転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2386話

 ブルーディスティニーは、頭部こそ陸戦型ジムだが、身体は陸戦型ガンダムだ。

 そうなると、当然なのだが操縦性の違いといったものは、ユウがブルーディスティニーを乗るよりも前に乗っていた陸戦型ジムとそう大差はない。

 勿論EXAMシステムを搭載する上で、陸戦型ガンダムにも色々と改修――一番目を引くのは、やはりその蒼いパーソナルカラーだろう――されているが、それでも全く別次元の問題という訳ではない。

 ジオン軍のように、ジオニック社、ツィマッド社、MIP社といった具合に兵器メーカーによって操縦システムがそこまで違ってくる、という事はない。

 そんな訳で、ユウがブルーディスティニーを乗りこなすというのは、それこそ1日掛かったかどうかといった所だった。……EXAMシステムの方はまだ微妙だが。

 ブルーディスティニーを戦力として数える事が出来るようになった俺達に、イーサンから新たな要請が来る。

 

「密林の中でジオン軍のMSが活動しているので、その撃破を頼みたい、か。……連邦軍として、それが嫌なのは理解出来るんだけどな」

 

 ピクシーのコックピットの中で、俺は呟く。

 現在ホワイトベース隊のMSは、キキの村から少し離れた場所にある密林の中を移動していた。

 正直なところ、こういう密林……木々が大量に生えているような場所ではあまりMSを使いたくないんだけどな。

 ピクシーもルナ・チタニウム製の装甲である以上、ザクマシンガンとかを食らっても破壊はされない。

 だが、木の枝といったものに触れる事により、引っ掻き傷のようなものは出来る。

 もしピクシーが連邦軍の所有物であれば、その辺はあまり気にしなくてもいいのだが、このピクシーは俺がゴップから貰った個人所有のMSだ。

 そうなれば、やはり装甲に傷がつくというのは面白くない。

 ……もっとも、戦いになればどうしても傷がついたりはするのだから、今更なのかもしれないが。

 車とかはコーティングというのがあるって聞いたけど、MSにもその手のコーティングをやれば、引っ掻き傷がつかなくなったりするのか?

 あ、でも順平だったか誰だったかに、車のコーティングってのはそういう傷をどうにかするようなものではないって話を聞いた覚えがあるな。

 ……まぁ、UC世界の技術はペルソナ世界よりも進んでいるのを思えば、もしかしたらそんな風なコーティングの類があるか、将来的に出来てもおかしくはないが。

 ともあれ、今はこの密林にいる……かもしれないジオン軍のMSを見つけるのが最優先だ。

 

『それにしても、ジオン軍は何でこの辺りを歩き回ってるんだろうな?』

 

 フィリップが不満そうに呟く声が聞こえてくる。

 密林の中を陸戦型ジムで歩き回るというのは、フィリップにとっても面白くないのだろう。

 出来れば、ブルーディスティニーに乗るようになったユウとの連携訓練とかをしっかりしたい、といったところか。

 モルモット隊の中で、ユウはエースとしてしっかりとした地位を築いている。

 それだけにユウが機体を乗り換えたというのは、モルモット隊にとっても大きな意味を持つ。

 ましてや、その機体がEXAMによって暴走する危険性があるとなれば、尚更だろう。

 フィリップやサマナにしてみれば、出来ればユウとの連携の訓練をもっとしっかりしておきたかったという事か。

 

「この辺には村が幾つかあるし、そこに何かちょっかいを出す気なのかもしれないな」

 

 フィリップにそう返す。

 実際、それは決して有り得ない話ではない。

 キキの住む村は、現在明確に親連邦軍という態度を取っているし、また周辺にある村や親しい相手のいる村にもそうするように働きかけている。

 今まではゲリラといっても、連邦軍と親しかったり、ジオン軍と親しかったりと、どちらでもない中立の立場だった。

 だが、俺の介入……いや、正確にはキキとシローの関係を使って、それを動かした。

 ジオン軍にしてみれば、今回の一件に絡んでいるだろうキキの村は許す事が出来ないと判断してもおかしくはない。

 ……それでも直接攻撃をしないのは、キキの村がその中心だという確信がないからか、それとも示威行為で十分圧力を掛けられると思っているのか。その辺は俺にも確信がないが。

 

『ああ、そう言えばシローだっけ? アクセルと一緒にこの辺りの村に来た少尉さんは。……ゲリラの女とちょっといい関係になってるって噂があるけど、どうなんだ?』

 

