「……は? それは本気で言ってるのか?」
基地で待機してから数日……既に休暇も終わってそれぞれが次の戦いに向けて訓練やら整備やら補給やらをやっている中で、シミュレータを使ってアムロ、ユウ、カイ、フィリップの4人を相手にピクシーで無双していた俺は、ブライトに呼び出されてブリッジにやって来た。
ちなみに俺が4人を相手にピクシーで無双していたのは、ピクシーの性能ならあの蒼い陸戦型ジムと似たような動きをする事が出来るかもということで、言ってみれば仮想敵としてピクシーが選ばれたようなものだ。
……アムロ曰く、あの蒼い陸戦型ジムの方が、まだ理解出来る動きをしているという事だが。
そんな訳で俺のピクシーを相手にしていれば、またあの蒼い陸戦型ジムが襲ってきても対処するのは難しい話ではないらしい。
アムロも、次にあの蒼い陸戦型ジムが襲ってきても対応出来ると言ってたし。
そんな風に蒼い陸戦型ジムの対処をしていた俺を呼んだブライトが言ったのは……
「一応、俺の聞き違いかもしれないし、本当にそうである事を願っているから、もう一度聞くぞ? あの蒼い陸戦型ジムが俺達に配備されるってのは、何かの間違いだよな?」
そんな俺の言葉に、ブライトは申し訳なさそうな表情を浮かべつつも、首を横に振る。
「いや、間違いではない。……正確には、ユウ少尉の専用機体として配備される」
「本気か? あの蒼い陸戦型ジムは、この前の前線基地でこの基地に所属しているMSを撃破してるんだぞ? 幸い、死人は出ていないらしいが……いや、だからこそ余計に怪我をしたMSパイロットがこっちに絡んでくる可能性が高い」
本来なら、蒼い陸戦型ジムに攻撃されたMSのパイロットは死んでもおかしくはなかった。
だが、幸い……いや、アムロにとっては不幸だが、あの蒼い陸戦型ジムは基地の周囲を警戒していたMSを動かないようにすると、それで満足したのかコックピットを破壊するような真似はしなかった。
勿論、動けなくした時の衝撃でパイロットが多かれ少なかれ怪我をした者も多かったらしいが、ともあれあの青い陸戦型ジムは前線基地の警備をしていたMSを動けなくすると、もうそれ以上は気にしないといった様子で真っ直ぐにアムロに突撃していった。
その後は、俺達も知っての通りアムロだけが延々と狙われて、途中で逃げ出したといった流れだ。
どのような理由であのMSのパイロットがアムロを狙ったのかは分からないし、同型機がこちらに配属されてくる理由も知らない。
だが、ユウはモルモット隊の中でもエースで、ホワイトベース隊全体としての戦力の中でも非常に強力だ。
そんなユウが、あのようなMSに乗るというのは……危険な予感しかしない。
「分かっている。だが、これは上からの命令だ。こちらとしても、それを断るような事は出来ない」
ブライトの表情を見ると、それ以上突っ込む事は出来なくなる。
この様子を見る限り、ブライトもあの蒼い陸戦型ジムの配備を断ろうとはしたのだろう。
だが、上からの命令であるとなると、ブライトとしてもそれを拒否は出来ない。
「その上ってのは、具体的に誰だ? ゴップやレビルなら、俺から話を通す事も出来るが?」
シャドウミラーの代表という立場である以上、ゴップやレビルとの繋がりはある。
だからこそ、俺の方からクレームを入れる事は可能なのだが……
「いや、この件は恐らく覆らない。……あの様子を見る限りでは、この一件はゴップ大将やレビル将軍とは無関係のところで進んでいる計画らしい」
「……厄介な」
現在の連邦軍を動かしているのが、レビルの一派――当然ゴップもその一員だ――であるのは間違いない。
だが、同時に連邦軍という巨大な組織の中には、レビルの率いる一派以外の派閥がいるのも、間違いのない事実だ。
連邦軍の主要派閥ではあっても、絶対的な強権がある訳ではない以上、どうしても他の派閥にも配慮する必要がある。
この東南アジア戦線のトップであるイーサンも、そんなレビルとは違う派閥の1人だ。
まぁ、大佐のイーサンはレビルとは圧倒的に階級差があるのだが。
