転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2381話

 基地に戻ってきた俺達は、1日の休暇を許された。

 ……ぶっちゃけた話、こうして完全に休暇を許されたという時点で、この東南アジア戦線にある基地にやって来た理由はあるよな。

 ホワイトベースだけで動いていた場合、休暇をするにも全員が一斉にという訳にはいかないし。

 実際に北米で海水浴を楽しんだ時も、半舷休息……つまり、ホワイトベースの人員の半分だけしか休めなかった。

 しかも、そうして休んでる中でアムロがジオン軍の勢力圏内に突入するなんて真似をした事もあって、その休暇も実際には数時間で終わったのだが。

 ともあれ、現在ホワイトベースがいるのは連邦軍の基地なので、全員がしっかりと休暇を楽しめる訳だ。

 とはいえ、ここはあくまでも軍事基地。

 そんな基地内で遊べるような場所も多くはない。一応ある程度の施設もあるにはあるのだが。

 キキのいる村に遊びに行くか? と思わないでもなかったが、シローと一緒ならともかく、俺が1人で行っても怪しまれるだけだろう。

 キキの村以外にも、幾つかの村や街は存在している。

 だが、その村や街も特に何か遊ぶような場所はない。

 酒場の類はあるけど、俺が酒を飲むのはレモン達に禁止されているし、実際に今まで色々とやらかしてしまった過去がある以上、俺も自分から進んで酒場に行きたいとは思わない。

 ……それに、酒を飲んでも美味いとは思えないしな。

 酒場で出すような料理は、結構好きなんだが。

 それにしても、俺は混沌精霊になって人間ではなくなった。

 結果として、物理的な攻撃やら何やらでは全くダメージを負う事はなくなった筈なんだが……それでも、普通に酒を飲めばやらかしてしまうのは、何でなんだろうな。

 エヴァに聞きに行った事もあるが、その時はあくまでも予想でしかないと断られた上で、俺自身が酒という存在に対してそのように思っているので、一種の概念に近い感じになって俺にそのような属性がついたのではないか……という風に言われた事があったが。

 もしそれが本当なのだとすれば、拳とか刀とか銃弾とか爆弾とかミサイルとかその他諸々とか。そういうのに対しては全く平気なのに、何故アルコールに関してだけは……という思いがない訳でもない。

 ともあれ、そんな訳で酒場にもいかずに俺が何をしているのかと言えば……

 

『おおっとぉっ、ムウのストレート一閃! ダイトスが倒れたぁっ!』

『わああああああああああああああああああああっ!』

 

 周囲に歓声が響き渡る。

 俺の視線の先では、軍人……それも身長180cm程の男が地面に倒れている。

 俺の拳によって、殴り倒された男だ。

 この歓声を聞けば分かるように、別に喧嘩をしている訳ではない。

 ここは、連邦軍の基地の中の一画。

 現在そこでは、有志によるボクシングが行われていた。

 当然のようにただのスポーツという訳ではなく、賭けを前提としたボクシングだ。

 今日は特にやるべき事もなかったので、基地の中を歩いていると、その途中でジダンとかいう08MS小隊の関係者と会って、そのまま何故かここに連れて来られた。

 で、何だかんだとやっているうちに俺が賭けボクシングに出る事になった訳だ。

 正直なところ金に困ってる訳ではなかったので、特に参加する意味もなかったんだが。

 だた、暇潰しとして考えれば、そんなに悪い訳じゃない。

 ……折角なので、ジダンに頼んで俺の金を俺に賭け続けて貰っているが。

 その結果として、現在の俺の小遣いはちょっとしたものになっている筈だった。

 感覚的には数日豪遊しても問題ないくらいには。

 当然そうやって俺が勝ち続けていれば、この基地の軍人達にしてみれば面白くない。

 そんな訳で、ウェルター級のチャンピオンとか、ヘビー級の世界何位だとか、そういう連中と連戦する事になったのだが、それでも連勝を続けたのだ。

 というか、この基地はそこまでの規模がある訳でもないのに、よくそんなにチャンピオンとか世界何位だとかがいたな。

 

『強い、強い、強い! ムウ・ラ・フラガのこの強さは一体なんなんだ!』

 

 視界の声が周囲に響く。

 ちなみにムウ・ラ・フラガの名前を使っているのは、本名を出すよりはそっちの方がいいからだと思った為だ。

 これで連邦軍にもムウの名前が広まるとは、思っていない。

 というか、ここは所詮地球の中でも幾つもあるような基地だ。

 そんな場所でムウの名前が少しくらい有名になっても、基本的にそこまで広まるような事はない筈だろうし。

 そんな訳で、特に気にしてはいない。

 

