東南アジア戦線の基地に到着した翌日……ある意味で当然の事ではあるが、昨日の模擬戦が終わってから、ブライトは大勢からの面会を申し込まれたらしい。
MS隊を率いてる隊長だったり、基地の上層部だったり、何がどうなったのか補給部隊や工作部隊といった面々も接触してるとかなんとか。
そんな状況に色々と思うところがない訳でもないが、今はとにかくブライトに頑張って貰うとして……
「へぇ……意外だな」
「あー……そうだね」
俺の言葉に、相手……シローが頭を掻きながら、そう告げてくる。
この一帯のゲリラについて詳しい人物に情報を聞こうと思ってリュウに相談したのだが、そこで下士官のネットワークを使って得られた情報から、接触した相手が目の前の人物……シローだった。
リュウの下士官ネットワークはこいういう時に色々と便利なのは間違いないが、それでも予想外の結論を持ってくる事がある。
「俺はゲリラに詳しい相手と話をしたいって思ったんだが、それでシローが出て来るって事は、やっぱりシローがその辺りに詳しいのか?」
その言葉に、シローは真剣な表情で頷く。
ちなみにシロー以外にも、この前見たサンダースとリュウと接触した赤髪の女の下士官、長髪の軽そうな男と、サマナとどこか似た雰囲気を持つ男……いや、少年か? の姿がある。
これが、シローの部下達……08MS小隊らしい。
「ああ、そうなる。それで、アクセルはゲリラの何が知りたいんだ?」
「そうだな。ぶっちゃけたところを言えば、ゲリラには連邦軍の味方になって欲しい」
「……難しいな。今まで、そういう交渉をしてこなかったと思うか?」
だろうな。
連邦軍にしろジオン軍にしろ、この地域一帯について深く知っているゲリラ達は、それこそ可能なら仲間にしたい。
にも関わらず、今もゲリラ達がどちらの味方ではなく第3勢力といった形になっているのは、何らかの理由があるのだろう。
「どっちが自分達を高く買うか、とかか?」
「それもある。けど、それ以前の問題だよ。ゲリラと一口で言っても、大勢いるんだ。村や地域によっては、連邦軍に協力する奴もいれば、ジオン軍に協力する奴もいる」
そう言ったシローの目には、一瞬だったが間違いなく憎悪の光が浮かんでいた。
穏やかな性格をしていると思ったシローだったが、実際にはジオンを憎んでいるのか?
今回の独立戦争では、多くの被害が出ている。
それを考えれば、その辺は特におかしな事ではない……と、思う。
その辺を突っつくのは、今は止めておいた方がいいか。
「なるほど。ゲリラと一口に言ってはいるけど、実際には1つの集団という訳じゃなくて、小さなゲリラが集まってるのか」
「ああ」
頷くシローに、厄介な事になったと思う。
SEED世界の明けの砂漠のように、この辺にいるゲリラは1つだと思っていた。
あ、いや。SEED世界でも、アフリカには他にも幾つかゲリラ集団……レジスタンスがあったって話だし。
レジスタンスとゲリラを一緒にするのも、どうかと思うけど。
「それで、シローが接触しているゲリラは……考えるまでもないか。連邦軍側か」
「そうなる」
「隊長が女誑しで良かったよな。……ぎゃっ!」
軽そうな男がそう言った瞬間、赤髪の女がその足を思い切り踏む。
にしても、女誑しねぇ……
「い、いや、違うぞ! 俺とキキは別にそういう関係じゃない!」
俺の視線に何かを感じたのか、シローは慌てたようにそう告げる。
なるほど。シローと仲が良いのはキキという女なのか。
「なら、そのゲリラに会えないか? ゲリラとして、東南アジア戦線についてどう思っているのかを聞きたい」
「いや、けど……あの村の連中は、気が荒いぞ? その……」
それ以上言葉を口にはしなかったが、シローが何を言いたいのかは、大体理解出来た。
つまり、見知らぬ俺がそのゲリラに会いに行った場合、向こうに絡まれたりするかもしれないと、そういう事なのだろう。
……まぁ、ゲリラだし。そのくらい荒っぽくても、おかしくはないか。
とはいえ、MSの類を持っている訳でもないゲリラが、俺をどうにか出来る筈もない。
いや、MSがあっても気や魔力がなければ、俺をどうこうする事は出来ないが。
「その辺は問題ない。実際にゲリラと会って話してみないと、色々と分からない事も多いし。……それに昨日の模擬戦を考えると、そう遠くないうち……場合によっては明日とかにでも、ジオン軍との戦いに参加する事になりかねない。なら、今のうちに可能ならゲリラの一件を片付けておきたいんだよ」
「……分かった、案内しよう」
シローがそう告げると、08MS小隊の面々が驚きの表情を浮かべる。
恐らく、俺にゲリラの件を話すのはともかくとして、実際にゲリラのいる村に連れていくとは思わなかったのだろう。
「じゃあ、早速行くか。……どうする? シローがいいなら、俺が魔法で送ってもいいけど」
魔法? とシロー以外の面々……特に赤毛の女が胡散臭そうな視線を向けてくる。
ん? 俺がアクセル・アルマーだってのを、シローは教えてないのか?
