「あれが……」
そう呟いたのは、カイ。
ホワイトベースの格納庫に搬入された、蒼い陸戦型ジムを見ての言葉だ。
もっとも、言葉を発したのはカイだけだったが、他の者達も皆が蒼い陸戦型ジムに視線を向けていた。
その中でも特に複雑な視線を向けているのは、やはりアムロだろう。
前線基地の一件では、何故かあの蒼い陸戦型ジムはアムロだけを集中して狙ってきたのだから。
それを思えば、アムロのあの表情は当然の事だった。
……もっとも、今度はユウが蒼い陸戦型ジムのパイロットになるのだから、それを思えばアムロが狙われるという事はないんだろうけど。
そんな中で少し気になったのは、アムロ……ではなく、ユウの視線。
多くの者が忌避感……とまではいかないが、本当に大丈夫なのかといった疑惑の視線を向けている中で、何故かユウだけは蒼い陸戦型ジムに対してマイナスの感情ではなくプラスの感情……言ってみれば、希望のような光を向けていたのだから。
いや、希望というのはちょっと言いすぎか?
けど、それと似たような感じの視線なのは、間違いない。
「ブルーディスティニー」
ふと、そんな声が周囲に響く。
声のした方に視線を向けると、蒼い陸戦型ジムと一緒にやってきた人物の1人が、そう告げる。
眼鏡を掛けたその男の様子は、軍人ではなく科学者や研究者といった印象だ。
となると……もしかして、この男がジオン軍から亡命してきたという男か?
いや、だが俺の知ってる顔ではない。
フラナガン機関から脱出した後に、整形手術で顔でも変えたのか、それとも……
「おっと、挨拶が遅れたな。俺はアルフ・カムラ大尉。ブルーディスティニー担当の技術士官だ」
「……ブルーディスティニー。それが、あの蒼い陸戦型ジムの名前か」
アルフの言葉にそう返すと、心外だといったような態度で口を開く。
「おいおいおいおい。言っておくが、あの機体は顔は陸戦型ジムだが、それ以外の部分は陸戦型ガンダムなんだぜ?」
「知ってるよ。この基地では陸戦型ガンダムが大々的に使われてるしな。けど……やっぱりMSを判断する時は顔が一番だろ。身体も大きく違うのならともかく、そこまで違わないし」
俺の言葉に、今度はアルフの表情に複雑な色が浮かぶ。
アルフにしてみれば、今の俺の言葉には素直に頷けなかったのだろう。
「その件はともかくとして、だ。ブルーディスティニーについての説明をしたいからユウ少尉を借りたいんだが、構わないか?」
「構わん」
アルフの言葉に、ユウは即座に頷く。
ユウが操縦する機体なんだから、アルフが説明したいと思うのはいいんだが……それよりも前に、俺は口を開く。
「陸戦型ジム……いや、ブルーディスティニーか。そのブルーディスティニーが襲ってきた件については何もないのか? もしくは、ユウが乗っても問題はないのか?」
それは、絶対に聞いておくべき事だ。
アムロに襲い掛かったのが、MSパイロットの判断でならまだ何とかなる。
だが、システムとして暴走したとなると、そんなMSと一緒の戦場に出るというのは絶対に遠慮したい。
「すまないが、それは軍事機密だ。このような場所で話せる内容ではない」
「話さないなら話さないでもいいけど、事情も分からない以上、もし今度襲い掛かって来たら確実にMSは破壊するぞ。……見たところ、ブルーディスティニーの頭部が問題なんだろう?」
「なっ!?」
アルフが俺の言葉に驚いたのは、ブルーディスティニーが暴走したら破壊すると言ったからか、それともブルーディスティニーの特別な理由が頭部にあると俺が判断したからか。
だが、後者についてはわざわざ陸戦型ジムの頭部を陸戦型ガンダムの胴体に使っている以上、そのように判断するのはおかしな話ではない。
ぶっちゃけ、陸戦型ガンダムの方が陸戦型ジムよりも性能はいいのだ。
だというのに、そんな現状でも無理矢理に陸戦型ジムの頭部を使ってるという時点で、何らかの訳ありなのは間違いない。
……とはいえ、そうなるとブルーディスティニーの特別な部分はやはりそう簡単に量産は出来ないという事か。
もし量産出来るのなら、それこそわざわざ頭部の移植なんて真似をしなくてもいいんだから。
ともあれ、ブルーディスティニー……それも頭部を破壊される事は、アルフにとっては絶対に避けたい筈だ。