「しょうがない、か。……ただし、この件はゴップに後で追加の報酬でも求めるか。いっそ、あの蒼い陸戦型ジムを貰うとかしても面白いかもしれないな」
陸戦型ジムの頭部と陸戦型ガンダムの身体。
その2つが組み合わさった機体で、アムロの操るガンダムと互角に渡り合うだけの性能を発揮させるのだ。……あの蒼い陸戦型ジムのパイロットの技量という可能性も考えられるが。
ともあれ、あの蒼い陸戦型ジムが特殊な機体なのは間違いない。
ディアナの技術者にしてみれば、どうやってこのUC世界のMSにそんな性能を与えているのかが気になるだろうし、シャドウミラーの技術班であれば、この世界独自の技術という点で見るところは多い。
だとすれば、今回の一件は大きな意味を持つのは、ほぼ間違いない。
……まぁ、量産性の問題がありそうな以上、そうすぐに貰う事は出来ないだろうが。
「それは……ゴップ大将も許容できないんじゃないか? 自分達が関わっているのならともかく、今回の件には関わっていないだろうし」
「そう言ってもな。このまま放っておけば、それこそ次から次に面倒を招き寄せるような気がするんだが」
ゴップやレビルにしてみれば、俺という戦力はユーラシア大陸にあるジオン軍の基地を攻略する上で必須のものだろうから、無茶な真似はしてこない。
だが、それはあくまでもゴップやレビルだからの話であって……それこそ、イーサンのようにゴップやレビルと敵対している者達にしてみれば、ホワイトベースに嫌がらせをして、ゴップやレビルの足を引っ張ろうと思ってもおかしくはない。
しかも、ただ単純にこっちの邪魔をするのではなく、一応ホワイトベースに協力するように見せ掛けて、あの蒼い陸戦型ジムを送ってくる辺り、嫌な感じだ。
戦力増強にかこつけている以上、ゴップやレビルとしても拒否は出来ない……といったところか。
「レビル将軍もゴップ大将も、同じような事は何度もやられたりしないだろう。なら、次からはこのような事はない……と、思う」
断言出来ないのは、ブライトの階級が結局のところ中尉でしかないからか。
イーサンに大佐風情が云々と言っても、それを言うのならブライトだって中尉でしかないのだから。
「ともあれ、あの蒼い陸戦型ジムが来るのは避けられないって事だな。……この件、ユウには?」
「アクセルが問題ないようなら、言おうと思っている」
「いや、問題があるかないかと言われれば、勿論あるんだけどな。とはいえ、この場合は俺よりも前にユウに話を通すべきじゃないのか?」
「アクセルに抜けられると困る。そういう事だ」
俺のピクシーは、ホワイトベース隊にとって大きな戦力となっているという事だろう。
そう言われれば、そんなに悪い気がしないのは事実だが。
「……ちなみに、何でユウがその蒼い陸戦型ジムのパイロットに選ばれたんだ?」
「その辺りは知らされていない。ただ、あの蒼い陸戦型ジムの搬入に伴って専門のスタッフが何人か来るらしい。そのスタッフに聞けば、理由は分かるんじゃないか?」
専門のスタッフ、ね。
問題なのは、その中にフラナガン機関の生き残りがいるかどうかといったところか。
いやまぁ、フラナガン機関の生き残りがいるのであれば、それこそ俺がいるホワイトベースにやって来るかどうかは微妙なところだが。
一応サイド6の研究所から逃げたと言われている研究者の顔は覚えているが、何人かは顔写真の類すら残っていない者もいる。
……多分、研究所が怪しいと思って、何かあった時にはすぐに逃げられるようにしていたとか、そんな感じなんだろう。
「そうだな。あの蒼い陸戦型ジムはかなり興味深いし、出来れば色々と話を聞きたいところだ。……それで、MSの搬入はいつになるか分かるか?」
「数日中……早ければ明日、ということだな」
早ければ明日、か。
また随分と急いでるんだな。
そう思いながら、ふと気が付く。
もしユウがあの蒼い陸戦型ジムに乗るとなると、今までユウが乗っていた陸戦型ジムはパイロットがいなくなるという事になる。
そして、ホワイトベースにはガンタンクに乗せておくには勿体ない技量を持った綾子がいる。
なら、その陸戦型ジムは綾子が乗ってもいいのではないか?
