ハワイにあるルナ・ジオン軍の基地内のドックに入ったホワイトベースは、すぐにメカニック達からの修理を受け始めた。
今までもマチルダが率いるミデアによって運ばれてきた補給物資の類によって、ある程度の修理は行われていた。
だが、それはあくまでも応急処置でしかなく、7割程度の性能しか出せないような状況だ。
当然のように軍のしっかりとしたドックに入って修理を行っている以上、今回は可能な限り修理する事になっていた。
中にはホワイトベース……ガルマを殺した件で色々と思うところがあるような者もいるのだろうが、取りあえず今は特に何か問題が起きるといった事がないのは救いだろう。
当然ながら、ホワイトベースのクルーの面々は基本的にドックから出ないようにと言われている。
せっかく常夏の島たるハワイに来たのに、それはどうかという思いがない訳でもなかったのだが……ハワイにいる者の中にも連邦軍に対して思うところがある奴は多い。
そうである以上、安全の面を考えると、どうしてもそうする必要が出て来るのだ。
まぁ、その件については前もってブライトに話をしてあったし、ホワイトベースに乗っているのは殆どが軍人か軍属である以上、そこまで問題はない筈だった。
……本当に、避難民がいなくて良かったよなと、しみじみと思う。
「さて、じゃあ俺はゲラートとの話し合いに行ってくる。ガルマの話になったら、お前を呼ぶから、それまではここで待っててくれ」
「分かった」
さすがに、これからのゲラートとの話し合いで自分がどうなるのかが決まるという事になれば、ガルマも漫画を読んでいるような余裕はないのだろう。
「頼んだぞ」
「任せておいて」
そう言うのは、ミナト。
ホワイトベースがドックに入って修理している以上、操舵士のミナトは当然のように暇になり、何かあった時の為に俺がいない間はガルマのお守りをして貰う事になったのだ。
……ミナトとガルマは、ボードゲームの一件を見れば分かる通り、相性的には悪くないし。
そんな訳で、俺がいない時に誰かが部屋に来た時は、ミナトが対応する事になる。
俺がそんな風にミナトに頼んだのが、若干面白くなかったのだろう。
ガルマは少し不満そうな様子で、俺に視線をむけてくる。
「不満そうな顔をしないで、嬉しそうにしておけよ。取りあえず今日の会談が終われば、ガルマはホワイトベースから下りることになって、イセリナと一緒に暮らせるようになるんだから。それは、喜ぶべき事だろう?」
「それは……」
俺の言葉に、ガルマは言葉に詰まる。
まぁ、今回の一件に関しては、完全にガルマが俺に……そして匿うルナ・ジオンに借りを作った形だしな。
この先、ガルマがどのような事になるのかは分からないが、それでも間違いなく今回の件が色々と関係してくるのは明らかだ。
「じゃあ、そういう訳では俺は行ってくる」
そう告げ、俺はホワイトベースから出て、ドックの外に向かい……
「お待ちしていました、アクセル代表」
そこには高級車――電気自動車だが――と、その運転手と思しき人物が立っていたのだった。
運転手の運転する車で俺がやって来たのは、ハワイにある政庁。
言わば、ハワイの政治の中心とでも呼ぶべき場所だった。
その中の一室に案内された俺は、そこにいる人物に呆れの視線を向ける。
「ゲラート、別に迎えに来なくてもこっちで勝手に来たんだが?」
「そうだと思ったが、アクセルが来てる以上、こちらの立場としてそのような真似は出来ないんだよ」
ゲラートの言葉に、そういうものか? と考え……取りあえず来客用のソファに座るように促され、そこに腰を下ろす。
執務机で何らかの書類を見ていたゲラートも、俺の前に座った。
ハワイを支配するゲラートの執務室にあるソファだけあって、なかなか良い品だな。
俺もそこまで高価な家具とかに詳しい訳ではないけど、W世界でデルマイユの持つ高価な家具を散々奪いまくったからな。
そのお陰で、本職には遠く及ばないにしても、ある程度の目利き……その真似事くらいは出来るようになった。
「一応アクセルとの話は誰にも聞かせない方がいいと判断して、この部屋に近づかないように言ってある。おかげで、お茶も出せないが」
「ほら」