そんな疑問を抱くが、シローは首を横に振る。
「いや、アクセルには悪いけど、軍用車で行く。魔法とかそういうので移動した場合、間違いなく向こうを警戒させる事になるだろうし」
そういう事になるのだった。
「軍用車ってのは、どうしてこうクッション性が悪いんだろうな」
密林の中を走ったから当然なのかもしれないが、シローが運転する軍用車は、悪路を走るのに向いてはいるが、乗り心地は決していいとは言えなかった。
いや、寧ろ悪いと言ってもいいだろう。
「ははは。軍用車は、とにかく頑丈にというコンセプトで作られてるから」
俺の不満にそう返しながら、シローは車から降りる。
俺もまた、そんなシローの後を追うようにして、車から降りた。
やって来た村は、一見すれば普通の……ゲリラとかそういうのは、全く関係ないような村に見える。
水田や畑があり、そこで働いている村人も多い。
「シローッ!」
村の中を見ていると、不意にそんな声が周囲に響く。
村の奥から走ってきたのは、15歳くらいか? そのくらいの年齢の女。
ぶっちゃけ、今の俺とほぼ同年代くらいの女だ。
その女は、シローの姿を見て嬉しそうに近寄ってきたが、俺の姿を見て動きを止める。
そして、怪しむようにこちらを見てきた。
「ちょっと、あんた誰?」
「アクセルだ。そうだな……分かりやすく言えば、シローの同僚か?」
「あんたが? 連邦軍の服を着ていないのに?」
「ああ。まぁ、同僚って言っても連邦軍に雇われている傭兵みたいな感じだしな」
「へぇ。……とてもじゃないけど、MSを操縦出来るようには見えないんだけど?」
今の俺の外見から考えると、そんな風に思われても無理はない。
そんな女……恐らく、この女がキキと言うのだろうが、そのキキにシローは窘めるように言う。
「キキ、アクセルはかなり強いぞ。実際、昨日の模擬戦では凄かったし」
うん、どうやらやっぱりシローも昨日の模擬戦は見ていたらしい。
MS小隊を率いる立場としては、その辺りは当然かもしれないが。
「そうなの? ……ま、いいけど。それで? シローは何をしに来たの? 父さんに用事?」
「そうだな。バレストさんにアクセルを紹介しようと思って」
「ふーん」
そのバレストというのが、キキの父親にして、シローの話から考えるに、この村のゲリラを率いている人物なのだろう。
そうなると、このキキはお嬢様とかお姫様とか、そんな感じなのか?
……こうしてシローに懐いているところを見ると、とてもではないがそう思えないが。
「ま、分かった。こっちよ」
キキに案内され、俺とシローは村の中を進む。
……進むのだが……
「なぁ、シロー? 何だか妙に敵意を向けられてないか? それも、俺じゃなくてお前が」
そう、村人達がこちらを見る視線には敵意――そこまで強くはないが――があり、そして、その敵意は俺ではなくシローに向けられている。
勿論、全く俺に敵意が向けられていない訳ではない。
この村にとって見知らぬ存在である以上、俺を警戒するのも当然だろう。
ましてや、ここはゲリラの本拠地だ。
閉鎖的になるのは当然である以上、この状況はおかしな話ではない。
問題なのは、この村にとっては顔見知りの筈のシローが、何故ここまで敵意をもたれているのか、ということだ。
考えられる可能性としては、キキが懐いているから、とか?