「次、誰だ! 俺は誰の挑戦でも受けるぞ! このムウに挑む勇者はいないのか!」

 

 俺の声が周囲に響く。

 だが、既に10人以上が連続して負けているという事もあり、次の挑戦者が姿を現す様子はない。

 結局その後は誰も俺に挑戦するような真似はせず、俺はお払い箱となった。

 

「アクセルのおかげで、儲けた、儲けた」

 

 ジダンが嬉しそうに笑いながら、俺に分け前を渡してくる。

 ぶっちゃけた話、最初の数戦はともかく、後になれば倍率がかなり低くなって、ろくな儲けにもならなかっただろうに。

 そんな風に思いつつ、貰った金をしまう。

 俺の目論見通り、その金額は数日は豪遊出来るだけのものになっていた。

 とはいえ、この基地で使うとしてもそこまで使い道はないんだよな。

 ……それでも、この基地での滞在が終わった後は、いつ連邦軍の基地に入れるか分からない以上、ここで金を使わなければ宝の持ち腐れになる。

 シロー達にプレゼントするくらいか。

 それなら、この基地で適当に何か買っていくというのはありだろう。

 何を買うかとなると、少し迷うが。

 上機嫌で女神に会いに行くとか言っているジダンと別れ、俺は折角の軍資金をどう使うかを考えつつ、基地の中を歩く。

 にしても、女神って一体何なんだろうな?

 このUC世界で本当に神がいるとも思えないし。

 そんな風に思いつつ、取りあえず店に向かう。

 この基地は結構な広さを持ち、小さな街のようになっている。

 そのおかげで、種類は多くはないが、相応に店の類もあった。

 

「お、アクセル! ちょっといいか!?」

 

 基地の中を歩いていると、不意に名前が呼ばれる。

 そちらに視線を向けると、そこにいたのは長髪の男……08MS小隊のエレドア。

 何だか、妙に上機嫌だが……一体何があったんだ?

 

「どうした? 偉く機嫌がいいけど」

 

 エレドアに……いや、08MS小隊の連中にしてみれば、この前の前線基地での戦いにおいて、蒼い陸戦型ジムの攻撃で仲間に被害が出た筈だ。

 にも関わらず、エレドアには全く気にした様子がない。

 俺がシローと会った時の事を考えれば、MS小隊同士であっても決して友好的な関係ではない……それどころか、半ば悪意に近い対抗心を持っている者も少なくないらしい。

 それを思えば、エレドアにとって前線基地を守っていたMS小隊はそこまで気にする相手ではなかったという事か。

 

「メジャー、メジャー!」

「……メジャー?」

 

 テンションが非常に高いエレドアが、メジャー、メジャーと叫んでいるが、正直なところ何を言ってるのか意味が分からない。

 メジャーってのは、長さを測る道具のメジャーか?

 もしくは、プロ野球の?

 いや、道具の方はともかくとして、野球の方はジオン公国が独立戦争を仕掛けてきている今の状況で、行われている筈がないか。

 というか、そもそもUC世界でメジャーリーグはまだ生き残ってるのか?

 そんな疑問を抱く俺とは違って、エレドアは嬉しさが止まらないといった様子で言葉を続ける。

 

「そうだよ。メジャー! 俺の曲がメジャーデビューするんだ!」

「あー……なるほど」

 

 メジャーってのは、そっちの意味でのメジャーだったのか。

 確かに音楽業界とかでも、メジャーデビューとか言うしな。

 それに、エレドアの外見を見れば音楽をやっているといった風に言われれば、十分に納得出来る様子ではあった。

 ……ぶっちゃけ、俺は音楽とかには全く詳しくないのだが。

 シャドウミラーの中で音楽に詳しいのが誰かと言われれば、それは文句なくシェリルだろう。

 それこそ銀河の歌姫と呼ばれる程なのだから、音楽的な才能という点では圧倒的だ。

 シャドウミラーに所属した今でも、マクロス世界では根強い人気を誇っているし、それ以外の世界でもエレドア曰くメジャーデビューを果たしている世界は多い。

 一応この世界でもそれなりに知られているので、もしかしたらエレドアもシェリルの名前くらいは知ってるかもしれないな。

 

「えーっと、その様子を見る限りでは、おめでとうと喜べばいいのか?」

「ああ、勿論だ! 俺はこの先ビッグになってみせる!」

 