空間倉庫から取り出したお茶……ペットボトルに入った紅茶、正確には紅茶風飲料をゲラートに渡し、自分の分も取り出す。
続いて取り出したのは、お茶請けのお菓子。
ペルソナ世界で美味いと評判の店で買ったクッキー。
焼きたての状態でそのまま空間倉庫に収納していたので、サクサクの食感を楽しめる。
「便利だな」
「それは否定しない」
若干呆れの視線を向けてきたゲラートだったが、俺はそれを特に気にした様子もなく。ペットボトルに口を付け、喉を潤す。
「それで、何だってホワイトベースでハワイまで来る筈が、ここまでの大きな騒動になったんだ?」
「ジオン軍の執念深さだな」
呆れ混じりのゲラートの質問に、そう答える。
端的ではあるが、それは決して間違っていない。
ジオン軍にとって、ホワイトベースは決して見逃すことが出来るような相手ではない、というのも事実ではあったが。
「お前が経験してきた事を教えてくれ」
ゲラートの言葉に従い、月を出発してからの事を話す。
そんな中でも特にゲラートが驚いたのは、やはりシャアが大気圏突入時に攻撃をしてきた件だった。
このUC世界においては、初めて行われたタイミングでの攻撃。
ゲラートにしてみれば、その一件は注目して当然だろう。
……もっとも、シャアの件以外にも俺がパイロットスーツも着ないでガンキャノンのコックピットから飛び出し、生身で大気圏突入したという事にも驚いていたが。
それはこの世界の人間なら当然か。
ネギま世界でなら、そこまで驚かれるような事でも……ないと、思う。多分。
そして、本来の目的地たるジャブローではなく、北米のメキシコ付近に降下した事や、降下してすぐにジオン軍に襲われたり、補給物資を持ってきたミデアを囮にして誘き寄せられたり、ロス奪還作戦に参加したり。
「この短時間で、一体どれだけの……」
「そう言ってもな。まぁ、おかげで色々といい物を入手出来たのも事実だし」
ピクシーは当然ながら、ウルフ・ガー隊が攻めて来た時に撃破した、ザク、グフ、ドム。
ザクはともかく、グフとドムはルナ・ジオン軍でも所持していない機体である以上、ディアナとしてはありがたい代物だろう。
とはいえ、コックピットはビームダガーで貫通しているので、使い物にならないが。
特にグフは、ゲラートも開発に関わった機体である以上、興味を持つ筈だった。
「グフもあるぞ。まぁ、コックピットは潰されてるけど」
「ほう」
予想通り、俺の言葉に興味深い様子を見せるゲラート。
それ以外にもドムについてだったりといった話をしたところで一度話を止め、本題に入る。
「さて、それで俺が今日ここに来た一番の理由だが……」
「アプサラス計画の件ではなくてか?」
「そっちも重要だが、今はそれよりも重要な事があってな。……ホワイトベースにある俺の部屋に、ガルマがいる」
「………………………………………………………………………………は?」
長い、長い、長い……それこそ1分程の沈黙の後に、ゲラートは一言だけ短く呟く。
まぁ、死んだとされるガルマが、よりにもよって殺したとされるホワイトベースの中にいると聞かされれば、それで驚くなという方が無理だろうが。
とはいえ、いつまでも呆けた様子でいて貰っては困るので、改めて口にする。
「ガルマは現在ホワイトベースにある俺の部屋にいる」
ゆかりではないが、二度言うことでようやくゲラートも俺の言葉を理解したのか、何とも言えない微妙そうな表情になりながら口を開く。
「一応聞くが、その一件をホワイトベースの面々は……」
「知らないだろうな」
気が付くとすれば、部屋が俺の隣であるアムロだろう。
だが、俺の部屋には綾子やミナトが頻繁にやってくる。
そうであれば、少しくらい騒いでもそれがガルマの声だとは気が付くようなことはない。
ガルマの方も、当然のように自分がホワイトベースでは絶対に見つかってはいけない相手だと判断しているのか、俺の部屋の中であまり声を立てないようにしているというのが大きい。
「一体、何がどうなってそうなったんだ? 俺にも分かるように説明してくれ」
「そうだな、簡単に言えば、ロングビーチでの戦闘でガルマがガウでホワイトベースに特攻を仕掛けた時、ガウに乗り込んでガルマを気絶させて捕らえた。……というのが、一番分かりやすい説明だろうな」
