転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2379話

 ジオン軍の前線基地を占拠した後で、いきなり現れた未確認MS。

 いや、友軍の信号を出していたという事は、連邦軍のMSなのは間違いないんだろうが……その友軍のMSが基地の周囲に展開していたMSを撃破したとなると、話は違ってくる。

 幸運だったのは、占拠した前線基地の周囲を警戒していたのが俺達じゃなくてイーサンの部下だった、という事か。

 ただし、陸戦型ガンダムではなく陸戦型ジムを擁する部隊だが。

 運用しているMSという点ではモルモット隊と変わらないのだが、技量という点では劣っている。

 だからこそ、こうもあっさりと正体不明のMSに撃破されたのだろう。

 もっとも、友軍信号を出している味方がいきなり攻撃してくるとは、普通考えない。

 そういう意味では、同情の余地ありといったところか。

 ともあれ、連邦軍の機体を撃破して姿を現したのは、こちらもまた陸戦型ジム。

 ……俺が聞いた話では、何だかんだと陸戦型ジムってのはそこまで数がないって事だったんだが……随分と陸戦型ジムが大安売りされてる気がする。

 ともあれ、現れたのは蒼いパーソナルカラーに塗られたジム。

 いや、機体の形状がモルモット隊の乗っている陸戦型ジムとは違う、か? あれは……頭部が陸戦型ジムだが、それ以外は陸戦型ガンダム? ……まぁ、分かりにくいので、取りあえず陸戦型ジムと認識しておこう。

 何故か連邦軍のMSを攻撃したという点で、あからさまに怪しい。

 

「各機、注意しろ。このMSはおかしい」

 

 そう告げると、俺はピクシーに90mmサブマシンガンを構えさせる。

 あのMSは味方を攻撃した。

 であれば、俺達に攻撃してきてもおかしくはない。

 

「ホワイトベース、この蒼い陸戦型ジムについての情報は? どこの所属だ? ここにいるという事は、東南アジア戦線の基地か?」

『……いえ、現在基地に問い合わせていますが、何も情報はありません』

「そうか。……ブライト、敵が襲ってきたら、最悪撃破する事になると思うが、構わないか?」

 

 その言葉に、映像モニタに映し出されていたモーリンがブライトに代わる。

 

『やむをえん。出来れば、撃破せずに捕らえて欲しいが……』

「そう言ってもな。今は何故か動きが止まっていてこっちに攻撃をしてこないようだが……」

 

 実際、蒼い陸戦型ジムは何故かここに姿を現してからは、こちらに攻撃してくる様子はない。

 何かを探しているかのような……

 そう考えた瞬間、不意に陸戦型ジムの頭部が光ったように思えた。

 

「ちっ、来るぞ! 全機警戒しろ!」

 

 俺が叫ぶのとほぼ同時に、蒼い陸戦型ジムは一気に前に出る。

 向かったのは……アムロの乗るガンダム。

 だが、俺が驚いたのは、ピクシーを放ってアムロに襲い掛かった事ではなく、その速度だ。

 陸戦型ジムという機体はモルモット隊と同様の筈なのだが、その機体性能は明らかにモルモット隊の物よりも上。

 機体を自分用に調整したり、カスタム化したりといった事をすれば、性能は多少は変わるだろう。

 だが、蒼い陸戦型ジムの動きは、その範囲を完全に超えている。

 それは少しの改修程度で変わるようなものとは、到底思えなかった。

 ……もっとも、その動きはこちらで攻撃出来ない程ではなかったが。

 

『各機、誤射防止システムを解除しろ』

 

 ユウの通信が聞こえる。

 そう言えば、味方の反応を示している相手には攻撃出来ないようにされてたんだったか。

 ピクシーは最初から解除してるので問題ないが。

 どうしても機体に制限があるというのは好みではない。

 それに、言っては何だが場合によっては連邦軍が俺を攻撃してくるという可能性も否定は出来ない。

 だからこそ、咄嗟の時の為に準備をしていた。

 若干戸惑う他の連中をよそに、蒼い陸戦型ジムに対して90mmサブマシンガンを撃つ。

 アムロのガンダム、自分が襲われるという事で大きく後ろに跳躍して退避していた。

 だが……当然ながら、90mmサブマシンガンの攻撃力程度では、ルナ・チタニウム製の装甲を持つ陸戦型ジムにダメージを与える事は出来ない。

 元々が牽制用の武器だけに、それは分かっていた。

 アムロから少しでも注意を逸らせればと、そう思っての攻撃。

 もしくは、攻撃する相手をアムロから俺のピクシーに変えてくれればと。だが……

 

