転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2391話

『前方にミデア隊発見! MS隊はすぐに出撃して下さい! 繰り返します。前方にミデア隊を発見しました。MS隊はすぐに出撃して下さい!』

 

 モーリンの声が格納庫の中に響く。

 いつもであれば、オペレータはミライかフラウといった面々が行っていたのだが、本職のモーリンがいる以上は任せるという事なのだろう。

 そうなると、今のブリッジでミライが何をやっているのかは、分からないが。

 フラウはホワイトベースで色々と雑用をこなしているので、カツ、レツ、キッカといった子供達の面倒を見るといった仕事もある。

 だが、ミライは……いやまぁ、今はそんな事を考えていられるような余裕がある訳でもないし、その一件は戦いが終わった後で聞けばいいか。

 そんな事を考えている間にも、MS隊は発進準備に入る。

 とはいえ、ここは宇宙ではない。

 ホワイトベースのカタパルトから射出しても、宇宙空間でならそのまま敵に向かって真っ直ぐに進む事も出来るのだろうが、地球では空気の抵抗があるので、ある程度ならともかく一定以上の先行は出来なかった。

 やはり出来るだけミデア隊に近づいたところで、出撃をするのが最適な行動だろう。

 気持ち的には、少しでも早く出撃したいという思いがあるのだが。

 

『全機、言うまでもないが、敵を撃破するよりもミデアの護衛を最優先だ』

 

 通信でリュウの声が聞こえてくる。

 モルモット隊が合流したが、MS隊の指揮はこちらで執ってるんだよな。

 モルモット隊の隊長のユウは、基本的に寡黙な性格をしている。

 それこそ、喋るなと言われればずっと黙り込んでいても苦にしないかのように。

 話し掛ければ普通に喋りはするのだが、ユウ自身も喋るのはそこまで得意ではないらしく、MS隊の指揮はこちらに任される事になったのだ。

 もしMS隊の指揮が壊滅的なら、若干無理をしてでもユウが指揮を執ったかもしれないが、幸いにしてこちらの指揮はそこまで問題ではなかったらしい。

 UC世界において、MSという兵器が実際に使われるようになってからまだ1年も経っていない。

 連邦軍にいたっては、MSの運用実績はジオン軍より更に短い。

 それだけにMSの的確な運用方法は実戦の中で蓄積していく必要があり、ホワイトベース程にMS相手の実戦を繰り広げて来た部隊はそう多くない。

 そういう意味では、ホワイトベースに乗っていたリュウが指揮を執るというのは、そこまでおかしな話でもないのだが。

 

『特に、機動力の高いアクセル、アムロ、ユウは出来るだけ早くミデアの下に向かってくれ』

「いっそ、コアファイターを使って先行すればいいんじゃないか?」

 

 ふと思いつき、リュウにそう尋ねる。

 ガンダム、ガンキャノン、ガンタンクのコックピットにもなる、コアファイター。

 一種の脱出装置にもなっており、一応といった程度だが攻撃力も持っている。

 戦闘機である以上、移動速度という点では間違いなくMSが移動するよりも上だった。

 ダラニのようなSFSの類があれば、話は違うかもしれないが。

 ちなみに、ホワイトベースの中にはガンペリーというMSを輸送する為の航空機も存在するが、ガンペリーの移動速度はそこまで速い訳ではないので、普通にホワイトベースで移動した方が速いし、手間も掛からないで済む。

 

『コアファイターを使うのは俺も考えたが、ちょっと問題がな。ともあれ、今回はアクセル達に……』

 

 そう告げたリュウの言葉を遮るように、モーリンからの通信が再び入る。

 

『ミデア隊を攻撃しているMSの照合終了。敵は、ザクが3、グフが2、ドムが4。それと……不明機が1! それと、MSではありませんが、ドップも20機以上います!』

 

 不明機? って事は、もしかしてまたジオン軍が新型機を出してきたのか?

 いや、けど今のジオン軍にそこまで余裕があるとは思えないんだが。

 そうなると、考えられるのは……原型を留めないくらいに改造したカスタム機とか?

