アルフがホワイトベースに来た日の午後、早速ブルーディスティニーのテストを行う事となった。
ブルーディスティニーが俺達と同じ戦場にいても問題がないかどうか。
それを確認する為のテストだ。
アルフにとってはブルーディスティニーのデータを取れるという事で賛成らしい。
ちなみに、ブルーディスティニーに使われているEXAMシステムの生みの親であるクルスト・モーゼスとやらはここには来ていない。
自分の作ったEXAMシステムについてはどうするべきか興味を持っていてもおかしくはないのだが、アルフ曰く事情があって来られないらしい。
さて、その事情というのは……一体何なんだろうな。
サイド6にあったフラナガン機関の研究所を襲撃した俺がいるからってのが、一番有り得る話だけど。
というか、セイラがフラナガン機関について大々的に告発を行った事を考えれば、連邦軍もよく元フラナガン機関の人間と思われるクルストを匿う気になったな。
もしそれが知られたら、連邦軍内からも非難されるのは確実だろうに。
……まぁ、それだけブルーディスティニーに搭載されているEXAMシステムが魅力的だったんだろう。
ガンダムとかを見れば分かる通り、MSの技術として連邦軍はジオン軍に匹敵するだけの技術力は得た。
とはいえ、全体的に見ると必ずしもそうであるとは限らないし、何よりもMSの性能はともかくMSパイロットとしての能力では、ジオン軍の方が連邦軍よりも上だ。
異名持ちだったり、エースだったりするようなパイロットをかなりの数ルナ・ジオンに引き込んだり、1週間戦争やルウム戦役でジオン軍が受けた被害を考えると、人的資源という意味ではジオン軍の方も大きく損耗してるのだが。
ともあれ、それでもMSパイロットの性能差で負けている……もしくはそう信じ込んでいる連邦軍にしてみれば、元フラナガン機関所属の人間であろうが、EXAMシステムは非常に魅力的に見えるのは当然だった。
『ブルーディスティニー、起動した』
連邦軍基地にある演習場……しかもブルーディスティニーそのものが機密だという事もあり、俺達以外は誰もいない演習場で、ユウの操縦するブルーディスティニーが起動する。
取りあえず、ブルーディスティニーが起動しただけでは、特に暴走した様子はない。
普通にそのまま演習場を歩いて移動する。
『おお』
それを見ていた者の何人かの口から、驚きの声が出た。
MSが起動した程度で驚くのはどうかと思うが、ブルーディスティニーの件を思えば……ん?
そう考えた瞬間、不意にブルーディスティニーの頭部のカメラが緑から赤に変わる。
何だ、これ?
そう思った瞬間、不意にブルーディスティニーはこちらに向かって振り向いて1歩踏み出し……
「なっ!? 馬鹿な!」
と、不意に聞こえてきたアルフの声。
その後、慌てたように部下の研究者達に指示を出している声が聞こえてくる。
……おい、ちょっと待て。
アルフの様子と、こちらに向かって進んでくるブルーディスティニー。
それを見れば、何が起きているのかは明らかだった。
つまり、今のブルーディスティニーはEXAMシステムが暴走してるのだろう。
ちっ、どうする? いっその事、俺がこのままどうにかするか?
