転生とらぶる   作:青竹(移住)

2455 / 4297
2365話

 海中から発射されたミサイル。

 ゴッグに注意を引き付け、その隙を突くという作戦はそう複雑なものではないが、それなりに考えられていると言ってもいい。

 本来なら水上艦や潜水艦といった敵を攻撃する目的で運用されているジオン軍の海軍戦力なのだろうが、ホワイトベースは空を飛んでいるのでMSに魚雷やアイアンネイルといった近接攻撃が出来ない。

 だからこそ、今回のような攻撃をしたのだろうが……短時間で考えたにしては、それなりに有効なのは間違いない。もっとも……

 

「MSがいるという時点で、ミサイルの数が足りなかったけどな」

 

 どのみちゴッグはこちらへの攻撃手段を持たない以上、実弾兵器をもった面々はゴッグを無視し、ホワイトベースに向かって飛んでくるミサイルを次々に撃破していく。

 勿論、ゴッグが何か妙なことをしないとも限らないので、ゴッグの重装甲であっても、当たれば大きな被害……もしくは撃破出来るだろう低反動キャノンやバズーカを持つガンダムとガンキャノンによって牽制して貰っていたが。

 ジオン軍が使っている潜水艦というのは、ユーコンとマッドアングラーという2種類だけだった筈だ。

 もしかしたら他にも俺が知らない艦種があるのかもしれないが、大別するとその2種類なのは間違いない。

 それらの空を飛ぶ敵に対しての攻撃方法としては、基本的に海上まで浮かんでのミサイル発射が一般的だ。

 今回は海の中からミサイルが現れたが、それは恐らくかなり無理を……それこそ、この戦いでミサイル発射管が壊れてもいいと思っているくらいの行動だと思われる。

 そこまで無理をして攻撃をするのか? という思いもあるが、ガルマを殺したという事になっているホワイトベースだけに、当然のようにそこまで恨まれていても仕方がないのか。

 まさかガルマが生きていて、しかも現在はハワイで婚約者と同棲しているなんて事は言えないし、そもそも言っても信じて貰えないだろう。

 ともあれ、今はこっちに向かって来ているミサイルを次々に迎撃していく。

 こうしてミサイルを迎撃するという点では、ピクシーが持つ90mmサブマシンガンでも十分というか、弾数が多くて弾幕を展開出来るだけに最適なんだよな。

 おかげで、空中ではミサイルが次々と爆発していく。

 潜水艦部隊としても、かなり無理をしての発射だからなのか、放たれたミサイルの数は結構多い。

 これは、ミサイル発射装置が壊れてもいいから、その前に可能な限りミサイルを撃っておこうと、そういう事だったりするのか?

 理由はどうあれ、ミサイルは次々と破壊されていき……

 不意にどんっ、という爆発音と共に、水柱が上がる。

 

『よっし。どんなもんだい!』

 

 通信で聞こえてきたのは、カイの得意げな声。

 今の様子から考えると、この水柱……ゴッグの撃破は、カイのガンキャノンがやったのだろう。

 アムロよりも先にゴッグを撃破するとは……ちょっと予想外だった。

 もしかしてこの世界の原作って、実はカイがアムロ以上のエースパイロットだったって事はないよな?

 もしくは、アムロ以上の能力を持っていたが、シャアが小惑星を地球に落とそうとしていた時は、既にカイは死んでいたとか。

 そんな事を考えている間にも、ガンタンク隊と俺のピクシー、そしてホワイトベースの対空砲座はミサイルを迎撃していき……やがて、こちらに向かって来たミサイルは、その全てが撃破される事になる。

 ゴッグを1機撃破されたからか、ミサイルを全弾発射したからか、もしくはミサイル発射口に不具合でも生じたのか。

 理由は分からないが、ジオン軍は攻撃を諦めて撤退していく。

 

「……退いた、か」

 

 結局今回の戦いで撃破したのは、ゴッグが1機のみ。

 潜水艦のミサイル発射管には被害を与える事が出来たかもしれないが、それでも被害としてはそう多くはないだろう。

 そうなると、今回の一件は様子見だったのか? ……いや、ゴッグしか戦力がない状況で攻めて来た事を考えれば、本気だったと思った方がいい。

 そうなると、あの部隊が再度攻撃を仕掛けてくる事は、そこまで心配しなくてもいい。

 戦力を補充し、潜水艦のミサイル発射管の修理が終わる頃には、既にホワイトベースはユーラシア大陸に到着している筈だからだ。

 ユーラシア大陸に渡ってしまえば、潜水艦部隊ではホワイトベースに攻撃は出来ないし。

 もっとも、それはあくまでも撤退していった部隊であれば、の話だ。

 潜水艦部隊は、別に1部隊しか存在しない訳ではない。

 であれば、撤退していった部隊が応援を呼ぶという可能性も否定出来ない。

 そうなると、ユーラシア大陸に急がせた方がいいな。

 