 グフをグフカスタムにしたような。

 違うな。グフとグフカスタムは、性能的に大きく違っているが、形状という点ではそこまで大差はない。

 

「不明機に近いシルエットを持つ機体はないか?」

『え? ちょ、ちょっと待って下さい』

 

 突然の俺の質問に、モーリンは戸惑ったように言う。

 だが、モルモット隊のオペレータを任されているだけあって、すぐに作業を終える。

 

『判明しました。以前ホワイトベースが戦った、イフリートというMSに類似しています。ただし、頭部の形が大きく変わっています。それと、足にはミサイルランチャーのような物がついています』

 

 おいおい、イフリート?

 俺も持っている――正確にはホワイトスターに置いてある――が、イフリートはグフとドムの中間のMSだ。

 実際には数機完成した後で製造は中止された以上、その数は決して多くはない。

 そうほいほいと出て来るような数ではないのは明らかだ。

 そうなると、もしかして本当にウルフ・ガー隊が出て来たのか?

 だが、ウルフ・ガー隊も以前使ったのと同じ方法で俺達を誘き寄せるような真似をするとは思えない。

 そうなると……イフリートが改修されているようだし、偶然その襲撃部隊がイフリートに乗っているとか?

 イフリートの数を考えれば、ちょっと信じられないのは間違いないが……それでも、ウルフ・ガー隊が全く同じ作戦で俺達を呼び寄せようとするよりは、まだ納得出来る。

 

『イフリート? それって、どういうMSなんだ?』

 

 フィリップからの疑問。

 モルモット隊と合流したのはユーラシア大陸に渡ってきてからなのだから、北米で行われた戦いを知らなくてもおかしくはない。

 

「言ってみれば、グフとドムの中間のMSだ。……かなり操縦に癖があるが、使いこなせれば非常に強いという点では、グフに近い。ドムは……おい、ちょっと待て。モルモット隊がホワイトベースに合流する前に被害を受けたMSってのは、ドムだったよな? もしかして、今ミデアを襲っているドムがその時のMSって事はないか?」

 

 ふと、そんな疑問を口に出す。

 本来なら、モルモット隊はイーサンのいる基地に到着前に合流する予定だった。

 だが、実際にはその前にモルモット隊はジオン軍の攻撃を受け、ホワイトベースよりも一足先に基地に向かう事になってしまった。

 その理由が、ドムによる攻撃でダメージを受けたというものだったのだが……

 とはいえ、エースでもなければドムにパーソナルカラーを塗ったり、パーソナルマークを使ったりといった事は出来ないから、その辺を判断するのは難しいが。

 

『どうだろうな。使われていたのは普通の……パーソナルカラーやパーソナルマークのないドムだったから、もしそのドムがミデアを襲撃している部隊にいても分からないと思う』

 

 フィリップが残念そうに言う。

 フィリップにしても、自分達にダメージを与えたドムに対しては、色々と思うところがあるのだろう。

 

「ともあれ、イフリートの件もドムの件も、実際に行ってみればはっきりする。……モーリン、出撃までは後どれくらいなんだ?」

『え? あ、そろそろ大丈夫です! 出撃して下さい!』

 

 その言葉と共に出撃シークエンスに入る。

 この状況で真っ先に出撃するのは、やはりと言うべきか俺、アムロ、ユウのガンダム3機だった。……ユウのブルーディスティニーは顔が陸戦型ジムだが。

 そんな中でも真っ先に発進したのは、俺のピクシー。

 ホワイトベースが有するMSの中では、一番運動性や機動性が高いからだろう。……地上限定だが。

 カタパルトデッキで射出されたピクシーは、そのまま前方に……こちらに向かってくるミデア目掛け、地面を飛ぶような速さで走る。

 ホワイトベースがすぐそこにある今、推進剤が足りなくなるという心配はしなくてもいい。

 何より、ウルフ・ガー隊が相手となると、推進剤の消耗を気にはしていられない。

 この辺り、推進剤の類を全く気にせずに使えるシャドウミラーの機体に慣れた弊害だよな。

 そんな風に思っていると、不意にミデアを攻撃しようとしていたドップが撃墜され、地面に落ちる。

 いや、それ自体はそこまで不思議な事ではない。

 ミデアも、護衛用の武器として機銃は装備されているのだから、一応攻撃手段は持っている。

 だが、今の攻撃はミデアの格納庫代わりのコンテナから射出された攻撃なのは間違いない。

 だとすれば、もしかしてミデアのコンテナには何らかの兵器があるのか?