「何?」

 

 90mmサブマシンガンの連射を食らっても……いや、食らい続けていても、蒼い陸戦型ジムはそれには全く構わず、何故かアムロだけを攻撃している。

 ビームサーベルを展開し、大きく振るう。

 ビームサーベルを持っていない方の手で殴りつけようとする。

 そんな行動の全てが、かなりの速度での行動なのだ。

 

『アムロ、そいつから離れてくれ! 援護出来ねぇ!』

 

 ガンキャノンに乗っているカイの声が通信で響く。

 低反動キャノンやビームライフルといった武器は、それこそ命中すればルナ・チタニウムの装甲であってもダメージを与える事は出来る。

 だが、それだけの威力の武器だけに、もし間違って当たってしまえばガンダムにも大きな被害が出る事になるのは確実だった。

 そして、残念ながらカイには高速で行われている戦闘の中で、蒼い陸戦型ジムだけを狙って攻撃するといったような技量はない。

 才能はあって、急速に成長していても、まだそこまでの域には達していないという事だろう。

 ユウならそのくらいの実力はあるだろうが。

 

『ちょっ、待って下さい! この……しつこいっ!』

 

 カイの言葉に、アムロが叫ぶ。

 アムロのガンダムは、何とかして蒼い陸戦型ジムとの距離を取ろうとしている。

 だが、蒼い陸戦型ジムは執拗にアムロを狙うのだ。

 それこそ、他の敵は全く目に入っていないかのような、そんな様子で。

 ……ガンダムを狙うのなら、俺のピクシーだってガンダムだ。

 また、この中で一番強い相手を狙うという意味でも、それは俺だろう。

 こうなると、何がどうなって今のような状況になっているのか、全く分からない。

 アムロがあの蒼い陸戦型ジムに恨みを買った?

 可能性はない訳ではないが、それでここまでするような奴がいるとは、ちょっと思えない。

 もっとも、世の中には気にくわない相手は絶対に許せないと考える奴もおり、あの蒼い陸戦型ジムに乗っているパイロットもそんな奴かもしれないが。ともあれ……

 

「いい加減にしておけよ、この!」

 

 90mmサブマシンガンでは意味がないと悟り、俺はビームダガーを引き抜き、一気に前に出る。

 蒼い陸戦型ジムは、そこまでやってようやく俺を危険と判断したのか、アムロに対する攻撃を止めて、ビームサーベルを振るう。

 そのビームサーベルの一撃を、ビームダガーで受け止め……って、それでもアムロの方に行くのか!?

 ビームサーベルでこちらの動きを牽制しつつ、武器を持っていない方の手でアムロのガンダムを殴り飛ばそうとする。

 こいつは、本当に何でそこまでアムロに固執するんだ?

 そんな疑問を抱くが、もしかして実はアムロが主人公だったりするからか?

 だとすれば、この蒼い陸戦型ジムも原作で出て来た敵キャラだったりするんだろうか。

 

「アムロ、一旦退け!」

『分かってます! けど、こいつが!』

 

 俺の言葉に、アムロが苛立たしげに叫ぶ。

 その気持ちも分からないではない。

 他は目に入っていないかのように、蒼い陸戦型ジムはアムロを狙っているのだから。

 しかも、その攻撃手段というか機体の動きは、かなり鋭い。

 アムロであっても、油断をすればやられかねない程に。

 それでも俺が横からちょっかいを出しているので、蒼い陸戦型ジムの攻撃意識が幾分かこちらにも割かれており、アムロだけで対峙するよりはマシ……な筈だ。

 

「今から攻撃するからタイミングを合わせて後方に跳べ。いいな? 1、2……3!」

 

 有無を言わせずに告げたその言葉に、それでもアムロは従う。

 俺の言葉に合わせて、ガンダムの頭部に伸ばしてきた蒼い陸戦型ジムの手を大きく振り払うと、スラスターを全開にしながら後方に跳ぶ。

 一瞬……本当に一瞬ではあったが、蒼い陸戦型ジムはその動きを止め、その隙を突くかのようにビームダガーを構えたピクシーで敵に突っ込んでいく。

 素早く振るわれるビームダガーが、蒼い陸戦型ジムの右腕の肘から先を切断する。

 斬り飛ばされた腕が空中を舞っている間に、更に一撃を加えようとし……だが、不意にホワイトベースからの通信が入る。

 

『アクセル、ストップだ! そのMSにはこれ以上手を出すな!』

 