そう思った瞬間、不意にブルーディスティニーのカメラの色が赤から緑に変わり、その動きも止まる。
ざわついていた他の面々も、動きの止まったブルーディスティニーに安堵の様子を見せる。
『すまない、リミッターを起動するのが遅れた』
ブルーディスティニーの外部スピーカーから聞こえてくる、ユウの声。
やはり今のブルーディスティニーの行動は暴走していたが故のものらしい。
それを納得しながら、俺はブルーディスティニーを改めて見る。
動いていた状態のままで動きを止めているが、そのブルーディスティニーの進行方向には俺達がいて、正確にはアムロの姿がある。
こうなると、もしかしてブルーディスティニーが暴走した結果向かおうとしたのはアムロなのではないか? と思えてしまう。
そして、前線基地で暴走したブルーディスティニーが襲ったのも、アムロだった
前回だけなら、偶然として納得する事も出来ただろう。
だが、続けて今回もアムロを狙っているとなると、それを偶然で片付けるのはちょっと難しい。
偶然は3度続かないという言葉から、今回は2度目なのでもしかしたら……本当にもしかしたら、偶然という可能性がない訳でもないのだが。
そんな風に考えている俺の視線の先で、ブルーディスティニーはユウの操縦通りに戻っていく。
こうして見る限りでは、アルフが言っていたリミッターはしっかりと動いているらしい。
だが、起動した途端にシステムが暴走しそうになったというのを考えると、ブルーディスティニーを安心して使えという方が無理だろう。
「……アムロ、ユウに……いや、ブルーディスティニーに恨まれるようなことをした記憶はあるか?」
「そんな事、ある訳ないじゃないですか」
本当に心当たりがないといった様子で告げるアムロ。
アムロがブルーディスティニーを知ったのは、この前の前線基地での戦いで、その機体の正式名称にいたっては今日知ったばかりなのだから、無理もない。
そうなると、何故ブルーディスティニーが執拗にアムロを狙うのかといった事が疑問になるのだが……本当に、一体何でだ?
いや、今回狙われたのは、あくまでもアムロだ。
それはつまり、ブルーディスティニーが狙っているのは、ガンダムではなくアムロだという事になる。
何をどうすればそのようになるのかは、俺にも分からない。分からないが……ブルーディスティニーがかなり不安定なMSだというのは、これではっきりした訳だ。
もっとも、ユウがリミッターを起動させると動きを止めたという事は、リミッターが利いている状態であれば、普通に使えるMSであるという事になる。
問題なのは、リミッターを掛けられている状況でブルーディスティニーの性能にどのような影響が出るのか、といったところか。
リミッターという以上、当然のようにブルーディスティニーはEXAMシステム本来の機能を発揮する事は出来ないだろう。
今までユウが乗っていたMSが陸戦型ジムであるのを考えると、ブルーディスティニーは頭部こそ陸戦型ジムだが、それ以外は陸戦型ガンダムだ。
その上で、リミッター付きとはいえEXAMシステムを使えるとなると、これは明らかにユウの乗る機体はパワーアップしたと思ってもいい。
問題なのは、こうしていきなり暴走したブルーディスティニーを、俺以外の面々も受け入れられるかどうかといったところだろう。
MSに限らず、俺は今まで色々な人型機動兵器を見てきた。
その中には、ブルーディスティニー? 何それ? その程度で特殊なの? と言ってもいいような機体も多い。
俺にとってはブルーディスティニーもリミッターがあるのならということで受け入れられたが、それはあくまでも俺だからだ。
このUC世界で生まれ育った他の面々が、ブルーディスティニーを受け入れられるかどうかは……正直、微妙なところだろう。
ああ、綾子は例外だけどな。
人型機動兵器はそこまで見た事がなくても、綾子の場合は自力で色々と特殊な動きをする事が出来るし。
「まぁ、リミッターがあって暴走しないなら、問題はないんじゃないか?」
取りあえずブルーディスティニーをこちらで使えるようにという流れに持っていく為に、そう告げる。
「え? アクセル、それ本気で言ってるのか? 起動した瞬間に暴走したんだぜ?」
「そうだな、一応本気だ」
疑わしいといった様子のカイに、そう告げる。
カイにしてみれば、ブルーディスティニーなんていう危ない、不安定なMSと一緒の戦場に立ちたくないという事なのだろう。
その気持ちは分かる。分かるんだが……このユーラシア大陸でゴップが俺達に要望してくる仕事が、一体どのようなものなのかを考えると、戦力は多ければ多いに越した事はない。
そもそも、モルモット隊が俺達に合流したのは、俺達だけではゴップが要望する依頼に戦力不足だと判断したからという可能性が高い。
