転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2394話

 ヤザンが出て行き、それを放ってはおけないとリュウが追う。

 そうして艦長室に残ったのは、俺とブライト、マチルダの3人のみとなる。

 

「アクセル……少し悪趣味じゃないか?」

 

 呆れたようにブライトがそう告げてくるが、これは別に悪趣味でも何でもなく、やらなければならない事なのは間違いなかった。

 今のヤザンは、確かに腕利きなのは間違いない。

 だが、腕利きだからこそ自分の力に強い自信を持っており、ヤザンの性格もあって暴走しがちなところがありそうに思えた。

 だからこそ、今回の一件でしっかりと自分よりも上の存在がいると教え込み、妙な暴走をしないようにする必要があるのだ。

 

「模擬戦についてはリュウが一緒に行ったから問題ないだろ。……それで、俺にとっての本題に入るが……ビームライフルは持ってくる事が出来たと思ってもいいのか?」

 

 マチルダに声を掛けると、その言葉に素直に頷く。

 

「はい。ただし、アクセル代表の希望としては、ピクシーの運動性や機動性を損なわないような、取り回しのしやすいタイプとの事でしたので、ビームライフルではなくビームスプレーガンとなります」

「……ビームスプレーガン?」

 

 てっきりビームライフルが来ると思っていただけに、マチルダの言葉に少し意表を突かれる。

 とはいえ、より取り回しがしやすい武器としてビームライフルではなくビームスプレーガンという武器を選んだと言われれば、話を聞いてみようという気にもなった。

 

「説明を頼む」

「はい。ですがその前に少し話は逸れますが、ヤザン少尉達が乗っている機体についてです。ヤザン少尉達が乗っている機体は、ジャブローで生産された前期量産型ジム……より正確には前期量産型ジム後期型という機体になりますね。ジャブローモデルとも呼ばれていますが」

「前期量産型ジム後期型とか、また随分と分かりにくいんだな」

 

 若干の呆れと共にそう告げる。

 それだけで、連邦軍がMS開発でかなり混乱している様子が分かる。

 マチルダはそんな俺の言葉に真剣な表情で頷き、口を開く。

 

「そうですね。連邦軍にとっては初の量産型MSなので、色々と混乱するのは仕方がないかと。ともあれ、ビームスプレーガンというのは、前期量産型ジム……以後ジムと称しますか、そのジムが使っている武器です」

「ミデアのコンテナから攻撃している時は、実弾を使っていたようだが?」

「はい。勿論、好みには色々とありますし、信頼性という点から実弾兵器を使うパイロットも多いと聞きます。ですが、その辺りは結局のところ余程のことがない限りは個人の好みですので。……とにかく、ビームスプレーガンはジムが使う武器として開発されたものです。特徴としては、ビームライフルに比べて収束が低い事ですね」

 

 そう言い、マチルダはビームスプレーガンについて説明していく。

 収束が低いので、普通のビームライフルよりも射程が短い。

 ただし、近距離で撃った場合はその威力は普通のビームライフルと同程度の威力を有する。

 また、一撃の威力が低い分、連射性能という点ではビームライフルを上回る。

 形としては、ライフルではなく拳銃型。

 標準的なビームを撃つシングルショット、面制圧用のバーストショット、ビームを意図的に拡散させ、広範囲にダメージを与えるレンジショットという3つの形式を持つ。

 

「どうでしょう? 威力は普通のビームライフルよりも若干落ちますが、取り回しの良さという点では確実に勝ります」

「聞いた感じでは、ビームライフルの廉価版という訳じゃなく、全く別物の武器のように思えるな」

「そう思って貰って構いません」

 

 ビームライフルよりも取り回しがしやすく、若干射程が短いながらも、きちんとビームで攻撃出来る。

 その上、広範囲にダメージを与える拡散ビームも使えるというのは、使い勝手がいい。

 唯一の難点としては、ビームライフルよりも射程が短いので、遠距離からの牽制という点では90mmサブマシンガンを相変わらず手放せない事か。

 武器ラックを追加して貰う必要があるかもしれないな。

 大きさが拳銃型となれば、そこまで邪魔になるものでもないし、構わないか。

 ただ、UC世界のビーム兵器って、基本的に武器にエネルギーを充電して使うといったタイプのものが主流なんだよな。

 ジオン軍の水陸両用MSとかドムの拡散ビーム砲は、動力炉直結式なんだが。

 だからこそ、ビームライフルのエネルギーを使い果たしたら、毎回ホワイトベースに戻ってきて充電する必要がある。

 この辺は、要改良といったところか。

 