 そしてミデアの向かう先が東南アジア戦線の基地……その中でもホワイトベースであると考えると、何となくミデアのコンテナにどのような兵器があるのかは、想像出来た。

 同時に、これだけのMSを相手にしてまだミデアが無事だという事の理由も理解出来た。

 ウルフ・ガー隊のように、ミデアを攻撃してホワイトベースを誘き寄せようとしているのは確かだろうが、それならミデアの数は1隻でいい。

 にも関わらずこうしてミデアが生き残っていたのは、ミデアにも反撃の手段――機銃でなく――があったからこそなのだろう。

 ……グフのように、機体が空を飛ぶ敵への攻撃に向いていないMSがいるのも、関係しているだろうが。

 そんなグフがいるという点で、ホワイトベース……もしくは他の部隊を誘き寄せる為に行動していたと考えても、おかしくはない。

 向こう……あのイフリートのパイロットがエース級、もしくは部隊を率いている隊長だろうが、そんな向こうにとって不幸だったのは、このホワイトベースに俺がいた事だろう。

 それ以外にも、アムロやユウがいたという事だろうが。

 

「ミデア、聞こえるか? こちらはホワイトベース所属の、アクセル・アルマーだ。現在そちらに向かっているが、敵と間違えて攻撃しないようにしてくれ」

『了解しました。迅速な救援、感謝します』

 

 聞こえてきた声は、間違いなくマチルダのものだ。

 やはり、このミデア隊を率いていたのはマチルダだったのか。

 ホワイトベースに来るミデア隊だから、ほぼ確実にマチルダだとは思っていたが、それでも確証はなかった。

 なかったが……これは、俺にとって好都合なのは間違いない。

 マチルダなら、俺を含めたホワイトベースのMS隊の実力が高いというのは、自分で確認して知っている。

 だからこそ、俺達が救援に来たと知れば迂闊な真似をしないように動いてくれる筈だった。

 例えば、ミデアのコンテナの中にいるだろうMSと思しき相手に、こっちを誤射しないように注意するとか。

 

「俺が最初だが、他の連中も後から来る。そっちの方にも攻撃をしないように注意してくれよ。まぁ、どのMSもジオン系の形じゃないから、間違うといった真似はしないと思うが」

『分かりました』

 

 その短いやり取りで通信が切れるのと、ちょうど地上からミデアを攻撃していたジオン軍のMSがこちらに攻撃を開始するのは、ほぼ同時だった。

 ザクマシンガンやフィンガーバルカン、ジャイアントバズといった射撃武器が、一斉にこちらに向かって飛んでくる。

 また、足に外付けのミサイル発射装置を付けて頭部の形状も俺が知っているのとは大きく違うイフリートは、ヒートサーベルを手にして真っ直ぐこちらに向かってきていた。

 イフリートにしてみれば、味方が射撃武器で攻撃している中を真っ直ぐに突っ込んでくるのだから、余程の腕と、何よりも味方に対する信頼がなければ出来る事ではない。

 ともあれ、そうして近寄ってくるイフリートに向けて90mmサブマシンガンを撃ちながら、こちらも前に出る。

 基本的には牽制という意味が強いが、イフリートの装甲はルナ・チタニウム製ではない為に、90mmサブマシンガンでもある程度はダメージを与える事が可能な筈だった。

 イフリートもそれを嫌って機体を左右に動かす事で、何とかこちらの攻撃を回避しようとする。

 だが……PPによって高められた俺のステータスは、命中もかなりの強さを持っており、イフリートが何とか回避しようとしても、そのほぼ全てが命中していく。

 1発1発はそこまで大きなダメージではないのだが、それでも向こうは自分にサブマシンガンの弾丸を連続して当てる俺に驚いたのか、一瞬イフリートの機動が鈍くなる。

 それでも、イフリートを任せられるだけの実力を持つだけあって、動揺はすぐに消えて、次の瞬間にはこちらに近づく動きに鋭さが戻り……

 

『アクセルさん、待たせました!』

 

 とアムロの通信が入った瞬間、イフリートの動きが変わる。

 それこそ、今までの動きとは明らかに一線を画すかのような動きでスラスターを噴射させつつ地面を蹴り……俺ではなく、何故かアムロに向かって真っ直ぐに突っ込んでいく。

 ずっとガンダムを使ってきたアムロだけに、その動きに慣れていない様子はない。

 それどころか、連邦軍においてはアムロ程にMSに慣れている者はないだろうと思わせる程の速度で。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:510
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1486

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