転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2336話

 空を飛んできた三機のドップが、刈り取る者のメギドラオンによって纏めて消滅する。

 そう、それは残骸すら残さず、完全に消滅してしまったのだ。

 地上からこちらを狙っていた装甲車やジープのような軍用車も、応援としてやってきた端から次々に綾子と刈り取る者によって破壊されていき、やがてジオン軍の戦力も底をついたのか、それとも単純にこれ以上ここに戦力を投入する意味を見いだせなかったのかは分からないが、援軍が送られてくる事はなくなった。

 

「どうやら、これで終わりみたいだね」

 

 装甲車……そう、装甲板を張られていて、防御力が高い筈の装甲車を真っ二つにするという真似をした――それも1台や2台ではない――綾子が、物干し竿についている血や脂、そして機械油を持っていた布で綺麗に拭き取り、呟く。

 

「そうらしいな。……戻っていいぞ、刈り取る者。助かった」

 

 俺の言葉に、刈り取る者は一礼し、そのまま影に沈んでいく。

 そうして刈り取る者が完全に消えたのを確認してから、信じられないといった様子でこちらを見ていたアムロに声を掛ける。

 

「えっと、その、あの……何て言えばいいのか分からないんですけど」

 

 唖然とした様子で言ってくるアムロ。

 ネギま世界やFate世界、ペルソナ世界といった世界の人間ならともかく、UC世界のようなロボット物の世界では、完全に理解不能な光景だっただろうしな。

 機関銃どころか、ミサイルの類を撃たれても物干し竿で一刀両断にする綾子。

 見るからに人間ではない様子で、火や氷、風、雷、爆発……そんな光景を次々と作り出す刈り取る者。

 そして、そんな2人をただ見ているだけの俺。

 普通なら、どこをどう見ても、とてもではないが信じられないといったアムロの気持ちは十分に分かる。

 分かるんだが、俺が魔法使いである以上、このくらいのことは納得して欲しいというのが正直なところだ。

 

「取りあえず説明は後にして、一度ホワイトベースに戻らないか? 向こうでもアムロの事を心配しているだろうし」

 

 そんな俺の言葉に、アムロは少しだけ驚きの表情を浮かべる。

 まさか、自分の行動でここまで大きな騒動になるとは思わなかったのか?

 アムロ本人に自覚はあまりないみたいだが、ホワイトベース隊のエースである以上、その辺はしっかりと認識して貰わないと困る。

 

「えっと、でも……」

「アクセル、そこまで心配する必要もないみたいよ。ほら」

 

 綾子が遠くを見ながらそう告げたので、その視線を追うと……こちらを待ちきれなくなったのか、それともリュウがコアファイターで損傷を受けた事で心配になったのか、ともあれこっちに近づいてくるホワイトベースの姿があった。

 

「一応ここはジオン軍の勢力圏内なんだから、ホワイトベースが来るのは色々と不味いんだが」

 

 とはいえ、ホワイトベースの情報は当然のようにジオン軍にも知れ渡っているのだろうから、迂闊に戦力を出す訳にもいかなくなるか。

 あの赤い彗星ですら、倒せなかったホワイトベース隊なのだから。

 それこそ、数機のザクとかを出したところで撃破されて終わりだと判断し、迂闊に手を出すような真似はしないで、さっさと出て行って貰った方がいい。

 そう判断しても、おかしくはなかった。

 とはいえ、だからといってずっとここにいるという訳にもいかない。

 ジオン軍の勢力圏内に長時間いれば、1つの基地だけではどうにもならなくても、周辺から戦力を集めて攻撃してくるという可能性もある。

 いや、それどころかガルマに知らせが届けば喜んで攻撃してくる筈だ。

 ホワイトベースが万全の状態ならともかく、いいところ半分くらいの性能しか発揮出来ないような今の状況では大規模な戦闘は避けたいというのが、ブライトの正直な気持ちだろう。

 だからこそ、アムロを回収したら出来るだけ早くここを脱出しようとして迎えに来たのかもしれないが。

 ……ロス奪回作戦も控えているし、戦力の消耗は可能な限り避けたいと考えるのは当然だろう。

 ともあれ、ホワイトベースが来た事によって、この一件は一応片付くのだった。

 

 

 

 

 

「ふーん、あれがアムロの母親か」

 