……そうなると、ガンタンクのパイロットが1人足りなくなるが。
とはいえ、ガンタンクのパイロットの1人くらいなら、ホワイトベースにいる中で1人くらいいてもおかしくはない。
それに、教育型コンピュータのおかげで、1人で操縦出来るようになる可能性も高いって話だったし……それこそ、場合によってはマチルダのミデアで誰か1人寄越して貰うとか、最悪はこの東南アジア戦線の基地から軍人を1人補充すればいい。
イーサンからの依頼を受けて前線基地を攻略したところで、いきなり蒼い陸戦型ジムに襲われるなんて真似をしたんだから、そのくらいは慰謝料だろう。
「ユウが乗っていた陸戦型ジムだが、綾子にパイロットを任せる事は出来ないか?」
「……彼女に? いや、だか……しかし、そうだな。十分に戦力になるか」
綾子がシミュレータでアムロやユウを相手に非常に高い勝率を得ているのを知っているからだろう。ブライトは俺の提案を聞いて驚きはしたものの、次第に納得した様子を見せる。
アムロ以上の操縦技術を持つ綾子が、何故ガンダムやガンキャノンに乗らずにガンタンクに乗っていたのか。
それは、あくまでも俺や綾子、ミナトはホワイトベースにとって傭兵という扱いだからにすぎない。
もしユーラシア大陸で行われる作戦が終われば、恐らく俺達はホワイトベースを下りる。
だからこそ、俺達がいなくなった後もしっかり戦えるように、ガンダムはアムロに、ガンキャノンはカイに乗って貰っていた。
だが、ユウの陸戦型ジムは、完全に予想外の戦力だ。
であれば、使わなくなった機体をこっちで使うのは問題ないだろう。
下手にルナ・ジオン軍の機体を持ってくると、技術の流出……そして、俺が期待しているこのUC世界独自の技術発展に影響してくるという可能性もあるので出来ないが、連邦軍が使っている機体をそのまま流用するのなら、何も問題はない。
……とはいえ、連邦軍のMSに関してもジオン軍から鹵獲したり奪取したりといった風にして入手したザクを参考にしたものなのだが。
そう考えれば、ジオン軍から流用された機体とかなら、持ってきてもよかったのかもしれないな。
本当に、今更の話だが。
「で、どうだ? MS搭載数は、まだ結構余裕があるだろ?」
現在のホワイトベースに搭載されているMSは、ピクシー、ガンダム、ガンキャノンがそれぞれ1機に、ガンタンクが3機、そしてモルモット隊の陸戦型ジムが3機の合計9機。
聞いた話では、余裕をもって12機。若干無理をすれば15機はMSが搭載可能という話だったので、もう3機から6機は搭載出来る計算となる。
そこにあの蒼い陸戦型ジムが来ても、まだ搭載数は10機だ。
その辺の事情を考えると、かなり余裕はある。
それこそ、シロー達の08MS小隊がホワイトベースに搭載されても問題はないし、最悪はモルモット隊が使っているミデアもある。
「そう、だな。……分かった。その件は上に掛け合ってみよう。これからの戦闘が厳しくなるという事は、こちらでも可能な限り戦力を用意する必要があるしな」
最終的に、ブライトも俺の言葉に頷いた。
ホワイトベースの艦長としては、ゴップからの依頼で行う作戦……恐らくジオン軍にとって重要な基地の攻略作戦に参加する上で、ホワイトベースの戦力は出来るだけ多くしたいと、そういう事なのだろう。
「分かってくれて助かる。ビームライフルを装備した機体は、いれば助かるからな」
ビームライフル以外にも、マシンガンとかの実弾兵器に持ち替えが出来たりするというのも、こちらにとってはありがたい。
「では、早速要望しよう。ゴップ大将やレビル将軍も、恐らくは許容してくれる筈だ」
ゴップやレビルは、蒼い陸戦型ジムに関しては何も知らない。
だが、蒼い陸戦型ジムのパイロットに選ばれた人物が以前使っていたMSをこちらに回す……という程度なら、問題なく出来るだろう。
これが、蒼い陸戦型ジムに関係してくるとなると、また色々と難しい事になるんだろうが。
後の問題としては……やっぱり、蒼い陸戦型ジムだろうな。
どう考えても、厄ネタにしかならないような気がするんだが。
そんな風に思いつつ、俺はブライトとの話を続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:510
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1486