「すいません、中尉」
「いや、気にしないでくれ。それよりも、彼は大丈夫なのか?」
「はい。向こうも手加減していたらしく、サンダース軍曹も打撲程度で済んだようです」
サンダースの治療を終えると、俺達は近くにあった店に入った。
もっとも、店とは言っても普通の街にあるような店ではなく、それこそ適当にテーブルと椅子を並べてあるような……イートインスペース的な場所、と表現した方がいいか?
ここが前線だと考えると、これはある意味で当然の事なのかもしれないが。
ちなみに、ここに来るまでの間に自己紹介は済ませてある。
少尉の名前は、シロー・アマダ。
第08MS小隊の隊長を務めているらしい。
そう、つまり俺がこの東南アジア戦線に寄った最大の理由である、陸戦型ガンダムのパイロットなのだ。
そうである以上、色々と話を聞いた方がいいだろうと判断して、こうして俺、ブライト、シローの3人でこの店にやって来た。
ちなみにサンダースは、重傷ではないとはいえ怪我をしたのは事実なので、治療を終えた後は自分の部屋に戻っている。
1人になりたいというのもあったんだろうが。
死神ってのは、色々と意味深な発言だったな。
俺にとっても、死神という言葉は関係が深いので、若干気にはなったが。
ちなみに、俺とブライトも自己紹介をしたが……アクセル・アルマーという名前に不思議そうな表情を浮かべたものの、やはりシローは俺をシャドウミラーのアクセル・アルマーだとは認識出来なかったらしい。
年齢と外見がかなり違うから、これが普通なんだよな。
……尚、あの乱闘の件やブライトを露骨に侮った態度の件に関しては、既にイーサンに報告済みだ。
これからレビルに頭を下げるかどうかを迷っている中で、自分の部下――末端も末端だが――がレビル直轄部隊の俺達にちょっかいを出したという事で、この点はイーサンにとっても大きなマイナスだろう。
あの3人は名乗りもせずに立ち去った……いや、逃げ去ったが、それだってこの基地にいる者、特にあの場にいた者に証言をさせれば、名前は容易に判明するだろう。
あの3人が一体どういう罰を与えられるのか、少し楽しみでもあったりする。
「そうですか、レビル将軍直轄の……」
ブライトの言葉に、シローは素直に凄いといった視線を向ける。
年齢的にはブライトの方が数歳下なのに、階級はブライトの方が1つ上。
これがどちらかがもっと極端に開いているのであれば、そこまでブライトも緊張したりはしなかったのだろうが。
「あ、ああ。そういうシロー少尉は機械化大隊の所属なのだろう?」
「そうなります」
「ガンダムを地上戦用に改修した機体を使っているという話だが、使い勝手はどうだ?」
「いいですね。サンダース軍曹は以前宇宙でジムのテストをしていたようですが、それと比べてもかなり性能は上らしいです」
「……宇宙?」
ふと、宇宙という言葉に口を挟む。
俺が知ってる限り、宇宙で連邦軍がMSを開発しているところはルナツーとサイド7くらいしか存在しない。
だが、ルナツーは現在ルナ・ジオン軍が占拠しているし、サイド7はシャアの攻撃によって殆ど使い物にならなくなっている筈だった。
その辺の事情を考えると、宇宙でジムのテストをしていたというのは……いや、ルナツーが占拠される前にテストをしていたという事か? なら、可能性はあるな。
「アクセル? どうしたんだ?」
俺の正体が分からない以上、シローは取りあえず俺を年下の軍属という感じで扱う事にしたらしい。
別にそれに不満がある訳でもないので、素直に首を横に振る。
「いや、宇宙でMSを開発していたって話だけど、どこでやっていたのかと思って。ルナツーはルナ・ジオン軍に占拠されているだろ」
「あー……その件か。それは運が良かったらしい。ルナツーが襲われた時、丁度離れていたんだ」
なるほど、運がいい。
とはいえ、それのどこかどうなって死神云々なんて話になるのか、俺には分からなかったが。
とはいえ、シローがその話はあまりしたくない様子を見せている以上、恐らく……いや、確実に何か訳ありなんだろう。
