転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2366話

「何とかなった、か」

 

 ホワイトベースがユーラシア大陸に上陸――という表現が正しいのかどうか分からないが――したのを確認して、俺は安堵する。

 取りあえず、ハワイを出てから水陸両用MS隊に襲われたのは、1度だけだった。

 これがもう諦めたのか、それとも被害を受けて仲間を呼んでいたが仲間が集まるのに時間が掛かったのか、もしくはそれ以外の理由か。

 その辺りの事情は俺にも分からなかったが、それでも今回に限って言えば面倒が少なくなったというのは、俺にとっては楽だったのは間違いない。

 水陸両用MSというだけあって、ズゴック辺りが追いかけてきてもおかしくはないのだが。

 

「確か、モルモット隊とかいうMS部隊と合流するんだったか?」

 

 食堂で紅茶を飲んでいると、俺の向かいでジュースを飲んでいたカイがそう尋ねてくる。

 現在食堂にはMSパイロットの面々が揃っており、軽食……もしくはお茶の時間を楽しんでいた。

 ちなみにホワイトベースには女もそれなりにいるし、カツ、レツ、キッカという子供達もいる為か、何気にお菓子の類もそれなりに充実していたりする。

 俺にとっては嬉しい充実ぶりだ。

 特にハワイで多くの食材やら何やらを補給出来たのも大きかったらしい。

 

「そうだな。ホワイトベース以外でもMSを運用している部隊がいるのは驚いたけど」

「それはそうですよ。MSなんて代物を使えるようにするには、色々と準備が必要でしょうし。そのモルモット隊ってのも、その準備の一環なんでしょうね。……名前は正直どうかと思いますが」

 

 アムロの言葉に、それを聞いていたリュウも頷く。

 

「まぁ、ホワイトベースに搭載されていたのは、MSの試作機的な意味の機体が多かったからな。それを考えれば、普通の……本当の意味での連邦軍の量産型MSを運用する為のデータ収集とか、そういうのがあってもおかしくはない」

「いや、本当のって……そういう言い方はちょっと……」

 

 ハヤトも自分が乗っているガンタンクに対する思いはあるのか、リュウの言葉にそう口を挟む。

 とはいえ、正直なところガンタンクの類はMSとして中途半端なところが多い。

 それを考えると、将来的にはガンタンクが消えるという可能性は十分にあった。

 もっとも、SEED世界のザウートやW世界のトラゴスというMSが存在するのを考えれば、意外と生き残る可能性はあるのかもしれないが。

 コストとかも、ガンキャノンよりはガンタンクの方が安いだろうし。

 ん? そうなると、真っ先に消えるのは実はガンキャノンだったりするのか?

 

「戦力が増えるのは嬉しいな。ガルマの人気が高いから、その仇討ち部隊とかは来そうだし」

 

 ハワイで婚約者と同棲をしているという事は一切表に出さず、そう告げる。

 そう、実際に生きているのか死んでいるのかというのは、この場合あまり関係はない。

 表向きでは死んでいて、ガルマを慕っていた者達にもガルマが死んだと思われている以上、本当のガルマの生死は無意味……とまでは言わないが、それでもあまり関係ない。

 特にギレンが国葬をあそこまで派手にやった以上、ガルマの死は既に決定事項なのだ。

 そのような者達にしてみれば、ホワイトベースの襲撃を躊躇しないだろう。

 そういう意味でも、モルモット隊がホワイトベースに合流するというのは非常に頼もしい。

 ……問題なのは、そのモルモット隊がどれくらい戦力になるか、といったところか。

 モルモット隊なんて名前ではあるが、MS操縦の基礎を築くという意味では、この部隊の重要性は考えるまでもない。

 であれば、当然のようにそこに所属するのは高い才能を持つ奴という事になる筈なんだが……連邦軍の中には色々と問題のある高官もいるから、その辺が妙な事をしないように祈るとしよう。

 

「モルモット隊以外となると、東南アジア戦線の連邦軍か」

「僕はそちらの方が興味深いですね」

 

 アムロが興味深そうな視線をリュウに向ける。

 ガンダムを製造する上で一定の基準に達していなかった部品を使って作った陸戦型ガンダム。

 機械に興味を持つアムロが、自分の乗っているガンダムと大きな関係のある陸戦型ガンダムに興味を持つというのは、当然の事だった。

 

「あー……その、だな」

 

 だが、そんなアムロの様子に、リュウが何か言いにくそうな様子を見せている。

 

「どうしたんだ?」

「ああ。これは下士官の間ではそれなりに有名な話だ。東南アジア戦線を率いているのは、イーサン・ライヤー大佐という人物なんだが……実はこのイーサン大佐、レビル将軍に強い対抗心を持っているらしくてな。俺達はそのレビル将軍紐付きの部隊と思われている可能性があるから、色々と不愉快な思いをしないとも限らん」

「……レビルと?」

 

 俺が知ってる限りでは、レビルの階級は大将だ。

 イーサンというのが大佐だとすれば、大将と大佐と、階級の差は大きい。

 だというのに、何故イーサンがレビルをライバル視するんだ?