「ブライト」

『何だ?』

 

 通信装置でブリッジにいるブライトに連絡すると、すぐにブライトの顔が映像モニタに表示される。

 

「今回の敵は迎撃出来たが、他の部隊を呼ばれる可能性がある。それを考えると、少しでも早くユーラシア大陸に向かった方がいい。ホワイトベースの速度を上げられないか?」

『話は分かるが……いや、そうだな。今回は何とか敵を撃退出来たが、次も同じ編成で来るとは思えない』

「今回はゴッグだったけど、ズゴックが来たら厳しいだろうな」

 

 胴体を相手に向けなければ射撃が出来ないゴッグと違い、ズゴックは腕さえ海から出ていればメガ粒子砲を撃てる。

 それも、ゴッグのような収束出来ない拡散メガ粒子砲ではなく、ビームライフルとかそういう感じのビームで。

 空中を飛べるホワイトベースだが、その大きさから被弾面積は大きい。

 その上、下に向けて撃つ砲台は……ない訳ではないが、やはり少ない。

 そのような状況で下からメガ粒子砲やら頭部のミサイルやらを撃たれるような真似をすれば、それこそSEED世界でやったようなバレルロールしながらの攻撃でもしなければ、非常に厳しいだろう。

 ……あ、でも操舵士がミナトだと、普通にホワイトベースでもバレルロールは出来そうだな。

 もっとも、艦内に多大な被害が出そうだが。

 特に格納庫なんかは、MSを含めて様々な代物を固定しておかないと、死人が出てもおかしくはないし。

 そんな事になるよりも前に、やはりさっさとユーラシア大陸に向かった方がいい。

 

『そうだな。出来ればホワイトベースの調子をしっかりと確認しながら移動したかったんだが。……だが、ジオン軍が狙ってくるとなると、それはユーラシア大陸に……いや、ユーラシア大陸に行けば、モルモット隊と合流出来るし、東南アジア戦線にある連邦軍の基地を拠点に出来るのか』

「そうなる。もっとも、こっちの戦力が増えるのと同様に、ジオン軍の戦力も増える事になるんだけどな」

 

 地球の海が半ばジオン軍の勢力圏内と言ってもいいような状況であるのは間違いないが、それでも陸と海では圧倒的に陸の方が戦力は多いのだ。

 であれば、当然のようにホワイトベースというガルマの仇がいるとなれば、地上戦力がこちらに集まってくるだろう。

 とはいえ、モルモット隊も東南アジア戦線もMSを使っている以上、戦力的にはこっちの方が大きくなると思うのだが。

 何より、海だとピクシーは牽制やミサイルの迎撃くらいしか出来ないし。

 

『分かった。新たな戦力がこちらに来る前に、ユーラシア大陸に急ごう』

 

 その言葉と共に通信が切れる。

 取りあえず、これで後は潜水艦部隊に襲われるような事がなければいいんだが。

 そう思いながら、ピクシーのコックピットから下りる。

 メカニックに90mmサブマシンガンの弾丸の補給を頼み……

 

「へへん、どうよ」

 

 俺の側までやって来たカイが、自慢げに呟く。

 いやまぁ、実際そうするだけの事はあるのだ。

 今回の戦いの中で、唯一の戦果がゴッグ1機の撃破で、それを行ったのがカイだったのだから。

 それを思えば、こうして自慢するのも分かる。

 

「ちょっと、カイさん。敵MSの撃破は、僕がゴッグを追い込んだからでしょう」

「いやいや。ちょっと違うよ、アムロ君。幾ら敵が追い込まれていても、こっちの攻撃が当たらなければ意味はないだろう? 僕ちゃんは、それを当てる事が出来たんだ」

 

 そんなカイの言葉に、アムロは不機嫌そうな表情を浮かべる。

 ゴッグを攻撃していたのはアムロとカイで、敵を撃破したのはカイのみというのが、アムロに若干の不満を抱かせているのだろう。

 

「カイの技量が上がってきたのは、間違いない事実だろうな。けどまぁ……」

 

 そこで言葉を切ると、カイは不満そうな視線を向けてくる。

 