それを思えば、多少危険があってもブルーディスティニーというMSはあった方がいいし、ユウがブルーディスティニーに乗るのなら、綾子に陸戦型ジムを回せるという点も大きい。
それに、前線基地での戦いでどんなパイロットがブルーディスティニーに乗っていたのかは分からないが、そのパイロットの能力がアムロと同等だったとは思えない。
そうであれば、もしユウがブルーディスティニーに乗った場合……その戦力は具体的にどのくらいのものになるのかというのは、非常に気になるところだ。
今まではホワイトベース隊のエースはアムロだったが、それがユウに入れ替わるという可能性も、ないではないのだから。
「狙われているアムロが嫌だと言うのなら、俺も無理に使おうとは言わない。けど、今回はそのアムロがブルーディスティニーを許容すると言ってる以上、俺からは特に何も言う事はない。……ただ、一応最後に聞いておくけど、本当にブルーディスティニーをホワイトベースで運用する事になってもいいんだな?」
「いいですよ。それに、もし本当にブルーディスティニーが暴走しそうになったら、僕だけじゃなくてアクセルさんもどうにかしてくれるんでしょ?」
へぇ。
今のアムロから出た言葉は、正直なところ意外だった。
アムロは俺に対抗心を持っている。
そんなアムロが、俺にこんな風に言ってくるというのは、かなり予想外だった。
多分、アムロもこの基地にやって来てから色々とあったんだろうな。
シローと何度か話しているところを見た事もあるし。
シローとアムロとなると、それなりに相性がいいのか?
見た感じでは、極端に相性がいい訳でも、悪い訳でもないような気がするけど。
その辺が一体どうなっているのかは、ちょっと気にならない訳でもない。
ともあれ、シローと接した事によってアムロが一皮剥けたのであれば、俺としても何も問題はない。
「そうだな。もしブルーディスティニーが暴走するようなら、俺が何らかの手を打つ事になると思う。……その場合は、ブルーディスティニーが破壊されるという事も想定しておいて欲しい」
アムロではなく、ブルーディスティニーのシステムを外からチェックしているアルフに向け、そう告げる。
そんな俺の言葉が聞こえたのか、アルフはその怜悧な表情で微かに眉を顰めつつ、こちらに視線を向け、口を開く。
「ブルーディスティニーに関しては、連邦軍でもかなり上の方の者達が関わってる。だというのに、それを破壊するような事にでもなれば、アクセルの……そしてホワイトベースの立場が悪くなるぞ」
「そうかもしれないな。けど、味方に襲い掛かってくるMSをそのままにしておく訳にもいかないだろ。そうされたくなかったら、リミッターをしっかりと確認しておくんだな」
リミッターが作動している限り、アムロに攻撃をしたりといった真似をしないというのは、今回の一件で大体理解出来た。
だが、それはあくまでも今回の一件だけであって、次も同じようになるかどうかは分からない。
ブルーディスティニーを破壊されたくなかったら、リミッターをしっかりと確認しておくようにした方がいいというのが、俺の忠告だった。
それは、強がりでもブラフでも何でもない。
もしブルーディスティニーが暴走して味方を攻撃するような事になったら、俺はEXAMシステムの核となっているだろう、陸戦型ジムの頭部を破壊するのに躊躇いはない。
わざわざ移植してまで使っている以上、陸戦型ジムの頭部はEXAMシステムにとって掛け替えのない物なのは確実なのだから。
「分かった。肝に銘じておこう」
アルフは俺の言葉に頷く。
取りあえずこの件は一件落着したところで、ここに持ってきているMSをそれぞれ起動させていく。
ブルーディスティニーの暴走がまた起きないとも限らないので、それをしっかりと確認する為に。
ガンタンク、ガンキャノン、陸戦型ジム……そして、俺のピクシー。
俺のピクシーはアムロの乗っているのと同じガンダム系のMSなので、もしかしたらと思ったが、ピクシーを起動しても特に問題はなかった。
そして、最後に……アムロのガンダム。
これには、俺だけではなく他の面々も緊張して様子を見ていたのだが……ブルーディスティニーは、リミッターの効果もあってか、特に暴走するといったようなことはなかった。
その事に皆が安堵し……そうして、最終的に綾子はガンタンクから陸戦型ジムに乗り換える事になり、ガンタンクはホワイトベースの中から有志を1人選ぶ事になるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:510
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1486