 階級的に見れば、間違いなくイーサンはレビルに相手にされないだろうに。

 

「あくまでも下士官での噂だけどな」

 

 そう言うリュウだったが、下士官というのは侮れない情報網を持っていたりする。

 それを考えると、イーサンがレビルに対抗意識があるのは、ほぼ間違いないだろう。

 身の程知らずという言葉が思い浮かんだが、それはきっと俺以外の者達も同じ筈だ。

 レビルは連邦軍の中で真っ先にMSの有用性を察して、V計画を発動させた。

 それに比べると、イーサンはそのV計画の後追いをしているにすぎない。

 いやまぁ、聞いた話では未だに連邦軍の中にはMS不要論……大艦巨砲主義の軍人もいるという話だから、そういう連中に比べれば随分とマシなのは間違いないんだろう。

 だが、それでも俺達――ルナ・ジオンとシャドウミラー――と友好的な関係にあるレビルに対抗心を抱いているというのは、厄介な話だ。

 俺達が寄った時に、妙な事をされないといいんだが。

 

「レビル紐付きのホワイトベースがその基地に行ったら、何か妙な真似をされると思うか?」

「どうだろうな。イーサン大佐も、ここで下手な真似をすれば、それが致命的なダメージになるというのは分かっている筈だ。特に、今の状況ではな」

「今の状況? それって、どんな状況さ?」

 

 カイの言葉に、リュウは微妙な表情を浮かべて、緑茶を一口飲んでから口を開く。

 

「実は、現在東南アジア戦線では、ジオン軍と連邦軍がかなり拮抗しているらしい。連邦軍も陸戦型ガンダムがあるから、MS戦力には対抗出来るんだが、パイロットの技量となると、どうしてもジオン軍の方が上になる」

「あー……まぁ、そうだろうな」

 

 俺が納得の表情を浮かべると、他の面々もその言葉に納得する。

 これは、実際にホワイトベースでMSパイロットとして戦っているからこそ、そのように実感できるのだろう。

 ジオン軍はMSを開発した時から、操縦訓練をしてその運用方法もしっかりと考えてきた。

 それに対して、連邦軍は1週間戦争とルウム戦役でジオン軍のMSに壊滅的な被害を受け、それでようやくMSの本格的な開発を始めたのだ。

 勿論、実際にはその前からジオン軍のMSを多少なりとも研究とかしていて、ある程度の下地はあったのだろうが、それでもどうしてもジオン軍よりMSの運用で劣ってしまうのは、無理もないだろう。

 だからこそ、同じMSでの戦闘となれば、どうしてもジオン軍が有利になる。

 とはいえ、純粋にMSの性能という点では、連邦軍製のMSの方が上である以上、一方的にやられ続ける……という事にはならない筈だが。

 ともあれ、ジオン軍の相手……そして以前聞いた話によると、そこに地元のゲリラも加わって三つ巴の状態である状況で、仮にも同じ軍であるホワイトベースに妙なちょっかいを出す余裕があるかと言われれば、そこはまた難しいと思うが。

 

「そうなると、寧ろ俺達を上手く使おうとして、ジオン軍に対する戦力にするとかか?」

「うげ。それで手柄はそのイーサンって大佐が持っていくのかよ」

 

 心底嫌そうにカイが呟くが、果たしてそう上手くいくかどうかといった問題がある。

 俺が個人所有しているピクシーはともかくとして、それ以外のMSは戦闘中の映像データといった代物が残る事になる。

 ホワイトベースがイーサンの指揮下にあるのなら、その映像データを削除したりといった真似が出来るかもしれないが、レビル直属の部隊という扱いになっているホワイトベースの運用に口を出すのは難しいだろう。

 ……よっぽどホワイトベースが大きな失敗でもすれば、それがレビルの失態となりかねないが。

 いや、そうなると……寧ろ、俺達を戦力として利用しながら、何らかの失敗を犯させるとか、そんな風に狙っている可能性もあるのか?