「何を驚いているんだ? 当然だろう? 理由も分からない以上、こちらを襲ってくる敵がいるのなら倒す必要がある。そして倒すべき敵にとって弱点と呼ぶべき場所があるのなら、そこを狙ってもおかしくはない」
「ぐっ、そ、それは……だが、今回の一件は連邦軍の方でも期待している。それこそ、連邦軍のMSの性能を驚異的に上げる事が出来るのかもしれないのだから」
「……それで暴走して、味方に攻撃するのか? 敵と戦っている時に後ろから撃たれるのは、洒落にならないぞ」
実際問題、もしそのような事になったとしたら、それこそ厄介この上ない。
そのようなMSなら、いっそ最初から出撃させない方がいい。
そうなるとユウは陸戦型ジムでの出撃となるので、俺がブライトと相談していた綾子を陸戦型ジムに乗せるというのは出来なくなるのだが。
「どうする?」
「……分かった。ブルーディスティニーがどのような機体なのか、ユウ少尉……ユウ以外にも説明しよう」
ユウから肩書きを外したのは、何か意味があるのか?
一瞬そう思ったが、取りあえず今は気にしなくてもいいだろという事で、俺と……それ以外にもブルーディスティニーに興味のあったMSパイロット達はホワイトベースから下りて、基地の中にある部屋に向かう。
何だかんだとそれなりの人数になったので、ホワイトベースにある部屋で話すのは無理だとアルフも判断したのだろう。
食堂とかでなら、これだけの人数が集まっても問題ないが……まさか軍事機密を食堂で話す訳にもいかない。
そんな訳で、やはりこういう時は基地があると便利だよな。
そうしてやって来たのは、基地の中にある小さめの会議室。
それでも、これだけの人数が入るには十分ではあったが。
それぞれが椅子に座ると、やがてアルフが口を開く。
「さて、ブルーディスティニーについてだ。……言っておくが、ここで話した内容を他の誰かに喋った場合、機密漏洩という事になるから気をつけるように」
脅しではなく、本当にそうなるという事は、アルフの様子を見れば明らかだ。
MSの性能をあそこまで上げる……それこそ、アムロと互角に渡り合えるまでに上げるのだから、そんな扱いを受けるのは分かる。
現在のアムロは、シャアと互角には戦えないまでも、一方的に負けないといった技量を持っている。
そうなると、もしブルーディスティニーを量産……もしくはブルーディスティニーに使われている技術を複製出来れば、連邦軍のMSが全てアムロと戦えるだけの実力を持つようになっても、おかしくはない。
それだけの秘密である以上、アルフの言葉は決して嘘ではないのだ。
……もっとも、今の状況を考えるとそれが出来るかどうかといったことは、微妙だが。
何しろ、陸戦型ガンダムの頭部に陸戦型ジムの頭部を使っているのだから。
「俺はそれで構わない。少しでもブルーディスティニーについての情報がないと、これから戦う上で厄介な事態になりかねないしな」
アルフにそう告げるが、実際にはブルーディスティニーについて何か判明したら、ルナ・ジオン軍やホワイトスターにいる技術班に話したりはするだろうが。
それでも、連邦軍の軍人には……多分、言わないと思う。
「分かった。……では、まずブルーディスティニーには、アクセルが考えた通り特殊なシステムが搭載されている。名前は、EXAMシステム。これは、単純に言えば搭載されたMSに驚異的な動きを可能とするシステム、と覚えて貰えばいい」
「……また、随分と都合のいいシステムもあったなものだな」
アルフにそう返しながらも、俺はある意味で納得する。
アムロと互角に戦えるような動きをMSにさせることが出来るシステム。
連邦軍がアムロの実力をどれだけのものだと思っているのかは、俺にも分からない。
だが、ホワイトベース隊のエースパイロットという事を考えれば、その実力は間違いなく一級品であるというのは明らかだ。
そんなアムロと互角に戦えるだけの能力を、システムを搭載するだけで可能とする。
明らかに異常だろう。
……当然そのような動きが可能となる以上、何らかのデメリットがあると考えてもおかしくはない筈だ。
問題は、そのデメリットがなんなのかといったところか。