 聞こえてきたのは、ブライトの声。

 蒼い陸戦型ジムのコックピットにビームダガーを突き込む寸前に、その一撃は止められる。

 蒼い陸戦型ジムは、こっちの攻撃が止まった瞬間、この戦場から離脱していく。

 数秒前まではアムロに狂的なと言ってもいい程の執着心を抱いていたとは、とてもではないが思えないような、そんな行動。

 

「ブライト、どういうつもりだ? こっちはアムロを襲われたんだぞ? いや、アムロだけじゃない。俺達の部隊に被害は出なかったが、前線基地の周辺を警戒していた他のMSには被害が出ている。なのに、放っておけってのか?」

 

 前線基地の周辺を守っていた部隊は、イーサンの子飼いの部隊だ。

 前線基地の中にある重要書類やら、コンピュータからデータを引き出したりとか、そういう仕事をしている連中を守る為に用意された。

 それだけに、俺達に今回こうやって攻撃をしてきたMS……それも、友軍の識別信号を出しているMSを見逃せというのは、納得出来る話でない。

 というか、そんな事をした場合はイーサンの方で不満を抱くんじゃないか?

 

『分かっている。こちらとしても同じ気持ちだ。だが、現在ホワイトベースはイーサン大佐の指揮下に入っている。その大佐から直々に追撃をするなと言われれば、こちらとしてはそれを受け入れるしかない』

「……何?」

 

 一瞬、俺はブライトが何を言ってるのか分からなかった。

 もしかして、嘘を言ってるじゃないかとすら思った程だ。

 当然だろう。イーサンの立場としては、部下が……それも直属の部下が一方的に被害を受けた形だ。

 だというのに、そのイーサンから追撃を控えるように言われた。そうブライトは言ったのだから。

 

「それは、本当にイーサン直々なのか? 誰かがイーサンの名前を騙ってきたとか、そういう事じゃなくて?」

『そうだ。イーサン大佐とは、通信越しではあっても直接話したから間違いない。……今回の件には手出し無用との事だ』

「手出し無用、ねぇ……」

 

 イーサンにしてみれば、自分の部下に大きな被害を出した。

 その上、レビルに頭を下げて借りている俺達という戦力にすら、攻撃されたのだ。

 あの蒼い陸戦型ジムが狙ったのが高い操縦技術を持つアムロだったから、結果的にダメージを負うような事はなかった。

 だが、それはあくまでも結果論でしかない。

 もし狙われたのがアムロ以外の者であれば……少し戦ってみた感じではあるが、ユウでも苦戦したのは間違いないと思う。

 カイやフィリップであれば、1人ではどうしようもなかっただろう。

 ましてや、サマナの陸戦型ジムに襲い掛かっていれば、ほぼ間違いなく死んでいた筈だ。

 ……ガンタンク隊の方に向かっていれば、より大きな被害が出ていただろう。

 その辺の事情を考えると、やはり今回の件は単純に運が良かっただけだ。

 つまり、今回の一件でイーサンはレビルに対して大きな借りを作ってしまった事になる。

 この前線基地を攻略する上でこちらに被害が出たのであれば、それはあくまでも俺達の実力が低かったからであって、イーサンもレビルに借りを作るといった事はしなくてもよかっただろう。

 だが、今回は違う。

 俺達がイーサンに要請された前線基地の制圧という仕事を終え、その管理もイーサン子飼いの部下達に渡し、俺達には全く関係のなくなったところで、こうして攻撃されたのだ。

 イーサンの立場としては、そんな真似をした相手は当然のように追撃して、何を思ってこのような真似をしたのかを厳重に調べるべきだろう。

 場合によっては、ジオン軍が陸戦型ジムを奪ってそれを使い、攻撃を仕掛けてきている……という可能性だって、十分以上にあるのだから。

 

「何があったんだ?」

『それは分からない。分からないが……イーサン大佐がこうしてこちらの行動を止める以上、恐らくより上からの指示だと思う』

 

 ブライトが本当に嫌そうな様子で告げる。

 まぁ、一介の中尉……それも士官候補生から臨時で中尉となったブライトにしてみれば、そんな上層部で行われている駆け引きには関わり合いになりたくないといったところだろう。

 

「そうか。……話は分かった。それで、これから俺達は一体どうすればいいんだ?」

 

 あの蒼い陸戦型ジムに攻撃されて、前線基地を守っていた連中はそれなりに被害を受けた。

 そうなると、俺達はここで待機していればいいのか? それとも、基地に戻ればいいのか?

 

『基地に戻って欲しいという事だ。……恐らく、こちらに見られたくない、知られたくないものがあるんだろうな』

 

 ブライトのその言葉で、俺達は前線基地から即座に撤退することに決まったのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:510
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1486

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