転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2351話

 ゲラートと会った、翌日。

 俺は、ミナトと綾子の2人を連れて、アプサラス研究所にいた。

 ハワイに来たらミナトと綾子の2人とそれぞれデートをするという約束をしていたが、それよりはまずハワイに来た最大の目的を果たす必要がある。

 デートに関しては、明日以降となるだろう。

 

「ふーん。これがアプサラス研究所ね。秘密研究所という割には、かなり堂々としているように見えるけど」

「関係者以外は誰も入れなくなっているだけで、別に山の中を掘ってとか洞窟を利用してとか、そういう研究所じゃないしな。……ああ、でも場所の問題で地下にも研究所は広がっているから、地下にあるという点では若干それっぽいのか?」

 

 以前来た時に案内された地下を思い出しながら、俺は研究所の中を進む。

 当然ながらこの研究所は俺達だけで歩いているのではなく、前もって用意された人物に案内されながらだ。

 ただ、秘密研究所である以上、当然のようにここにやって来るのは少数で、受付とかそういうのは存在しない。

 研究所とか会社とかでは、美人な受付嬢を置いておくのが基本だろうに。

 

「あら、アクセル。何か妙な事を考えなかった?」

 

 隣で周囲の様子を物珍しそうに眺めていたミナトが、不意にこちらに視線を向けて尋ねる。

 それに何も考えていないと首を横に振りながら、相変わらずの勘の鋭さに肝を冷やす。

 女だからという訳ではなく、俺の恋人になったからなのか、何故か非常に勘が鋭い。

 その最高峰が、千鶴だろう。

 ……もしかして、俺に抱かれた事とかが理由だったりしないよな?

 俺が混沌精霊という種族である事を考えれば、その可能性は皆無という訳ではないのが微妙に怖い。

 取りあえず、まだ完全に疑いを解いていないミナトと綾子の興味を逸らす為に、案内をしている研究者の女に尋ねる。

 

「そう言えば、ガトーとアイナはどこまで進んだのか、分かるか?」

「えっ!?」

 

 研究者の方も、いきなり自分に話を振ってくるとは……それも、今までの会話とは全く違う内容でとは、思ってもいなかったのだろう。

 数秒焦った様子を見せ、やがて口を開く。

 

「その……噂ではデートを重ねてはいるらしいですが、まだ深い仲にはなっていないのではないか、という話です」

 

 さて、この場合の深い仲というのは、一体どのレベルなんだろうな。

 キス? いや、まさか。……それとも最後まで……いや、でも最後までとなると、ノリス辺りがかなり怒りそうだな。

 

「なるほどな。……幸い、ハワイはデートスポットには困らないか」

 

 世界的な観光名所の1つとして名高いだけに、遊ぶべき場所は多い。

 今のハワイには戦争を嫌った者や戦争難民が大勢押しかけているので、自由にデートをするような余裕があるかどうかは微妙だが。

 

「そうね。いっそガトーやアイナにデートスポットを聞いてみる? どこかいい場所があれば、そこに行ってみてもいいかもしれないわね」

「それは私も賛成だ。そうなると……色々と楽しみではあるね」

 

 綾子もミナトの言葉に賛成するように告げるが……いやまぁ、それでデートが楽しくなるのなら、聞いてみてもいいけどな。

 ただ、綾子はともかく、ミナトはナデシコ世界でナデシコに乗る前には、ハワイとかに行っていてもおかしくはないように思える。

 とはいえ、UC世界のハワイとナデシコ世界のハワイでは、ハワイというので同じではあっても、細かいところとかは結構な違いがあってもおかしくはないんだが。

 

「そうだな。ガトー辺りにでも聞いてみてもいいかもしれないな」

 

 とはいえ、ぶっちゃけた話、ガトーが恋愛関係に強いとは思えない。

 ガトーからどこそこのデートスポットは雰囲気がよくて……とか、そういうのを聞けば、正直微妙に思ってしまってもおかしくないと思う。

 どうしてもガトーのイメージとは合わないんだよな。

 そういう意味では、ガトーとアイナの恋愛は、アイナがリードしてるのか?

 何となくそんな風に思いつつ、研究者の女の案内に従って通路を進み……やがて、一つの部屋の前に到着する。

 

「ここでギニアス様がお待ちです」

 

 今更の話だが、ギニアスに様を付けるという事は、この女はMIP社からやって来た人物じゃなくて、サハリン家に連なる者か?

