転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2399話

 戦場を移動している途中、3機のザクと戦っている陸戦型ジム3機の部隊を発見する。

 双方共に1機が後方から射撃で援護をしつつ、残り2機はヒートホークとビームサーベルを使って近接戦闘を行っていた。

 本来なら、ここまで接近するよりも前に射撃武器で多少なりとも双方ともにダメージを受けていてもおかしくはないのだが、不思議な事にこの6機のMSはそのような様子がない。

 となると……恐らくではあるが、射撃武器を使うよりも前に遭遇戦となった……といったところか、

 ともあれ、連邦軍のパイロットの技量でジオン軍のMS部隊と正面から戦うのは厳しい。

 実際、こうして見る限りでは陸戦型ジムの方が押されているように見える。

 だが……こういう時の為に、俺達はこの作戦に参加している訳だ。

 

「援護する、こちらを攻撃するなよ」

 

 連邦軍の周波数に合わせて通信を送りつつ、ヒートホークとビームサーベルで斬り合っている中に……ではなく、近接戦闘を行っているザクを援護している方のザクに、ビームダガーを起動しながら近づく。

 ザクも当然のように自分に近づいてくるピクシーの存在に気が付いたのだろうが、持っているザクマシンガンの銃口がこちらに向けられるよりも前に、ピクシーはその高い機動力を使って間合いの内側に入り込み、ビームダガーの切っ先でザクのコックピットを貫く。

 通信を受けた陸戦型ジムはそんな俺の存在に気が付いていたが、残りのザク……2機のJ型は、そこで初めて俺の存在に気が付いたらしい。

 ミノフスキー粒子散布下であっても、遠距離でなければレーダーの類も反応する。

 それでもJ型の2機が俺の存在に気が付かなかったのは、目の前の陸戦型ジムとの戦いで一杯一杯だった……というのもあるが、同時にピクシーの機動性も大きな理由だろう。

 片手にビームダガーを、そしてもう片方にビームスプレーガンを持ち、J型に近づいていく。

 向こうも俺を近づかせれば危険だと判断したのか、戦っていた陸戦型ジムを強引にヒートホークで押す事によって、間合いを広げる。

 そうして改めてこちらに攻撃をしようとした時……既に俺はビームスプレーガンを構え、トリガーを引いていた。

 今回撃ったのは、拡散モード。

 若干違うが、ショットガン的な使用法……と言えば、分かりやすいだろう。

 間合いは低いが、広範囲に広がるそのビームはザクの胴体をあっさりと貫く。

 ……うん、動力炉の核融合炉が爆発しなかったのは、運が良かった。

 次からは、もう少しその辺も気をつける必要があるな。

 ともあれ、J型の1機が撃破されたことにより、残るのは1機だけ。

 そちらも俺が倒そうかと思ったのだが、俺が倒したJ型と戦っていた陸戦型ジムがビームサーベルを横から突き刺して撃破した。

 へぇ、結構思い切りがいいな。

 俺の攻撃で自分が戦ってきた敵が撃破されたと見るや否や、すぐに次の行動に移ったのだから、咄嗟の判断力は高い。

 

『そちらは、ホワイトベースのMSだったな? 協力を感謝する』

 

 陸戦型ジムの1機から、そう通信が入る。

 ピクシーはガンダム系のMSで、陸戦型ガンダムとも外見は似ている。

 だからこそ、すぐに俺が敵ではないと判断出来たのだろう。

 

「ああ、そうだ。それにしても、そっちは何でこんな場所に? 戦場の端だろ、この辺は」

『俺達も本当ならここまで来るつもりはなかったんだが……この小隊が戦場を迂回していくのを見たからな』

「……なるほど。ビッグトレーでも狙おうと思ったのか? いや、その割にはザクバズーカの類を持ってないか」

 

 ザクが持つ武器の中で、最も威力の高い武器がザクバズーカだ。

 MSや戦闘機といった相手に命中させるのは非常に難しい武器だが、ビッグトレーのような陸戦艇に対しては、これ以上ない程の威力を持つ。

 だからこそ、もしこの小隊がイーサンの乗っているビッグトレーを撃破しようとしていたのなら、ザクバズーカを持っていないのはおかしい。

 ザクマシンガンやヒートホークでもどうにか出来ると思ったのか?

 いや……もしくはビッグトレーを撃破するつもりは最初からなく、ただ攻撃をして連邦軍を動揺させようとしただけ、とか?