 ホワイトベースのブリッジで、映像モニタに映し出されたアムロの母親を眺めつつ、呟く。

 海水浴をしている時に、アムロの母親について考えはした。

 だが、まさかタイミング良くここでアムロが母親に会っているというのは、ちょっと予想外だったな。

 もっとも、考えてみればそうおかしな話ではない。

 アムロが父親のテム・レイと一緒にサイド7で暮らしていたという事は、母親が地球に残っていたと考えても不思議ではない。

 ……聞いた話によると、アムロの家は連邦軍の兵士によって接収されていたらしいけど。

 

「あら、フラウも頑張ってるわね」

 

 ミナトの言葉に、映像モニタを見る。

 そこでは、アムロと一緒にフラウがいて、アムロの母親と短くではあるが言葉を交わしていた。

 ミナトの言う通り、恐らくあれはフラウの精一杯のアプローチといったところか。

 アムロの母親もフラウに対して悪い感情は抱いていないように思える。

 頑張った甲斐があったという事か。

 フラウの場合は恋敵がたくさんいるだけに、アムロの心を射止めるのに必死といったところか。

 メリルにしろ、綾子にしろ、マチルダにしろ、それはアムロが一方的に憧れているだけってのがパターンなので、恋敵という表現は正しくないのかもしれないが。

 ともあれ、アムロとフラウ、アムロの母親の3人での話は終わり、最後にブライトが敬礼をして何かを話す。

 ブライトは士官候補生の状況からいきなり艦長になったとはいえ、今では歴としたホワイトベースの艦長だ。

 それこそ、ミデア隊に引き取られていったリードよりも、余程有能だと言えるだろう。

 もっとも、リードはリードで、時々……本当に時々だったが鋭い意見を言う事もあり、何気に結構有能なところを見せたりもしたのだが。

 

「ともあれ、ロス奪回作戦か。……俺達はジャブローから直接命令を貰ってるんだし、それを無視してユーラシア大陸に向かうってのは駄目なのか?」

「それは難しいな」

 

 リュウが俺の言葉を即座に否定する。

 

「何でだ?」

「ここは北米で、命令は北米軍司令部からのものだからだ」

 

 どうやら、そういう事らしい。

 まぁ、北米軍にしても自分達の勢力圏内に俺達のような強力な戦力があるのなら、それを使わないという選択肢はないのだろう。

 そしてホワイトベースが連邦軍に所属している以上、それに逆らう事は出来ない、と。

 一応レビルやゴップという、北米軍よりもっと上位の将官から命令を受けているのを考えると、無視しても問題ないような気がしないでもないが……その辺は、やはりブライトの生真面目さが影響しているのだろう。

 

「アクセル、私達はどうするんだ?」

 

 綾子からの問い。

 俺達……俺、綾子、ミナトの3人は、言わばホワイトベース隊の傭兵とでも言うべき存在だ。

 それも、ゴップやレビルから雇われた。

 そうである以上、今回の一件は無視しても問題はない。ないんだが……

 

「参加だろうな」

 

 ここでホワイトベース隊の戦力を消耗させてしまえば、ユーラシア大陸に移動してからのゴップの依頼――それがどんなものなのかは、まだ分からないが――を実行する時に、戦力不足になる可能性がある。

 最悪、ミデア隊が合流すればピクシーのようにMSは補給出来るかもしれないが、MSパイロットの方は殺されでもすれば大きなダメージとなるのは間違いなかった。

 アムロ、カイ、ハヤト、リュウ、ジョブといった面々や、ガンタンクに乗っている他の面々も実感は少ないかもしれないが、恐らく現在連邦軍の中でもMSのパイロットとしては最高峰の人材と言ってもいいだろう。