 俺とフィリップの通信を聞いていたのか、カイがそう尋ねてくる。

 カイの機体はガンキャノンなので、何気に密林の中を移動するのは普通の……ガンダムやジムといったMSよりも両肩の低反動キャノンの砲身がある分、難しいんだよな。

 そんな状況でもこうして口を挟んでくる辺り、カイもシローには好意的な感情を抱いているのだろう。

 

「いい関係、ね。……まぁ、そう見えなくもないか?」

 

 キキの正確な年齢は分からないが、恐らく今の十代半ばの俺とほぼ同年代だと思われるキキと、20代くらいのシロー。

 恋愛関係は成立してもおかしくはない……のか?

 ただ、キキはまだ子供っぽく見える。

 年齢としては、それこそ俺がネギま世界に行った時に会ったあやか達と同じくらいなんだが……明らかに、女っぽさを感じない。

 この辺は、やはり育ち……具体的には栄養状態とか、そういうのも関係しているんだろう。

 

『うおっ、本当か? だとすれば、これはいいネタになるな』

『お前達、真面目に探してるんだろうな?』

 

 嬉しそうな様子で呟くフィリップだったが、誰かがそれに何かを返すよりも前に、リュウが通信でそう言ってくる。

 ちなみに、当然の話だがガンタンクは密林の中には入っていない。

 キャタピラで移動するガンタンクってのは、密林の中で行動するのは難しい……いや、殆ど不可能だしな。

 密林に生えている木を薙ぎ倒しながら移動するのなら可能かもしれないが、意味もなく自然破壊をするのはどうかと思うし。

 そもそも、このUC世界の人間が半ば強制的にコロニーに移住する事になったのは、地球の自然破壊が止まらないかららしい。

 人を減らす事で、自然を保護しようということらしいのだが……そんな状況で戦争をやってコロニー落としとかで自然を破壊しているんだから、救われないよな。

 

「ああ、取りあえず真面目に探してはいるけど、こっちはジオン軍のMSはどこにもいないぞ」

 

 リュウからの通信に、そう返す。

 密林である以上、MSが動けば当然のようにその痕跡は残る。

 地面に足跡がついていたり、木の幹にMSが擦った跡があったりといったように。

 問題なのは、その痕跡がいつついたのか、という事だろう。

 ピクシーで密林の中を歩き回っていると、実際に幾つかそのような痕跡を見つける事は出来るのだが、その多くは最近ではなく、数日前についたといったものが殆どだ。

 そのような痕跡がある以上、この辺をMSが動き回っているというのは、間違いのない事実なのだが。

 

『じゃあ、今日の休憩はそのキキって奴のいる村か?』

「あー……カイが何を期待してるのかは分かるけど、それは止めておいた方がいい。キキの村はゲリラの村で、シローにはそこそこ友好的に接しているけど、俺達……というか、俺は向こうに1度顔を出した事があるだけだ。そんな俺が、見知らぬ連中を大量に……それもMSを引き連れていけば、向こうが暴発する可能性がある」

 

 キキはゲリラの中でもお嬢様やお姫様といった立場の女だという事もあり、村の男はシローに嫉妬染みた視線を向けている事もあった。

 それでも顔見知りだという事もあってか、俺よりは受け入れられていた。

 そんな場所に1度だけ村に顔を出した事があるような俺が行っても、間違いなく警戒されるだろう。

 いや、それどころかシローを嫌っている者が、シローに手出しを出来ないのであればという事で、俺にちょっかいを掛けてくる可能性もある。

 拳銃やらマシンガンやらミサイルやら……その手の武器を使っても、俺には効果がない。

 だが、俺以外の者達は、銃で撃たれれば容易に死んでしまう。

 綾子のみは、拳銃で撃たれても回避したり物干し竿っで斬り落としたりといった事も出来るが、それは例外だろう。

 その辺の事情を考えると、村に行くという選択肢は有り得ない。

 ……俺達が勝手にその村に行って、せっかく親連邦軍の態度を取るようになったのが撤回されても困るし。

 

『ふーん。……あのシローってのも、随分と頑張ってるんだな』

 

 説明を聞いたフィリップが、納得したようにそう呟くのが聞こえてきた。

 一体、何を頑張っているのかは分からないが……と、そう考えた時、ピクシーのレーダーに反応を見つける。

 

「レーダーに反応。敵発見。……この辺りに俺達以外の連邦軍が展開していなければの話だけどな」

 