 そう思ったが、わざわざ聞く必要もないかと思い、研究者の女が扉をノックするのを止めるような真似はしない。

 

「失礼します、ギニアス様。アクセル代表がお見えになりました」

「分かった、入ってくれ」

 

 扉の向こうから聞こえてきた声に、女の研究者が扉を開ける。

 するとそこに広がっていたのは、豪華な執務室だった。

 てっきり研究室に案内されるかと思ってたんだが、こういう場所か。

 とはいえ、それは決して悪い話ではない。

 他の研究者がいない場所で、ゆっくりと話が出来るのだから。

 

「アクセル代表、よく来てくれました。そちらの2人も。さぁ、どうぞそちらのソファへ」

 

 執務机に座って何らかの書類に目を通していたギニアスは、俺とミナト、綾子の2人を見ると、立ち上がって出迎える。

 そうしたギニアスの様子は、健康そのものだ。

 元々、ギニアスは宇宙線の影響によって余命幾ばくもないといってもいいような状況だった。

 それを毎度お馴染みのレモンによる治療で完治させ、今ではこうして健康な生活を行う事が出来るようになっていた。

 何故か……本当に何故か、俺が行く世界って病気なりなんなりで死にそうになっている奴がそれなりの数いるんだよな。

 しかも、そういう人物に限って何故か有能な者が多く、レモンによる治療はそういう連中に対する取引材料としては非常に有用だった。

 実際にそうやって協力者を増やしてきたのだから、実績もあるしな。

 ギニアスもそのうちの1人だ。

 だからこそレモンと同じシャドウミラーに所属している俺に対して、こうまで愛想良く振る舞っているのだろう。

 

「ハワイまで来るのが予定よりも大分遅くなった。悪いな」

「いえ、気にしないでください。私としては、寧ろ遅れてきた……というか、ホワイトベースでしたか。あの新型艦を連れてきてくれた事に、感謝しているのですから」

 

 満面の笑みを浮かべているギニアスを見れば、それはお世辞でも何でもなく、本気でそう思っているというのが理解出来た。

 その理由は分からないでもないけどな。

 アプサラスは、端的に言えば飛行砲台とでも呼ぶべきMAだ。

 そして空を飛ぶのは、ミノフスキークラフトを使ってであり……ギニアスが喜んでいるホワイトベースもまた、ミノフスキークラフトを使って飛んでいる。

 そういう意味では、ギニアスにとってホワイトベースというのは非常に興味深い存在なのだろう。

 とはいえ、これは別に連邦軍の技術がジオン軍……いや、ギニアスよりも上だという訳ではない。

 いや、ザンジバルがミノフスキークラフトを装備していないのを考えると、ジオン軍よりも連邦軍の方が技術は上なのか?

 あー、でもホワイトベースはあくまでも特殊な例だし……その辺の技術格差はどうなっているのやら。

 ともあれ、ギニアスの目的はホワイトベースよりも遙かに小型な――それでもMSに比べれば大きいが――アプサラスにミノフスキークラフトを搭載する事だった。

 ミノフスキークラフトという技術がこの世界に登場してから、まだそれ程の時間は経っていない。

 それだけに、ギニアスにしてみればホワイトベースに搭載されているミノフスキークラフトはアプサラスを開発する上で、十分参考になるのだろう。

 

「そうか。なら、今度ホワイトベースを見に行く時は一緒に来るか? データとかだけじゃなくて、実際にその目で直接見た方が色々と参考になるだろうし」

「行きます」

 

 即座に、それこそ一瞬の躊躇もなく返事をするギニアス。

 アプサラスに対する思いは、それだけ強いのだろう。

 

「分かった。ただ……連れていくのに、ギニアスが今着ているような服装だと目立つだろうから、メカニックに変装した方がいいな」

 

 ギニアスは技術者、もしくは研究者ではあっても、メカニックという訳ではない。

 もしメカニックをやりたかったとしても、治療をする前では到底そんな事は出来なかっただろうが。

 だからこそ、メカニックとして連れていっても、まさかそれがギニアスだとは……シャドウミラーが全面的にバックアップをしているアプサラス計画の最高責任者だとは、思いも寄らないだろう。

 まぁ、ギニアス・サハリンの名前はジオン公国ならともかく、それ以外の場所ではそこまで有名でも何でもないんだが。

 ジオン公国で没落した名家という事で、もしかしたら名前を知っている奴もいるかもしれないが。

 

「それは構いませんよ。こう見えて、最近は私も現場に出る事が多くなっていますし」

 

 予想外にあっさりと、ギニアスは俺の言葉に頷く。

 というか、本当に現場に出るようになっているのか。

 

「そう言えば、前に見た時よりも少し身体付きが逞しくなってるわね」

 

 俺の隣でミナトがそう告げるが、ミナトは以前ギニアスに会った事があったのか?