そして、その訳ありなのが、サンダースが死神呼ばわりされている原因なのかもしれないな。
シローの機嫌を損ねると情報収集に難があるので、話を変えるとするか。
「陸戦型ガンダムってのは、具体的にどうだ? 使いやすいのか?」
話題が移った事で、シローも若干ほっとした様子を見せる。
……実際には、自分が乗っているMSの情報というのは基本的に部外秘なんだろうが、今の状況や、その話しているのが連邦軍所属の俺達だというのもあって、口が軽くなっているのだろう。
まぁ、そもそもの話、陸戦型ガンダムはこの基地では普通に使われている以上、そこまで情報を統制する必要はないのかもしれないが。
「性能という点では、ジオン軍のMSよりも明らかに上だ。ただ、MSの素性の問題で、リミッターが掛かっているのがちょっとな。勿論、そのリミッターも解除しようと思えば出来るんだが」
「リミッター? 何でまた、そんなものが?」
「なるほど」
俺の言葉に、ブライトが納得したように頷き、俺に説明する。
「陸戦型ガンダムは、ガンダムのパーツで規定値に届いていない物を使って開発された機体だ。つまり、いわゆる限界値はそのパーツによって色々と違ってくる。1機だけを動かすのならそれでもいいのかもしれないが、部隊単位の数を動かすとなると、それぞれの機体によって限界値が違うというのは、厄介だ」
「それで、リミッターを掛けて部隊として使えるように全機の性能を画一化してると?」
「そうなるな」
その辺の事情をブライトが知っているのは珍しいと思ったが、前もってマチルダから聞いていたのか、それとも陸戦型ガンダムという機体を知ってから調べたのか。
そこら辺は俺には分からないが、それでも分かる事は、ブライトが何気にガンダムについて……いや、MSについて色々と勉強しているという事だろう。
MS運用艦の艦長をしているというのを考えると、そこまでおかしな話ではないのかもしれないが。
「陸戦型ガンダムは使いやすい機体なのか? 具体的には他のMSに比べて」
「あー……どうだろうな。俺は他のMSに乗ったことがないから、正直なところ何とも言えない」
少し恥ずかしそうに告げるシローだが、MSのパイロットをやってるって事は、MSの操縦訓練は受けたんじゃないのか?
それとも、この場合は教習用のMSは例外と考えているのか。
出来れば、陸戦型ガンダムについてもっと聞きたいところだが……
「なら、武器はどうだ? ガンダムと言えばビーム兵器だけど」
アムロの乗っているガンダムは、ビームライフルにビームサーベルがある。
俺のピクシーも、ビームライフルはないものの、ビームダガーを使っている。
そうなれば、陸戦型ガンダムもビーム兵器を持っていてもおかしくないのではないかと思って尋ねる。
「一応ビームライフルはあるけど、基本的には実弾だな」
「実弾か」
「何だ? 実弾は嫌いなのか?」
「いや、そういう訳じゃないんだけどな。実弾兵器は、それはそれで使い勝手も悪くないし」
俺がピクシーで使っている90mmサブマシンガンは、敵を牽制するという意味ではかなり有効な兵器だ。
だが、どうしても威力という点ではビームライフルには及ばない。
ガンダムの持つビームライフルよりも高性能なガンキャノンのビームライフルを使った事があるから、余計にそう思うのだろう。
「ガンダムのビームライフルは、それだけ衝撃が強かったという事だろうな」
ブライトも俺の言葉に賛成だったのか、同意するように頷く。
ガンダムのビームライフルは、このUC世界においては、それだけ強烈なインパクトをもたらしたということなのだろう。
「真っ直ぐしか飛ばないビームライフルに比べて、実弾は山なりに撃てるから、かなり使いやすいんだが。コスト的にも、ビームライフルよりも上だし」
そんな俺とブライトとは裏腹に、シローとしてはビームライフルよりも実弾の方が好みらしい。
地球にいると、そっちの方が普通なのか?