「分かった。なら、ビームスプレーガンで納得する事にする。ピクシーの方のシステム変更はビームライフルに対応したものになっていたと思うけど、ビームスプレーガンの方はどうなんだ?」

「そちらは問題ありません」

 

 自信満々で頷く様子を見れば、俺としてもなるほどと納得するしかない。

 こうまで自信満々でありながら、実際に使った時に不具合が出たりしたら、それこそ後で文句を言うような事になりかねないが。

 

「取りあえずビームスプレーガンの話題はこれで終わるとして……他に何か話はあるか?」

「持ってきた補充部品については、ブライト中尉と話せばいいので……そうですね。今度イーサン大佐の指揮で行われるラサ基地攻略作戦が終わったら、ホワイトベースはこの基地から出て貰えますか?」

 

 ラサ基地? ……なるほど。それがイーサンが攻略しようとしていた基地の名前か。

 ラサといえば、国としてみればチベットだったと思うが……

 ともあれ、攻撃するのはラサ基地らしい。

 俺達も詳細を知らない情報を知っている辺り、マチルダが腕利きだという証拠だろう。

 

「それは構わない。ただ、そのラサ基地攻略作戦で被害を受けたら、それを修理してからという事になると思うが?」

「そちらについては問題ありません。ただ、出来るだけ被害を受けないようにして貰えると助かりますが」

「その辺は大丈夫でしょう」

 

 ブライトが、そう言葉を挟んできた。

 自信満々の様子だが、それは別に自分の力に自信があるという訳ではないのは、俺も理解している。

 そもそも、ラサ基地攻略作戦の主力は、あくまでもイーサンの部隊なのだ。

 俺達がやるのは、援護や友軍といったところか。

 だからこそ、何か余程のイレギュラーがなければ、ラサ基地攻略戦においてホワイトベース隊が前線に出るような事はない。……まぁ、戦場に絶対はないのだが。

 

「そういう事らしい。それで、ラサ基地攻略戦が終わったら……次に向かう先はオデッサか?」

 

 オデッサという地名を出した瞬間、マチルダの表情が厳しく引き締まる。

 まさか、ここで俺がオデッサという地名を出すとは、思ってもいなかったのだろう。

 

「何故、アクセル代表はそうお思いに?」

「別に確信があった訳じゃないけどな。現状のホワイトベース隊の戦力は十分に強力だ。にも関わらず。そこに更に追加でヤザン達を援軍として送ってきた。つまり、それだけの戦力が必要な場所を攻略するんだろう? それで、一番それらしいのがオデッサだ」

 

 実際には、リュウの使っている下士官のルートでもその辺が噂になっていた、というのも決め手の1つだったが。

 

「そう、ですか。……ええ。アクセル代表達に頼む仕事は、オデッサの攻略です。もっとも、ホワイトベース隊だけでオデッサを攻略しろなどとは、勿論言いませんが」

「それは当然だろ。もしそう言われたら、面倒だし断る」

 

 ニーズヘッグに乗っているのなら何とでもなるが、ピクシーに乗っての戦闘となると、推進剤やらエネルギーやら残弾やらといったものが問題になってくる。

 いや、別に無理にMSを使わなくても、それこそ生身の戦いで刈り取る者やグリを召喚して戦えば、何とでもなりそうな気はするが。

 かといって、そのような真似をしたいのかと言われれば、答えは否な訳で……そもそもそれだと、干渉しすぎる。

 

「ええ。勿論レビル将軍やゴップ提督もそのような事は考えていません。あくまでも、ホワイトベースには連邦軍の1部隊として動いて貰う予定です。……ただし、これだけの戦力を用意したのを見れば分かる通り、間違いなく激戦地区に投入される事になりそうですが」

「だろうな。……というか、今の状況では俺はまだオデッサ作戦に参加するとは決めていないんだけどな。報酬の件も聞いてないし」

 

 ピクシーは高性能なMSで十分に満足している――推進剤の消費が激しいのが難だが――ものの、それはあくまでもホワイトベースをユーラシア大陸まで護衛するという件に対しての報酬だ。

 だとすれば、オデッサ攻略作戦に関しては別途報酬を用意して貰う必要がある。

 ゴップからも、報酬は別途用意すると言われていたしな。

 

「分かっています。どのようなMSなのかは分かりませんが、ゴップ提督から報酬は用意していると。……本来なら、技術的な問題でこの戦争中には完成出来なかっただろうMSでしたが、シャドウミラーという異質な存在とルナ・ジオンという第3勢力のおかげで完成したMSがあり、それを報酬とすると聞いています」

「……随分と勿体ぶるんだな。そこまで言うのなら、どんなMSなのかを教えてくれてもいいと思うけど」

 

 俺達の存在によって完成したMSか。

 ゴップも、随分と報酬の示し方が上手くなったな。いや、その辺は元からか。

 完成するのが難しかったMSとなると……やっぱりガンダム系か?