 ヒャッホーと叫びつつ、踊りながらエレドアは俺の前から去っていく。

 うん、よっぽど嬉しかったんだろう。

 とはいえ、このUC世界においても音楽業界とかあるんだな。

 ジオン公国が独立戦争を起こすまでは、このUC世界も普通の世界だったのだ。

 それを考えれば、音楽業界を始めとしたエンタテインメントの類が発達していてもおかしくはない。

 戦争中の今も音楽業界が普通に活動しているというのは、少し驚きだが。

 

「エレドアが喜んでいるんだし、その辺は問題ないか」

 

 立ち去った……いや、踊り去った? エレドアの後ろ姿を見送りながら、基地の中を歩く。

 

「アクセル!」

 

 と、歩き始めてから数分も経たないうちに再び名前を呼ばれ、声のした方に視線を向けると、そこにはカイとハヤトの姿があった。

 月やハワイと違って、ここは連邦軍の基地だから、自由に出歩く事が出来る。

 カイやハヤトも、それを十分に楽しんでいるのだろう。

 手を振っている2人に近づいていく。

 

「2人で何をしてるんだ?」

「いやぁ……この基地の見学だよ、見学。なぁ、ハヤト?」

「はい。もっとも、こうして見る限りではそこまで面白いものもないようですけど」

 

 そう言いながらも、ハヤトの視線は周囲を興味深く眺めている。

 目は口程にものを言う……というのを、これ程に証明しているのも珍しい。

 ハヤトがコロニー生まれなのか、それとも地球からサイド7に引っ越したのか、その辺は分からない。

 だが、そんな状況であっても、こうやって基地の中をしっかりと見る事は初めての筈だ。

 サイド7からこっち、こうして基地でゆっくり出来るような余裕は全くなかったし。

 月とかハワイとかでは、機密保持の為に外に出られなかった事を考えると、こうして基地を好きに歩いて回れるのは嬉しいのだろう。

 

「基地を見学して回るのはいいけど、軍人の中には性格が悪い奴もいるから、気をつけろよ」

 

 連邦軍の広報では、連邦軍を正義の味方として取り上げているが、連邦軍にも色々な奴がいる。

 それこそ、広報とかでやってるように正義感に満ちている奴がいてもおかしくはないし、同時にこの基地でサンダースに絡んでいたような不良軍人とでも呼ぶべき者達もいる。

 そういう不良軍人にしてみれば、いかにもまだ子供のカイやハヤトといった2人は、絡むのに格好の相手だ。

 ……実際には、カイにしろハヤトにしろ、ジオン軍の中でもトップエースとして名高い赤い彗星のシャアの追撃を潜り抜けてきた実力を持っているんだが……その辺は、やはり外見から簡単に理解出来るものではない。

 見た目だけで侮ってカイやハヤトに絡んでくる軍人がいないとも限らない。

 また、悪い事にカイやハヤトはMSの操縦は出来ても、生身では決して強い訳ではない。

 一応カイはサイド7でも不良としてそれなりに名前を知られていたらしいし、実際に俺がサイド7に行った時も取り巻きと一緒にいたりもしたが……それは、結局のところ素人でしかない。

 きちんと訓練を積んだ軍人を相手に、カイとハヤトが生身でどうにか出来るとは思えない。

 

「う、分かってるよ。危ない場所には行くなって言いたいんだろ? そのくらいは分かってるって」

 

 そう返事をするカイだったが、果たして本当にその辺を理解しているのかどうか。

 まぁ、それでもホワイトベースに所属していると言えば、絡まれはしても最悪の結果にはならないだろうけど。

 何しろ、この基地においてホワイトベースは現在かなり名前を知られている。

 やっぱり、前線基地をホワイトベースのMS隊だけで破壊したというのが大きかったのだろう。

 腕利きのMS部隊として名前が広まるのは当然だった。

 

「分かってるのなら、それでいいけどな。……それより、他の連中はどうしたんだ? アムロとか」

「あー、アムロはフラウと一緒に基地を見て回ってるよ」

 

 ちっ、と舌打ちするカイ。

 まぁ、その気持ちも分からないではない。

 自分はハヤトと一緒に基地の中を見て回ってるのに、アムロはフラウとデートなのだから。

 同じ2人で見て回るにしても、相手が男か女かで随分と変わってくる。

 ましてや、フラウはアムロに対して好意を……それも友人としてではなく、男女間の好意を抱いているらしいし。

 その辺の事情を考えれば、カイが悔しそうにしているのも理解出来る。 

 

「そうか。じゃあ、俺はそろそろ行くな」

 

 そうカイとハヤトに手を振り、俺はその場を離れるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:510
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1486

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