「そうだな。都合のいいシステムだというのは認めよう。実際に今はそのEXAMシステムの実験機となるブルーディスティニーによって、その問題部分を洗い直している最中だ」
アルフが、隠す事なくそう告げる。
どうやら、アルフ本人はEXAMシステムの不具合をそこまで気にしている様子はないらしい。
「で、具体的にどんな不具合があるんだ?」
「まず、システムが非常に不安定だという点がある。システムが勝手に発動したりな。……それは、この前の前線基地の一件を考えれば、分かって貰えるだろう」
そう告げるアルフの言葉に、この場にいた全員がアムロに視線を向ける。
全員の視線を集めたアムロは、困った様子で口を開く。
「その、何でその暴走でガンダムが……僕が狙われたんですか?」
「そこはまだ判明していないな。ただ、EXAMシステムの開発者がかなり厳しい様子を見せていたから、修正には時間が掛かるだろう」
「待て。それはちょっと問題だぞ。アムロもユウも、どちらも今の俺達にとっては、かなりの戦力だ。そのどちらかが使えないとなると……なぁ?」
リュウが皆に意見を求めるように視線を向けると、俺を含めて全員が頷く。
実際問題、アムロとユウは双方共に現在のホワイトベース隊の中ではエースと呼ぶに相応しい実力を持っている。
例えブルーディスティニーを使う為とはいえ、その片方……この場合はアムロが使えなくなるというのは、痛い。
それに、システムの暴走で狙われるのがアムロだけとは限らない。
前回はアムロが狙われたが、次に暴走した時は他の相手を狙うという可能性もある。
そう考えれば、やはりブルーディスティニーを使うのは避けた方がいいという結論に達してしまう。
「安心しろ。一応、ブルーディスティニーにはリミッターを付けたから、前回のような暴走はしない……筈だ」
そこで、最後に『筈だ』と口にしなければ、ある程度は信用出来たんだけどな。
「つまり、アムロと一緒の戦場に出しても大丈夫だと?」
「そうなる。勿論、それはあくまでも計算上である以上、何度かテストの類をする必要はあるがな」
俺の質問にそう答えるアルフだが、そんなアルフを完全に信用出来るかと言われれば、素直に頷く事は出来ない。
「どうする、アムロ? ブルーディスティニーについては、お前が一番の被害者だ。それを考えれば、ブルーディスティニーを使うかどうかはお前次第となる」
もしアムロがどうしても嫌だというのであれば、俺はそれを拒否するつもりはない。
……というか、普通に考えてアムロの立場に立ちたいかと言われれば、答えは否だろう。
あの時のブルーディスティニーの動きを考えれば、同じように襲われて対処するのは難しいだろうし。
あの時の戦いは、アムロだからこそブルーディスティニーに襲われてもどうにか対処出来たのだ。
もしカイやフィリップといった面々がブルーディスティニーに狙われていれば、まず間違いなくMSを撃破されており、パイロットも下手をすれば死んでいただろう。
「……やります。それに、ブルーディスティニーが採用されれば、ユウ少尉が使っている陸戦型ジムは綾子さんが使うんですよね?」
多少の逡巡の後、そう告げるアムロ。
これは、綾子に対する点数稼ぎか? それとも、単純に自分達の戦力が増えるのを喜んでいるのか。
その辺りの理由はどちらともとれないが、アムロがブルーディスティニーを許容するというのなら、こちらとしてもそれに否やはない。ただし……
「アムロがそれを許容するにしても、本当にブルーディスティニーが暴走しないかどうかを確認する必要があるな。いきなり実戦投入なんて真似は、怖すぎるし」
俺の言葉には、皆が頷く。
まぁ、前線基地でアムロに襲い掛かった時の様子を見ていれば、普通なら怖いと思うよな。
そんな訳で、取りあえず今日のうちにでもブルーディスティニーと俺達の機体を同時に動かして暴走しないかどうかをテストする事になった。
アルフは、ブルーディスティニーのデータが取れると喜んでいたが……さて、一体どうなるんだろうな。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:510
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1486