 連邦軍はMSの技術ではジオン軍よりも10年遅れているという話をよく聞くが、ガンダムやそれに連なる機体を見れば、決してそうは思えない。

 ……もしくは、当初は10年遅れていたのかもしれないが、ガンダムを始めとしたMSを開発することにより、数ヶ月程度でその10年の技術格差を縮めたのか。

 国力が30倍近く離れているとなると、そのような事になってもおかしくはない、のか?

 ともあれ、ピクシーを始めとした連邦軍のMSには非常に興味深いものが多く、そういう意味ではゴップが報酬として支払うMSが何なのかというのは興味深い。

 

「その辺は、残念ながら私も聞かされてはいませんので。是非ゴップ提督本人からお聞き下さい」

「そうだな。そっちの方がいいだろうな。……なら、オデッサ攻略戦に関して参加するかどうかは、ゴップから正式に報酬の話を聞いてからにするよ」

 

 そう告げるが、アプサラスの運用試験の件もある以上、オデッサ攻略作戦に参加するのは、俺の中ではほぼ確定事項だ。

 ……そうだな。アプサラスの件でも、別途報酬を要求しても面白いかもしれないな。

 とはいえ、そっちはあくまでもおまけだが。

 俺に関係する話は終わったので、これ以上艦長室にいても意味はないという事もあり、格納庫に向かう。

 ヤザンやその部下2人が、シミュレータでアムロやユウ、そして綾子相手にどこまで戦えているのか。

 その辺が、ちょっと……いや、非常に気になる。

 そう思いながら格納庫に到着した俺を待っていたのは……

 

「畜生! もう1度だ、もう1度俺と戦え!」

 

 ヤザンがユウに向かってそう叫んでいる光景だった。

 この様子を見ると、どうやらユウに負けたらしい。

 ……まぁ、ユウはホワイトベース隊どころか、UC世界全体で見てもトップクラスの実力を持つMSパイロットだ。

 それを考えれば、MSパイロットとしての経験が未熟なヤザンが勝てるとは思えないが。

 

「アクセル、来たんだ」

 

 格納庫に入ってきた俺に気が付き、綾子がそう声を掛けてくる。

 疲れとも呆れともつかない笑みを浮かべているのは……ヤザンが関係しているのは、間違いないだろう。

 

「ヤザンがどうなっているのか、気になっていたしな。……で、具体的に勝率はどんな具合なんだ?」

「あー……それはね」

 

 言いにくそうにしつつも綾子が説明したところによると、ヤザンは綾子は勿論、アムロ、ユウ、フィリップ、カイと連敗したらしい。

 唯一サマナには勝つ事が出来たが……まぁ、散々な結果なのは間違いない。

 綾子、アムロ、ユウに負けるのは予想していたが、カイとフィリップにも負けるとは思わなかった。

 とはいえ、カイはアムロ程に目立ってはいないが、激戦を潜り抜けてきただけに実戦で磨かれた強さがある。

 フィリップは、若干性格に問題はあれども、陸戦型ジムのパイロットとしてMSの戦術を確立する為に選抜された腕利きだ。

 そう考えれば、これはある意味で当然の結果かもしれないが。

 寧ろ、サマナに勝てたというだけでも凄いと言うべきか?

 サマナだってモルモット隊に選ばれるだけあって、腕は決して悪い訳じゃない。

 ホワイトベース隊の中で弱いように見えてしまうのは、純粋に周囲にいるパイロットが揃いも揃って高い技量を持っているからだろう。

 そういう意味では、ヤザンはともかくヤザンの部下2人に勝つ事が出来たというのは、サマナの実力がきちんと発揮されたといったところか。

 そんな中でも、ヤザンがユウにしつこく挑んでるのは……正式に訓練をした軍人という意味では、ユウが一番上だかららしい。

 ラサ基地攻略戦まで数日なんだが……この調子で、ヤザン達は実戦に耐えられるのかどうか、疑問だ。

 それまでに模擬戦を繰り返して、少しでも腕が上がってくれればいいんだが。

 そう思いつつ、俺はまたシミュレータに入っていくヤザンとユウを眺めるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:580
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1500

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