリートを操縦した事がある身として、実感している。
そんなイフリートが接近してくるのを回避しながら、ビームダガーを持っている腕を一閃。
今までのようにコックピットを貫くのではなく、コックピットを切り裂くといった一撃を放ち、そのままザクを仕留める。
スラスターと足の動き、機体の重量バランスを上手く使い、踊るかのようにMSの群れの中を移動していく。
当然その間にも90mmサブマシンガンやビームダガーを使って、多少なりとも近くを通ったMSにダメージを与えるようにしながら。
もっとも、そんな状況での一撃だけに、致命傷と呼べる程のダメージを与えるような事は出来ない。
……とはいえ、90mmサブマシンガンはともかく、ビームダガーはMSの手足であろうとも簡単に切断出来るので、小破程度のダメージを与えた機体はそれなりにあった。
そうしてMSの群れとなっている場所をすり抜け……そんな俺を追うように、イフリートがスラスターを使ってMSの群れを跳躍してきた。
「ちぃっ!」
イフリートも、ピクシーと同様の地上戦闘用の高機動型MSだ。
それだけに、瞬時に跳躍してMSを跳び越えるといった真似をしてもおかしくはない。
更にそのイフリートがヒートサーベルを振り下ろしてきたとなれば、こちらとしても咄嗟に回避するしか出来なかった。
ビームダガーで受け止める事も考えたのだが、上空からの機体重量を活かした一撃を片手で持ったビームダガーでそれを受け止められるかと言われれば、難しいだろう。
両手にビームダガーを持っていれば、それを交差させる形で受け止めるといった真似も出来たかもしれないが。
90mmサブマシンガンを持っている状況では、そのような真似が出来る筈もない。
スラスターを使って半身を強引に動かして回避し、地面に着地したイフリートに向かい、頭部バルカンを発射しながらビームダガーを振るう。
イフリートは、頭部バルカンの一撃は特に気にした様子もなく、ビームダガーの一撃だけをヒートサーベルで受け止める。
「なら、こっちもついでに貰え!」
ヒートサーベルとビームダガーが打ち合ったところで、90mmサブマシンガンの銃口を向け……それを見た瞬間にイフリートが動こうとする。
90mmサブマシンガンの発射による衝撃がコックピットを揺らす。
イフリートはそんな攻撃を間近で受けたのに気が付いたのか、すぐに斬り合いを止めると後方に跳躍する。
戦闘勘がいいって奴か。
基本的に牽制用として使われる90mmサブマシンガンだが、それでも至近距離で食らえば、その威力は相当に高い。
ましてや、それが連射となれば……上手くいけば、それだけでイフリートを撃破出来ていた可能性があったのではないか、と。そう思えるくらいには。
とはいえ、このままイフリートを追う訳にもいかない。
何故なら、イフリートが距離を取ったのを確認した他のジオン軍のMSが、こちらに攻撃を集中してきた為だ。
行きがけの駄賃とばかりに、ある程度のダメージを与えはしたが、それでも撃墜する程ではない。
だからこそ、ザクとグフがこちらに向かって、攻撃を再開したのだ。
とはいえ、ルナ・チタニウムの装甲を貫通出来るだけの威力がある攻撃はザクバズーカか近接格闘用の武装だけだが、それを持っている敵は少ない。
ジャイアントバズを持っていたドムは、真っ先に片付けている。
そんな敵の攻撃を回避しながら、俺はピクシーを前に進ませ、ザクとグフからの攻撃を回避しながら、間合いを詰めていく。
最初に狙ったのは、ザク。
グフの方が新型機ではあるのだが、現状で厄介なのは、あくまでもザクだ。
……グフはバズーカの類が使えないしな。
ホワイトベースで移動する時に厄介なのは、ザクバズーカを使う事が出来るザクの方だ。
また、機体性能としてもグフよりも低いということがあり、撃破しやすいという理由もあった。
対MS戦を想定して開発されたグフだったが、フィンガーバルカンとか、色々と疑問を覚えるところが多いのは、間違いないよな。
もっとも、ハワイを任されているゲラートがそれを聞けば、怒るのかもしれないが。
何しろ、ジオニック社にグフの開発でかなり協力したという話だったし。
そんな風に思いながら、ビームダガーでザクのコックピットを貫き、90mmサブマシンガンを目眩ましに広範囲に撃ちまくる。
と、俺が予想もしていなかったザクの付近で爆発が起きる。
何だ? と一瞬疑問に思ったが、続けてもう1機のザクのコックピットをビームダガーで貫きながら、納得する。
恐らく、今の爆発はザクが持つ武器の1つ、クラッカーか何かにサブマシンガンの弾丸が命中して爆発したのだろう、と。
偶然跳弾か何かでクラッカーに弾丸が命中したのか、それとも俺に向かってクラッカーを投げようとしたところで弾丸が命中したのかは分からないが、それでも結構なダメージになっていたのは間違いない。
そうして、ザクの間をすり抜け……再びMS隊と向き直るが……何だ?
今まではかなり頻繁にこちらに攻撃を仕掛けてきたのに、いきなり攻撃を止めたな。
『……貴様、名は?』
と、いきなり通信が入る。
それもオープンチャンネルでの通信だ。
映像モニタは消えたままなので、顔は分からないが。
「人に名前を聞く時は、まず自分から……って言われないか?」
『ふんっ、俺はウルフ・ガー隊、隊長のヘンリー・ブーン大尉だ』
この部隊の隊長という事は、恐らくあのイフリートのパイロットだろう。
「アクセルだ。ホワイトベースの協力者といったところか」
『ホワイトベース? 木馬か。しかし……軍人ではない? まぁ、いい。今日のところはこれで退かせて貰うが、貴様の事は絶対に忘れん』
「退く、ね。……このまま逃がすと思うのか?」
『このまま戦闘を続けた場合、そちらもいらぬ被害を受けると思うが?』
そう告げる言葉は、間違いなく事実ではあった。
ガンキャノンの方も結構な被害を受けているし、ホワイトベースもガルマ隊との戦いよりも多くの被害を受けている。
ここは、見逃すしかない、か。
「行け」
短くそれだけを言うと、ヘンリーとやらが乗っていると思われるイフリートは、他のMSを率いて戦場から速やかに撤退していく。
ドップやガウといった航空戦力も、そんなヘンリーと共に戦場を後にするのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469