「何だよ?」

「いや、多分実際にアムロとカイが戦えば、アムロが勝つんだろうなと思って」

 

 む、と。

 カイが俺を見る視線が厳しくなる。

 そんなカイとは裏腹に、アムロが俺を見る目は意外そうな色があった。

 まさか、アムロにしてみれば俺にそんな評価をされるとは思ってもいなかった……といったところか。

 ただ、純粋にお互いの実力を考えれば、アムロとカイが戦った場合はアムロが勝つというのは間違いない。

 実際にシミュレータを使った訓練では、カイが全敗……という訳でもないが、勝率では圧倒的にアムロが上なのだから。

 

「ちっ、わーってるよ」

 

 俺を見ていたカイは、やがてそう言って視線を逸らしながら、頭を掻く。

 自分でも調子に乗っていたというのが分かったのだろう。

 この切り替えの早さというか、自分を冷静な目で見ることが出来るというのが、カイの長所だよな。

 もっとも、カイ本人はその辺を理解しているのかどうかは分からないが。

 そんな中で、いつの間にかこちらに近づいていた綾子が口を開く。

 

 

 

 

「ここで言い争いをしているよりも、まずは着替えて報告書とかを書いた方がいいんじゃない?」

「っと、そうだな。ブライトの奴をあまり待たせる訳にはいかないし」

 

 綾子の言葉にリュウが続き、何だかんだとその場は有耶無耶になる。

 カイにしてみれば、アムロというのはサイド7時代は、言ってみれば自分より格下の存在だった。

 だが、MSに乗るようになってから、その才能を発揮するようになり、ホワイトベースの中でもトップエースだ。

 ……俺と綾子もいるが、俺達の場合は基本的に傭兵という立場である以上、純粋にホワイトベースの戦力としては考えない方がいい。

 ともあれ、カイとしてはアムロに対して色々と思うところがあったのが、さっきの戦いではアムロは敵を撃破出来なかったのに、カイは撃破出来た。……出来てしまった、という表現の方がこの場合は正しいか。

 ともあれ、そんな感じであるが故に、カイの中にあったアムロに対する様々な感情が爆発したといったところか。

 その上、アムロが敵対視……いや、ライバル視しているのは俺で、アムロ本人にその気はなくても、自然とカイを下に見るようになっている……というのもあるのだろう。

 俺から見ると、カイは何気に結構な才能があるんだけどな。

 アムロに負けたくないという事で、かなり真面目にシミュレータで訓練をやっているのもあるのだろう。

 ぶっちゃけ、アムロやカイ、リュウはともかく、ホワイトベースの戦力の中ではハヤトが一番腕が劣る。

 これは、リュウと一緒にガンタンクに乗ってるから……というのもあるのだろうが。

 どうしても、頼りになる軍人のリュウと一緒に行動しているハヤトと、1人でガンキャノンやガンダムを操縦しているカイやアムロとでは、操縦技術の差が開いてしまう。

 それに、基本的にガンタンクはホワイトベースの甲板とかに乗って、敵の攻撃が届かない場所から援護射撃をする事が多い。

 そんなハヤトと、敵と正面から戦っている――戦わざるを得ない、という表現の方が正しいが――アムロとカイ。

 この両者の操縦技術に差がつくのは当然だろう。

 とはいえ、ガンタンクの方は教育型コンピュータのおかげで、もう暫くすれば1人のパイロットで動かせるようになる……かもしれない、というのを、メカニックから聞いた覚えがある。

 そうなれば、リュウと一緒でいざとなればリュウに頼ればいいといった風な甘えも自然と抜けて、今よりは操縦技術が上がるだろうが。

 そんな風に思いながら着替え、報告書を書き上げていく。

 その際、色々と気が付いた事も書くのだが……俺が気が付いた事は、既に先程の通信でブライトに知らせておいた事もあり、改めて書く事は……そうだな、どうせならさっき喋ったと同じような事を書いておけばいいか。

 自分の部屋に戻ってくると、早速ブライトに上げる報告書を書く。

 とはいえ、さっきブライトに喋った事を書くのだから、そこまで考えて書く必要はない。

 それに、ぶっちゃけ俺はホワイトベースの傭兵的な存在なのだから、この辺は実は適当でもいいんだよな。

 そんな風に考えつつ、ジオン軍の水陸両用MSや潜水艦が無理をして攻撃しただろう事。その理由として、ガルマの仇討ちだろうといった事を報告書に書くのだった。

 それと、出来ればピクシー用にビームライフルやバズーカといった武器を用意して欲しいとも。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1469

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。