 ……まぁ、連邦軍にMS部隊そのものが少ないのだから、そうなるのは当然なのかもしれないが。

 いや、一応鹵獲したザクとかを使ったMS部隊とかはあるらしいし、量産型MSの運用試験とかも始めているらしいので、唯一無二とまではいかないが。

 それでも、シャアを含めてジオン軍との戦いを繰り返してきたことを考えれば、ここで失うには惜しい人材なのは間違いなかった。

 また、そんな人材の中でもトップクラスの能力を持つアムロは、シャアとの関係もあって万が一にも死なれるような真似は避けたい。

 それに、アムロ以外の人材も殺してしまうには惜しい逸材が結構揃っているし。

 その中でも、特に有望なのはブライトとカイの2人だ。

 ブライトは士官学校を卒業していないのに、皆に助けられつつではあるが、立派にホワイトベースを運用している。

 カイは、アムロには及ばずとも高いMSの操縦センスを持つ。

 正直なところ、ルナ・ジオンではなくシャドウミラーとして欲しいのは、実はブライトなんだよな。

 シャドウミラーには機動兵器のパイロットはいても、戦艦の艦長となると恐ろしく少ない。

 今でこそカトンボを始めとした無人機の戦艦があるので問題ないが、一時期は政治班のトップたるエザリアがニヴルヘイムの指揮を執っていた……といえば、分かりやすい。

 とはいえ、ブライトの生真面目な性格を考えれば、シャドウミラーに所属するのは無理だろうけど。

 いや、ナタルという堅物がシャドウミラーでやっていけているという事を考えれば、所属してしまえば何とかなるのか? ……無理か。

 ナタルの場合はムウがいたからこそ、上手くいったんだろうし。

 そんな風に考えていると、やがてブライトがブリッジに戻ってくる。

 どうやら俺が考え事をしている間に、アムロの母親との別れは済んだらしい。

 

「さて、ではこれからロスの奪還作戦に参加する事になるが……アクセル、どうする? アクセル達は、あくまでもゴップ提督やレビル将軍に雇われている形であるので、今回の作戦に参加する必要は、必ずしもないのだが」

 

 ブライトは律儀だよな。

 ぶっちゃけ、北米軍とやらが今回の作戦にホワイトベース隊を使おうとしたのは、それだけの戦果があったからだ。

 そして戦果を多く出した理由の1つが、ガンキャノンやピクシーに乗った俺なのは間違いない。

 そうである以上、北米軍としては俺や綾子の存在を知ってるかどうかは分からないが、それだけの戦力として認識しているのは間違いない。

 ん? そうなるともしかして、敵のど真ん中で暴れるような真似をさせるなんて命令を出された理由は俺にもあったりするのか?

 もしかして原作だと、敵のど真ん中ではなく遠距離からの援護射撃に徹していたとか、そういう感じだった可能性もあるな。

 

「ゴップとの契約に関しては、ホワイトベースの護衛とかも入ってるしな。勿論、今回の一件が本来なら仕事に含まれなかった以上、追加の報酬を要求するけど」

「……お手柔らかに頼む」

 

 そう告げるブライトだったが、さて一体次はどんなMSを要求するべきか。

 護衛でピクシーを貰った……いや、ピクシーの一件は、強硬派の件に関する謝罪も含まれてるんだろうから、今回の追加報酬として、他の最新鋭MSを貰うのは難しいか?

 その辺は交渉次第なので、政治班に任せるとしよう。

 

「ロスを奪還するのに必要な代金と考えれば、そこまで高額なものじゃないと思うけどな」

 

 実際、俺の能力を知っている者にしてみれば、最新鋭MS1機で俺の戦力を得られるというのは、お買い得だと断言する可能性が高い。

 

「そうか。……すまない」

「そこは謝るんじゃなくて、感謝の言葉が欲しいところだな。……ともあれ、だ。敵の内側に侵入して暴れるといった真似をする以上、問題になるのはホワイトベースをどうするかだな。その辺はどう考えてるんだ?」

 

 ブライトに小さく注意してから、そう尋ねる。

 ホワイトベースが万全の状態であれば、それこそそのまま敵の真っ只中に攻め込んでいっても、ある程度は何とかなると思う。

 だが、今のホワイトベースはとてもではないが万全の状況とはいえない。

 具体的に言えば、俺達が海で遊んでいる時もメカニック達の多くはホワイトベースの修理をしていた、と言えば現状も分かりやすいだろう。

 とはいえ、それでもミデア隊の持ってきた物資やら人材のお陰で、当初よりも大分性能は回復してるんだが。

 それでも、上手くいって6割ってところか。

 以前が5割だったのが6割になったのは、メカニックの皆さんご苦労さんですってところか。

 うん、後で何かメカニックの連中に空間倉庫の中に入ってる料理でも差し入れしておくか。

 そう言えば麻帆良で購入した男の汗とかいう飲み物があったけど……うん、まぁ、そういう意味不明なのも差し入れの中に混ざっているかもしれないけど、それはしょうがないよな。

 

「恐らくはどこかに隠れてジオン軍に見つからないようにしながら陽動の為の攻撃を行うという事になると思う。……そういう面では、アクセルのピクシーに頼る事になるかもしれないが……」

「まぁ、廃墟とかに隠れながら素早く移動ってのは、ピクシーに合ってるしな。その辺は問題ないだろ」

 

 そんな風に、ロス奪還作戦についての話を進めていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1469

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