「2日後にハワイを出る事になった」
そんな俺の言葉に、ガルマとイセリナは驚きの表情を隠せない。
俺の横では、ミナトと綾子の2人がイセリナに向かってごめんなさいと声を掛けている。
ガルマと一緒に暮らしている……同棲しているイセリナだが、人目につかないようにこの家で暮らしているという事は、どうしてもガルマ以外に接する相手は少なくなる。
食料を始めとして、色々と足りない物は量産型Wやコバッタに頼めば持ってきてくれるが、2人だけで隠れ住むというのは、どうしてもストレスが溜まってしまう。
ガルマはそれでも士官学校という厳しい場所を卒業したし、地球方面軍司令として活躍もしていたので、その手のストレスの対処法は心得ている。
だが、純粋培養のお嬢様のイセリナは、どうしてもストレスの発散が苦手だ。
だからこそ、ガルマとイセリナをここで暮らすようにしてからすぐに、俺は事情を知っているミナトと綾子にこの家の事を教えた。
結果として、ミナトと綾子はイセリナと女同士として友好的な関係を築く事に成功した。
……これは、ガルマとイセリナ、俺とミナト、綾子という風にしっかりとカップリングが固まっていたのが大きいのだろう。
お互いがお互いの恋人に色目を使うような事はないので、安心してお互いに話す事が出来る訳だ。
ガルマはホワイトベースでミナトや綾子と接していた事もあったし、何よりイセリナを強く愛している為か、ミナトや綾子に目を奪われるといった事はなかった。
そんな訳でハワイにいる間、ミナトや綾子はイセリナの話し相手となるべく、毎日のようにどちらかがこの家にやって来ていた。
「2人と話せなくなるのは、残念です」
がっかりしたといった様子で、イセリナが呟く。
イセリナにしてみればガルマと一緒にいるのも楽しいのだが、女同士で話すというのもまた捨てがたい時間だったのだろう。
「それで、アクセル。ホワイトベースは次にどこへ? ああ、勿論言ってもよければだが」
「ユーラシア大陸だな。そこでMS隊と合流して、色々と動くらしい」
「……聞いた私が言うのもなんだが、これからの事を素直に言ってもよかったのか?」
不思議そうな様子のガルマだったが、この家の周辺には量産型Wやコバッタがかなり配置されている。
ガルマ達に物資を補給する、護衛、見張り……様々な役目を任された量産型Wやコバッタ達が。
そのような存在がいる以上、例えガルマが何らかの情報を得たとしても、それをジオン軍に知らせるといったことは出来ない。
通信機の類も回線が固定されているものしかないし、TVも受信専用の代物だ。
だからこそ、ガルマにホワイトベースのこれからについて、教えても問題はなかった。
「お前は情報を漏らせないし、もし情報を漏らした場合……この生活は終わりになる」
その言葉に、ガルマが我知らず唾を飲み込む音が聞こえてきた。
イセリナとの愛の巣とでも呼ぶべきここでの生活は、ガルマにとっても決して簡単に捨てられるような代物ではないのだろう。
「ともあれ……」
そんなガルマの緊張を解すように、俺は言葉を続ける。
実際にそれは一定の効果があり、緊張した様子だったガルマは小さく息を吐くと共に、テーブルの上にある紅茶を口に運ぶ。
「俺達は暫くハワイに戻ってくる事は出来ないと思う。だから、その間は2人でゆっくりと新婚生活を楽しんでくれ」
「……」
その言葉が琴線に触れたのか、イセリナの顔が急激に赤くなっていく。
元々婚約者なんだから、そこまで照れなくてもいいと思うんだが。
「ん、こほん。それでアクセル。ホワイトベースの方はどうなったのだ? ハワイまでは応急処置でやって来たんだろう?」
あからさまに話を誤魔化している様子だったが、武士の情けということで、その話に乗ってやる。
「そうだな。連邦軍のミデア隊が持ってきてくれたパーツや、ハワイの施設で作ったパーツによって、ほぼ万全の状態になった」
ほぼとしたのは、やはり細々としたところがまだ残っているからだ。
実際にこの先、どうなるのかというのは、正確にはまだ分からない。
この辺は、それこそ実際にホワイトベースを運用してみるまで、正確なところは分からないのだから。
「なるほど」
微妙に感慨深い様子のガルマ。
まぁ、何だかんだとガルマもホワイトベースとは色々と因縁があったしな。
……最後は、自分がホワイトベースに乗ってたけど。
もっとも、結局俺の部屋から出るようなことがなかったのだから、ガルマにとって具体的にどんな得があったのかは分からないが。
いや、俺やミナト、綾子という存在と友好的な関係を築いたという点では、ある意味で大きいのか?