 素早く通信でそう告げる。

 敵の姿をピクシーのレーダーが真っ先に見つける事が出来たのは、単純にピクシーの性能のお陰だろう。

 地上戦に特化した……言ってみれば陸戦型ガンダムの上位互換のような性能を持つだけに、ピクシーの性能は高い。

 勿論、運良くジオン軍が俺のいる方に向かっていた、というのもあるんだろうが。

 向こうにしてみれば、まさかピクシーのようなMSがこの東南アジア戦線に投入されているとは思ってもいないのだろう。

 前線基地の攻略をした以上、そこから情報が伝わっていてもおかしくはないのだが。

 

『敵の数は?』

「1機。……それも旧ザクだ。どうやら向こうも随分と厳しいらしい」

 

 ジオン軍の主力量産機は、現在ドムだ。……生産数の問題で一番多いのはザクなのだが。

 ただ、そんな状況であっても敢えて旧ザクを使っているパイロットも、いない訳じゃない。

 ルナツーで戦ったパプア級に乗っていたパイロットとか。

 そんな訳で、旧ザクがいてもおかしくはないのだが……それでも、やっぱりMSとしてはどうしても性能が落ちるのは間違いない。

 それでもこうして使われているのは、キキの村のようなゲリラが拠点としている村に対する脅しとしては、旧ザクでも十分効果的だからといったところか。

 もしくは、この辺りに展開しているジオン軍の物量にも限界が来ているとか?

 ……東南アジア戦線はジオン軍にとっても重要ではあるが、オデッサのように最重要とまではいかない。

 出来ればこの戦線を維持し、あわよくば前線を押し上げたいが、ジオン軍の被害によっては捨てる事もやむなし。

 そんな戦線だけに、使用出来るMSもそう多くはなく、ましてやゲリラ達を威圧するだけなら、旧ザクでいいだろうといったところか。

 あるいはジオン軍の有力者なりなんなりがこの辺にいるのなら、もっと戦力を充実させる事が出来たかもしれないが。

 ともあれ、サーチ&デストロイといったことで、旧ザクを見つけた瞬間に俺はピクシーを進ませる。

 決して燃費がいい訳ではないピクシーだが、旧ザク1機を敵にしたという程度なら特に問題なく戦う事が可能だ。

 無駄弾を使うような事はせず、ピクシーの射撃武器たる90mmサブマシンガンは手にすら持っていない。

 両手に持つのは、ピクシーの主力武器たるビームダガー。

 ただし。まだビームは展開していない状況で、真っ直ぐに密林の中を進む旧ザクに向かう。

 お互いにミノフスキー粒子を散布していない事もあってか、向こうもすぐに接近するピクシーに気が付いたらしい。

 一瞬驚きで動きを止め、すぐに持っていたザクマシンガンの銃口をこちらに向けてくる。

 動きの硬直が余計だったな。

 こういう任務に回されるだけあって、このMSパイロットの技量は決して高い訳ではないのだろう。

 その上で、ここは密林だ。

 ザクマシンガンで幾ら連射してきても、周囲に無数に生えている木々が邪魔となるのは間違いない。

 実際に、ザクマシンガンの弾丸は木々に命中したり、それどころかあらぬ方向に飛んでいったりしている。

 結局のところ、技量が未熟と言う他はない。

 こうなると、このパイロットはわざわざ殺すよりも、情報を引き出す為に生け捕りにした方がいいな。

 旧ザクを撃破するのと、生け捕りにして情報源とするののどちらがイーサンに恩を売れるのか。

 それは、考えるまでもなく後者だろう。

 イーサンにしてみれば、レビル直属の俺達に借りを作るというのは業腹だろうが。

 そんな風に考えている間にも、ピクシーは旧ザクとの間合いを詰める。

 ようやく旧ザクのパイロットも、ザクマシンガンでは俺に勝てないと判断したのか、ヒートホークを手に取り、構える。

 そうして俺がこれ見よがしに振るったビームダガーを、赤く染まったヒートホークで受け止め……次の瞬間、ヒートホークを持っていた右腕が切断され、空中を飛ぶ。

 ビームダガー1本だけなら、向こうもどうにか対処出来たのかもしれないが、残念ながらピクシーが持つのは二本のビームダガー、ビームダガーの二刀流だ。

 旧ザクはそのまま残りの手足も切断され頭部と胴体だけになり、地面に崩れ落ちるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:510
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1486

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