「……そうだな。非常に分かりやすい説明をありがとうよ」
感謝の言葉を口にしながらも、ゲラートの表情にあるのは不満の色だ。
ゲラートにしてみれば、ガルマを連れて来たという俺の言葉は、それだけの衝撃を持っていたのだろう。
とはいえ、今から俺が口にする言葉は今以上にゲラートを疲れさせる可能性があるので、出来れば気をしっかりと持って欲しい。
「それでだな。ガルマはハワイで匿って欲しい」
「……本気か?」
「ああ。それとついでに前ニューヤーク市の市長の娘で、ガルマの婚約者のイセリナという女も匿って欲しい」
「………………本気か?」
先程よりは沈黙している時間は短かったが、それでも数秒の沈黙の後で俺に向かってそう尋ねてくる。
ゲラートにしてみれば、俺の言葉はとてもではないが信じられないといったところか。
「本気だ。取りあえず、ガルマに会わせるから少し待ってろ」
そう言い、座っていたソファから立ち上がると、影のゲートに沈んでいく。
だが、それを見てもゲラートは少し驚くだけで、驚愕の声を上げたりはしていない。
ルナ・ジオンの上層部であれば、俺が転移魔法を使えるという事は当然のように知っている。
だからこそだろう。
そして影のゲートを抜けると、当然のようにそこはホワイトベースにある俺の部屋。
「うおっ!」
影から出て来た俺に気が付き、ガルマが驚きの声を上げる。
こちらはまだゲラート程に俺という存在に慣れていないという事だろう。
「ガルマ、ゲラートに話はした。会いに行くぞ」
「分かった」
それでも、ゲラートに会いに行くと言えば、即座に気持ちを切り替える事が出来るのは、地球方面軍司令を任されていただけはあるという事か。
「気をつけてね」
ミナトにそう言われ、俺とガルマは再び影のゲートに身体を沈めていく。
当然のようにガルマの口からは驚きの声が上がるが、取りあえずそれは今はスルーしておく事にする。
そうしてガルマと共に再び影から出ると、そこは先程まで俺がいた、ゲラートの執務室。
「ガルマ様……」
ソファに座ったゲラートの口から、驚愕と共にそんな呟きが漏れる。
俺がガルマを匿っていると言っていた以上、それが出鱈目の類ではないというのは、ゲラートも理解していただろう。
だが、やはりこうやって直接自分の前にガルマが姿を現せば、驚くのは当然だった。
また、様付けしたのを考えると、どうやらゲラートもガルマに対しては好意を抱いているらしい。
ジオンのアイドルの面目躍如といったところか。
「……今の私は、ガルマ・ザビではなく、ガルマ。ただのガルマだ。そのつもりで対応して欲しい」
ガルマのその言葉に、ゲラートは少し考えてから口を開く。
「では、ガルマ殿、と。……それにしても、本当にガルマ殿を連れてくるとは……事情については大体アクセルから聞きましたが、本当にハワイに隠れ住むつもりで?」
「そうだ。色々と手間を掛けるが、よろしく頼む」
そんなガルマの言葉に、ゲラートは俺の方に視線を向けてくる。
本当にいいのかと、その視線は尋ねているが、俺は当然のように頷きを返す。
ガルマ・ザビという人物を確保しておくのが、ルナ・ジオンやシャドウミラーにとってどれだけの利益になるのかというのは、それこそ考えるまでもなく明らかなのだから。
ジオン公国が起こしたこの独立戦争、俺達が連邦軍に協力しなくても、連邦軍がMSの開発に成功した時点で、戦争の行く末は連邦の勝利に大きく傾いた。
そこに、更にルナ・ジオンが協力するのだから、ジオン公国の勝ち目は非常に薄い。
また、ニーズヘッグではなくピクシーに乗った俺が協力をするのだから、勝負の行方はそれこそ考えるまでもない。
そうなると、戦争が終わった後でこそガルマ・ザビという人物は色々と使い勝手がいい人材なのは間違いない。
それが具体的にどう使うのかは、それこそ今はまだしっかりとしないが……取りあえず確保しておいて間違いのない存在だというのは事実なのだから。
「分かりました。それでは、具体的にどうするのか。その辺りの話に移りましょう」
ゲラートはガルマの言葉に素早く気分を切り替えると、そう告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469