イセリナとミナト達が仲良くなったのも、ガルマがミナト達と友好関係を築いていたから、というのが大きいし。
「そんな訳で、ユーラシア大陸に渡った後は、恐らくジオン軍と戦う事になる訳だ」
「……そうか。気をつけて、と私が言うのはどうかと思うが、それでもユーラシア大陸の戦いでアクセルが死なないように祈ってるよ」
俺が死ぬ、か。
正直なところ、MSが破壊されるような事はあっても、UC世界の人間に俺を殺すような真似はまず出来ないんだが。
とはいえ、わざわざそれを口にするというのもどうかと思うので、適当にスルーしておく。
「そうだな。……ちなみに、ガルマとしては、連邦軍がどこを狙うと思う? ……いや、違うな。元地球方面軍司令として、ユーラシア大陸のどこを狙われるのが嫌だ?」
「ふむ、そうだな。純粋にジオン軍としてという事であれば……オデッサだ」
「あー、なるほど」
その言葉は、俺にとっても十分に納得出来る。
オデッサというのは、ジオン軍が地球侵攻作戦を行った時、最初に占領した場所だ。
ジオン公国は宇宙に存在する以上、どうしても資源が乏しくなる。
小惑星を持ってきてそれを資源にという方法もあるのだろうが、コスト的な問題だったりを考えれば決して上手くはいかない。
ましてや、その小惑星にどれだけの資源が眠っているのかというのは、実際に採掘してみないと正確なところは分からないだろうし。
採掘する前に色々と調べはするのだろうが、それが本当に信じられるのかどうかというのは、また別の話だ。
……もっとも、ソロモンやア・バオア・クー、ルナツーのように、資源採掘用の小惑星はその後も拠点として使えたりするというメリットもある。
単純に資源というだけであれば、連邦に比べると割高だが、ルナ・ジオンがジオン公国に売ったりもしている。
様々な事情があるジオン公国の資源だが、それでもオデッサという資源の宝庫が、ジオン公国にとって最重要拠点の1つであるのは変わらない。
それこそ、ガルマが占拠していた北米と比べても、その重要度は同等……下手をすれば上という事も考えられる程に。
「だが、オデッサには姉上の部下で、知将と評判のマ・クベ大佐がいる。それを考えると、そう簡単にオデッサを占拠するといった真似は出来ないぞ」
「珍しいな」
ガルマの言葉に、素直にそう思う。
実際、ガルマは今までジオン軍についての内情は殆ど俺に話さなかった。
いやまぁ、俺もそれを聞くといった真似はしていなかったのだから、単純にそれが理由で喋られなかっただけかもしれないが。
ともあれ、ガルマがこうしてジオン軍の内情を喋るのは、珍しい事であるのは間違いのない事実だ。
「……アクセルには、色々と恩があるからな。出来れば死んで欲しくないと、そう思っただけだ」
男にツンデレされても、あまり嬉しくないんだが。
いや、イセリナであれば、嬉しく思うかもしれないか?