 

「次にマチルダのミデア隊が来たら、その辺について話をしておいた方がいいかもしれないな」

 

 何しろ、ホワイトベースの指揮官たるブライトは、士官候補生から臨時で中尉に昇進したような、イーサンからすれば若造以外のなにものでもない。

 であれば、イーサンにとってブライトを自由に操る程度の事は、容易に出来てもおかしくはない。

 ブライトも、その辺は気をつけるだろうが、やっぱり亀の甲より年の功って奴だ。

 大佐という地位にいるイーサンに対抗するには、ブライトでは難しい。

 それを考えると、大佐であるイーサンが大将のレビルに対抗するのも難しそうな気がするが。

 ましてや、レビルにはゴップという……外見からはとてもそうとは思えない程に優秀な仲間もいる。

 イーサンにどのような仲間がいるのかは分からないが、ゴップとレビルを相手にどうにか出来るとは、到底思えなかった。

 

「そうだな。そうした方がいい。後で俺がブライトの方に言っておくよ」

 

 リュウが俺の言葉に、そう答える。

 とはいえ、実際にはマチルダも階級としてはブライトと同じ中尉なのだから、それを思えば今回の一件はそう簡単にどうこう出来るとは思えないのだが。

 

「あー……ったく、面倒臭えな。ようやくジオン軍の追撃を逃れて連邦軍の勢力圏内に入ったと思ったのによぉ」

 

 不満たらたらといった様子でカイが呟く。

 まぁ、その不満は分からないでもない。

 宇宙で苦労してようやく地球に降下したかと思えば、北米というジオンの勢力圏内で、それを認識するかどうかといったところでジオン軍に襲われ、その後も何度も戦いを繰り返したことで、何とか北米を脱出し、ハワイでようやく一休み出来るかと思えば、ガルマの一件から外に出ることを許可されないでずっとドックに閉じ込められたままだ。

 そしてハワイを出たかと思えば、ジオン軍の潜水艦部隊に襲われ、それを撃退してユーラシア大陸に到着すれば、そこでは連邦軍の出世争いに関わる事になる。

 これは、カイでなくても不満を口にするのは当然だろう。

 

「あー、ほら。別にイーサン大佐が本当に俺達に何かしてくると決まった訳でもないし。な? もしかしたら、意外と厚遇してくれるって可能性もあると思う」

 

 誤魔化すような様子で告げるリュウだったが、それはリュウ本人も信じていないような言葉だというのは、聞いている皆が分かった。

 この様子を見ると、噂の真実はともかくとして、リュウ本人はイーサンとやらはそういう風な事をやる人物だと、そう思っているらしい。

 そして、下士官としての勘というのは決して侮っていいようなものではない。

 

「いっそ、俺がゴップかレビルに通信を入れるか? 東南アジア戦線にある基地なら、ジャブローとも安全に通信出来ると思うし」

「ちょっ、おい。それをやるとイーサン大佐が余計にこっちにちょっかいを掛けてくる可能性が高いって」

 

 俺の言葉に、リュウが慌てたように告げる。

 そうか? と思わないでもなかったが、実際にイーサンという人物の性格を聞いた感じでは、そんな風にもなりかねない。

 とはいえ、レビルやゴップから釘を刺されるような事があれば、イーサンも迂闊な真似を出来ないとは思うんだが。

 特にレビルの仲間のゴップは、補給についての強い権限を持つ。

 ここで正面からジオン軍とMSを使って戦っていたり、ちょっかいを出してくるだろうゲリラへの対処で、補給は必須だろう。

 特にMSの運用については、推進剤や武器の補充やら部品やらといった感じで、かなりの補給物資を必要とする。

 そんな状況でイーサンがゴップの指示に従わないとは思わなかったが……ともあれ、リュウがそう言うのであれば、取りあえず向こうの出方を待つとしよう。

 

「なら、取りあえずリュウの言葉を信じておくよ。ただ、向こうが妙な真似をしてきたりしたら、こちらとしても相応の対処をしないといけない。特に、ピクシーはガンダムではあっても、俺が個人所有しているMSだ。もしそれを奪おうとするような事があった場合は、最悪の結果が待ってると思ってくれ」

 

 普通なら個人の持ち物を奪うような真似はしないだろう。

 だが、東南アジア戦線ではMSを運用しているのだ。

 そうなると、イーサンがピクシーに興味を持つという可能性は、皆無とは言えなかった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1469

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