 ザクバズーカは威力が高いが、取り回しが悪い。

 ザクバズーカを持ってMSと戦闘というのは……不可能ではないが、ザクバズーカの扱いに慣れていなければ難しいだろうし、慣れていてもザクマシンガンの方が軽い分、取り回しもしやすい。

 その辺りを考慮して、ビッグトレーを攻撃したという結果を得るのを最優先にしたのか。

 それに、ザクマシンガンやヒートホークだって、使いようによってはビッグトレーを破壊することは出来るのだから、絶対に撃破出来ないと決まった訳でもない。

 

『なるほど。その可能性もあったか。……俺は、こっちの裏側に回って陽動しようとしているのかと思ったが』

「その可能性もあったか。ともあれ、実際に何かをされるよりも前にどうにか出来たのは、運が良かったな」

『ああ。だが……動いているのがこの小隊以外にもいる可能性はある、か』

 

 陸戦型ジムからの通信には、憂慮の色がある。

 ジオン軍にしてみれば、最大の防波堤とも言える基地を守る山肌を貫通されてしまった今の状況で、連邦軍とまともに戦っても勝ち目はないと理解しているだろう。

 そうである以上、まともに戦わないで現状をどうにかする方法を考えてもおかしくはない。

 そういう意味では、J型3機の小隊が取った行動は決して間違っていた訳ではない。

 そして、今の3機と同様の行動を取っている相手がいても、それはおかしくはなかった。

 

「俺がビッグトレーの方に知らせようか? 正確には、ホワイトベースに知らせて、そこからビッグトレーに知らせるといった感じになると思うけど。……ただ、正直なところそこまで心配はいらないような気もするけどな」

『知らせて貰えるのなら助かるが、それはどういう意味だ? 今の状況を考えれば、後方を脅かされるのは連邦軍にとっては危険だろう?』

「それは間違いない。だが……あの状況で、ジオン軍が一体どれだけの戦力を抽出する事が出来ると思う?」

 

 ピクシーで、アプサラスⅡのメガ粒子砲によって空いた穴を指さす。

 ラサ基地から結構離れたここからでも、十分判別出来るだけの大きさを持つ穴。

 現在、ラサ基地攻略作戦において、一番の激戦区がどこかと言われれば、当然のようにそれはあの穴の付近だろう。

 連邦軍にしてみれば、あの穴の中に入ればそこはもうラサ基地。それも、具体的にどの辺かは分からないが、それでもラサ基地のかなり中央部分なのは間違いない。

 そしてジオン軍は、そんな連邦軍の行動を少しでも防ぐべく動いている。

 だからこそ、あの穴の部分が激戦区となり、ジオン軍としてもそこに戦力を集中せざるを得ない。

 ……そんなジオン軍が、そう多数の戦力を抽出するような余裕があるとは思えない。

 勿論今のJ型3機以外にも派遣はされている可能性が高いだろうが、その数はそこまで多くはないというのが、俺の予想だった。

 

『だが、万が一という事はある。多分大丈夫だから放っておくといった真似をして、結果的に被害が多くなるような事にはなって欲しくない』

「分かってる。だから、一応連絡は入れておくから心配しないでくれ」

 

 ホワイトベース隊のMSが戦場各地に散っているので、そっちの方で見つけている可能性も十分にあるが。

 その通信を最後に陸戦型ジムの小隊と別れ、俺は一旦ホワイトベースのいる方に向かう。

 ぶっちゃけ、あの陸戦型ジムの小隊がビッグトレーに通信を入れればいいのでは? と思わないでもなかったが、何か上から命じられている任務があるらしい。

 イーサンの事だから、何か企んでいるような気がしないでもないが……ともあれ、俺はホワイトベースに向かいながら通信を送る。

 

「ホワイトベース、聞こえるか? ホワイトベース」

 

 そうしてホワイトベースに通信を送ること、数分。

 やがて、ホワイトベースのモーリンから通信が返ってくる。

 

『アクセル代表? どうしました、何か問題でもありましたか?』

「ああ、ラサ基地からMS小隊が戦場を迂回してこちらの背後に回り込もうとしているのを発見……正確には連邦軍の陸戦型ジムの小隊が発見して戦闘になっているところに協力して敵を撃破した。だが、こちらの背後に回り込もうとしているのが、その小隊だけとは限らない。何かあった時の為に、ホワイトベースからイーサンにその旨を報告して欲しい。……また、ホワイトベース隊に所属しているMS部隊も、戦場を迂回しようとしている部隊がいたらすぐに対処するようにしてくれ。……ちなみに、そういう部隊と接触したって報告はないか?」