「オデッサを攻撃するのかどうかは、まだ分からないけどな。ただ、ジオン軍としてオデッサを奪われるのが嫌なのは、理解した」
「ああ。それに、オデッサを連邦軍に奪還されれば、恐らくだが月から資源を購入する際の値段は今よりも上がるだろう?」
「それは否定出来ないな」
セイラはともかく、アンリを含めた政治家達、そしてジェーンやルルー、メリルといった面々であれば、ジオン公国から少しでも多くの金を毟り取ろうとするだろう。
そう心配するガルマの言葉は、決して間違っていない。
「だろう? まぁ、その気持ちは分からないでもないけど。とにかく、下手に北米やアフリカを攻撃されるよりも、オデッサが一番嫌がるのは間違いないよ」
「その言葉は、覚えておく」
そう告げるも、実際には俺がその言葉を覚えていてもあまり意味はないのだが。
何しろ、ホワイトベースが……いや、連邦軍が攻撃する場所を決めるのは、俺ではないのだから。
レビルやゴップ辺りが、その辺をどう考えるかだな。
あるいは、ジオン公国と取引をしないようにと言ってくる可能性もあるが……あー、その辺はどうしたらいいんだろうな。
勿論、その辺りの事情を考えるのは俺じゃなくてルナ・ジオンの面々……そして最終的に判断するのは、セイラだろう。
俺にしてみれば、寧ろセイラが未だにジオン公国と取引をしているというのが、驚きだったりする。
セイラにしてみれば、ジオン公国というのは両親の仇だ。
だというのに、資源やら何やらの取引を止めないのは……ザビ家とジオン公国の国民は別として考えているという事だろう。
その気持ちも、分からないではない。
何だかんだと、セイラは優しいしな。
……自分の兄がガルマを殺そうとしたというのを知れば、セイラの胃が痛くなりそうだが。
「それで? あの下着はどうだったの? ガルマは気に入ってくれた?」
「はい。その……まるで獣のように私の身体を貪って……」
俺とガルマが話している横では、イセリナとミナト、綾子がそれぞれ話をしていたのだが……一体なんて話を。
いやまぁ、清楚なお嬢様といったイセリナが過激な下着を着けたりすれば、そのギャップにガルマがそういう事になってもおかしくはないが。
「ん、ごほん」
俺の視線に気が付いたのか、ガルマは小さく咳払いをする。
女同士のお喋りであっても、自分の夜の生活について話題にされたくはなかったのだろう。
ガルマがどこか責める視線を俺に向けてくるが、ぶっちゃけ俺はそういう感覚は既に麻痺してるしな。
ホワイトスターにいる時は、毎晩のように10人以上いる恋人達と熱い夜をすごしてるんだし。
そうなれば、当然のように女達でその時の出来事が話題になる事も多い。
勿論、ルリやラピスといった子供がいる時は教育上の問題からそんな話はしないのだが。
……ラピスはともかく、ルリは自分は子供ではなく少女だと主張しそうだけど。
ともあれ、ミナトは若干残念そうではあったが、ガルマからの無言の要望――ある意味嘆願――により、話題はファッションやら何やらに移っていく。
「全く」
「お前は少し気にしすぎだと思うけどな」
「そんな訳あるか。……いや、もしかしてこういう話は普通なのか?」
「どうだろうな。人によるとは思うけど」
ガルマはザビ家の出身だけあって、あまりそういう機会もなかったのだろう。
ただ、士官学校を卒業している以上、その辺の話……下ネタとか猥談とか、そういうのをした事があってもおかしくないと思うんだが。
「ふーむ、なるほど。もし私が一般人として暮らす場合は、そのような事も考慮せねばならない訳か」
「だろうな」
そう告げるも、何だかんだとガルマはこのUC世界においては有名だ。
ちょっと前には、国葬もされたし。
その時は、ガルマの巨大な写真が飾られていたのを思えば、どうしてもガルマが普通に暮らすというのは難しいだろう。
UC世界以外であれば、話は別かもしれないが。
「とはいえ、ガルマが一般人として暮らせるかどうかは……この独立戦争がどのようにして終わるかというのに、関わってくるんだが」
ぶっちゃけた話、俺の中……そしてルナ・ジオンにおいては、この独立戦争が連邦の勝利で終わるというのは、既に決定事項だ。
ルナ・ジオンやシャドウミラーが連邦軍に協力した時点で、それは決まっていた。
もっとも、独立というだけなら、既にジオン公国は目的を達しているのだが。
何しろ、連邦軍がジオン軍との間に南極条約を結んでいるのだから。
国として認めてないのであれば、条約の類を結べる筈もない。
もっとも、連邦軍にしてみればコロニー落としやMS、1週間戦争やルウム戦役、レビルの捕虜といった具合に立て続けに悲劇に襲われた以上、南極条約を結ばなければいつまたコロニーが降ってくるか分からなかった。
おまけに、1週間戦争とルウム戦役によって連邦軍の戦力はその大半が消滅してしまっていた以上、早急にコロニー落としを禁じる必要があったのだろう。
ぶっちゃければ、その時点でもう1度ジオン軍がコロニー落としをやっていれば、連邦軍は防げなかったのだ。
ジオン軍の方も、これまでの戦いでMSや軍艦の損耗が予想以上に多かった、というのも、コロニー落としが出来なかった理由なのだろうが。
「この戦争が終ってから、か」
自分の事だからか、ガルマは俺の言葉に短く、それでいて真剣に呟くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469