あるいは、単純にそれがシローの好みなのか。
その辺はどうなのか分からないが、ともあれシローにとっては実弾兵器の方が馴染み深いのは間違いない。
威力という一点で、ビームの方がいいんだけどな。
「ビームと実弾に関しては分かった。他に何か陸戦型ガンダムの特殊な機能はあるか?」
「そうだな。陸戦型ガンダムの武器は多種多様だけど、それらの武器を運ぶ為にウェポンコンテナを背負えるようになってる」
「……ウェポンコンテナ?」
シローの口から出たのは、俺にとっても予想外の言葉だった。
てっきり、もっと別の何かについて話すのだとばかり思っていたのだから。
だが、シローは予想外といった俺の様子を特に気にした様子もなく、説明を続ける。
「そうだ。陸戦型ガンダムの背中には、ウェポンラックがある。そこに設置する形で、ルナ・チタニウムで出来た箱を背負うんだ」
「……おい、何て贅沢な真似をしてるんだよ」
ルナ・チタニウムというのは、非常に高価な金属だ。
それを、MSの装甲とかに使うのならまだしも、何故武器を運ぶコンテナに使おうと思ったんだ?
「アクセルがそう言いたい気持ちは分かるけど、このコンテナはかなり役に立つんだ。陸戦型ガンダムで実弾兵器で一番強力な武器の180mmキャノンなんかを分解して運ぶ事が出来る。また、ルナ・チタニウム製だから、何かあった時に盾代わりとして使う事も不可能じゃない」
「……なるほど」
シローは言わないが、ルナ・チタニウム製のコンテナとなると、いざという時は武器としても使うことが可能だろう。
そのコンテナを武器として使う程に追い詰められるというのは、あまり想像したくはない光景だろうが。
「180mmキャノンは、威力は高いけど砲身が長い。そういう意味では分解して運べるウェポンコンテナはありがたい」
満足そうに、それでいて若干の不満を滲ませながら告げるその言葉は、自分の乗っているMSについて愛着心があるのは間違いなかった。
それも当然か。現在連邦軍の中でMSを使っている軍人というのは、どうしても数が少なくなる。
ホワイトベースに、まだ会っていないが俺達と合流するモルモット隊。他にも幾らかそういう部隊はいるのだろうが、全体の数で見れば圧倒的に少数なのは確実だった。
そんな中で、仮にも複数の小隊が同じMSを運用しているとなれば、それはかなり凄いことだ。
そう考えると、この東南アジア戦線でMS部隊を複数用意したイーサンは何気に有能なのか。
有能だからこそ、レビルに対抗心をもっているといったところか。
これが、無能でレビルに対抗心を持っているのなら、どうしようもないといったところなんだが……
有能なら、レビルとの間にある階級差も理解出来てもいいような気がするし。
ともあれ、イーサンが無能ではないと分かっただけでよしとしよう。
……実は、レビルがMS部隊を編成したからといって、それが羨ましくて陸戦型ガンダムとかでMS部隊を作ったなんて事は、さすがにないよな?
「後、うちの部隊で変わっているところといえば……そうだな、ホバートラックか?」
「ホバートラック?」
「ああ。もっとも、トラックとは言っても実際には軽装甲車って感じの車両だけどな。管制、索敵、哨戒を担当する」
そう言い、ホバートラックの説明を受けるが、ホバーという単語がついているように、ホバー移動するので移動する場所を選ばないらしい。
他にも軽い運搬車としての役割を果たしたり、アンダーソナーを使ってミノフスキー粒子下であってもそこから近づいてくる敵を察知したり出来るらしい。
アンダーソナーを使うには、専門の訓練を積むか常人よりも聴覚が鋭くなければならないが。
だが、ミノフスキー粒子という存在がある中で、地上限定とはいえ接近してくる敵が分かるというのは非常に便利だ。
「ブライト、ホバートラックは俺達でも使えるんじゃないか?」
「無理だな。元々ホワイトベースの運用だけで何とかといったところなんだ。そんな状況で、新たにホバートラックを貰っても……使いこなすのは難しい。シロー少尉が言っていただろう。使うには、専門の訓練を積むか、常人よりも聴覚が優れている必要があると」
ブライトの言葉に、俺も納得せざるを得ない。
こうなると、ハワイから量産型Wを1人でも連れてくればよかったか?
いや、だがホワイトベースの面々は量産型Wに慣れていないのを考えると、量産型Wが来た事で色々と面倒が起きる可能性もあるか。
そう考え、俺はホバートラックの件を諦める。
ただ、ルナ・ジオン軍では運用しても面白いかもしれないと、そう思いながら。
その後も、暫くの間シローから色々と話を聞くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469