キキはゲリラを率いている人物の娘である以上、シローを悪い虫と認識してもおかしくはない。
ましてや、シローは連邦軍の軍人なのだから。
「どうしたのさ?」
「いや、何でもないよ」
キキの言葉に、シローはそう返す。
この殺気は基本的にシローに向けられている為か、キキはそれに気が付かないのだろう。
それはそれでどうかという思いがない訳でもないが。
ともあれ、シローという盾がいるおかげで、この村に初めて来た俺がいても、特に問題なく村の奥にある家に到着出来た。
……実際には、シロー以外に、キキが俺達を案内していた、というのも大きいのだろうが。
「ここだよ。さ、入って。……父さん、シローが来たよ。何か、知らない人を連れて来た。父さんに用があるんだって」
家の中に入り、そう叫ぶキキ。
俺とシローも、その後に続く。
ゲリラのリーダーであっても、別に豪邸に住んでいるという訳ではない。
他の家よりは若干大きいが、その辺は誤差の範囲内だろう。
……ゲリラを率いていても、そこまで大きな権力や財力がある訳ではないといったところか。
ともあれ、家の奥に進むと、そこでは数人の男達とキキが待っていた。
その中でも、椅子に座っている人物こそが、キキの父親にしてゲリラを率いている人物なのだろう。
「軍人さん、久しぶりだね」
キキの父親……バレストだったか。そのバレストがそうシローに声を掛ける。
バレストの周囲にいる者達はシローに厳しい視線を向けているが、それを全く気にした様子がない。
「久しぶりです」
「それで? そちらの御仁は?」
「彼はアクセル・アルマー。今日来たのは、彼を紹介したかったからなんだ」
「ほう? アクセル・アルマーねぇ。……あの?」
バレストは、そう言いながら俺に視線を向けてくる。
あのアクセル・アルマーかと表現するという事は、その名前の意味するところを知っているのだろう。
いやまぁ、この世界で暮らす者にとって月が独立国家となった件は、一大事だろうし。
ゲリラ活動をしていても、当然のようにその辺については情報を得ているのだろう。
連邦軍と交渉したりとかも、する必要があるし。
「あの、かどうかは分からないが、俺がアクセル・アルマーなのは事実だ」
「てめえ、親っさんに向かって何て口の利き方をしやがる」
バレストの護衛をしていたゲリラの1人が、俺の口調が気にくわなかったのか、そう言ってくる。
向こうにしてみれば、この周辺が世界の全てだ。
そしてバレストはその中でも強い影響力を持つ人物だけに、そんなバレストに対等な口で話す俺が許せなかった……そんなところか。
ゲリラとしては間違っていないんだろうが……
「止めろ」
俺が何かを言うよりも前に、バレストが護衛の言葉を制止する。
こちらは、俺の立場をしっかりと理解しているのだろう。
……もっとも、俺が本当にアクセル・アルマー……シャドウミラーの代表であるかどうかというのは、決めかねているようだが。
これについては、現在10代半ば……それこそキキと同じ年代の姿に変わっている以上、バレストが悪い訳ではないが。
「親っさん?」
「その御仁は俺の客人だ。……意味は、分かるな」
「……へい。失礼しました」
渋々……本当に渋々といった様子で、全く納得していない様子ではあったが、それでもその護衛のゲリラは後ろに下がる。
「失礼した、アクセル殿。それで、今日ここにきた用件は一体どのような?」
「そうだな。この辺りはジオン軍、連邦軍、ゲリラの三つ巴になっている。そのゲリラと話してみたかったというのが1つ。それと、このまま三つ巴の状況ではあまり面白くないから、ゲリラには連邦軍の味方をして欲しいというのが1つ、だな」
「それは……前者はともかく、後者は難しい。そもそも、ゲリラと言ったって1つに纏まっている訳じゃない」
「だろうな。ゲリラという勢力があるのは間違いないが、その中でも連邦側、ジオン側、もしくはどちらでもなかったりといった具合になってるんだろ?」
その言葉に頷くバレスト
前情報は間違っていなかったらしい。だが……
「それでも、こちらとしては連邦軍側について欲しい。もしくはそのように動いて欲しい。……どうだ?」
そんな俺の言葉を聞き、バレストはじっと考え……やがて俺の目の中に何を見たのか、大きく息を吐いてから口を開く。
「確実にとは約束出来ないが、それでもそのように動いてみよう」
そう、告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:425
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1469