 ギニアスとミナトだと、全く接点があるようには思えないが。

 寧ろ、実働班の綾子の方が、まだギニアスと接触する機会が多いような気がする。

 ともあれ、逞しくなっていると言われたのはギニアスにとっても嬉しかったのか、満面の笑みを浮かべる。

 

「そう言って貰えると、こちらとしても嬉しいよ」

 

 満面の笑みを浮かべるギニアス。

 そのまま暫くギニアスとの話をする。

 特に大きなのは、ホワイトベースに乗っている時の感覚がどうだったかというものだろう。

 実際にミノフスキークラフト搭載機に乗っていた時にどのように感じたのかというのは、アプサラスを開発しているギニアスにとっては重要な物があるらしい。

 

「まぁ、ホワイトベースを見に行く件はいいとして、現状のアプサラス計画はどこまで進んでいるのか、教えて貰えるか?」

 

 まだ雑談をして色々と聞きたい事……それこそ、アイナとガトーの関係がどこまで進んでいるのかといった件を聞きたかったりもするのだが、まずは俺がハワイに来た最大の目的を済ませておく必要がある。

 ギニアスもそれが分かったのか、気分を切り替えると真面目な表情になって口を開く。

 

「アプサラスを開発する上で、一番の問題はやはりミノフスキークラフトのノウハウがない事でした。……正確には動力炉の問題もあったのですが、こちらは月から送って貰ったゾックの動力炉を研究する事で、かなりの性能の動力炉を確保出来ましたので」

 

 嬉しそうな様子のギニアス。

 まぁ、ゾックはMSが開発されたばかりのこの世界としては、極めて大出力の動力炉を持ってるしな。

 ミノフスキークラフトでMAを飛ばし、その上で大出力のメガ粒子砲を装備する。

 その辺の事情を考えれば、アプサラスに使う動力炉は出力が大きければ大きい程にいい。

 勿論、水陸両用MSとして、海水を流用して動力炉を冷やすという事を前提にしているゾックの動力炉をそのまま使うといった訳にはいかない。

 だからこそゾックの動力炉を研究し、改良して、アプサラスに使う動力炉を生み出したといったところか。

 ちなみに、この動力炉はアプサラス用に開発されたものなので、今のところはアプサラスにしか搭載出来ない。

 だが、将来的にはディアナによって更に改修され、ルナ・ジオン軍のMSに流用出来るように……という風に考えられているらしい。

 

「ミノフスキークラフトか。そういう意味でも、やっぱり今回のホワイトベースの一件はギニアスにとっては運が良かったんだな」

「そうなります。今も言いましたが、どうしてもミノフスキークラフトを運用する上でのノウハウがない以上、手探りとなりまして。現在運用テストをしているアプサラス……通称アプサラスⅠも、かなり安定してきましたが、時々思いも寄らない事で挙動が不自然になる事がありまして」

 

 アプサラスⅠか。

 そういう名前が付いているという事は、ⅡやⅢといった機体を前提としているという事か。

 

「そうなると、今日見る事が出来るのはⅠな訳だな?」

「はい。とはいえ、ⅠとⅡは実際にはテスト機という扱いなので、その運用試験を終えた後で、それらを踏まえた上でⅢを開発する、というつもりですが。特に大変なのはやはりミノフスキークラフトについてのノウハウを得るⅠで、Ⅱの方は実はⅠが完成すればそこまで難しくはありません。……勿論、何の問題もない訳ではありませんが。そのⅡの方も現在は平行して開発を進めてますし」

 

 多少慎重なのが気になったが、今まで存在しなかったMAという機種を作るのであれば、当然のように技術的な蓄積はしっかりした方がいいと判断したのだろう。

 実際、とにかく成果だけを出すのではなく、こうして技術的な蓄積を得るというのは、長い目で見た場合はかなり有効だ。

 成果だけを目指すのは、短期的に利益になっても、将来的にはあまり使い所がないという事も多い。

 だからこそ、慎重に技術的な蓄積を行っている今のギニアスの態度は、俺には好ましく映るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1469

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