『はい、現在のところそのような報告は入っていません』

『アクセル、戦場を迂回しようとする者達はまだ他にもいると思うか?』

 

 モーリンの言葉に割り込むようにして、ブライトがそう尋ねてくる。

 ブライトにしてみれば、今回の一件はとてもではないが聞き逃せる内容ではないのだろう。

 ……まぁ、この戦いに限らず、敵に後方から攻撃されるといったことをすれば、それこそ部隊が崩壊する可能性がある。

 それを考えれば、可能な限りそれを避けたいと思うのは当然だろう。

 

「ラサ基地にしてみれば、いきなり自分達の有利な点を破壊されたんだ。今のままだとどうしようもなくなるのは分かっている以上、現状を引っ繰り返す為に採れる手段があるのなら、それをやらないという選択肢はないだろ」

 

 敵基地の指揮官が無能なら、部下を捨て駒にして自分だけ逃げる……なんて真似をしてもおかしくはないのだが、残念な事に敵の指揮官の戦意は旺盛で、この状況でも負けは認めていないらしい。

 であれば、こっちに勝てる……とまではいかないが、一旦態勢を整える為に退かせるといった選択をする為に行動するのはおかしくはない。

 ただ、敵にとって不幸だったのは、イーサンには全くその気がないといったところか。

 イーサンにしてみれば、今ここで撤退すれば、アプサラスⅡを使って敵の基地に直接被害を与えたという事で、ルナ・ジオンに手柄を挙げさせただけになってしまう。

 それでいながら、イーサンには何の功もないとなれば……

 一応、アプサラスⅡを採用したという功はあるのだが、レビルに強い対抗心を持っているイーサンは、それで我慢出来ないだろうし。

 そんな双方の考えから、結果としてジオン軍が考えている作戦は成功する可能性が高い。

 で、遊撃隊となっている俺達としては、それを防ぐ必要がある訳だ。

 

『やるしかない、か。……分かった。他の者達にも連絡をしてみる。アクセルは自由に動き回って、怪しいと思われる場所を重点的に探索してみてくれ。一応、イーサン大佐にはこちらから連絡をしておく』

 

 その言葉と共に、ブライトとの通信が切れる。

 ブライトにしてみれば、今は少しでも早く行動をする必要があり、だからこそ断りの言葉を口にするような余裕もないのだろう。

 それは理解してるので、不満に思うようなことはない。

 まず俺達がやる必要があるのは、ジオン軍の行動を防ぐ事だ。

 向こうが俺の予想外の事をやろうとしている可能性もあるが、それをさせるよりも前にこちらとしては動いてしまえば手っ取り早く向こうの企みを潰す事は出来るのだから。

 そんな風に考え……ふと、とある方向に戦火が上がっている事に気が付く。

 何らかの爆発の光。

 それだけであれば、特にそこまで気にするような事もなかったんだろう。

 だが、その爆発の光が起こったのがギニアス達のいる方向ともなれば、話は違ってくる。

 もしかして、本当に連邦軍が妙な行動を起こしたのか? それとも、ジオン軍の別働隊がそっちに向かったのか。

 ともあれ、アプサラス計画に支障が出る可能性がある以上、放っておく事は出来ない。

 また、ラサ基地から派遣された小隊がギニアス達と遭遇した可能性も考えると、やはりここは向こうに回った方がいいだろう。

 そう考え、ピクシーのスラスターを全開にしてギニアスの達のいる方に向かう。

 推進剤の消耗は激しいが、ホワイトベースが側にある以上、補給は容易だ。

 その為に、スラスターを最大にして動き回っても、そこまで問題はない。

 アプサラスのデータを取っている拠点にも、推進剤の類は用意してあるので、いざとなればそちらを使うという方法もあるだろうし。

 そう考えつつ、地面を走り……やがて、目的の場所に到着する。

 

「これは……」

 

 まず目に入ったのは、J型のザクが3機地面に崩れ落ちているという光景。

 ギニアス達を守っていたのは、グフカスタムが3機だけだったのを考えると、このJ型はラサ基地からやって来た連中なのだろう。

 そして、陸戦型ジムがグフに肩を貸されて立っているという……明らかに、陸戦型ジムはギニアス達を守って戦ったと証明するかのような、そんな光景だった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:590
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1502

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